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ミステリの祭典

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死者と言葉を交わすなかれ

作家 森川智喜
出版日2020年10月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点 ぴぃち
(2024/01/18 19:39登録)
興信所を経営する彗山小竹と不狼煙さくらは、調査の対象者が急死するという事態に遭遇する。彼女たちが仕掛けていた盗聴器には、対象者が三十年前に死んだ妹らしい人物と会話を交わす模様が録音されていたのである。あり得ない事態に驚いた二人は、真相を探り始める。
怪談風の装いをまとった虚構の世界を描く小説ならではの技巧に驚かされる。結末を予測するのは難しいだろう。

No.2 5点 八二一
(2023/12/16 20:07登録)
浮気調査を依頼された探偵が、ターゲットの車に盗聴器を仕掛けたところ、彼が死者と会話していたらしい音声を記録してしまった。
共感できない登場人物も何人かいるのだが、丁寧かつ大胆に張られた伏線が導く驚きはまずまず。

No.1 5点 nukkam
(2021/08/05 07:17登録)
(ネタバレなしです) 三途川理シリーズで有名な森川智喜(1984年生まれ)ですが、魔法ありとか天使登場とか非常に特殊状況の世界を舞台にしているらしくて個人的にはちょっとなじめそうになかったので初めて読んだ作品は2020年発表の非シリーズ作品である本書です。講談社タイガ版の裏表紙紹介が「あなたは絶対に騙される」と今どき珍しいくらいの挑戦的な宣伝文句にこちらの期待値も(勝手に)高まります。浮気調査中の私立探偵がターゲットの車に盗聴器を仕掛けますが、ターゲットの人物が車中で死んでしまいます。しかしこれで殺人事件の捜査へ進展するかと思ったらさにあらずです。回収した盗聴器には会話が収められているのですがターゲットの声しか確認できず、会話の相手は常人には声が聴こえない死霊ではないかという謎解きになります。通常の犯人当てのプロットでない本格派推理小説のためか微妙に盛り上がらない謎解きですがいくつかの仮説を検証してそれなりに合理的な真相が説明され、さらに第三幕では思わぬ秘密が明かされるのですが...。まあこれは騙されるというより気づかないと言うべきでしょうか。初めから謎として読者に提示されていない秘密なのですから(第二幕の最後に登場した謎とは関連しますけどちょっと遅過ぎ)。この種の技巧的な仕掛けは私は3回ぐらい経験してますが(もちろん毎回見破れません)、初体験の読者ならどう感じるでしょうか?あと第三幕で結構長々と描写される悪意のおかげで読後は全くすっきりできませんでした。

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