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ミステリの祭典

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ぷちレコードさんの登録情報
平均点:6.28点 書評数:264件

プロフィール| 書評

No.4 8点 満願
米澤穂信
(2020/03/27 19:37登録)
人間誰しもが持っている弱く痛い部分を突かれるような、じわじわと締め付けられるような怖さが少しずつ迫ってくる。
後味は不穏であり不気味で背筋がゾクゾクして、でもそれが何とも魅惑的でどんどん深みにはまって抜け出せない。
極上のストリーテラーによる至福の短編集。


No.3 9点 屍人荘の殺人
今村昌弘
(2020/03/19 20:07登録)
人里離れた山奥の山荘に集まった学生たち。やがて彼らは閉じ込められて、事件は起こる。ミステリ読みに慣れた方にとっては飽きるほど使い古された展開。
しかし、この作品はありきたりを大胆に裏切る。そのあまりにも斬新すぎるアイデアには驚かずにはいられない。突飛な舞台設定ではあるが、特筆すべきは謎解きの論理性の高さ。それをしっかり踏まえているからこそ、型破りな設定が際立つ。
読む人を選ぶ部分は確かにあるが、なるべく多くの人に読んでいただきたい。


No.2 8点 孤島の鬼
江戸川乱歩
(2020/03/12 19:28登録)
なんとも魅力的で、恐ろしくも悲しい話。
慶応年代にまで遡る伝奇的な因縁話であると同時に、とんでもないトリックの推理小説でもあり、背筋が凍るほどの恐怖譚でもある。
そしてこの作品、名探偵明智小五郎にもその傾向がほの見える同性愛を、真正面から描いている。


No.1 7点 戦場のコックたち
深緑野分
(2020/03/05 20:01登録)
日常は日常でも「戦場の日常」ミステリというのが相応しい本作。
情勢を動かすような大きな事件ではないにしても、戦争という特殊な状況下にある以上、現代の我々の日常との隔絶は感じずにはいられない。それゆえに没入できないということは全くなく、かえって想像力を持って読むことが出来た。
一章ずつ読めば決して長くはないし、通読したからこそのサプライズプレゼントが待っている。

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