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[ 短編集(分類不能) ]
瓶詰の地獄
夢野久作 出版月: 1977年03月 平均: 6.50点 書評数: 4件

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角川書店
1977年03月

角川グループパブリッシング
2009年03月

No.4 8点 みりん 2023/09/16 14:56
『ドグラ・マグラ』を読んでから頭が夢Qで埋め尽くされ、いつのまにか購入していました。角川の可愛いカバーで読了。収録作は『瓶詰の地獄』『人の顔』『死後の恋』『支那米の袋』『鉄鎚』『一足お先に』『冗談に殺す』の7作ですが、そのうち『瓶詰の地獄』と『死後の恋』は他の短編集で既に読んでいましたねぇ… もしかして夢野久作って作品数少ない?(泣) ちなみに解説はあの中井英夫です。滅多に見ないので驚いてしまいました。

【ネタバレがあります】


瓶詰の地獄 9点
再読です。代表作ですね。現代にも通用する趣向が見事。これは兄妹ではなく兄弟という可能性もあるのか?だとしたら聖書燃やしたくなるのも当然よね。

人の顔 6点
作中唯一のコメディタッチですね(嘘)

死後の恋 9点
再読となったがやはりこれが1番素晴らしい。臓器と宝石、猟奇と耽美の融合がなんとも美しく、初読時でもあのシーンでゾワッと鳥肌が立ったのを覚えています。なるほど『死後の恋』か

支那米の袋 7点
この作者の独白体好きですねぇ。しかしアレ、当時の日本で本当に流行っていたのでしょうか

鉄槌 7点
稀代の悪女の色気や艶かしさには読者も幻惑されてしまいます。しかし主人公、そこまで悪魔か?

一足お先に 8点
これはドグラ・マグラを構想するきっかけとなったオリジナルではないかと思われます。片足を無くしたモノに発症する特有の夢遊病、まさに短編版ドグラ・マグラという感じです。答えは闇の中ですねぇ… いつか整合性を分析して、論理的に犯人を導き出したいです。

冗談に殺す 6点
完全犯罪を完遂させた男による自供の謎。
ようわからん。自分が認識している時点で完全犯罪はあり得ない。必ず鏡にソレが滲み出る、鏡の恐ろしさといったテーマか。

No.3 5点 モグラの対義語はモゲラ 2021/07/19 10:57
読んだのは表紙が凝ってる文庫版。
ミステリというよりは、ホラーを取り入れた文学作品、といった趣向の短編集だった。タイプの違った人間の業を非常に読みやすい文章で魅せてくれた。
とはいえミステリっぽい要素を持っている作品も多かった。『死後の恋』『支那米の袋』『一足お先に』がそれにあたると思う。
最も面白かったのは『鉄槌』だ。異能力系経済小説という現代でも見られないジャンルで、どの人物もキャラが立っているだけでなく、だいたいの読者が考えるであろうオチを越えたラストを持ってきていて、考察でずっと楽しめる。作品のスピードも良い。
でもミステリというジャンルでの面白さはそこまで大きくなかったので、点数としてはやや低め。

No.2 6点 メルカトル 2015/12/10 21:40
もっと奇天烈な世界観を味わえるのかと思っていたが、意外と普通だった。いやまあ普通と言ってもそれなりに特異な物語が並んでいるのは確か。
中でも『一足お先に』が白眉だと私は思う。片足を失った主人公だが、さほどの悲壮感が漂っていないのが逆に怖い。病院内で起こる殺人事件を巡って、夢と現実の狭間を行き交う幻想味が印象的である。私が断念した『ドグラ・マグラ』を彷彿とさせるようだが、そこまで難解ではないと思われる。
年代の割には古臭さを感じさせず、現代でも十分通用するのではないかと感じる。

No.1 7点 蟷螂の斧 2015/11/28 19:52
①瓶詰の地獄 9点 海難事故で孤島に流れ着いた幼い兄妹。初めは楽園かと思われたが。3本のビール瓶に入れられた二人の手紙が流れ着いたのだ・・・3通の手紙が書かれた順番を問題・謎とする書評が多いのですが、単に時系列を逆にしただけと思います。天国から地獄へをたった13ページで表現したところがすごい
➁人の顔 4点 幼い少女は、いろいろなところに人の顔が見えるという・・・無垢だけに大人にとっては恐ろしい
③死後の恋 6点 ロシアの青年は、これから語る数奇な物語を信じてくれたら、宝石をあげるという・・・果たして真実なのかという謎
④支那米の袋 9点 ロシア娘はアメリカの青年に恋をした。青年には変な性癖があった。そのアメリカ青年の話によると、日本には男女間でもっと面白い遊びがあるという・・・本編が一番わかりやすいオチ
⑤鉄鎚 7点 主人公と叔父と従妹との三角関係。悪魔はいるのか?。従妹の死に顔を見て、主人公は彼女の真実を知ったで突然物語は終了する・・・彼女の真実とは何かと読者に問う。回答は4種くらい考えられるが、オーソドックスに「瓶詰の地獄」と同じ発想か?
⑥一足お先に 8点 片足を切断した主人公はその足が勝手に歩き回る夢を見る。そして殺人が。果たして現実の事なのか、夢なのか?・・・本編は「ドグラ・マグラ」に似ている
⑦冗談に殺す 6点 新聞記者の主人公は女優のサディスティックな趣味を見、完全犯罪で彼女を殺そうとする・・・完全犯罪をぶち壊したものは思いもよらない○であった。
著者の世界は、幻想と現実の境の曖昧さにあると思います。その世界を知らず、『ドグラ・マグラ』を読んだのが失敗だったと反省(苦笑)。これらの短編集を読んでからであれば、その評価は違っていたと思いました(よって評価変更)。


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