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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.77点 書評数:445件

プロフィール| 書評

No.265 5点 バーニング・ワイヤー
ジェフリー・ディーヴァー
(2022/10/09 20:44登録)
電力網を巡るディテールが今の日本の電力事情を連想させる。
目的のためなら手段を選ばないというのが作者らしいが、手段の規模が動機に合っていない。


No.264 4点 チャイナ・レイク再び
アンソニー・ハイド
(2022/09/24 20:14登録)
語り口が悠揚として重く、サスペンス・ストーリーに重要なリズム感に欠けるのが大きな難点。
もつれ合った人間関係が少しずつ解明されて、結末に到達するのだが、人間相互の葛藤や解き明かされる謎の意外性など描き尽くされているとは言い難い。


No.263 7点 粘膜蜥蜴
飴村行
(2022/09/24 20:09登録)
露悪趣味に辟易しつつも、軍国ワールドと密林の冒険譚に仕掛けられた伏線が昇華する愛の衝撃に呆然。
広義のミステリの境界線上の一歩外側を歩みながら、愛をテーマとし、その対象が明かされる瞬間がミステリとして素晴らしい。


No.262 4点 暗号名シルク・ストーム
レイモンド・タイラー
(2022/09/24 20:06登録)
東京を舞台にしたCIA、公安、暴力団の三つ巴の争いを中心に、日本の暗部を描いた小説。
作者は、アメリカ情報部員の一人として活躍した人物らしいが、こうした小説に共通しているように、人物の描き方が不十分であり、本書でも努力の跡が見えるのだが、かえって不器用さを目立たせる結果に終わっている。


No.261 6点 密偵ファルコ/白銀の誓い
リンゼイ・デイヴィス
(2022/09/06 20:42登録)
ブリタニア(現在のイギリス)の銀鉱山に鉱山奴隷として潜り込んで、銀のインゴット横領事件を暴こうとする。犯人捜しや謎解き、クライマックスの活劇シーン、身分違いのロマンスなどさまざまな要素が盛り込まれている。
古代ローマ時代を舞台にする歴史ものという枠の中で、それらの要素が絶妙に絡まりユニークな効果を上げている。


No.260 8点 第四の扉
ポール・アルテ
(2022/09/06 20:38登録)
会話主体で物語が進行するので、人物造形に深みはないが、軽いタッチで非常に読みやすい。分量も軽量級だが、短い中に不可能趣味と怪奇趣味がぎっしり詰まっていて、贅沢な印象を受ける。
終盤における転調は、少々やりすぎの感もあるが、どうせなら「最後の一撃」も盛り込んでやろうという作者のサービス精神のなせる業であり、そういった部分での現代的センスが、日本の新本格とも共通している。


No.259 5点 霧と雪
マイケル・イネス
(2022/09/06 20:34登録)
のんびりした序盤、何が焦点なのかわからない中盤を経て、怒涛の多重解決が待ち受ける終盤に圧倒された。真相の意外性のひねくれ方に唖然。


No.258 8点 都市と都市
チャイナ・ミエヴィル
(2022/08/22 20:27登録)
殺人事件は、社会体制の異なる二つの都市国家にまたがる形で発生する。市民らは互いに相手が存在しないものとしてふるまうことが義務付けられていて、それを「ブリーチ」という謎の組織が監視している。この二重都市という特殊な舞台設定に、SFとミステリの双方向から挑んでいる。


No.257 8点 犯罪
フェルディナント・フォン・シーラッハ
(2022/08/22 20:24登録)
現役の刑事弁護士である作者が、実際に関わったり、見聞きした事件にヒントを得て書いたと伝えられるが、収録作の十一編は「事実は小説より奇なり」という域を超えて読み手の胸に迫ってくる。
語り口はシンプルで力強いが、人間描写は濃やか。ユーモア、残酷さ、奇妙な味といった使い方も絶妙。


No.256 4点 冬の棘
ウィリアム・D・ピーズ
(2022/08/22 20:21登録)
クリスティーンをはじめとした個性的な警察官の活躍する警察ミステリ・法廷小説としては、確かに力作ではある。
だが、事件解明の重要な鍵ともいえる少年の怯えの原因の説明不足、犯人の行動の不自然さなどは、作者が先を急いだせいもあるのだが、犯人捜しの推理小説である以上、納得がいかない。


No.255 6点 太閤暗殺
岡田秀文
(2022/08/07 20:17登録)
老獪な秀吉が垣間見せる状の深さにホロリとし、狂気に走る秀次の壊れっぷりにハラハラし、クールな五右衛門にクラクラしながら、息つく間もなく一気呵成に真相まで突っ走り、明かされた真実に息をのみ凍り付く。
密室トリック、どんでん返しに意外な犯人と本格のうま味がたっぷり。不可能なミッションに挑む冒険小説のスパイスが効いた時代活劇ミステリ。


No.254 6点 アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿
澤村伊智
(2022/08/07 20:13登録)
Webマガジンのライターが、奇怪な出来事を追って取材するうちに、思いもしない結末にたどり着く。都市伝説めいた実話系怪談の衣の下にミステリをしのばせた作品。
軽妙なタッチで気軽に読ませながら、やがて不穏な真相へと着地する。その瞬間のぞわぞわする感覚は、ホラーで実力を発揮している作者ならではのもの。ミステリとしてのカタルシスとホラーとしての衝撃が同時にやってくる。


No.253 5点 数学者の夏
藤本ひとみ
(2022/08/07 20:07登録)
数学の抽象的な世界に没頭するあまり、世間知らずでどこか大人の社会を斜に構えて眺めているような高校二年生の上杉和典の前に、さまざまな事情や悩みを抱えた人物が次々と登場し、太平洋戦争の時代からつながる地域の歴史も関わってくる。
作者の歴史小説や恋愛小説の華麗さとは趣を異にする、ストレートな印象の青春ミステリ。


No.252 4点 ハイダウェイ
ディーン・クーンツ
(2022/07/22 20:12登録)
クーンツ独特の畳みかけるようなストーリー展開と、ぞくぞくする狂気のサスペンス。オカルト風のシチュエーションに謎解きとラブロマンスを錯綜させるテクニックは抜群で飽きさせない。
ただ、事件そのもの、登場する人物たちがあまりにも常軌を逸しているので、一級品というイメージからは遠ざかってしまっている。


No.251 5点 陶工の畑
エリス・ピーターズ
(2022/07/22 20:09登録)
修道士カドフェル・シリーズ第17弾。瞠目すべき派手なストーリー展開も、トリックもここにはないが、語り口のうまさは円熟の度合いを増し、人情味あふれる結末も後味がよい。


No.250 8点 猫たちの聖夜
アキフ・ピリンチ
(2022/07/22 20:07登録)
語り口が純文学っぽいというか、いかにもドイツ的。登場人物は一人マッド・サイエンティストが出てくるだけで、あとは全部猫という猫の世界のミステリ。
事件の解決方法に猫でしか使えないロジックが絡んでいて、そのへんの持っていき方がユニーク。


No.249 5点 冤罪法廷
ジョン・グリシャム
(2022/07/08 20:21登録)
冤罪を訴える死刑囚のために奔走する弁護士の物語。
再審に持ち込むため、事件の関係者ひとりひとりに会う地道な積み重ねが印象に残る。ただ不屈の信念で挑むだけではなく、法律上のさまざまな戦術を駆使する様子も描かれる。
旧悪の露見を恐れる者たちの妨害をくぐり抜け、法廷での決着がクライマックス。実話に基づく、骨太の物語だ。


No.248 4点 Twelve Y.O.
福井晴敏
(2022/07/08 20:16登録)
独特の熱気にあふれた冒険アクション小説。
コンピューターを駆使して米国防総省を脅迫する電子テロリストをめぐっての攻防が、ほどなく沖縄での壮絶なバトルに発展していく。戦闘シーンには圧倒的な迫力があるが、個性的な文章や読者を意識しない構成はやはり気にかかった。


No.247 5点 まだ見ぬ敵はそこにいる
ジェフリー・アーチャー
(2022/07/08 20:13登録)
「レンブラントをとり返せ」に続く刑事ウォーウィックの物語である。
主人公は優等生で癖のない造形だが、敵味方のはっきりした構造と、軽妙なセリフのやり取り、波乱に富んだ展開で一気に読ませる。


No.246 6点 悪魔の羽根
ミネット・ウォルターズ
(2022/06/23 20:19登録)
国際報道に携わる女性記者が紛争地で監禁される。解放後、英国で暴力の記憶に苦しむ彼女に、隣人を巻き込んだ対決の時が迫る。
男性と女性、加害者と被害者、命ずる者と従う者というい非対称な関係を覆すべく反転するヒロインを描く心理サスペンス。

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