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ミステリの祭典

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夏の沈黙

作家 ルネ・ナイト
出版日2015年05月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 6点 ◇・・
(2023/12/20 19:23登録)
買った覚えのない本がヒロインの自宅にあり、そこにはヒロイン自身のことが書かれていたと、冒頭から不気味さが演出される。続く老人のパートも静かだが、実に不穏な空気感である。
以降、物語に緊張感を上げていくのだが、心憎いのは本に書かれていた内容や、老人の目的、そして過去に何が起きたかが、徐々にしか明らかにされない点だ。具体性がまだない序盤で、雰囲気だけで読者の心をつかみ、具体性を高める興味を持続させ、終盤に至って見事な逆転。キャラクターの心理も深いところまで抉り込んでいる。

No.3 6点 八二一
(2023/06/24 20:16登録)
秘密にしておきたいある夏の出来事。それが何者かの手によって、20年の沈黙を破り、静かに動き出す。出来事の断片は寄せ集められ、一つのものが仕立て上げられる。
決して気持ちがいいとは言えないその物語は、最も知られたくない最愛の家族の元に本という形で届けられる。最後まで沈黙を貫いたのは誰なのか。ラストにやるせなさと希望の光が押し寄せる。

No.2 5点 YMY
(2022/03/03 23:22登録)
ミステリの形をした家族ドラマで、愛と哀しみと許しを巡るサスペンス。
二転三転させ、終盤でも驚きを与え、最後の止めの一行で物語の深さと豊かさを示す。複雑で厳しく冷然たる作品。

No.1 6点 猫サーカス
(2017/08/21 21:38登録)
一冊の本に平穏な日々を脅かされる女性の物語。彼女は自宅で手にとった本を読むうちに、記されているのが自分の過去だと気付く。忌まわしい秘密が暴かれたショックが彼女を襲う。誰が何のためにこの本を作ったのか?印象深い幕開けに続いて、彼女の過去をめぐるサスペンスが繰り広げられる。悪意に翻弄されるヒロインの怯えを、巧みな構成で描き出している。

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