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ミステリの祭典

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用心棒日月抄
用心棒日月抄シリーズ

作家 藤沢周平
出版日1978年08月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 ALFA
(2026/01/25 08:00登録)
藤沢周平は中高年男性にファンが多いという。さもあろう、作中の武士達はナリこそ二本差しだが心情は宮仕えのサラリーマンそのもの。実際、藩に仕える武士は企業戦士と重なるところが多かったんだろう。
ワケあって脱藩し、腕に覚えの剣で用心棒稼業となった主人公青江も例外ではない。
剣を交える場面こそ劇画並みの強烈さだが、本人はアウトローからはほど遠いイケメンで一本気な青年。そこそこ世慣れて、長屋の住人や派遣先を紹介する口入屋との距離感も絶妙。現代ならゴミ出しもちゃんとしただろう。

連作短編形式だがその本質は長編。有名な史実を巧みに織り込んだ快作エンタメ時代小説である。
サスペンス風味だが謎解きは余りないので評点は控えめに。

No.1 7点 斎藤警部
(2015/08/03 16:06登録)
連作短編集。 とは言え大きな一つの物語がその外側にある事は頭から示されている。 一つ一つの話に仄かなミステリーの香りが漂い、通して読むと背後にどうも、最初に示されたストーリーとはまた別の、共通の何事かが潜んでいる気配。 果たしてその行き着く結末は。。

江戸にて浪人生活の若き侍、青江。 彼は経緯有って国許の許婚、由亀の父親を斬り、仇討ちの刺客がひっきり無しに送られて来ると言う厳しい状況。 彼はその度ごと刺客を斃すが、もしも由亀本人が江戸に現れる事があったらその時はおとなしく仇を討たれようとの覚悟を決めている。
その日を暮らす糧のため、老獪な仲介人を通じ主として単発の用心棒仕事をこなす日々。 そのうち妙に吉良家と浅野家浪人達の対立に巻き込まれているらしい仕事が多いことに気付き。。 用心棒仲間の所帯持ち好巨漢細谷や、途中参戦の魅力的な女忍者佐知など(そして前述の仲介屋も!)脇役陣の働きぶりもすこぶる充実。 
全体で見るとなかなかに複重層的なストーリー展開ですが、一つ一つの短篇も読んでいてとてもスリルを孕んで愉しく、そしてそして最後のお話は。。

「用心棒日月抄」シリーズには続篇がいくつかあります(って言うこと自体、この一冊をミステリーの一単位として捉えると大きなネタバレなんだけど)。 やはりこれを最初にお読みになってはいかがかと。

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