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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:943件

プロフィール| 書評

No.303 3点 悪の起源
エラリイ・クイーン
(2020/03/15 17:39登録)
ホームズ長編風伝奇浪漫と操りネタの結合。ヤツメウナギ(なんじゃそれ)-マグロ-カエル-ワニ-鳥-犬猫・・・イマイチ切れ悪いな、この「環」。 でも殺人者を側近にしちゃう探偵ての素敵よ。子供の殺人鬼を毒殺しちゃう探偵てのもよかったが。


No.302 7点 ゼロ時間へ
アガサ・クリスティー
(2020/03/11 23:25登録)
「雪白」「薔薇紅」(グリム童話の内容は忘れた) 二人の女と、金ルックス地位三拍子揃ったいい男。三角関係からして、まーた人間関係トリックか?と思いきや、キャラ一捻りネタの方だった。巻頭の湾の地図から「ああいう」トリックなんだろなあと思った通りの「ああいう」物だったが、諸人物の身体特徴のさり気ない描写や、腐った魚臭の犬等の伏線が見事。警官の娘の窃盗冤罪や自殺未遂男のエピソードも、胸キュンエンドのゼロ時間へと鮮やかに収束。


No.301 5点 夜歩く
横溝正史
(2020/03/11 01:06登録)
思い出した。これを先に読んでたんで、アガサ・クリスティーので驚きがなかったんだ。
「真珠郎」ともども、三津田信三の傑作「首無の如き祟るもの」の源流筋だな。


No.300 5点 無実はさいなむ
アガサ・クリスティー
(2020/03/11 00:33登録)
母として妻として絶対的な支配者である女、財力と先見力と理想に裏打ちされた信念の女・・それ故にこそ子供たちと夫は幸福になれない・・そんなスーパーマダムの殺害事件から2年。いったんは解決した事件に新たな展開が・・・
ん?この話、とりあえず収まる所に収まってた一族の安寧をぶち壊しにした男が、結果、自分の女を得て、誰よりもめでたしめでたしエンドってことだよなあ・・


No.299 6点 黒蜥蜴
江戸川乱歩
(2020/03/10 08:09登録)
乱歩に加え、三島由紀夫と美輪(当時は丸山)明宏に援護されちゃあ、この点数よりは下げられない。


No.298 3点 人間豹
江戸川乱歩
(2020/03/10 08:03登録)
豹人間でなく人間豹てネーミングがよい。猫でも蛇でも蜘蛛でもなく豹てのがよい。


No.297 4点 大誘拐
天藤真
(2020/03/09 19:17登録)
大誘拐-だい誘拐-おお誘拐-おおゆうかい-おおゆかい-OH!愉快・・・


No.296 6点 点と線
松本清張
(2020/03/07 00:43登録)
人間関係トリックによる偽装心中殺人。不可能ロジックの結界を張り巡らせた「逆密室」に篭もる犯人。だが、あまりにも完璧な「逆密室」のロジック故に、探偵刑事の密室破壊衝動を煽る結果に・・・。
「ふふふふ、越後屋、そちも悪よのう」悪徳商人の社会派ネタと時刻表トラベルミステリの華麗な混合、さらに「操りのラスボス」登場のオマケまで付く。こういうところはポイント高いよ。


No.295 4点 ダブル・ダブル
エラリイ・クイーン
(2020/03/05 17:10登録)
ダブル・ダブル・・・二重・ウラオモテ・見せかけ・・。「悲劇の連鎖」に見せかけた「計画犯罪」、「数え歌連続殺人」に偽装した「合目的犯罪」、「探偵を操り連鎖を企図する犯人」と「連鎖自体に操り返される犯人」・・。
※手元のハヤカワ訳本、野生児という設定の娘に「ようござんすわ」「面白うござんしたわ」なんてセリフ言わせちゃってる。明治35年生の訳者の文体が実にアウトオブファッション。


No.294 6点 名探偵 木更津悠也
麻耶雄嵩
(2020/03/02 22:52登録)
「白幽霊」 麻耶十八番の左右と高さのロジックによる犯人特定。
「禁区」 入ることのみならず見る事さえ忌避する「方忌」からの犯人直感。
「交換殺人」 交換殺人ロジックと人間関係トリックの見事な結合。
「時間外返却」 死体とともに埋葬されなかった物から殺害場所を特定するロジック。
京都市北地区の高級住宅街に現れる「白い幽霊」にちなんだ短編集で、ここまでならばTVドラマ「相棒」に毛が生えた程度の5点。

5点だが、この作品、古今東西で最も愛するミステリの「翼ある闇」同様に、ワトスン役の香月実朝こそが真の主人公。彼、「翼ある闇」では、名探偵:木更津悠也、銘探偵:メルカトル鮎をも越えたスーパー探偵だったが、ここでも最後の最後に、メルカトルの〇〇〇〇に相応しいブラックさを醸し出してくれている。この外連味に点数1点オマケ。


No.293 5点 されど修羅ゆく君は
打海文三
(2020/02/28 18:37登録)
作者第三作にして、「時には懺悔を」に続く「探偵物語」第二弾。登校拒否の13歳少女と元結婚詐欺師の銀髪長身の六十すぎ女。二人の女探偵が思いを寄せる男は探偵くずれで、同棲していたデザイナー殺しの容疑者でもあった。
「(いい女になりたかったら)修羅場をいくつかくぐりなさい」「修羅場って?」「人生の修羅場は一種類しかないの」「なあに?」「失恋。」 フェミニンハードボイルド、よいなあ、点数オマケ付けちゃう。


No.292 6点 眠れるスフィンクス
ジョン・ディクスン・カー
(2020/02/27 16:21登録)
愛してやまない女が狂女なのか、信頼してやまない旧友が殺人者なのか・・。二者択一に揺れる男の夢幻的なサスペンスティックミステリ。納骨堂「密室事件」のオマケも付く。物語の雰囲気はカー王道で、密室トリックもなかなか。残念なことにメインテーマと密室の関連性がイマイチ。「皇帝のかぎ煙草入れ」とは同格だが、「曲った蝶番」「火刑法廷」には一歩、「三つの棺」「囁く影」にはニ、三歩及ばないかなと。


No.291 3点 12番目のカード
ジェフリー・ディーヴァー
(2020/02/26 11:37登録)
ライムシリーズ第六弾。黒人女高生ヒロインに歴史ミステリを絡めたサスペンス。いつも以上にハッピーエンディングのいい話。「善玉=黒人少女」vs「悪玉=ブラック大企業」てな、いかにもな米国リベラル派風味がちとウザいが。


No.290 4点 魔術師
ジェフリー・ディーヴァー
(2020/02/25 16:30登録)
ライムシリーズ第五弾。原題は「The Vanished Man=消えた男」。右手でヒラヒラ誤導し左手でネタ仕掛ける手品師のウラをかく探偵と、さらにそのウラをかく手品師の虚々実々の駆け引き。読んでて楽しいが、悪役、せいぜい「手品師」で終わっちゃって、とても「魔術師」には見えない。話自体も「エンプティチェア」「ウォッチメイカー」みたいな舞台どんでん返し大技も無く物足りなく。


No.289 4点 石の猿
ジェフリー・ディーヴァー
(2020/02/24 17:06登録)
ライムシリーズ第四弾。蛇頭殺し屋、中国不法移民、中国刑事そしていつもの探偵チームの手に汗握る攻防を、倒叙・カットバック見事に効かせて描いたミステリックサスペンス。唯一のミステリ要素のフーダニットはフーんてな感じで、面白さも「毒猿」に毛が生えた程度かな。  そっか、石の猿って孫悟空か!


No.288 6点 終りなき夜に生れつく
アガサ・クリスティー
(2020/02/23 17:53登録)
下層階級に生まれつき、小器用に仕事とガールフレンドを渡り歩いてきた、飄々とした青年が出会った「運命の女」は、大資産家の娘だった・・・。
アガサ・クリスティー十八番の遺産相続プロットと人間関係トリックに、まさかの「あの」一発大ネタ再現、その上、操りネタまで付き、まさしく魅惑の集大成。ポアロは出てこないけど。
※あのネタはともかく、この作品、第一人称叙述が成功の勝因。第三人称だったら「どんな女でも魅かれる美青年」とか描写されてしまい効果薄れてた。


No.287 7点 孔雀の羽根
カーター・ディクスン
(2020/02/22 00:23登録)
秘教結社オカルトを匂わせた不可能殺人が二つ。一つ目の死体には、至近距離からでしかあり得ない銃痕が二つ。だが部屋は完全な監視下にあり、被害者以外の出入りは不可能だった。二人目は背中にナイフを突き立てられて殺されたが、やはり犯人出入りは不可能で、その上、死体が消失していた。ナイフトリックの方は、後年、ポール・アルテが、同じアイデアをもっと切れあじよく再現した。嬉しいことに「人間椅子」サービスも付いてる。


No.286 6点 漱石と倫敦ミイラ殺人事件
島田荘司
(2020/02/20 19:11登録)
「空中ブランコ」「ジェットコースター」級の大技トリックより、これ位の中技の方が、品格と含蓄があって良い。
夏目漱石に対しても、彼の「異常性」を描きながら、「リスペクト」を失っていないところが素晴らしい。


No.285 4点 異邦の騎士
島田荘司
(2020/02/20 18:53登録)
島田荘司では「眩暈」と並んで好きな小説だ。個人経歴の改竄と記憶操りトリックが実にミステリアス。
ただ、メインのオチ「僕ってだれ?」種明かしが、御手洗潔シリーズ読んでないとインパクトない。残念!


No.284 6点 女には向かない職業
P・D・ジェイムズ
(2020/02/19 08:27登録)
ドロシー・セイヤーズは、ほぼ食わず嫌いだが、ドロシー・ジェイムズは好きだ。
「母は、私が生まれて一時間しか、この世にいなかった・・」
「父は旅暮らしの詩人、アマチュア革命家・・」 
「(探偵は)女には向かない職業でしょうに・・」・・母親とは女には向かない職業である・・
あのダンディな警視探偵でなく、この若き女探偵こそシリーズ探偵にしてほしかったな。

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