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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.75点 書評数:411件

プロフィール| 書評

No.331 5点 暁の密使
北森鴻
(2023/10/01 20:28登録)
明治半ばに仏典を求めて大陸奥地のチベットを目指しながら、志半ばで倒れた能海寛。欧米列強の覇権争いの地で、多彩な人物を配し能海の足跡に絡む歴史の秘密を紐解いたスリリングな冒険小説。


No.330 6点 グラン・ギニョール城
芦辺拓
(2023/10/01 20:25登録)
「グラン・ギニョール城の謎を解いて」と、奇妙な言葉を残して列車内で男が怪死。弁護士の森江春策が謎に挑む。
過去、現在、虚実が交錯するメタミステリと見せて、結末は意外な一点に収束する。


No.329 5点 ねじの回転
恩田陸
(2023/09/12 20:29登録)
過去の事件も、未来の惨劇もすべて包み込むように、何度となく巻き戻されては繰り返される時間の流れにも似た、浮遊感と酩酊感に満ちた異色時間SF。


No.328 5点 とくさ
福島サトル
(2023/09/12 20:24登録)
死者が言葉の力で蘇ろうとする表題作をはじめ、ストーリーよりも古めかしい文体とアンバランスな会話、視聴覚に訴える表現などによって言葉の持つ呪力を最大限に引き出し、現実世界を幻想の断片群で塗りこめるようとする作品集。


No.327 5点 暗殺者の献身
マーク・グリーニー
(2023/09/12 20:20登録)
暗殺者のグレイマン・シリーズの第十作。対立・対抗する組織が入り乱れて、次から次へと活劇が繰り広げられる。窮地に立たされてのアクションの連続が新鮮で、サスペンスも高まる。
世界の政治情勢を見極め、どのような謀略が世界で起こりうるのかを生々しく具体的に提示してリアリティを確保している。


No.326 5点 とげ
山本甲士
(2023/09/12 20:16登録)
主人公が勤める南海市役所市民相談室には、苦情や相談がいっぱい。上司は汚職で逮捕され、部下は反抗的、妻まで交通事故を起こしストレスはついに頂点に。
状況を突破する結末が痛快なドタバタ小説。


No.325 5点 天使
佐藤亜紀
(2023/09/12 20:12登録)
感覚を研ぎ澄ませていくことで、自分の体や周囲を制御する特殊能力を持つ主人公ジョルジュ。オーストリア諜報機関の顧問官に育てられたジョルジュは、第一次大戦前夜の欧州で、国家機密に関わる密命を帯びる。
自意識とその壮大な闘い、渦巻く陰謀が描かれている。


No.324 5点 芝生の復讐
リチャード・ブローティガン
(2023/08/22 20:21登録)
密造酒を造る祖母、岩の中の彩り豊かな世界を娘に語る父。カリフォルニアの太陽と静かな雨の記憶の中で紡がれ、奇妙だが鮮烈な感動を呼ぶ、幻想的な物語。


No.323 5点 水晶内制度
笙野頼子
(2023/08/22 20:18登録)
男性社会を強烈に批判するとともに、その矛先は女性たちにも向けられる。大塚英志との論争を背景にしているが、例えそれを知らなくてもフェミニズムSFとして充分に堪能できる。
アグレッシブで情念に満ちた濃密な幻想小説である。


No.322 4点 背の眼
道尾秀介
(2023/08/22 20:14登録)
オカルト現象をあるロジックによって解明していくという、本格ミステリ的な要素があるけど、論理の幅が狭すぎて不完全。
仮説検証の回数が足りないし、ワンアイデアで書いた小説という気がする。


No.321 5点 眠れる人の島
エドモンド・ハミルトン
(2023/08/22 20:11登録)
孤島に漂着した男の見る夢がそのまま現実となる表題作、姿を見た者を殺す力を持つ一族との戦いを描く「邪眼の家」など全5編。
幻想趣味と怪奇の味わいに満ちたSF短編集。


No.320 7点 第三の時効
横山秀夫
(2023/08/22 20:08登録)
主婦、証券マン、調理師と三つの連続殺人事件が起こった。F県警は巧妙に仕組まれた事件に取り組むが。
刑事らの個性や苦悩、警察内部の覇権争いなど、リアルなプロットで描いた6編の連作短編集。


No.319 7点 博士の愛した数式
小川洋子
(2023/08/22 20:05登録)
80分しか記憶が維持できない男やもめの数学博士と、家政婦が繰り広げる奇妙だが、悲しい恋の行方を描く。
数式が恋の伝言となり、数学と文学がまろやかに重なる美しい物語。


No.318 7点 将軍の娘
ネルソン・デミル
(2023/08/04 20:34登録)
探偵役のペアが元恋人という設定で、これが話に彩りを添え、ユーモアの薬味が効果的に使われている。
しかも従来の作品にはなかった謎解き仕立て。フーダニットの謎だけでなく、ホワイダニット、ハウダニットの謎も用意されていて読み応えがある。


No.317 7点 キマイラの新しい城
殊能将之
(2023/08/04 20:31登録)
石動戯作のコスプレ姿に笑い、カー顔負けの密室談議に唸り、ロポンギルズにおける大アクションに喝采し、堅牢なロジックに脱帽し、最後に用意された島田荘司ばりの大トリックに腰を抜かす。バカミス好きにおすすめな作品。


No.316 5点 サウダージ
垣根涼介
(2023/08/04 20:27登録)
人間の暗部を見つめながらも、ノワール系とは対照的にラテンのリズムでからりと描いたクライムノベル。
愚かで淫らで強欲で、しかも美しい娼婦、DDが強烈な印象を残す。


No.315 5点 カジノに罠をかけろ
ジェイムズ・スウェイン
(2023/08/04 20:24登録)
作者の描くギャンブル界の舞台が、なんとも楽しい。あの手この手を披露しながら、さらに読者にいっぱい食わせてみせる。
フロリダで暮らす元警察官という主人公の稼業もユニークだし、その飄々たるキャラクターもいい味出している。


No.314 5点 幸運は誰に?
カール・ハイアセン
(2023/08/04 20:19登録)
主人公のジョレインをはじめとして、悪漢のコンビ、コンビニの店員、新聞記者、そして住民たちまでもがとにかく個性的で愉快。
田舎町を舞台に、捧腹絶倒のスラップスティックを繰り広げる。


No.313 7点 草の根
スチュアート・ウッズ
(2023/07/16 20:29登録)
弁護士として引き受けざるを得なかったレイプ裁判の弁護、CIAの女性高官とのロマンス、テロリスト集団の暗躍、それを追う刑事など、ストーリーは多岐にわたる。これを結末で収束させる手際はお見事。
作者が米大統領選に関与しただけあって、議員選挙を巡る話がとりわけ読ませる。


No.312 9点 推定無罪
スコット・トゥロー
(2023/07/16 20:25登録)
プロットを実によく練り上げてある。ハイライトの法廷場面に至るまで、検事局内での勢力争いなどを描きながら、サビッチ夫妻や彼を助ける刑事らの心理の綾を浮き彫りにする。
法廷での激しい駆け引きに目を奪われているほど、どんでん返しをくらう。そして先が全く読めないままサプライズエンディング。

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