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[ 警察小説 ] ジャグラー―ニューヨーク25時 |
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ウィリアム・P・マッギヴァーン | 出版月: 1980年03月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1980年03月 |
早川書房 1980年05月 |
No.1 | 6点 | クリスティ再読 | 2016/10/29 17:45 |
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70年代にミステリ読んでた評者のような世代だと、懐かしいよねマッギヴァーン。書かれたのは75年だそうだが、80年に映画になって(アタらなかったが)B級アクションでは出来のイイ作品として知ってる人は知ってる。だから評者とか「マッギヴァーンがまだ健在!」って結構喜んだんだよ...
でなんだが、映画は見た記憶があるんだが、原作は初読。映画は誘拐された女の子を父親が追っかけてニューヨーク中を走り回る映画なんだけど、原作は全然印象が違う。ヒッピーみたいなひげ面のお父ちゃん、原作だと実はランボーな元少佐なんだ。だから都市論的なあたりでウケた映画と違って、父親・警察・巻き込まれる一般市民...というあたりでの複数視点でのガチのマンハント物である。ここらへん登場人物が多くてそれぞれの事情を丁寧に描写して..という書き方が、70年代の連続物のTVドラマ(アーサー・ヘイリー原作物とかね)風な印象。もう少し整理してもよかったかな。 まあだから、鳥瞰的に警察部隊を指揮して論理的に誘拐犯を追い詰めようとする警察担当者(なぜか階級が警部補だ。毎年1回犯行が繰り返されていたので、少女の生死よりも犯人を仕留めることが政治的に最優先)と、鍛えられたハンターの嗅覚によって子供を取り返すために追跡する父親の対立がポイントになる。しかし、いろいろと飛び入りの市民たちがいて、コイツらが結構状況をイイ具合に攪乱したり..とハラハラさせられることになる。 で映画だとニューヨーク中を駆け回ったけども、原作はセントラルパークが中心で何が潜むかわからないジャングルのように描いている。80年代には犯罪が多発して魔境みたいなものだったようだね。だから、本作ある意味戦争映画というか、「ランボー」の第1作みたいなニュアンスがあるなぁ。マッギヴァーンってそもそも昔から作品企画力みたいな能力は抜群の作家だったから、そういうあたりは衰えてない。 |