home

ミステリの祭典

login
レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:943件

プロフィール| 書評

No.623 7点 夜 訪ねてきた女
トマス・H・クック
(2022/09/19 21:14登録)
フランクシリーズ第三弾。第一弾で南部警官だったフランク、二でニューヨークへ引越し転職し、この三ではすっかり薄汚れ私立探偵が板につき、昼は、富豪よりの依頼仕事で挙動不審の妻の尾行、夜は自身の情念から、ジプシー女殺人事件の真相捜し。二つの事件は重なることなく、それぞれに真相解明へ・・が、出来過ぎた決着にも、「タクシードライバー」狂気エンドともならず、そこはトマス・H・クック、苦い結末かな・・と思わせといて・・ウァっと驚く技巧的な連結決着。思わずウーンと唸って拍手パチパチ・・

同じ警官あがりのニューヨーク探偵、ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム・・住まう部屋の窓外に居を構えるのは、カッコいいハヤブサ一家。一方のフランク、事務所兼用の半地下部屋の外の階段下に寝てるのは、悪臭漂うホームレス老婆。フランクと一言の交流もなかった老婆の突然の死が、一番痛かったりする・・・


No.622 4点 双面獣事件
二階堂黎人
(2022/09/16 18:07登録)
二階堂蘭子シリーズ第八弾。クマゴリラの如き巨躯に、二つの頭と四本の腕、人間を引き千切る怪力を持ち、眼からは怪光、口から毒ガスを放つ怪物、双面獣。そしてドクロまんま風貌の髑髏人間たち、美女名探偵vs美女名悪漢。まんま化け物小説・・作者十八番の不可能・密室は一切抜き(「かがくてき」ネタ明かしあるけどねぇ)の・・SFバケモノ小説。
長くてアホらしくて、愉しいな。点数、オマケ付けちゃう!(^^♪


No.621 6点 過去を失くした女
トマス・H・クック
(2022/09/12 19:41登録)
フランクシリーズ第二弾。ニューヨークのしがない私立探偵に転身した元南部やさぐれ刑事。請け負った依頼は、殺害されたファッション業界老嬢の遺族捜し。極貧の移民ユダヤ少女が、縫製女工から労働運動の女神となり、謎の二十年の歳月の後に、手首切断惨殺死体に変じるまでの轍。世界恐慌30年代の苛烈な米国労働争議。縫製工場の娘達の過酷な労働環境が、わが「女工哀史」「あゝ野麦峠」に微妙に重なり、物語は、清張・「火車」・「白夜行」にホンワリかすり・・


No.620 5点 マギル卿最後の旅
F・W・クロフツ
(2022/09/09 21:56登録)
クロフツ第十作。老資産家の失踪殺害事件。共犯者達の役割分担と列車・船・車を巧みに機能させたカラクリ仕掛け。カラクリ解剖分解は見事で、トラップ逮捕劇もなかなか。が、カラクリ現象が、「不可能」でも「不思議」でもなく、殺しの時間・場所ゴマカシによる冤罪擦り付けってのがチト淋しく・・そりゃ、クロフツにカーを期待するのもなぁ


No.619 7点 魔術王事件
二階堂黎人
(2022/09/06 21:08登録)
二階堂蘭子シリーズ第七弾。 これも不可能トリックひとつにつき、3点満点加点法で・・  
    対面部屋消失トリックに、1点。
    楽屋密室トリックに、2.5点。
    石室トリックAに、2.5点(勉強になりました)
    石室トリックBに、-1点(この手の幾何学、ツマンねぇ)
    病院密室トリックに、3点満点(模範的やね)
    雪足跡ネタに、0点。
    少年消失トリック、3点満点だが・・せっかくのGood idea、効果が全く機能せず-2(>_<)で、1点。
    宝石すり替えトリックに、0点、で、合計、9点。
トリックが多彩・賑やかで実に楽しい。が、どれも効果が薄い。散らし過ぎなのかな。 ので、-2点、結局、7点。
不可能トリックは、ストーリーをその内にネジ入れてしまう程の、強烈な渦巻きであってほしく。特に、少年屍体の消失トリック、「妖魔の森の家」+「チェスタトン」の複合技でナイスなのに、話に活かせず、不思議効果0に近く、残念。


No.618 5点 だれも知らない女
トマス・H・クック
(2022/09/03 10:23登録)
フランクシリーズ第一弾。何不自由ない環境のハイクラス美少女の謎の死。事件を追い求める虚無的な刑事と、描かれて行く米国白人男女の静かなる絶望感・・「信仰深くて楽天的、能天気」に見える米国人の心の底に潜む静寂なる虚無。
※そう言えば、「The Sound of Silence」は、「暗い日曜日」の欧州や、「ラバー・ソウル」Beatlesの英国ではなく、米国産だった。


No.617 7点 兇人邸の殺人
今村昌弘
(2022/08/30 21:36登録)
女学生探偵:比留(ヒル!)子シリーズ第三弾。「我らの敵はジェイソンであって、モリアーティでない・・」
    第一殺人の絞殺者Whoロジックに、1点・・加点法で採点
    第二殺人のアリバイ時間ロジック及びSFコードトリックに、2点。
    紛失キー取返しHowダニット(面白い!)に、1点。
    建物構造設定(よくぞこんなの)に、2点。
    SFホラーWhoダニット倒叙に、1点。・・で、合計、7点。
※この作者のみならず、女学生ホームズに隷属する男子学生ワトスンて、どうしても「この手」の匂いを振り撒くのね。
※既刊三作中、読んでて一番ワクワクさせられた。次は来年かな、楽しみだ。(^.^)


No.616 5点 ミステリの女王の冒険
エラリイ・クイーン
(2022/08/30 07:00登録)
クイーン自身が脚本を書いたTVドラマシナリオ集かと思ったら、ここの「エラリー・クイーン」て、「さいとう・たかお」みたくプロジェクト集団の標章なのね。もともとプロト「クイーン」自体が「藤子不二雄」とは言え、原案者でさえない となると・・なんか拍子抜けやね。


No.615 3点 殺人をもう一度
アガサ・クリスティー
(2022/08/28 19:58登録)
人間存在の本質は実存(≒自由)だから、トリックやロジックのミステリコードで拘束されない限り、誰にも殺人者となる可能性があり、どんな物語も在り得る。あとは、その物語が各読者の趣味に合うか否かだけで・・(自分は否やね)
ところで「五匹の子豚」、真犯人は記憶にあるままだが、他のキャラ達、こんなだったっけ?・・読み返そかな


No.614 5点 悪魔のラビリンス
二階堂黎人
(2022/08/27 19:45登録)
二階堂蘭子シリーズ長編第六弾・・・といっても、一部と二部は別話で、実質中編が二作やね。
   第一部の死体入代り密室は、「入代り」の方なかなかだが、肝心の「密室」がズッコケて、3点満点で2点。
   第二部の父子無理心中密室の方は、模範的な完全密室で3点。・・で、全体合計で5点。
※ラビリンス2図の付録付き。 ※その「密室才能」認めるの全然やぶさかでないが、相変わらずガキが傷口見せびらかすみたいな露悪グロ描写好きな作家やねえ・・・そこがまたクサヤ風味いうかシュールストレミング風味いうか・・・


No.613 4点 フレンチ警部と紫色の鎌
F・W・クロフツ
(2022/08/26 18:11登録)
クロフツ第九作。映画館受付女の三連続殺人。これまた「赤毛組合」「技師の親指」風味・・思ったらネタまでまんま・・ そりゃあ、「製材所の秘密」同様、これも立派な違法行為だが、人殺しにつり合う程に価値ある「悪」だろか。


No.612 9点 人狼城の恐怖
二階堂黎人
(2022/08/23 22:25登録)
二階堂蘭子シリーズ第五弾。 「史上最長(ホントかいな)の本格ミステリ」らしい。
   ( 密室一室につき3点満点で加点。)
      首引きち切り密室に、3点。(これすげえ)
      首四肢切断密室に、3点。(これもいいな)
      甲冑殺人消失密室に、3点。(模範的ね)
      夫妻首切密室・生首消失密室(なんちゅう乱歩)は併せて2点・・計11点! ※文句なく「密室の帝王」 !(^^)!
が、密室作成の目的が言い訳がましく(それやりたかった、でいいじゃん)-1点、重ねて主犯設定と物語構造に-1点、
城構造=メイントリックには+2点、が、実行犯多すぎ-1点、探偵ヒロイン魅力薄く、それ以上にワトスンキャラうざ過ぎ-1点、で、総計9点。
 
※長さともかく、これ、おそらく本格ミステリ界のThe King of Kings・・・それほど好きにはなれんが・・


No.611 6点 悪霊の館
二階堂黎人
(2022/08/23 22:23登録)
二階堂蘭子シリーズ第四弾。これも洋風味だが伴天連風味なく、言わば「犬神家」本歌取り。あの外連味見立はないが。
   メインイベントの首無し密室に、3点満点で2点・・「完璧」な密室なのに、ネタがぁ(~_~;)
   セミファイナルの消失クローゼット密室には、1.5点、で、計3.5点。
そこに、双子首無殺人の二重入代りネタへ+1点。意外や清張風の地道捜査展開に+1点。
※すけきよ白マスク再現オマケ付き。


No.610 4点 海の秘密
F・W・クロフツ
(2022/08/22 19:54登録)
クロフツ第八作。海より釣り上られた木箱の中の顔無し死体。底無し沼の荒地に行方を消した二人の男との因果や如何に。切れ味にぶい二重入代りネタとせせこましいアリバイトリック付き。


No.609 7点 聖アウスラ修道院の惨劇
二階堂黎人
(2022/08/19 22:19登録)
二階堂蘭子シリーズ第三弾。前作の和風味から、本来のバタくさ洋食風味に戻る。採点ポイントは二つの密室。
    塔の密室version1に 2.5点
    塔の密室version2に 3点、で、計5.5点。
 そこに、前半1/3の清張風・・意外やね・・地道捜査ネタと、後半1/3の地下迷宮冒険譚に併せて1点加点。
 さらに、白人神父の首無し全裸逆さづり屍体「すけ-きよ(笑)」ネタに、0.5点加点で、合計7点。


No.608 5点 スターヴェルの悲劇
F・W・クロフツ
(2022/08/17 22:24登録)
クロフツ第七作。荒野の古屋敷に住む守銭奴富豪と使用人夫婦の焼死。当初の火災事故が強盗殺人事件に反転するが、容疑濃厚な人物は既にして焼死体・・・ 姿なき殺人者へ仕掛けられるフレンチのトラップが、なかなかにワクワク。ラストツイストも見事に決まる。


No.607 7点 吸血の家
二階堂黎人
(2022/08/16 20:36登録)
二階堂蘭子シリーズ第二弾。密室一つにつき3点満点で加点。
    雪の足跡密室に、2.5点
    納戸刺殺密室に、3点
    土の足跡密室に、0.5点 で、計6点。
そこに、横溝三津田風味・・作者にしては珍しく和風味・・のスカッと爽やかバージョン化が、のど越し良く1点加算で、7点。※久月=吸血、翡翠=血吸い・・うーん、なかなか・・


No.606 3点 フレンチ警部とチェインの謎
F・W・クロフツ
(2022/08/12 21:18登録)
クロフツ第六作。「赤毛組合」「技師の親指」風味に、ドイル十八番の海洋奇譚と「黄金虫」オマケも付いて、ミステリではないとは言えず、サスペンスとして面白くないこともない、が、ラストにかけて何のツイストもなく逆に驚いた・・・どんでん返しラスボスだろう、普通、「あの」キャラ・・・


No.605 5点 悪いうさぎ
若竹七海
(2022/08/04 19:30登録)
ディーヴァーの女刑事みたいなBeautyでなく・「脇汗が流れた・・臭かった」、桐野夏樹の女探偵ほどはBitterでない、冴えないアラサー日本女に、定番ハードボイルド探偵・ニヒりナルシス悪たれ不愛想男・を移植すると、かくもFunnyなキャラに仕上がるのね・「ギムレット・・」でなく「グレープフルーツは・・少し苦かった」 
女子高生行方不明譚が、奇矯なサスペンスに展開し、面白かったので点数おまけ付き。


No.604 3点 フレンチ警部最大の事件
F・W・クロフツ
(2022/07/30 15:57登録)
クロフツ第五作。宝石強盗殺人事件を追うフレンチ。あらゆる目撃証言のウラを取り、僅かな可能性の欠片も捨てず、英本国のみならず仏蘭スイスからスペインポルトガルにまで東奔西走する探偵警官。犯人Who=幻の女を求めて展開に、チョットした消失(て程でもないが)トリックと、暗号解読オマケ付き。

943中の書評を表示しています 321 - 340