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ミステリの祭典

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黒野葉月は鳥籠で眠らない
木村&高塚弁護士シリーズ/文庫改題『少女は鳥籠で眠らない』

作家 織守きょうや
出版日2015年03月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 5点 猫サーカス
(2021/11/05 18:49登録)
登場人物が巻き込まれる非日常的な問題を法律によって解決しようとするリーガルミステリ。リーガルミステリというと、法廷を舞台に、弁護士や検察官が丁々発止のやり取りを繰り広げる光景を想像するかもしれない。本作の主人公も弁護士だが、舞台は法廷ではない。それでも、起訴を取り下げさせようと奔走する姿などに接すると、紛れもないリーガルミステリだと感じる。本作は、物語のために法律が存在しているし、その中心には魅力的な登場人物がいる。法律の抜け道を探す悪党は登場せず、幸せになってほしいと応援したくなる人物ばかり。法律の面白さを再認識させてくれる作品。

No.4 6点 ぷちレコード
(2020/06/17 19:09登録)
どこにでもありそうな平凡な事件が、強烈な意思を湛えた依頼人が介在することで、意外性たっぷりのストーリーへと変貌を遂げている。

No.3 7点 makomako
(2019/10/05 23:19登録)
作者は現職の弁護士さんとのこと。
なるほど弁護士ならではのお話でした。
4つの連作ですが、初めはふつうそう見えても一筋縄ではいかないなかなか突飛な展開となっています。
主人公の弁護士さんはなかなか良い人で、実に親切に弁護人の世話をしていくのですが、弁護人のほうが上手で(または先輩弁護士が入れ知恵をしていて)辛口の最後となることもあります。弁護士さんも大変ですねえ。
 解説のところを見ると作者は女性のようです。かなり男性の心を知っている手怖い女性ですね、きっと。

No.2 6点 まさむね
(2016/04/02 18:55登録)
 新米弁護士を主人公とする連作短編集。法律をポイントとした転換がなされ、なかなか面白い読み味です。現役弁護士の作者さんならではといったところでしょうか。(だからこそ、法律を学んだ方であれば、途中でネタに気付くであろう短編もありそうです。)
 ベストは「三橋春人は花束を捨てない」で、終盤の転換がお見事。語弊を恐れずに言うならば、「絶妙な後味」でしたね。他の三篇もそれぞれに違った面白味があって、良かったですよ。

No.1 7点 HORNET
(2016/03/07 20:49登録)
新米弁護士の木村が担当するのは、女子高生への淫行、肉親の殺傷事件、離婚案件、相続問題など、まぁ取り立てて奇抜な案件ではない法律問題。だが、実はその一つ一つに、依頼人や関係者の巧妙な仕掛けが施されており、予想外の結末にあっと言わされる。
 結末にブラックさを感じる人もいるかもしれないが、個人的には「三橋春人は花束を捨てない」がよかった。最後の「小田切惣太は永遠を誓わない」は一転、ハッピーエンドな感じでこちらもよかった。
 一つの設定で貫く連作短編集でありながら、ワンパターンにならずにそれぞれにクオリティが高いと感じる。今後も作品にも期待が持てるのでは。

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