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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:943件

プロフィール| 書評

No.523 6点 シャーロック・ホームズの帰還
アーサー・コナン・ドイル
(2021/12/22 09:25登録)
「空き家」 ホームズ復活! お、密室殺人・・ではなかった。What is「バリツ」?
「ノーウッドの建築家」 「モリアーティ亡きあとのロンドンは全くつまらない・・」ホームズ本音をつぶやく。
「踊る人形」 暗号物で、密室殺人で、カー「三つの銃弾」原型で・・ドイルのオリジナルなのかな、この暗号。
「孤独な自転車乗り」 「タイピストに精神的な深みはない」・・ホームズ、職業差別発言!
「プライオリ・スクール」 「ぼくは貧乏人でして」・・出せる奴からは貰うべきだよな、報酬。
「ブラック・ピーター」 手撃ち銛で串刺しにされた元船長。現場状況と遺留品からのWhoロジック。
「C.A.ミルヴァートン」 The Bad(モリアーティ)でなくThe Ugly(卑劣漢)相手のホームズワトスン冒険活劇。
「六体のナポレオン像」 「五粒のオレンジ種」連想させて中身は「青い・」、島荘「切り裂きジャック」原型でもあり
「三人の学生」 この時代はまだこんな犯人像で読者を・・やめとこ、背丈のロジックを買おう。
「金縁の鼻眼鏡」 メガネのロジックは見事。もうひとねじりあれば「顔のねじれた女」とかで傑作だったかも。
「失踪したラグビー選手」 普通は探偵の仕事って、こういった行方不明探しだよなあ、今も昔も。
「アビー農園」 普通の強盗殺人と聞いたとたんに興味を失うとは・・いかにもホームズらしく。
「第二の血痕」 国際的危機に至る紛失した手紙を取り戻す痛快な締め。養蜂家ホームズの作る蜂蜜、旨そうだな。


No.522 6点 シャーロック・ホームズの回想
アーサー・コナン・ドイル
(2021/12/17 19:45登録)
「シルバーブレイズ号」 失踪した名馬と惨殺された調教師、夕食マトンカレーと吠えなかった番犬・・連結いかに
「黄色い顔」 誰もが連想するレベルのホームズ推測を、半歩捻ったハッピーエンディングないい話
「株式仲買の店員」 「赤毛連盟」怪盗より、アイデアで1/3、演技力で1/4、覚悟で1/2レベルダウンした悪漢達
「グロリアスコット号」 文字通りホームズのメモリーにして最初の事件。ドイル十八番の後半歴史奇譚
「マズグレイヴ家の儀式」 これまたホームズのメモリーにして青年ホームズ第三の事件・・で、ドイル版「黄金虫」
「ライゲートの旦那衆」 本人の言が真ならば、死体から証拠を奪った者はその本人しかなく・・鮮やかなロジック
「曲がった男」 怪人の連れた珍獣を活かしたトリックでもあれば・・もっとミステリしてたかもしれない歴史奇譚
「居住患者」 密室トリックもどきでも施された現場だったら・・もっとミステリになっていたかもしれない復讐譚
「ギリシア語通訳」 ホームズって、フランス人クォーターなのね。弟以上に出来よく恰幅もいい兄貴・・
「海軍条約」 見取図あるんだから、もう少し絡めてほしく・・あんちゃん官僚なんだから、話に絡めてほしく
「最後の事件」 モリアーティ・・ホームズワトスンに並ぶシリーズ三大スーパースター・・登場!にして即退場

※この第二短編集には、少々オマケ加点。


No.521 8点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2021/12/13 19:09登録)
「ボヘミアの醜聞」 ・・シャーロック・ホームズにとっては、彼女こそが「女」だった・・
「赤毛連盟」 王族子孫でイートン校オックスフォード大卒の怪盗・・読み返せばなかなかにクールなヤツ・・
「正体の場合」 いや、ヤツはとんでもない物を盗んで行きました・・あなたの、心です。
「ボスコム谷の謎」 圧倒的に不利な状況証拠からの撲殺事件冤罪返し。ただ、足跡残りすぎ。
「五粒のオレンジの種」 窮状青年の救済も復讐も果たせない苦い失敗譚が故に心に残り・・・嗚呼、KKK!
「唇の捩れた男」 乞食三日やったら・・コカインやっても阿片はやらないミック・ジャガーの様なホームズ
「青いルビー」 頭骨の大きさと知性は比例するのか・・七面鳥でなく鵞鳥喰うのかクリスマス。
「まだらの紐」 おお、ヘレン、まだらの紐が・・・で、あいつ、金庫の中で呼吸できたのかな。
「技師の親指」 東西南北いづれでもなければ・・・鮮やかなる場所のトリック。
「高貴な独身者」 やせ我慢の美学とまでは行かず「気高き独身男」、つらいな。
「緑柱石の宝冠」 ホームズ物にようやくのキャラツイスト「不詳の息子」と「健気な姪御」
「黄褐色の橅木立」 笑い話名手のエビス笑い肥満漢にして凶悪漢・・ロイロット医師より怖い。

※歴史的、記念碑的、何より個人的思入れから、点数には相当のオマケ付き。


No.520 5点 悔恨の日
コリン・デクスター
(2021/12/09 18:13登録)
デクスター(長編)第十三作にして最終作。モース最後の事件と言うより最後の挨拶。シリーズの最初から最後まで、オックスフォード舞台に展開する「まあ普通」の殺人・行方不明事件。数名の容疑者達の「いかにも」なカット描写断片によるWhoWhyWhatパズルと、ちょっとしたアリバイトリックHow。そして毎回の様に現れる、主役モースも絡んだ中年初老男女の爛熟した性愛・・・何という首尾一貫性。それでも、最後に決めてくれた「確信的無神論者」モースのちょっといい話・・「我がムラの直なる者さに非ず。父は子の為に隠し、子は父の為に隠す。直きことその中に在り」の孔子を地で行く様な・・で、採点には少しオマケ。

    てことで、コリン・デクスター長編全13作の採点修了したので、
    私的デクスター長編ベスト3
           第一位:「死者たちの礼拝」
           第二位:「森を抜ける道」
           第三位:「キドリントンから消えた娘」

追記:おお!「The Re(MORSE)ful Day(=ふたたびモースいっぱいの日)」! すげえな、「雪」さんサンキュウ!


No.519 3点 死はわが隣人
コリン・デクスター
(2021/12/03 18:11登録)
デクスター(長編)第十二作。終末にかけてさらに頁分量を増すモース警部シリーズ。オックスフォード大学(university)の一大学(college)の学長(学寮長て言うらしい)の地位を争う二人の教授(研究員て言うらしい)とその妻と関係者達。
一見、大学とは何の関係もない住宅街で起きる連続殺人と、WhoWhyダニットで繋がれて・・その真相は・・・・
もはや、アリバイトリック以外に何の期待もしないデクスターミステリだが、第一殺人のWhyはチョビっとユニーク。


No.518 4点 カインの娘たち
コリン・デクスター
(2021/11/27 08:32登録)
デクスター(長編)第十一作。前作から分量長めのモース警部後期シリーズ。ミステリの肝は、相も変わらずのアリバイトリック・・凶器盗難と殺人の時間トリック見事・・だが、小説としては、主役モースと三人の女たち・・余命僅かな女教師、DV被害者妻、屈折した娼婦娘・・の情念劇の方が骨格。元々、たそがれ感あふれるモース警部だが、心身ともさらに深く暗き黄昏へ近づき・・・。


No.517 7点 引き潮の魔女
ジョン・ディクスン・カー
(2021/11/21 07:23登録)
ディヴァインやデクスターばかりを読んでると、ディクスンの有難みが良く解る。やはり、本格ミステリには「密室」出てこないと・・・しかも、二つも出て来て嬉しくなっちゃう。特に二つ目のやつ、「白い僧院の殺人」より好きだ。不可能幻影よりも、カーの場合、そのタネ明かしが大好物。


No.516 6点 森を抜ける道
コリン・デクスター
(2021/11/18 14:32登録)
デクスター第十作。オックスフォード界隈の森で、異国の娘が行方不明となって一年、娘の殺人を暗喩するかの如き詩が投書される。だが、再捜査に乗り出したモース警部の勘で発見されたのは男の遺骨だった。いったい森で何が起きたのかWhatダニット。入代りトリックにアリバイトリック、相変わらず引出しは乏しいが、何故あえてリュックが放置されたかロジックは見事。前作同様に今回は二つの森の地図が巻頭掲載されるが大した効果は果してない。


No.515 4点 消えた装身具
コリン・デクスター
(2021/11/13 11:41登録)
デクスター第九作。巻頭に市内地図が載り、ん?前回が歴史ミステリなら今回は地理ミステリ?と、川を利用した不可能トリック期待したが、人間関係アリバイトリック付きの「オックスフォード観光ミステリ」であった。
※ミステリの舞台が、館から街や村にまで広がると、どうしても緊密構成が緩まり、緊張感も薄まる。せめて密室代わりに、入り組んだ川や道の地理を利用したトリック、背景にしたロジックの出番を期待したく。


No.514 3点 オックスフォード運河の殺人
コリン・デクスター
(2021/11/08 19:03登録)
デクスター第八作。今回は安楽椅子探偵回。大酒がたたり入院療養する羽目になるモース警部。女ざかり看護婦達へのスケベ心だけでは満足できず、差入れ本の19世紀犯罪記録の再検討に熱中し、業務でもないのに相棒ルイス刑事まで動員して「歴史ミステリ」パズル組み直しに床上邁進。記録上の船上女性殺人事件裁判が、誤審冤罪であったろう事までは突き止められるが、真相解明については「その可能性もある」の解釈で終わる。そりゃあ、百年以上も前の話だし、遺骨や丈比べの「物証」があっただけでもモウケもの。歴史とは終わることなき解釈で、歴史=ミステリだから、当然、歴史ミステリが面白くないわけがなく・・・ただミステリ作品として優れてるかどうかは、また別な話で。


No.513 4点 別館三号室の男
コリン・デクスター
(2021/11/07 17:11登録)
デクスター第七作。ホテルの年越し仮装パーティー撲殺殺人事件。東野圭吾「マスカレードホテル」三谷幸喜「有頂天ホテル」のタイト(=貧乏)バージョンてとこかな。一捻りWhoWhomダニットに保険付きアリバイ時間トリック絡めた人間関係トリック・・チト切れが悪い・・が肝のシンプルミステリ。
「推定年齢は30~40歳、あるいは29歳もしくは41歳」「あるいは42歳・」「あるいは28歳・」ところどころ笑かしてくれるモース&ルイス。


No.512 5点 謎まで三マイル
コリン・デクスター
(2021/10/31 17:07登録)
デクスター第六作、モース警部オックスフォードサーガ第六弾。頭と両手首、両脚が切断された着衣のトルソー死体。大学教官どうしの怨念と小半世紀前の戦時下譚がからみ、Whom:誰を殺した?超えてWho:この死体誰?のパズル。該当可能性4人がバタバタ死者となり、え?もう該当いねくね?思わしといて意表突くWhom出て来て、いきなりそんな奴持ち出して反則じゃ?と読み返したら、あらら、序盤にそいつが出づっぱりの一章あったわ、見事。頭と手首切るのは誰の死体か不明にするため、服を着せるのはある人物に見せかけるため、でバラバラにして服着せるのはパズル解読者を悩ませるため・・斬新なロジック。


No.511 7点 からくり砂絵
都筑道夫
(2021/10/28 18:40登録)
砂絵師はじめ江戸の異形非人達が探偵役のミステリ短編集第三弾。
・「花見の仇討」 仇討の二重茶番劇に本物の人斬りが起きてしまうWhoHowそしてWhomダニット。6点
・「首つり五人男」 一本の木に二度つるされた五人の屍体・・驚きのWhatダニットが見事に解明。7点
・「小梅富士」 四畳半離れ寝たきり隠居の巨大庭石による圧死事件。隠し財宝奇譚をおまけに巻き込んで・・6点。
・「血しぶき人形」 からくり人形に刺殺された質屋旦那の事件。登場人物達の「役割」解明鮮やかに。5点。
・「水幽霊」 ロウソク屋大店の娘と大工の男を襲った水びたし幽霊事件のWhyダニット。6点
・「粗忽長屋」 砂絵師探偵と宿敵同心を巡る江戸町サスペンスツイスト。3点
・「らくだの馬」 グロテスクをぎりぎりにカスる屍体冒険爆笑ミステリ。4点
現代ならばチト失笑物であろう「不思議」絵図が、江戸が舞台だと彩り鮮やかに生きて、ロジカルな解決がストンと決まる。※採点は最後2作除いた5作平均プラスおまけ1点で。


No.510 5点 ジェリコ街の女
コリン・デクスター
(2021/10/25 19:03登録)
デクスター第五作、かつモース(&ルイス)オックスフォードミステリサーガ第五弾。女盛り(アラフォー)いい女の首吊り自殺と目撃者殺害事件をめぐる老若男女のWhoダニット。シンプルにして巧みなアリバイ時間トリック付き。たーだ、ダミー解決の「オイディプス王」ネタの方が断然よかったなあ、あっちでもこのトリック使った展開できたじゃない。
※シリーズ主役モース警部に「夕暮れ感」出て来てなかなかよく1点オマケ。トレヴェニアン「夢果つる街」レベルにまで黄昏たら2点オマケしちゃう!


No.509 6点 死者たちの礼拝
コリン・デクスター
(2021/10/23 22:41登録)
デクスター第四作。牧師はじめ教会関係者5連続殺人事件。姦通・献金横領にカインとアベル・少年愛ネタのパズル断片散りばめて、「顔無し死体もの」の意表突く応用・・WhoHowからWhatへの・・転生応用。こんな手があんだな、面白い。ただ、楽屋(What)によって仮象された舞台がカー風不思議だったら・・7点・・まあ、やめとこ。


No.508 3点 ニコラス・クインの静かな世界
コリン・デクスター
(2021/10/18 18:19登録)
デクスター第三作。試験委員会の委員連続殺人事件。難聴(ほぼ聾啞)者の読唇述ネタや英文縦読みネタ(「文を縦に書くおかしな民族」・・我が国バカにしとる!)、狙いは面白いのに驚きがイマイチ。非英語国民にはチト響きづらかろう。ディヴァイン同様、この人のトリックの肝は、どうやらアリバイ時間トリックのようね。それはよいが、最後の半どんでん返し、一つ前のせっかくの「人間関係トリック」がチャラになり、冒頭の伏線が無意味になるじゃん・・1点減点。


No.507 5点 キドリントンから消えた娘
コリン・デクスター
(2021/10/16 17:52登録)
デクスター第二作。引続き主人公にはモース警部。平凡な探偵にして密かに不可能犯罪に心躍らせる独身のワーグナーマニア。「女が生きてちゃつまらない・・私は、不自然な死体を前にした方が力が発揮できるんだ」・・なんとナイスな不謹慎セリフ。ある女学生の失踪から二年、娘から両親に無事の手紙が届き、モースに調査の命が下る。パズル断片として、いかにもな怪しさで描写される容疑者・・校長夫妻、独身教頭、教師夫妻、娘両親、男友達・・たち。刺殺と娼婦、恐喝と梅毒、失踪と入代り、ロジックと妄想・・不器用に繰り返されるパズルのはめ直し。「~から二度消えた娘」事件は見事解明するが、殺人事件の方は多重解決風にぼやかして終わる。※多重解決よいが、あの「書類とホコリ」のロジックはもっとキチンと「多重」に記述してほしかった、「陰獣」みたいに。


No.506 4点 ウッドストック行最終バス
コリン・デクスター
(2021/10/12 18:49登録)
デクスター処女作。とある夕暮れ、ウッドストック行バスを待っていた娘二人。深夜、うち一人の性交の跡のある撲殺死体が、行先ウッドストックの酒場駐車場で見つかる・・・スーパースター探偵(ホームズ、マーロウetc.)でもアンチ名探偵(ドーヴァー、フロスト)でもない、平凡な警部(なかなかのハンサム中年と判明するが・)の地道なWhoWhatパズルロジック。「一万人」という容疑者から「一人」を絞り出す「ロジック」に大笑・・数も論拠も何たるアバウト・・でも嫌いじゃないぞ、こういうの。そこはよいのだが、犯人、キャラ的に分かり安すぎ・・驚きまったくなく・・


No.505 7点 くらやみ砂絵
都筑道夫
(2021/10/10 18:29登録)
砂絵師はじめ江戸の異形非人達が探偵役のミステリ短編集第二弾。
・「不動坊火焔」 大店旦那と道楽息子、妾、祈禱師、賭場胴元に主役たちが入乱れての殺し合い騙し合い。4点
・「天狗起し」 通夜の「密室」の遺体が刺殺死体と入代り屋根上で見つかる。ダミーを挟んで捻り解決。8点
・「やれ突けそれ突け」 曲芸とエログロ、二つの見世物小屋を繋ぐ転落死事件の真相。4点。
・「南蛮大魔術」 大旦那衆を前に催された女奇術師の魔術。二重三重に捻ったホワイダニット。6点。 
・「雪もよい明神下」 火の見櫓から落下した刺殺死体と犯人消失トリック。ハウよりもホワットダニット。7点
・「春狂言役者づくし」 羽子板押絵の首が裂かれ、押絵モデルの役者が殺される連続事件の驚愕ホワイ。7点
・「地口行灯」 大店に押し込んだ二人組の強盗は前日に既に死体になっていた事件のホワットダニット。6点
平均6点だが、まるで鼠の様なあの連中が好きなので、1点オマケ付けちゃう。


No.504 6点 ウォリス家の殺人
D・M・ディヴァイン
(2021/10/09 18:46登録)
ディヴァイン第十三作にして遺作。ひとかどの社会的身分にありながら情緒不安定な男女、陰湿な感情起伏、緊張過多の家族・男女関係、クリスティーを三割方どぎつくしたWhoWhyパズル、ショボいアリバイ時間トリック・・ディヴァインは最後までディヴァインであった。「グリーン家」先例に従い「違うほう」を犯人と予想してしまった。
※遺作なんで点数1~2点オマケ。ただ、第八作「Death Is My Bridegroom(死は我が花婿?)」のみ未訳・・・再来年あたり翻訳でるかな。

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