アイス・コーヒーさんの登録情報 | |
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平均点:6.50点 | 書評数:162件 |
No.42 | 8点 | 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 麻耶雄嵩 |
(2013/11/20 17:43登録) 巨大な城で次々と殺されていく今鏡家の人々。名探偵の木更津は解決を試みるがうまくいかない。謎が謎を呼ぶ事件の中、もう一人の探偵・メルカトル鮎が現れ、事件は怒涛の推理劇となっていく。著者デビュー作。 明らかに好き嫌いが分かれる作品だ。まず、思いっきりミステリファンのために書かれた作品なので、初心者は手を出さないことをお勧めする。メインのトリックにも「は?」と、なってしまうしアンチミステリというものに馴染めないだろう。普通のミステリではない事を承知していただきたい。 本作はアンチミステリの部類に入ると同時に、新本格の影響を色濃く受けた作品だ。この点は文庫版解説に詳しい。推理に次ぐ推理、事件の連続、否定と死の繰り返しは「虚無への供物」を思い出させる。ページからは殺人者の悪意だけが伝わってきた。 ブラックユーモアが多く、殺人も残忍。密室トリックも肩すかしに近い。しかし、所詮本格ミステリは分からなかった読者の負け。どんな結末であってもそれはそこに存在するのだ。 個人的にはどこかこころ惹かれるものがあった。いくつかのシナリオに気にいらない点があるが… |
No.41 | 7点 | 弁護側の証人 小泉喜美子 |
(2013/11/18 17:55登録) リーガル・サスペンス×叙述トリックという設定で有名な本作、自分は叙述トリックに騙されたいので相かわらず深く考えずに読んだ。でも、こなれた読者なら冒頭の部分ですぐにトリックがわかってしまいそう。 ヌードダンサーの漣子は大手財閥の御曹司と結婚するが、経営者一族からは敬遠され、さらには殺人までが発生する。警察の誤認を発見した彼女は弁護士の清家とともに事件を解決に導いていく。 いわゆるダブルミーニングや伏線はよくできていて、叙述ものでは良くできた部類に入る。250ページほどの薄い分量に「警察の誤認逮捕」という社会派な話題も盛り込み、さらには過去の事件の推移と現在の捜査が並行して描かれ、読みにくいことは間違いないが。 それでも、漣子の望みを失わない生き方や、警察捜査の壁は見事に描写され胸を打つ。なかなか面白かった。 |
No.40 | 8点 | 姑獲鳥の夏 京極夏彦 |
(2013/11/17 15:18登録) 「二十箇月もの間子供を身籠ることが出来ると思うか」物書きの関口巽は友人であり古書店店長の「京極堂」こと中禅寺秋彦に問いかけた。病院を経営する久遠寺家の梗子のことである。彼女のことを知るために探偵の榎木津のもとに向かった関口は、梗子の姉である涼子にである。病院で失踪した梗子の夫、牧朗の消息を探していたのだった。「百鬼夜行」シリーズ第一作。 妊婦の姿をした妖魔「うぶめ」をテーマに、母、子、人間の奥底に沈む狂気を描いている。特筆すべきはまず、京極堂の膨大な薀蓄である。ここで挫折しそうになるのだが、頑張って脱出。実は演出上重要なところだったりする。そして、まさに大長編の名にふさわしいページ数。でも、読み始めると意外に気にならなくなってくるので未読の方はご安心を。 ミステリとしては薀蓄と裏技ばかりの禁じ手で、本来の意味での本格には程遠い。ただ、伏線はちゃんと張っているのでフェアプレー。この部分はあきらめて許容するしかない。一方で、本作の主題は、複雑に重なり合っている怪奇な現象(嬰児誘拐、密室からの失踪、謎の記憶、奇妙な妊婦…)が現実の出来事として解決し、なおかつその根源に「うぶめ」の呪いが関わっているという事だろう。「憑物落とし」という行為は尋常でない人間の心と脳の内面を太陽のもとに晒し、解決するものだ。 そういう意味で本作は読者に戦慄を与え、犯罪者心理を鮮やかに描いた数少ない作品ではないだろうか。 |
No.39 | 8点 | 亜愛一郎の逃亡 泡坂妻夫 |
(2013/11/12 18:43登録) カメラマンにして名探偵、亜愛一郎最後の短編集。ついにあの人物の正体も明らかになり、大団円を迎える。 個人的には「火事酒屋」がベスト。心理トリックや論理などのあれやこれを詰め込んだ傑作だ。なかなかあれは気付かないもの。逆説的な「赤島砂上」や、軽快な展開と解決にいたるまでの道筋が楽しい「球形の楽園」も面白かった。「歯痛の思い出」はいつ事件が起きたのかもわからない異色作だが、鮮やかな解決を見た。すべてが伏線である。 そして「亜愛一郎の逃亡」は、まず意外な裏設定に驚く。あの人物はいつも登場するから大体その目的は分かるが、良く出てくる○○○○氏が○○だったとは…本筋のトリックが肩すかしだったのはわざとか?最後に愛一郎のルーツである、あれが出てきたときは感動した。 |
No.38 | 6点 | ロートレック荘事件 筒井康隆 |
(2013/11/09 17:59登録) ロートレックの作品が数多く展示されている「ロートレック荘」に集まった男女。障害を持つ重樹はその複雑な対立構造の中心で恐るべき殺人の渦にのみこまれていく… 叙述トリックで有名な作品。この手のものは深読みすると大概意外感を味わえないので、ぼーっと読んでいった。200ページをやっと超えるくらいの短めで、途中にはロートレックの絵が挿画として入っている。ただ、あんまりマニアな話が出てこないし、主人公とロートレックを重ね合わせることもしない。これは残念だった。 いくつかの違和感を持って終わりに近づいていくと、恒例の一行が迫ってきた。なるほどそういうことだったのか、と騙されたが伏線がバレバレだ。いくつか文句も言いたいし、こういうのなら中町信氏の「○○の殺意」の方が良かったな、などと思ってしまった。 しかし、もう一度開くと犯人の独白が現れる。途中のストーリーも興味深い点があったが、これは壮絶だ。このトリックは演出効果に過ぎなかったのだろうか? |
No.37 | 8点 | 生ける屍の死 山口雅也 |
(2013/11/08 19:20登録) 死者がよみがえり、生きているかのように歩き、喋る。奇妙な現象が多発するニューイングランドで葬儀社一族が不審死していく… 特殊ルール付きミステリの中でも第一級レベルの作品だ。死者が蘇ることの意味が明確に分かるトリックと結末は、複雑ながら面白い。しかし、あんな結末にちゃんと伏線がはられていたとは…角度を変えてみると全く違うものになっている騙し絵のよう。 「死」に関する大量の薀蓄やご都合主義すぎる展開は実験的なものを感じるが、個人的には読み物として、物語として楽しめた。何より読み終えた後の満腹感がよかった。「生ける屍の死」の本当の意味を考え見ると、「死」という人類最大のミステリに触れることもできる。メメント・モリ。 |
No.36 | 7点 | 火車 宮部みゆき |
(2013/11/02 19:24登録) 婚約者が失踪した親戚を持つ刑事の本間は、彼女が以前にカードローンで自己破産をしていることから捜査を始めるが…山本周五郎賞受賞作。 カードローンをテーマにした社会派として名高い作品だ。誰もがリスクを持ち、いつ転げ落ちてもわからないような奈落であるカードローンという問題。気を付けていれば大丈夫、という気やすいことではなかった。最近は「サービス向上」を謳った大手サラ金が勢力を伸ばしているが、リスクはより多くなっているのではないだろうか。現実的なテーマを深くえぐった大作だ。 また、人物の心の描写、恐怖や悲哀、未来への思いが細かく描かれていて心に直接刺さってくる。暗示や雰囲気も何とも言えず、見事だ。 うっかりしたら国民同士が共食いになってしまうような深刻な問題を真剣に取り扱ってる、それが読者に痛いほど伝わってくるのだ。軽率なマスコミなど相手にならない影響力を持っている。 ミステリかといわれると難しい。壮大な動機をテーマにしているのだから。宮部みゆきという作家をミステリの枠に閉じ込めることが間違っているのだろう。 |
No.35 | 8点 | 獄門島 横溝正史 |
(2013/11/02 18:36登録) 東西ミステリーベスト100の一位に選ばれる作品。俳句になぞらえた見立て殺人や、怪奇に満ちた雰囲気は有名だ。 意表を突く犯人設定や、釣り鐘のトリックなどは納得・満足のいくものだった。ただし、本格ミステリとして読むと謎解きの点に物足りなさを感じるかもしれない。推理には魅力がないし、ある意味禁じ手ともいえる結末だ。 しかし、単なる本格としてではなく二つの鬼頭家が血みどろの争いをする狂気や恐怖、戦後ならではの犯行動機と最後の結末など面白い点は各地にあるのだ。演出やタイミングも絶妙。この作品が一位に選ばれたのはやはり面白いからなのだろうし、戦後のミステリ映画の先駆けとなったのもその点が理由なのかもしれない。 そして、本作が現在に至るまで数多くの推理小説に影響を与えていることも明らか。そう長くはないストーリーの中にあらゆるアイデアが詰まっている。一読する価値がある不朽の名作だ。 |
No.34 | 6点 | ビブリア古書堂の事件手帖 三上延 |
(2013/10/26 19:14登録) ビブリア古書堂を舞台に幼いころの体験から本を読めない体質になってしまった主人公と女店主・栞子の物語を描く。 一つ一つの短編がそれぞれ古書を題材にしているところは面白い。人物もよく描かれていて、作者の本に対する愛着や思いが感じられる。ミステリとしても良くできていて、個人的には「漱石全集」と「落穂拾ひ」が気にいった。「漱石全集」はあの人にそんなことが有ったのか、と思わせる。「落穂拾ひ」はなじみ深い新潮文庫のあれを使ったミステリ。 一つ思ったのは、「珈琲店タレーランの事件簿」に酷似しているという事。「タレーラン」の方が後なのだが、キャラ構成と言い、ラストと言い、「あれ?」と思うことが有った。でも、こちらの方がうまく練られて、物語性もあって良くできていると思う。 |
No.33 | 8点 | 殺意は必ず三度ある 東川篤哉 |
(2013/10/25 13:34登録) 鯉ヶ窪学園野球部のベースが盗まれた。犯人の目的の見当もつかない事件を探偵部の三人組、部長の多摩川と謎の関西人・八橋、語り手の赤坂は捜査するが、後に鯉ヶ窪対飛龍館の試合が行われた飛龍館の野球場で死体が発見される。探偵部シリーズ第二弾。 密室ものだった前作に対し、今回は設定も細かく全体のクオリティも上がっている。詳しく書くとネタバレになってしまうが、自分は巧みな伏線でミスリードしてしまい、後半の展開には理解が追い付かなかった。さらには野球場を舞台にした大技トリックが仕掛けられ唖然というより納得。「そして誰もいなくなった」を代表とする見立て殺人がここまで進化できるとは…。探偵部の滑稽のところも、また楽しい。 |
No.32 | 8点 | 亜愛一郎の転倒 泡坂妻夫 |
(2013/10/24 17:20登録) 容姿は二枚目、立居振舞は三枚目なカメラマン・亜愛一郎の短編集第二弾。 奇抜なトリック、興味深いテーマ、言葉遊び的なパズルという点で前作とはかなり類似した構成となっている。個人的なベストはさっきタクシーから降りたはずの人物が、後部座席で首を切られて死んでいる「三郎町路上」。首切りの理由や、運び込んだ方法など不可能に見える殺人を亜が解決する様子は痛快。 回文をテーマにした「意外な遺骸」や病院を舞台にした不可能犯罪「病人に刃物」なども奇抜で面白い。 一作一作にそれぞれのテーマが決められ、そこから読者を引き離すように勧められていく展開は、右手に注目させておいて左手で作業をする手品の様。ただ、テーマに走りすぎて違和感が消えてしまう作品も見受けられたので、前作よりはやや劣る(某作品は題名からしてわかってしまうかも。)。というより前作がすごすぎたのか… |
No.31 | 6点 | 水族館の殺人 青崎有吾 |
(2013/10/12 18:33登録) 新聞部が取材をしていた水族館の水槽で、サメがひとに咬みついた。しかも、容疑者の職員たちにはすべてアリバイがあり、現場には不可解な点が多くあった。裏染天馬シリーズ第二作。 前作よりフェアで分かりやすく、「館」に対するこだわりは健在。いささか「館」に執着しすぎな気がするが。クイーンを彷彿とさせる遺留品の推理や、ロジックはとてもよくできていたように思う。伏線もうまく回収していて、謎解き部分が楽しめた。 ただ、最後の○○○の推理の部分は伏線がわかりやすすぎで、違和感を感じる。もう少しあのセリフとあの描写を離した方が良かったのでは?容疑者が多くてなかなか感情移入できない点もある。それと、前作同様にエピローグの後味が悪く、読後感が微妙だ。 主要キャラは性格が細かく描写されて、ギャグもそれなりに楽しめて満足だが、あの「黒幕」と天馬の関係がどうも… |
No.30 | 9点 | 双頭の悪魔 有栖川有栖 |
(2013/10/08 19:19登録) 四国の山奥にある芸術家たちの村・木更村は隣の夏森村と川を隔てて橋一本でつながっているだけで、外部との交流はほとんどない。家出して木更村に行ったマリアを追うため夏森村まで来たアリス達は木更村に侵入を試み、江神がマリアとの接触に成功する。しかし、アリスたちが戻ってきた夏森村と、江神とマリア達がいる木更村で時を同じくして殺人事件が起こる。学生アリスシリーズ三作目。 ある有名なトリックをうまい具合に消化して考えられた作品で、相変わらずロジック中心。手がかりや背景はクイーンの初期作品を思わせ、中でも三回の「読者への挑戦」は有栖川氏の自信を感じる。解決に至るまでの数々の推理とトリックは、粒ぞろいでそれなりに楽しめた。もう少し非合理的な結末も予想していたため、納得のいく結末で安心した。動機が少し弱い気もするが…「双頭の悪魔」とはよく考えられている。 家出したマリアが、芸術家たちの異色の「ディズニーランド」を目の当たりにし、最終的に現実に戻ってくるところは物語として面白かった。けど結局、人がいっぱい死んでるから自分だったら耐えられないな… |
No.29 | 6点 | Another エピソードS 綾辻行人 |
(2013/10/05 16:49登録) 「Another」の外伝的ストーリー。本編と同じく見崎鳴と榊原が登場し、鳴が夏休みに経験した「幽霊」との出会いが語られる。それは最近亡くなった、例の「現象」の生き残り、賢木の幽霊で、自分自身の死体を探しているという。 本編と構成やテイストがかなり違い、続編とは言えない。読んでいて著者の「×××」を思い出した。伏線や展開は上手かったが、トリック中心でホラー感は少ない。トリックもありふれたものなので、そこまで驚きはなかった。要するに、ホラーなのは「幽霊」の部分だけで後は中途半端なミステリになっているということ。本書の真の主題は「現象」に振り回された人々について、だろう。 ただ、ラストのあのシーンや賢木の描写からすると、これは続編への伏線が込められているのだろう。というわけで次回作に期待。 |
No.28 | 8点 | 折れた竜骨 米澤穂信 |
(2013/10/02 18:41登録) 欧州の北の海に浮かぶソロン諸島、その島を舞台に魔法や騎士が登場する十字軍の時代を描いた作品。日本推理作家協会賞受賞作。 魔法を使って奇抜なトリックを登場させ、もう一つの中世ヨーロッパを描いている。当時ありえなかった高度な鑑識捜査を魔法によって実現させたのは凄い。時代の雰囲気も面白かった。 最後の「儀式」と呼ばれる謎解きは見事に伏線を回収して、驚きの結末に持っていった。終わり方も良かったと思う。 個人的には、「呪われたデーン人」に関する解説がもう少し欲しかったと思う。そもそもデンマークとどう関係しているのか、最後に出てくる○○は一体何なのか、など。一部の謎は終章でさらりと語られていて納得。 |
No.27 | 9点 | 亜愛一郎の狼狽 泡坂妻夫 |
(2013/09/29 13:19登録) 雲や虫ばかり写すカメラマンの亜 愛一郎、グズでドジながらもひとたび事件が起これば名探偵ぶりを発揮する。シリーズ第一弾。 「DL2号機事件」を最初に読んだときは、その犯行動機の馬鹿馬鹿しさに感心した。確かにそれは人間が誰しも考える事で、狂人の論理的思考を鋭く分析したものだ。 個人的には「曲がった部屋」が気にいっている。これも心理トリックでありながらも、物理トリックを応用した名作。他にも「黒い霧」で犯行理由を追及したり、「掘出された童話」で暗号を解読したり、と盛りだくさんでとても楽しめる。手品の様でありながら、種を明かされるとなおさら興味をひかれる。 |
No.26 | 6点 | 天啓の殺意 中町信 |
(2013/09/28 14:14登録) ミステリ作家の柳生が考えた作家同士の犯人当てリレー小説。しかし、その問題編は半年前に実際に起こった殺人事件と同じものだった…。「散歩する死者」改題。 「模倣の殺意」で話題の著者が得意の叙述トリックを存分に使った作品。ただ、温泉や推理小説作家が出てくるシナリオが「模倣」に酷似している。登場人物が多いため、それぞれにもう少し個性があればなお良かったと思う。 トリックについては、まんまと騙されたが、著者が仕掛けた伏線のほとんどに気付いてしまったのであまり気持ちのいい騙され方とは言えなかった。「模倣」もそうだが著者は伏線のひそませ方がわかりやすすぎるようだ。 ラストの展開や終わり方は鮮やかだったので、その点は評価したい。また、動機も極めて論理的で納得のいくものだった。 |
No.25 | 8点 | 葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午 |
(2013/09/23 19:14登録) 健康食品を売りつける悪質な業者を調査するため、主人公で自称「何でもやってやろう屋」の成瀬は会社の調査に乗り出すが… このミス一位や日本推理作家協会賞などに輝いた作品。確かにあのトリックには見事にだまされたし、二度読みしてその秀逸な伏線に驚かされた。「葉桜の季節」は、そういう意味だったのか。 このトリックはやはり意味のあるものなのだろう。つまり、読者がミスリードしたように○○は○○と同じ○○なものなのだ、と言いたかったのだろう。確かにこれは凄い。 ただし、文章や展開が読みづらく中には納得できない人もいるだろう。確かにあの終わり方は微妙だ。さらに、過去のヤクザ変死事件と現在の事件の関連性もわからない。真相は面白かったのだが… 帯の「現代ミステリーのベスト1」というのは誇張だな。 |
No.24 | 7点 | 密室に向かって撃て! 東川篤哉 |
(2013/09/23 19:02登録) 警察の失態で流出した改造銃がホームレスを襲い、さらには密室殺人事件にまで発展する。烏賊川市シリーズ第二弾。 相変わらずのギャグと個性的なキャラクターに富んだ設定で、展開は早い。また、素人探偵たちの独自の推理はそれなりの工夫があって読みやすい。 今回は密室破り(あと犯人当て)というよりは、銃弾と銃声の数の問題がメイン。部分的にクリスティの名作を引き合いにしつつ、見事に消化しているところは感心。また、論理派の名探偵・鵜飼の推理に対し、伏線を利用した流平の推理も見事だった。まさか、腕相撲やあれがそんなに重要だったとは… ただ、不運のホームレス・金蔵が犬死だったんじゃないか、とは思う。それに、メインのあのトリックだってもっと慎重にやるべきだったのではないか。少し雑な点もあって残念。 |
No.23 | 4点 | 仮面山荘殺人事件 東野圭吾 |
(2013/09/16 19:32登録) ある山荘に集められた人々のもとに、逃亡中の強盗が立ち入って脱出不可能にしてしまう。そんな中発生した殺人事件、どうやら内部犯のようだが… 主人公の高之は数か月前に事故で婚約者をなくしていて、これが事件のカギになってくる。 どうやら、私は東野作品と相性が悪いようだ。確かに帯の文句の通り、大規模なトリックが仕掛けられている。しかし、なぜかピンと来なかった。一つ目の理由は、事故の真相に薄々気が付いていたということ。そして、展開がありがちなこと。最後に、これは誰でも思いつくんじゃないか、と考えてしまったこと。個人的には、第一の殺人の推理が一番よくできていたと思う。 ところで、第○幕という章の名前は作者のこだわり(最後のセリフに関係)なのだろうが、第六幕までってのは長すぎやしないか? |