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ミステリの祭典

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斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1305件

プロフィール| 書評

No.85 9点 異邦の騎士
島田荘司
(2015/06/04 15:28登録)
長い長い恋愛ストーリーは最後に熱い友情物語の裏打ちとなり、また自らの輝きを留めました。でもやっぱりこれは、ひどくトリッキーでスリルに満ちた本格推理小説。 ある「ゼロ時間へ」向かって進んで行く救済と出逢いの物語でもありますね。。


No.84 6点 蠟人形館の殺人
ジョン・ディクスン・カー
(2015/06/04 13:15登録)
雰囲気勝負でしたね。真犯人も真相もなんだかすっかり忘れてしまいましたが、忘れえぬ妖しいロケーション(暗闇社交場)。。。 それだけで1点半アップ。


No.83 7点 変身
東野圭吾
(2015/06/04 12:41登録)
話の展開に「そう来るか!」的な意外性は薄い。 が、予感した通りに進んで行ってもサスペンスは強烈で全く飽きさせない。このへんは(わざと次々に予感させるのが得意な)松本清張の長編に通じるかも。
「宿命」の続編的イメージで読んでみましたが、同じく先端医学をテーマにしても全く別種のストーリー。しかし何かしら繋がっていますよね。


No.82 9点 消えたタンカー
西村京太郎
(2015/06/04 12:15登録)
京太郎さんが鉄路へ行く前、海洋期の雄大なる傑作。
世界の海を相手にする、手に汗握る冒険性が魅力ですが、そこに本格推理興味溢れるスケール大きな謎解きがガッツリ組まれているのだから尚更堪りません。
タンカーを消したトリックは。。物理的とも心理的とも割り切れない(海の広さあってこその部分もあるから、物理的要素も多少認められるのではないか)、盲点を突いた、そしたまた雄大なもの。唸らせます。


No.81 6点 破戒法廷
ギ・デ・カール
(2015/06/03 12:29登録)
粗野な三重苦の青年が、客船で起きた殺人容疑で起訴されます。彼は死刑を望んでおり、弁護を拒否します。仕事が回って来たのは半分隠居の老弁護士。その設定に惹かれ若気の至りで読みました。
詳細の記憶は朦朧としておりますが、キリスト教に基づいたスピリチュアルな癒しの物語だった事と、生まれつき盲目の青年がとある女性の導きで「色」(赤とか青とか黄色とか)とはそれぞれどんなものかを理解するというくだり、そこが印象的でよく憶えております。
推理小説的に仰天するような終わり方はしません。 穏やかに安らかに、救いをもって幕をおろします。
作者唯一のミステリ範疇作品だそうです。


No.80 5点 偽のデュー警部
ピーター・ラヴゼイ
(2015/06/03 10:49登録)
私もてっきり、旧い時代を背景にしたモダンな本格推理小説、それも本物のデュー警部がまさかの誰かに化けていて。。。 ある種の叙述トリックが盛られていて。。 冒頭から登場する偽夫婦が大きなミスディレクションになっていて。。 誰か記憶喪失の奴がいて、その事を隠してて、ところがそいつは船旅の途上で記憶が戻って、船上に因縁の人物が乗ってる事に気付いて、だけど何も無いよな振りを続けて。。 果たして遺体女性との関係は、そもそも遺体の正体は。。  などと妄想全開で読ませていただいたお蔭で、楽しかったです。文章練れてますね。


No.79 9点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2015/06/02 18:47登録)
セイガク(中学生)の時、その表題の異様な物々しさに惹かれ、ある種怖いもの見たさで手に取った一冊。
中身は決しておどろおどろしいものではありませんでしたが。。 見事に最後まで騙されました。クリスティ女史が脱帽したのも頷けます。 こりゃ自分が書きたかったでしょうなあ。
メイントリックは日常生活でチョイチョイ使わせてもらいました(えっ??)


No.78 7点 死者が飲む水
島田荘司
(2015/06/02 18:40登録)
手堅い中にも荘司さんらしい華がある、社会派寄りアリバイ崩しの秀作。
記憶しているのはそれだけ。トリックから何から忘れてしまった。いつか再読したい。


No.77 5点 百万ドルをとり返せ!
ジェフリー・アーチャー
(2015/06/02 18:10登録)
愉快な詐欺話に豪快なオチが付いた。手に汗は握らなかったが、いい感じの明るい小説。人によってはもっとバッドなどんでん返しを期待するかも知れないけど、もしそんな結末だったらちょっと嫌だなあ、この作品の場合は。


No.76 8点 シャーロック・ホームズの回想
アーサー・コナン・ドイル
(2015/06/02 16:53登録)
「回想」は「冒険」に較べると少なからず落ちるかな。。 面白いんだけど、スペシャルなキラキラしたオーラが薄くなったと思う。 まだ高水準ですが。


No.75 8点 殺しの双曲線
西村京太郎
(2015/06/02 12:19登録)
いきなり「双子トリック宣言」! 前のめりな京太郎さん!
例によって冒頭の謎が派手で魅力的な割に謎解きが小出しに行われるゆえ一気にガツンと来ないきらいはあるけど、その癖を差し引いても充分エキサイティング!! 詰めの粗っぽいトコもあるが、肩透かしな部分もちょっとあるんだが、とにかく楽しませてくれました、ありがとう。 夏場の大ジョッキビールの様な魅力が満載です。


No.74 8点 密閉山脈
森村誠一
(2015/06/02 12:11登録)
南アルプス山系を舞台に打ち立てた雄大な密室トリック! 山小屋の部屋に閂が掛かってたんじゃないんですよ! お山さん自体が密室になっちゃったんですよ! のみならずそこにはアリバイトリックまで巧妙に組み込まれていたとかいないとか! 過酷な大自然と向き合うは恋愛と友情(どちらも熱い!)のぎりぎりの人間ドラマだ!! それにしても、登山家ホテルマン森村青年の描くお山さんは本当にリアリティがあって、読ませるね!!


No.73 9点 赤い館の秘密
A・A・ミルン
(2015/06/02 11:30登録)
この可愛らしさこそかけがえの無いもの。殺人起こしといて可愛いもあったものではない筈なんですが、やっぱりどういうわけだか可愛い。証人や被害者でプーさんやイーヨーが登場するわけでもないのに、全体を包むムードはやはりどこか可愛いらしいものです。可愛さ一点だけでなく、全体的にとにかく明るくもスリリングな雰囲気が素晴らしい。

真犯人(と事の真相)は早々に見えてしまいましたが、物語への興味はまったく薄れず、いつか終わってしまうのを惜しむ様に最後まで読みました。 大叔父から生前いただいた本で読みました。

クラシックなネタではありますが、ストーリーの根幹に関わる大きな心理的トリックを使っています。そこがまた大きな魅力です。


No.72 10点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2015/06/01 16:55登録)
言っちゃ何だが、完璧な作品集ですよね。 本当に、初期のホームズは初期ビートルズの様に完璧だ。

小学生の頃にジュニア翻訳版をよく読んでいましたが、高校生でふと創元推理文庫であらためて読んでみたら、これがもう昔読んだ時を遥かに凌ぐ興奮と感動の嵐が吹き荒れてしまいあまりの凄さにあらためてじんわりと感じ入り、また当時好きだったカーなんかをブッ飛ばしてしまった様な感覚に驚いたものです。 当時、何らかの本をあんな速いスピードで一気に読破した事は無かったなあ。

今思えば、私がミステリに求める要素としてやはり「意外な謎」と「意外な解決」そしてサスペンスに代表される「いい雰囲気」の三位一体が大好きなんだと思います。続いて心理トリック、物理トリック。 ロジックは三の次。 ホームズ、特に初期の短編群がどストライクだったのもむべなる哉です。


No.71 8点 点と線
松本清張
(2015/06/01 16:09登録)
社会派ムードも演出効果、サプペンス横溢する鮎川風本格ミステリとして(こちらは格段に文学的ですが)じっくり味わうのが良いと思います。


No.70 8点 ペトロフ事件
鮎川哲也
(2015/06/01 15:05登録)
(ネタバレ的なもの含む) 著者は本作をポンスン事件(クロフツ)を下敷きに書いたと公言していますが、題名付けはともかく、登場人物の家族関係、容疑者を絞り込む過程など、本家とは似てまた異なる趣向で勝負しています。その最たるものが、結末の、アリバイ興味で引っ張っておきながらのどんでん返し。クロフツがそう来るなら鮎川(中川?)はこう行くぜという負けん気が浮かび上がる。


No.69 6点 フレンチ警部の多忙な休暇
F・W・クロフツ
(2015/06/01 14:36登録)
薄味小味なアリバイ物。 アイルランド島、ブリテン島を巡る(たしかフランスも少し)旅情漂う文章が良い。 推理小説として人に薦めるものでもないが、私は好きです。


No.68 8点 疑惑の霧
クリスチアナ・ブランド
(2015/06/01 13:55登録)
確かに最後のX行ですね。。 こりゃびっくり。
そこに至るまでの本文(?)も素敵で、読み飽きません。 絶妙に込み入ったストーリーが気持ちよく翻弄。 フェミニンな叙述トリックが決まりました。


No.67 6点 邪悪の家
アガサ・クリスティー
(2015/06/01 13:53登録)
いかにもアガサ女史の企画意図が透ける様で犯人は見え見えですが、、楽しく読みました。 やっぱり雰囲気が良いのです。 何なんでしょうねこの、事件が連発してるのに明るく爽やかなムードという不思議な空気感は! 邦題は「エンド・ハウスの怪事件」が好き。


No.66 8点 魔球
東野圭吾
(2015/06/01 12:36登録)
題名からして、東野さん最初期らしい(ミステリーとして充実しているが)軽めのお話かな、と思ったらこれが相当重い、暗い、長い謎を抱えた問題作で圧倒されました。悲劇としてもさることながら、何より本格ミステリーとして最高によく出来ていると思います。本作も実は隠れた「社会派と本格の融合」ってやつなのか? ただ'腕を切断'の理由や描写に、ほんの微妙な違和感を感じました。

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