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ミステリの祭典

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ねここねこ男爵さんの登録情報
平均点:5.65点 書評数:172件

プロフィール| 書評

No.52 6点 我が家の問題
奥田英朗
(2017/10/29 05:25登録)
「家日和」二作目、という位置付けですが、家日和がのほほんとしていたのに対して、本作はタイトル通りリアルな問題を抱えた人々の渋めの話がやや多め。
個人的には家日和の方が好きですが、本作も十分面白いです。
この作者は本当に人間を書くのが上手いですね。


No.51 4点 オリンピックの身代金
奥田英朗
(2017/10/29 05:20登録)
当時の社会情勢や人物描写は面白い。が、お話がイマイチ魅力的でない。
この作者はあちこちで公言している通り、最後まで組み立ててから書き始めるのではなく書きながら次の展開を考える人で、本作はそれが悪い方に出ているというか…次にどうなるかが予想の範囲内におさまってしまいがち。後半から隠れ家バレる⇒逃げるの繰り返しになる。
エリートが薬と女によって堕落していくのを眺める物語、かな。
やはり奥田英朗氏はユーモアとエッセイの人かと。


No.50 9点 九マイルは遠すぎる
ハリイ・ケメルマン
(2017/10/29 04:57登録)
表題作がその執筆の経緯を含めて(悪い意味で)有名になりすぎてしまったが、正直出来はあんまり良くない。要はコンセプトモデルです。
表題作以外の作品がとても素晴らしい。古今東西ロジックもの短編集のベストかと。
個人的には「時計を二つ持つ男」「エンドプレイ」「わらの男」かな…「おしゃべり湯沸かし」のシンプルさも捨てがたい。

『ロジックよりトリック』『どんでん返し!意外な犯人!衝撃の真実!』な人は読んではいけません。


No.49 8点 暗い傾斜
笹沢左保
(2017/10/29 04:49登録)
サスペンスですかね。
笹沢左保氏はアリバイトリックの名手で、そのオリジナリティとバリエーションの豊富さ、トリックに説得力を持たせる筆力は群を抜いています。本作のメイントリックを自分は知っていて読んだんですが、それでも楽しめました。
作中の雰囲気も独特で良いです。


No.48 3点 偽のデュー警部
ピーター・ラヴゼイ
(2017/10/29 04:24登録)
あ〜、これユーモア小説だったのか。
何かの書評でやたら評価が高かったので読んでみましたが、個人的にイマイチでした。前半があまりにも退屈で…


No.47 3点 ホッグ連続殺人
ウィリアム・L・デアンドリア
(2017/10/29 04:21登録)
昔、書店のポップで絶賛されていたので読んでみた作品。

かなり早い段階でネタバレすることを置いても(こんな殺し方できるの?って最初に思う人多数じゃなかろうか)、小説としてイマイチ面白くない。要はワンアイデアものなので、どうにかして短編にした方がマシだったんでは。
人は何故ストーブの前で凍死するか?の部分は良かったです。日本人には絶対分からないかと。


No.46 9点 幻の女
ウィリアム・アイリッシュ
(2017/10/29 04:11登録)
サスペンスの大傑作。

魅力的な謎と設定、圧倒的読みやすさ、適度なミステリ要素、ロジカルな解決、どんでん返し。
導入を読むだけでワクワクし、それを裏切らない内容。
ほーんのちょっとだけ苦しさを感じる部分があるので満点にはしませんが、初読時は気にならないでしょう。

原文と翻訳が良くできていることもあって文章に古さを感じません。読まないと損です。


No.45 2点 九つの殺人メルヘン
鯨統一郎
(2017/10/27 16:06登録)
もったいないなぁ、という印象。
童話の新解釈と事件を結びつけて解決するという安楽椅子探偵もの。設定はいいんですが、

①9作のクオリティがバラバラで、良いものとまるでダメなものがある
死体を認識できない脳障害、とかいきなり解決編でぶっこんでくる。ドヤ顔の探偵役の頭を疑いたくなる。商業的に『アリバイ講義に一対一に対応させる』ことを優先したため全体が雑。
②人物の性格付け、作品への活かし方が壊滅的にダメ
主役?の刑事、探偵役の女性、バーのマスター、犯罪心理学者の四人ですが、マスターか学者は不要(と言うか有害)。事件について語ってるときに茶々入れ脱線させる役割なのですが、それがつまらないどころか苦痛。事件内容3行→茶々10行の繰り返しで話が進まず、事件の概要や関係者を把握するだけで多大なストレス。もう全然ダメ。「型破りのキャラっていいでしょ?面白さ全開でしょ?」いやいや売れない芸人並に滑ってます。

つまりミステリとしても娯楽小説としても今二つで、この作者ってこんなだったかなぁ…と悲しくなりました。『邪馬台国はどこですか?』のキャラ配置はうまくいっていたと思うので、藤子不二雄氏みたく配置は全作品全く同じでよいのでは。


No.44 8点 さよならドビュッシー
中山七里
(2017/10/25 20:56登録)
すご〜く採点しづらい。もし本格ミステリ読むぜ!という前提で読んだら5点くらいだったかも。書評って読者の心持、予備知識などに大きく影響されるケースがあるという事を再確認させられた本作。

恥ずかしながら全く予備知識無しで読んだので(映像化されていたことすら知らなかった)、思いがけず結構驚いた。
ミステリ要素と同様に音楽パート部分にも賛否あるみたいですが、ワタクシはものすごく惹き込まれたクチ。演奏時の、おそらく字数のリズムすら考慮された文章にシビレたぜ。最後の演奏は泣きそうになったのは恥ずかしいが。

ミステリ部分の批判はもっとも。ただ、伏線は非常に上手いものと失敗しているもの、フェアなものとアンフェアなものがあり、読者によってはマイナスが目立つが、よく出来ている部分も評価してほしいなぁと。某アマゾンでも賛否入り混じりですが否の中に全く仕掛けを理解していない的外れなものが多いので。

繰り返しますがミステリとしての採点ではありませんのでご容赦を。


No.43 7点 三毛猫ホームズの推理
赤川次郎
(2017/10/24 15:09登録)
赤川次郎氏も最初期にはこういう本格ミステリを書いてました。さすがの読みやすさでストレスなし。
密室は賛否あるでしょうが、個人的にはバカミスのギリギリ手前で踏みとどまってると思います。多分、『密室講義』に当てはまらない新しいトリックを生み出そうとした結果なんでしょう。
サービス精神旺盛で、数々の伏線が最後に怒涛の回収をみせますが、もうちょっと落ち着いても良かったかな(ページの都合?)というのと、妹さんのエピソードは正直いらんかったのでは。無くても十分話成立しますし。この人って年齢関係なく必ずこのネタ入れてきますね…
今読んでも古さを感じさせない名作。


No.42 10点 双頭の悪魔
有栖川有栖
(2017/10/24 14:58登録)
トリックでなくロジックであるこの作者の最高レベルの傑作。3つある読者への挑戦がタイトルへとつながっていくのはお見事。『孤島パズル』と並んでこのタイプのミステリでは国内最高峰でしょう。この作者はとにかく文章が上手いですね。
個人的に江神さん以外の推理研メンバーが活躍するのも好きです。

「ロジックよりトリック」「どんでん返し!意外な犯人!衝撃の真実!」な人には全くオススメできません。


No.41 9点 法月綸太郎の功績
法月綸太郎
(2017/10/20 23:02登録)
この人の短編集は恐ろしい切れ味を誇りますね。
「都市伝説パズル」をはじめとして必読短編多し。


No.40 3点 海のある奈良に死す
有栖川有栖
(2017/10/20 22:55登録)
この作者一の駄作かと。
文章の上手さでそれなりに読めますが、「え?これ!?」感満載。


No.39 8点 エジプト十字架の秘密
エラリイ・クイーン
(2017/10/20 22:40登録)
舞台をあちこちに移動させる意味がないような気がする。最後のチェイスを書きたかったのかな?それにしてはうまく行っている気がしないが…

犯人特定のロジックは恐ろしくなるほど素晴らしい。故にあちこちでパクられにパクられまくっている。読んで損なしだが、やはりクイーンはある程度クローズドな舞台でこそ本領を発揮するのだと思う。


No.38 6点 二の悲劇
法月綸太郎
(2017/10/20 22:29登録)
色々な意味で読みにくい。
日記や地の文がミステリの構成要素としての伏線や布石でなく、作者の苦悩や想いをこめることに使われていてとにかく量がある。
それに共感するか冗長な成分として切り捨てるかが評価に影響しそうな。

個人的にすべて妄想の方がよかったかも。タイトルに絡む部分は都合が良すぎると感じてしまいます。せめて事前に匂わせてくれれば…


No.37 5点 イニシエーションラブ
乾くるみ
(2017/10/20 04:52登録)
これを読む時にどういう仕掛けがしてあるか全く知らないまま読む方もいないでしょう…と言うか、それを事前に知らないと最後のアレまで読書欲が持続しないような。
つまり、どんでん返しがあると知っていて最後に驚くために情報収集しながら読むというある意味矛盾した読み方になりましょう。(あえてそうしてるんでしょうが)ソレがなければ特に起伏のない淡々とした文章ですから先が気になって仕方がねぇ、ともなりませんし。
仕掛けはほんとに良く出来てますが、それを味わえる状況の読者がどれくらいいるか。


No.36 8点 三つの棺
ジョン・ディクスン・カー
(2017/10/19 12:37登録)
とてつもなく魅力的な謎の設定と、それに曲がりなりにも解決を与えたので。密室講義なんて飾りです。


No.35 9点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2017/10/19 12:27登録)
シンプルかつ効果的な心理トリック。前例もあるようですが、世に知らしめたのはこの作品ではなかろうか。

あとタイトルも何気によいと思う。


No.34 3点 封印再度
森博嗣
(2017/10/19 00:53登録)
この作者の本を本格/新本格にカテゴライズするのまずくないですかね?
完全にミステリ風ラノベ(ラノベを貶してるんじゃないです)。キャラ萌えな方以外は読むとストレス。
困ったときの自然現象と目撃者は子供で解けない謎の出来上がりです。この作者の悪癖である『トリックの強引さを誤魔化すため伏線と称して作中延々と言い訳をする』がまたも炸裂します。あと有名古典からパクりすぎです。
最後のクライマックスというかページ稼ぎのためでしょうが、記憶喪失が都合良すぎます。交通事故の真相はすぐに見当がつくのでそれ以外に記憶を無くさせる意味がないです。
あと、この作者の本には必ず「UNIXにtelnetでログインしメールを読む」という描写が入るのですが、それ以外に何にもしない。メールも本筋にほぼ関係ない。つまり単に言いたいだけ。作者はおっさんですから、「ボクねアイホーンにしてアプリいれたの見てみてアプリアプリ」と嬉しそうに言ってウザがられるタイプなんでしょう。

関係ないですが、2、3点つけてる方が結構いるのになんで平均高いんだろ?と思ったら高得点者でレビューがこれ一冊のみって方がちょこちょこいらっしゃるのがちと気になります。


No.33 3点 詩的私的ジャック
森博嗣
(2017/10/17 22:13登録)
読むのが苦痛レベル。
名声があればあっちこっちから切り貼りすれば売れるってわけじゃねぇ。
この作者のタイトルはいちいち臭いが、本作は特にそれ言いたかっただけやろって。

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