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ミステリの祭典

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ナキメサマ
那々木悠志郎シリーズ

作家 阿泉来堂
出版日2020年12月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 文生
(2023/12/17 14:08登録)
村の古い因習に基づいたホラー小説で、次第に立ちこめてくる不気味な雰囲気にはゾッとさせられました。一方、著者の特徴であるホラーと謎解きの融合はデビュー作である本作からすでに顕著ではあるものの、ミステリーを読み慣れた人なら真相を見抜くのはそう難しくはないでしょう。とはいえ、二段構えのどんでん返しはそれなりにインパクトがありました。

No.2 5点 八二一
(2023/12/16 20:27登録)
辺境の村に伝わる儀式をめぐる恐怖譚。
人物描写に粗さが目立つが、数段構えのミステリ趣向を活かす上で仕方ない面も。女怪の暴れっぷりが、いい意味で悪趣味。

No.1 6点 HORNET
(2021/08/30 21:04登録)
 倉坂尚人のもとを一人の女性が訪ねてきた。女性は、高校時代に付き合った小夜子のルームメイトで、小夜子が帰郷したきり音信不通で帰って来ないので心配になり、一緒に来て欲しいという。尚人は迷いながらも「小夜子は今でも倉坂さんが好きなんだよ」という一言に魅かれ、彼女の故郷・稲守村に向かう。ところが小夜子はとある儀式の巫女に選ばれすぐには会えないと言う。村に滞在することになった尚人達だが、ある晩、神社を徘徊する異様な人影「ナキメサマ」と、人間業とは思えぬほど破壊された死体を目にすることになる…。第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞・読者賞受賞作。

 宗教的な儀式や、それに纏わる因習が根強く残る人里離れた村、という日本ホラーの舞台設定はどれだけ使われても飽きることはない。超常的な現象を是とした特殊設定も、本作がホラーであることを踏まえれば十分容認でき、その上でのミステリ(謎解き)も巧みに考えられていた。ただいかんせん、然り気なく示したつもりであろう伏線が結構印象深くて、ラストの「どんでん返し」が予想の範疇になってしまったのが残念。とはいえ、「ナキメサマ」を祀る所以や時差を惑わせる章立てなど、良く考え込まれた一作であることは十分に感じられ、それを堪能できた。

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