夜がうたた寝してる間に |
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作家 | 君嶋彼方 |
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出版日 | 2022年08月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 猫サーカス | |
(2024/09/23 18:21登録) 時間を止める冴木、人の心が読める篠宮、そして瞬間移動をする我妻。ただし彼らは何らかの利を得たり、巨悪に立ち向かったりはしない。およそ一万人に一人の確率で能力者が誕生する世界で、彼らは圧倒的なマイノリティなのだ。秩序を守り犯罪を抑止するため、一目でそれと分かる「能力者バッジ」の着用が義務付けられる彼らは、己の能力が故に友人たちとの付き合いに悩み、奇異の目を向けられることを恐れ、ひたすら平凡な日々をの切望しながら、孤独を内に秘めて暮らしている。この構図は、果たしてフィクションにおける「対能力者」だけの問題だろうかと考えた時、作者がファンタジックな設定を通じて伝えたかったことが見えてくるような気がする。現実世界もまた、様々な「決めつけ」と「差別」の中にあるからだ。かつての超能力への憧れは、この物語に触れ、そして今の現実と照らし合わせた時に、その色をガラリと変える。 |
No.1 | 5点 | 八二一 | |
(2023/11/06 19:13登録) 時間停止や瞬間移動などの能力を持つ者が、一万人に一人生まれる世界を描いた青春小説。 超能力×思春期の葛藤は王道の組み合わせだが、過剰な自意識や悲壮感は薄く、現代の青春小説としてちょうど良い温度が保たれている。 |