コールド・ファイア |
---|
作家 | ディーン・クーンツ |
---|---|
出版日 | 1996年08月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | ROM大臣 | |
(2022/07/25 14:18登録) いかにも作者らしいテーマや道具立てが詰め込まれた作品である。「命綱」という言葉が閃くや、不思議な啓示に導かれるまま、事故や犯罪の現場に駆け付け、死すべき運命にある人々を救うスーパーマンさながらの主人公。一歩間違えばギャグにしかならないような着想を大真面目に展開し、あっという間に読者を術中に取り込んでいく。 本作は、既に使用済みのテーマや道具立てを、全く意外な角度からひっくり返してみせるという荒業に挑んでいる。その手際の鮮やかさには敬意を表する。 |
No.2 | 4点 | 八二一 | |
(2022/05/04 20:35登録) 謎に満ちた前半のストーリー展開から察して、これは壮大な物語と期待したのだが、アイアンハート農場についてからの話は、理詰めすぎていていささかガッカリ。 |
No.1 | 6点 | Tetchy | |
(2010/01/27 22:05登録) 今回の導入部はかつてのクーンツ作品の中でも群を抜く素晴らしさだろう。上巻はその救出劇のオンパレードでもう巻措く能わずといった状態。 しかし、上巻の最後の航空機墜落のエピソードから少し勝手が変わってくる。 主人公ジムが想定していた人物以上の救出が可能とされたからだ。 ここから下巻に至るわけだが、下巻はそもそも何故ジムがこのような特殊能力及び特殊な使命を帯びるに至ったかを探る云わば自分探しがメインであり、上巻であれだけ魅せられたスーパーマンのような救出劇が全く出なくなる。 しかも当初新聞記者としてジムの数ある救出劇に興味を持って近づいたホリーがジムに対して常に敗北のカードを握らされていたのに対し、今度は逆にジムがホリーを頼り、ホリーがその取材力を活かして東奔西走する形に変貌し、正に主客転倒するのだ。 これが最初に不屈の精神力とタフな肉体を供えて登場したジムのキャラクターとに大きなギャップを生むことになり、物語の視点がぶれるように感じた。 正直に云えば、下巻は何とも観念的な話が続くので上巻のエンターテインメント性と比するとかなり落ちるのだ。物語の構成上、このようなプロットにならざるを得ないだろうが、これははっきり云って物語としては致命的だろう。 通常ならば前半大人しく、後半派手派手しく終わるのが読書の醍醐味なのだが、今回は全く逆。 ここにこの作品の弱点がある。 前半盛り上がりすぎ、後半暗くなりすぎである。 |