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ミステリの祭典

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過去を失くした女
フランク・クレモンズ

作家 トマス・H・クック
出版日1991年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 レッドキング
(2022/09/12 19:41登録)
フランクシリーズ第二弾。ニューヨークのしがない私立探偵に転身した元南部やさぐれ刑事。請け負った依頼は、殺害されたファッション業界老嬢の遺族捜し。極貧の移民ユダヤ少女が、縫製女工から労働運動の女神となり、謎の二十年の歳月の後に、手首切断惨殺死体に変じるまでの轍。世界恐慌30年代の苛烈な米国労働争議。縫製工場の娘達の過酷な労働環境が、わが「女工哀史」「あゝ野麦峠」に微妙に重なり、物語は、清張・「火車」・「白夜行」にホンワリかすり・・

No.1 5点 ROM大臣
(2022/08/26 12:20登録)
有名デザイナーのイマリア・コヴァロの右腕として働いてきたハンナ・カールスバーグの死体が、顔をめった切りにされ、腕が切断され持ち去られた状態で発見された。カレンの友人イマリアは、ハンナの遺族探しをフランクに依頼する。
作者は一貫として、人の心に潜むミステリを追及している。本作でもフランクの目を通して、ハンナの人生を深く見据えている。真実を描くためには、妥協を許さない厳しい姿勢を感じるが、反対にフランクの眼差しは、あくまで優しく静かで透明である。それは強い信念から生まれた悟りに近いもののように思える。

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