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ミステリの祭典

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了然和尚さんの登録情報
平均点:5.53点 書評数:116件

プロフィール| 書評

No.36 5点 森を抜ける道
コリン・デクスター
(2015/05/26 17:16登録)
すでに過去に使ったような手品でしたので、途中でネタはばれました。もっとも、作者の複雑な文章や展開は、ある程度推測ができていないと読みにくいので、マイナス点ではないですね。好みでマイナス1点しましたが、それは、あまりに無意味な死(自然史、事故死、自殺)が多いと感じたからです。それにしても、デクスターの登場人物は皆さんよく飲みますよね。


No.35 6点 消えた装身具
コリン・デクスター
(2015/05/24 19:18登録)
モース警部もの9冊目ですが、1、2作目よりは落ちますが、3〜8作目よりは良かったような気がします。バスツアーの座席順まで仕込みがあって、本格度も高いです。何か名取裕子が出てくるテレビの2時間ミステリーを思わす内容、展開で理解はしやすかったのですが、陳腐な感じでした。原題は事件の解決にも登場する重要なワードなので、「消えた装身具」という題はどうなんでしょうかね。


No.34 5点 影の地帯
松本清張
(2015/05/22 12:37登録)
いつものようなパターンで楽しく読めたのですが、なんか少し他の力作より落ちるような気がしました。地方が舞台であっても作者の特徴である旅情感が無かったかと思います。


No.33 9点 猫と鼠の殺人
ジョン・ディクスン・カー
(2015/05/21 13:18登録)
この作品はカーが好きかどうかで評価がはっきり分かれるでしょうね。物語の出だしから犯人は判事以外にあり得ないわけで、別人なら作品として成り立たないでしょうね。一旦、別の容疑者に振って、やっぱり戻ってくるあたりは予想どおりなのですが、最後に予想外の事態が発生! 普通、自殺していただきますよね。(ま、平凡ですが)自殺により結末をつけることさえ許されず。。。これは犯人が人を裁く司法の頂点であるゆえに、最高の結末ですよね。カーの超法規決着が極まりました。トリックはまあ、ゾンビはいただけませんが、犯人が何もせず、被害者がわざわざ不可能状況を作るというのは好きなネタです。


No.32 6点 連続殺人事件
ジョン・ディクスン・カー
(2015/05/20 18:19登録)
全体的には物足らない気がしますが、カーの好きな人は、らしい作品なので+1点という感じです。他殺に見せかけた自殺というテーマであれば、方法や結果が混乱した感じですが、続く2つの自殺(にみえる)事件で、原題どおり連続自殺事件が説得力のあるドラマになっています。結末もカーらしい超法規が出てきて、うまくまとまってました。


No.31 5点 不連続殺人事件
坂口安吾
(2015/05/19 16:26登録)
30年ぶりぐらいの再読です。登場人物が多く文章は翻訳物より読みにくいですね。同時期に本陣や獄門島が書かれているわけですから、作者の趣向なんでしょう。100ページぐらいで理解も限界に達しそうなときに、屋敷見取り図が部屋割り付きで出てきて(この人名一覧の方が役に立つのだが)助かりました。特に問題ないと思うので、この図表を最初にもってきたほうが親切ですね。内容は、まあまあといった感じですが、前に読んだときから、犯人は推測可能で、30年覚えていられるほど本格の王道でしたね。ただ、最後の事件の前に神山弁護士がほとんど真相に到達している点は、再読してみると不思議な展開でした。


No.30 6点 書斎の死体
アガサ・クリスティー
(2015/05/17 11:18登録)
動機、トリックなどよくある感じですが、まとまっていて楽しめました。マープル物の特徴として、マープル自身の周りの体験談から推理しますが、外国人の名前が予告なくたくさん出てくるので馴染みにくいです。短編の場合はリズムがあっていいのですが、長編の場合、度々出てくるとつらいです。退役大佐(書斎の持ち主)に悪評が立ち、冤罪話のようになった部分は、本線以外の膨らましで、結構面白かったのですが、大団円でこの件のフォローがなかったようなので残念でした。


No.29 6点 死者のあやまち
アガサ・クリスティー
(2015/05/14 20:19登録)
本作でファリアット夫人(母親)は、息子の3件の犯罪に対して共犯と言えないまでも、事後従犯ということでしょうか? 自分の保護しているものを殺されて1年余も平然と茶番に付き合えるものなんでしょうか? これがイングランドの話なので、母国の読み手がどう感じるか(しかも70年ぐらい前)わからないので、共感とかしにくいですね。 最終的には、ポアロはこの夫人を追い詰めるだけなので、この心情は重要です。まったく同じ話でも、岡山の山村の大地主を舞台に変えてみれば、プラス2点ものの感動作品(もちろん探偵は金田一)なんですが。


No.28 5点 そして誰かいなくなった
夏樹静子
(2015/05/12 12:56登録)
楽しめたポイントとして「クリスティーのあれやな」と思える部分が大きいので、やっぱり本家(タイトル作品以外も)を読んだ後に読むべきでしょうね。本サイトのクリスティー作品の1から3位を意識してるわけですが、船物として4位の「ナイル」も入っているかな。そうくれば、5位のABCも動機面で匂わせて欲しかったですね、結末は好みの世界なので、私的には−1点です。彼女ははっきり殺害されたほうが私好みの結末でした。(より急行列車っぽいので)


No.27 6点 九人と死で十人だ
カーター・ディクスン
(2015/05/11 23:36登録)
本作の良い点、悪い点は他の方が書かれている通りと同感します。それで、本作の指紋トリックについてですが、本当に可能か入浴前に実験してみました。シャチハタでまず、普通に指紋をスタンプした後、さらに強くスタンプ台に押し付けて、ティッシュで軽く拭いた後押してみましたが、ぼやけただけで、別指紋は無理でした。そもそも、個人差かもしれませんが、溝がそんなに深くないので、溝だけで形をとるのは無理です。また、よく考えてみたら、ネガポジ関係と違い、山と谷なので、似たような模様になりそうな気がしますが。


No.26 6点 ヒッコリー・ロードの殺人
アガサ・クリスティー
(2015/05/09 15:21登録)
最初に提起される謎が短編的内容で、トリックも少なく全体に小粒ですが、楽しめました。複数犯人で組織犯罪っぽいところは少し残念です。黄金期の本格を読むと度々思うことですが、70年ぐらい前でも、世相的な物は変化してないなと感心します。(古臭く感じない)本作の犯人の青年のどうしょうもない感は、宮部みゆきの作品の犯人を思い出させたりしますね。
ところで、本作の興味深い小ネタとして、ミス・レモンの事件簿クロスリファレンスはその後完成したのでしょうか? 私も乱歩に習いトリック分類などやってみたいのですが、システム名は「レモンシステム」と命名したいです。


No.25 7点 二つの密室
F・W・クロフツ
(2015/05/07 17:39登録)
他の方のご指摘のように、クロフツっぽくない作品で、クリスティー的かと思います。
前半は叙述物のような展開で、犯人は推測できます。あと100ページ余りというところで、とんでもなく都合の良い証言が後出しで飛び出して、真犯人と作者の真の意図が推測できます。本作はトリックがしょぼいので、評価が低いようですが、構成としてはかなり楽しめると思います。フレンチがいちおう前半の主役の家政婦も疑うあたりは、作者の創作意欲を感じます。アクロイド的展開もいちおう考えてみた名残かと思います。


No.24 5点 英仏海峡の謎
F・W・クロフツ
(2015/05/04 13:11登録)
今までに何冊か読んだクロフツのパターンそのままで、ちょっとスケールが小さい気がするので−1点です。クロフツのパターンは、(1)最初の方に登場したアリバイのある人物が、実はアリバイ工作していた (2)消去法で有力な容疑者を追いかけるが、捕まえてみると無実だった (3)真犯人をおびき出して逮捕しようとするが乱戦(活劇展開)になるって感じです。 ま、このパターンはわかっていても、ちゃんと考える余地があり、飽きずに読み進められるところはクロフツの偉大なところでしょう。
本作のトリックはイマイチな感じですが、船舶知識がないので、最初に計画されたヨットの失踪トリックを含めて実感が薄いところが残念です。当時のイギリスの読者はこのへんがピンとくるほど皆さん船舶知識があったんでしょうね。


No.23 7点 葬儀を終えて
アガサ・クリスティー
(2015/04/29 12:43登録)
10年ぐらい前に、ドラマ「名探偵ポワロ」で本作が放送されたので、見る前に読んだ時以来の再読でしたが、犯人や絵に絡むその動機は覚えていたのですが、なぜかメインの入れ替わりトリックはすっかり忘れていて、それなりに楽しめました。富豪殺人疑惑にかかわるすべての人物や事象がカモフラージュの捨て駒とは、相変わらず大胆な構成で、手抜き感がまったくありません。


No.22 4点 かくして殺人へ
カーター・ディクスン
(2015/04/25 18:16登録)
最初に動機なく狙われる事件が続けば、真の目的は別の殺人というのはパターンすぎます。但し、真のターゲットはちょっとひねってます。それでも、全体に平凡でした。本格の手がかりもカーにしては不明確でした。メイントリックの吸いかけタバコの取り換えは面白くはあるが、詰めが不足しているように感じます。口紅ついてないか?とか、毒タバコにどうやって火をつけて長さを調整したかとか。どっかのテレビサスペンスでパクリが出そうな面白い着想ですが。


No.21 5点 マギンティ夫人は死んだ
アガサ・クリスティー
(2015/04/23 13:15登録)
全体的にはまとまった本格ものだと思うのですが、焦点がぼやけている感じで、印象が薄いです。犯人の必然性や手がかりは、もうひとつスッキリしませんでした。容疑者のほとんどが、なんらかの暗部を持っているというオチですが、その場合、結論が不確かになってます。


No.20 6点 伯母殺人事件
リチャード・ハル
(2015/04/18 11:44登録)
一人称でニート青年の妄想的殺人計画となると、ライトノベルのような感じでした。(ライトノベルは読んだことないのですが)これが1935年の作品というのがすごいですね。翻訳1960年というのも古臭くない。オールドものらしく、本格的手がかりは少なからず混ぜられています。ユーモアを含んだ奇妙な味作品として佳作だと思います。


No.19 8点 満潮に乗って
アガサ・クリスティー
(2015/04/17 14:24登録)
クリスティーらしく前半はゆっくり各人視点で進み、真ん中ぐらいで殺人が発生し、ポアロ再登場です。その後、終わりに近づくにほど、話の展開が加速し、意外な結末が一気に明かされます。この素晴らしいリスムの推理小説は交響曲を思わせて感動します。
トリックや真相については手がかりはよく示されていて本格ですが、犯人の決め手は不十分と思うのですが、それを感じさせない傑作ですね。
本作でのクリスティーの談義は、戦争(あるいは戦後)談義でした。(あの爆弾が落ちなければこの事件は。。。)第二次世界大戦後の高揚感の中で冷静に戦争の影響を語っています。そういえば、横溝先生の作品も戦後感がベースにあったなあとか思います。


No.18 3点 ホロー荘の殺人
アガサ・クリスティー
(2015/04/15 13:58登録)
ミステリーとしては3点。ミステリー要素を抜いた評価ではさらにマイナス1点。私には合わなかったのかな。


No.17 7点 夢遊病者の姪
E・S・ガードナー
(2015/04/09 19:47登録)
たいへんすっきり仕上がっていて、秀作だと思います。メイスン物は1作目から順番に読んできましたが、ベストかも。本作では法廷が重要な舞台で(意外とこれまでは、法廷シーンは少ない)、得意の寝技も封じられたりします。夢遊病者の姪が機会と動機が十分で、怪しすぎるのですが、ひと捻りあります。しかし、結末の文章があっさりすぎて、その分、よくできてるなと思うわりに読後の印象が薄いですね。

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