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ミステリの祭典

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YMYさんの登録情報
平均点:5.94点 書評数:402件

プロフィール| 書評

No.202 6点 その犬の歩むところ
ボストン・テラン
(2022/05/03 23:43登録)
人間の善意と愛を最もよく理解する犬が、様々な人々の魂を生き返らせる物語。
孤独の闇の中にいて気付かずにいた他者の思いに触れ、忘れていた夢・新たな夢を抱かせてくれる。犬と"悲しみとさよならの川"を遡りながらも、それでも生きる喜びがあることをたっぷりと教えてくれる。
相変わらず作者の文章は詩的で力強く、読む者の心を何度も揺さぶる。


No.201 7点 ゴーストマン 時限紙幣
ロジャー・ホッブズ
(2022/05/03 23:37登録)
48時間後に爆発する「時限紙幣」を犯罪の後始末のプロが追跡する犯罪小説。
過去と現在を並行させる巧みな展開、迫力に満ちた銃撃戦、緻密な強奪計画と実行と申し分ない。複数の陰謀が絡み合い、沸点を目指していく興趣も抜群。
スタイリッシュでクールすぎるのが鼻につくが。


No.200 5点 病める狐
ミネット・ウォルターズ
(2022/04/19 22:31登録)
気ままな移動生活を営み、行く先々でトラブルを起こすトラベラーを扱っている点で、社会派の視点を持つ作品だが、老婦人の死の謎を解き明かす謎解きの興味もある。
物語に明るい陽射しを投げかけるヒロインと、電話魔の陰湿な手口の好対照が印象的な作品。


No.199 6点 血と暴力の国
コーマック・マッカーシー
(2022/04/19 22:26登録)
殺し屋の冷たい存在感と、全篇を覆う異様に乾いた空気。
絶対悪として描かれる殺し屋の行動は、事件に関わった全員を絶望の淵へと追い込んでいく。ピューリッツァー賞作家による犯罪小説の極北。


No.198 7点 狂人の部屋
ポール・アルテ
(2022/04/04 22:39登録)
あり得ない謎を理詰めで解き明かす作者の手腕が存分に発揮されている。お馴染みの探偵役ツイスト博士がハースト警部を伴って登場するタイミングも絶妙。
ポーラとその男友達パトリックのエピソードも本作の大事な要素で、ロマンス小説として読んでも、辛口の面白さがある。


No.197 7点 復讐はお好き?
カール・ハイアセン
(2022/04/04 22:34登録)
例によって、風変わりな善人、憎めない悪人がかわるがわるに登場し、沸かせてくれる。主人公のろくでもない、夫にしっぺ返しを食らわせるお話がメインだが、ペットのニシキヘビに逃げられた刑事や、ホスピスで出会った老嬢にほだされていく悪漢など、思わずニンマリするエピソードが満載。


No.196 9点 リオノーラの肖像
ロバート・ゴダード
(2022/03/18 23:17登録)
幾つもの謎が絡み合い、身代わりや叙述トリックなど巧緻な仕掛けも満載。加えて逃亡兵の汚名を着せられた父親の哀しみが全編を貫き、第一次大戦を背景にした戦争文学としても優れている。


No.195 7点 ふりだしに戻る
ジャック・フィニイ
(2022/03/18 23:14登録)
過去の事物を現実に再現し、過去にいると思い込むことによって時を超えるという浪漫的な設定に加え、執拗なまでに綿密な十九世紀の描写。ミステリ的な仕掛けなど読みどころに事欠かない作品。


No.194 5点 ハティの最期の舞台
ミンディア・メヒア
(2022/03/03 23:26登録)
「マクベス」の夫人役を演じた女子高生が殺され、それを追求するミステリ。
女子高生、教師、保安官の視点から事件の核心へと向かう。過去と現在を自在に往復して、女子生徒の多面的な性格と犯した罪の重さが静かにあぶり出されていく。
欲望と自らの裏切りという「マクベス」の主題を重ねた精緻なドラマ。


No.193 5点 夏の沈黙
ルネ・ナイト
(2022/03/03 23:22登録)
ミステリの形をした家族ドラマで、愛と哀しみと許しを巡るサスペンス。
二転三転させ、終盤でも驚きを与え、最後の止めの一行で物語の深さと豊かさを示す。複雑で厳しく冷然たる作品。


No.192 5点 ママは眠りを殺す
ジェームズ・ヤッフェ
(2022/02/18 22:11登録)
本格推理小説としてみた場合、ロジックを基調とした古典的な構成をとってはいるのだが、そのロジックが薄いために説得力が弱く、解決編でもさほどのカタルシスは得られない。論理性重視という姿勢は大いに評価したいところなので、かえって残念に思える。


No.191 8点 死の扉
レオ・ブルース
(2022/02/18 22:08登録)
探偵コンビの掛け合い、漫才めいた謎解きがひたすら愉快。人の生き死にをパズルとして扱ってしまえるミステリならではの不謹慎な楽しみに満ちている。
丁寧な伏線や真相の意外性も好印象。


No.190 7点 チェスナットマン
セーアン・スヴァイストロプ
(2022/02/03 23:05登録)
犯行現場に栗の実でできた小さな人形を残す連続殺人犯と、その犯行を食い止めようとする刑事たちの苦闘を描いている。
対照的な二人の刑事の個性と、目まぐるしい展開で二転三転し、長大な物語を一気に読ませる。不穏なラストも印象的で、謎解きの面白さもある。
作者は人気テレビドラマの制作者。小説は本書が初めてだが、その手腕を生かして、陰鬱にして複雑な魅力に富んだ物語を作り上げている。


No.189 6点 ベイジルの戦争
スティーヴン・ハンター
(2022/02/03 23:00登録)
第二次大戦を背景に、ドイツ占領下のパリに潜入する英国のスパイ・ベイジルの冒険を描いている。
潜入作戦そのものと、事前の「ブリーフィング」が交互に描かれ、ベイジルの冒険と奇想天外な作戦の全貌が徐々に明かされる構成がユニーク。謎に満ちたスリリングな冒険に、実在した人物を巧みに絡めた軽妙なスパイスリラー。短いながらも鮮烈な印象を残す。


No.188 6点 沼地の記憶
トマス・H・クック
(2022/01/17 22:45登録)
苛めを受けていたひとりの目立たない教え子の中に、才能の片鱗を見出した高校教師の物語。少年の力を引き出そうと殺人事件の調査を手伝わせるが、彼の思惑は思わぬ形で裏切られていく。幕切れ間近の鮮やかな反転は、読者をまたもや悲痛な思いへと突き落とす。


No.187 5点 割れたひづめ
ヘレン・マクロイ
(2022/01/17 22:41登録)
吹雪の山荘もので、過去に不自然な怪死事件が何度もあった部屋が出てきて、そこで密室犯罪が起きる。交霊術もあって、道具立てとしては古色蒼然たるものだが、かなりモダンに処理している。
導入部と最後の吹雪の追跡劇は読ませるが、密室トリックは大したことないし、ビックリするような結末でもない。


No.186 7点 狼たちの城
アレックス・ベール
(2021/12/31 23:20登録)
特別な訓練を受けたわけでもないユダヤ人が、ゲシュタポ捜査官になりすまし、親衛隊の拠点で捜査に臨む。これだけでも緊張に満ちた展開だ。そこにレジスタンスの思惑が絡み、さらに本物のヴァイスマンと彼を知る者も登場し、イザークにとっては極めて危険な場面が連続する。
殺人事件の謎だけでなく、イザークに迫る危機が強いサスペンスをもたらす。巧妙な舞台設定で一気に読ませる力作。


No.185 5点 誘拐の日
チョン・ヘヨン
(2021/12/31 23:15登録)
娘の手術代のため、ミョンジュンは誘拐に手を染める。だが、標的の少女はアクシデントで記憶喪失に。とっさに父を名乗って連れてきたが、口の立つ少女に振り回される。一方、少女の両親の死体が発見され、彼は殺人の容疑者に。
社会のゆがみを背景にしながらも、お人好しの誘拐犯をはじめとする人物描写のおかげで、ユーモラスで温かい作品に仕上がっている。


No.184 5点 リトル・グリーンメン
クリストファー・バックリー
(2021/12/31 23:09登録)
人気テレビ司会者のバニオンは、エイリアンに拉致される体験を経て、すっかりUFO信奉者に。だが、それは自らの不遇にいら立った秘密機関の職員が、勝手に進めた工作によるものだった。
政治家からUFO信奉者まで、多彩な人々を皮肉たっぷりに描き出す。一職員の暴走が招いた騒動を、脱線も交えて愉快に語る作品。


No.183 8点 推定無罪
スコット・トゥロー
(2021/12/17 23:34登録)
法廷を舞台にした小説はこれまで、いくらでもあったがこれほどディテールを精密に描いた作品はなかったのではないか。また法曹界の制度の中で絡み合う人間たちの関係を生々しく活写した点でも、やはり先行する作品とは一線を画していただろう。
周到に張られた伏線が生み出す驚愕の、そして皮肉に満ちたどんでん返しには圧倒された。

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