TON2さんの登録情報 | |
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平均点:5.65点 | 書評数:330件 |
No.270 | 6点 | QED Another Story 毒草師 高田崇史 |
(2013/01/15 18:22登録) 幻冬舎 QEDシリーズのキャラクターの一人「毒草師」を自称する御名形史紋が探偵役です。 本体のシリーズと同じ民俗学的知識による謎の解明で、鍛冶神である一つ目小僧や一本足の化け物、殿上人以外は人でなしとする平安朝の常識など、すでにQEDで語られた内容と重複していますが、こういう内容は好きなので、結構楽しめました。 御名形史紋の特異なキャラが秀逸です。 |
No.269 | 2点 | 地獄の奇術師 二階堂黎人 |
(2013/01/15 18:16登録) 講談社NOVELS 二階堂蘭子初登場作品。 乱歩の雰囲気をまねているようですが、ちゃちさが抜けていません。だいたい昭和40年代の話とはいえ、ABO式の血液型で実の親子ではないと探偵が指摘するまで、警察が気づかないというのはあり得ません。 |
No.268 | 6点 | 覘き小平次 京極夏彦 |
(2013/01/15 18:12登録) 中央公論社 江戸時代の幽霊役者木幡小平次を扱った怪談仕立てで、「嗤う伊右衛門」の系統につらなります。 巷説百物語の事触れの治平や四つ玉の徳次郎も登場し、又市も名前だけ出てきます。 人間としての喜びや悲しみ、哀しみ、怒りなどを失った者は、中身が空となり、生きていて死んでいるが如くになる。社会の中でどうにかして自分の位置を確かめるためには、自分は、俺は、私はといって、常に自分を意識していなければならない。また、そのような人々で構成される社会においては、異質の者がまじると、それがかえって恐怖となるという話です。 どちらかというと人間とは何かといった点について理屈っぽいですが、すべての登場人物の過去が最後に収斂していくのは、さすが京極夏彦のの筆力です。 |
No.267 | 7点 | 摩天楼の怪人 島田荘司 |
(2013/01/15 18:03登録) 東京創元社 舞台は1969年のニューヨーク・マンハッタンで、発生生物学専攻のコロンビア大学助教授としてミタライが登場します。 ミタライは最初から登場し、自身が調査し謎を解いていきます。 殺人に使用した旧式の拳銃はどうやって用意したのかなどつっこみどころはありますが、長編で読み応え十分でした。 ただ、第一次大戦後のセントラルパーク地下の共産主義者たちはどうしたのでしょうか。相変わらず本筋の話と関係のないストーリーが盛りだくさんです。 |
No.266 | 2点 | びっくり館の殺人 綾辻行人 |
(2013/01/15 17:57登録) 講談社 読者の対象が子どもに想定されたためか、ロジックなミステリーというよりも乱歩の世界のようです。 母親が悪魔の子と呼んだ眼の色が変わる娘、舞台俳優だった老人の腹話術など、おどろおどろしい感じはするものの、滋味が足りません。 |
No.265 | 4点 | UFO大通り 島田荘司 |
(2013/01/09 18:20登録) 講談社 あまり面白いと思わなくてもつい手に取ってしまうのが御手洗潔ものです。 中編2編とも死因の分からない死体が登場しますが、その原因が同じというのは少々芸がないかと感じます。 |
No.264 | 8点 | 空中ブランコ 奥田英朗 |
(2013/01/09 18:16登録) 文春文庫 精神科医伊良部一郎シリーズ第2弾。 飛べなくなった空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のヤクザ、義父の学部長のカツラが気になってしょうがない医学部助教授、まともに一塁に投げられなくなったプロ野球の三塁手、今まで書いたものと同じではないかと思ってしまう女流流行作家たちが、心の癒しを求めて総合病院地価の伊良部の診療室を訪れます。 子どもじみた伊良部の行動に、心の奥の問題がほぐれていきます。 伊良部の性格、行動が笑わせるなぁ。 |
No.263 | 7点 | 團十郎切腹事件 戸板康二 |
(2013/01/07 01:56登録) 創元推理文庫 クイーンのドルリー・レーンを模倣したという老歌舞伎役者・中村雅楽が探偵役で、気持ちのいい作品です。 時代が大正から戦後間もないころで、少々古い感じがしますが、これはまた作品の趣ともいえます。 |
No.262 | 7点 | 町長選挙 奥田英朗 |
(2013/01/07 01:52登録) 文藝春秋 大好きな伊良部一郎シリーズの第3作。「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」「町長選挙」の4編。 最初の3編は実在の有名人をモデルにしていておちょくっていて、これはこれで下世話で面白いのですが、伊良部のテンションが少し低いようです。 町長選挙では、ノー天気な伊良部が窮地においこまれだだをこね、これも今までのシリーズとは少し雰囲気が違います。 作者もそろそろネタが尽きたのでしょうか。もっともっとはちゃめちゃな伊良部を見たい。 |
No.261 | 9点 | 前巷説百物語 京極夏彦 |
(2013/01/07 01:46登録) 角川書店 小股くぐりの又市を中心に、山猫のおぎんや山岡百介などの昔が上手に描かれています。又市が御行の姿になった秘密もわかります。 ストーリーの展開、登場人物の絡まり具合、妖しのものの不思議さ、そしてわかりやすさと、作者の技量にただただ感嘆です。 |
No.260 | 6点 | 夜の蝉 北村薫 |
(2013/01/07 01:41登録) 東京創元社 「朧夜の底」「六月の花嫁」「夜の蝉」の3編。 日常の謎を論理的に解き明かす形式で、身近で親しみやすい気はしますが、探偵役の噺家・円紫師匠の人柄と博識ぶりは尋常ではなく少し鼻につきました。 内容が身近なだけに、主人公の女子大生の家族との関係や友人との関係、異性との関係、趣味などにせつない気分にさせられました。 |
No.259 | 6点 | QED ~flumen~ 九段坂の春 高田崇史 |
(2013/01/07 01:33登録) 講談社NOVELS 「九段坂の春」「北鎌倉の夏」「戦争時の秋」「那智瀧の冬」の4編で、QEDシリーズの登場人物たちの若いころの様子を描いた連作短編集です。 いつものようにタタルが自らの薀蓄を一方的に語るわけではないので、今までの作品より読みやすいと思います。 九段坂では三島由紀夫の豊饒の海第4巻「天人五衰」がなぜほかの巻より短いのか、北鎌倉では護良親王の話が、浅草寺では浅草あたりが鋳物師の本拠地であったという由来が、那智瀧では補陀落渡海の話が語られています。 |
No.258 | 7点 | エジプト十字架の秘密 エラリイ・クイーン |
(2013/01/07 01:24登録) ハヤカワ・ミステリ文庫 エジプト十字架はエラリイの博学な知識から出てきた思い付きです。本当にエジプト十字架に関連した事件だったら、それはそれで面白かったと思いますが……。 犯人当てで医師が怪しいと思いましたが、始めのほうを読み返したら身元が明らかそうでしたので、それなら〇〇かと思ったら、その通りでした。 ヨーロッパからの宝石泥棒、エジプト学者と彼を中心とする宗教集団など、ミスリードのガジェット満載で楽しめました。 |
No.257 | 5点 | クロスファイア 宮部みゆき |
(2013/01/07 01:15登録) KAPPANOVELS 超能力を持つということは、一般人から見れば神の力を持っていることと同じですが、決して幸福ではないようです。その力ゆえに身近な人間を傷つけたり恐れさせ、孤独です。 この作品に登場する物理的な超能力者でなくても、学問やスポーツの世界で飛びぬけた力を持っている人も孤独なのだろうかと考えてしまいました。 |
No.256 | 5点 | 予知夢 東野圭吾 |
(2013/01/03 21:50登録) 文春文庫 ガリレオシリーズ第2短編集。 天才物理学者を探偵役としたことにより、どうみてもオカルト的な内容の事件を科学的に解明します。京極堂の「この世に不思議なものは何もないのだよ」という科白と同じです。 古来探偵は、博学な知識から、豊富な経験から、とぎすまされた注意力から、難事件を解決するものですが、そういう意味ではまさしく正統派探偵なのかもしれません。 |
No.255 | 7点 | 災厄の町 エラリイ・クイーン |
(2013/01/03 21:45登録) ハヤカワ・ミステリ文庫 ライツヴィルシリーズ第1作。 初期作品のパズルのような論理的トリックとは異なり、人間の心のひだの中にひそむ悪魔を扱っています。 法廷シーンの検察官と弁護士のやりとりは現実味があり見事でした。 |
No.254 | 7点 | 九尾の猫 エラリイ・クイーン |
(2013/01/03 21:41登録) ハヤカワ・ミステリ文庫 ニューヨークにおいて無差別とも思える殺人が連続した、手口は同じで、男はブルーの絹布で、女はピンクの絹布で首を絞められていた。犯人はマスコミに「猫」と名づけられ、市民はパニックにおちいった。 この作品は犯人の殺人動機を精神分析的に描いていることが異色です。現代から見れば、精神分析的解説はいささか怪しげですが、「情」という意味で日本的とも言えます。 最終的に9人もの人間が殺された後の解決で、探偵エラリィは金田一耕介のようです。 |
No.253 | 5点 | 探偵ガリレオ 東野圭吾 |
(2013/01/03 21:33登録) 文春文庫 テレビドラマを見ていたせいで、どうしても福山雅治の顔が浮かんできました。作者は俳優の佐野史郎をイメージしていたとのことです。 科学を武器とした謎解きというのは、ついていけません。 |
No.252 | 6点 | 邪馬台国の秘密 高木彬光 |
(2013/01/03 21:30登録) 角川文庫 神津恭介の歴史ベッドディテクティブ。 (ネタバレ) 邪馬台国宇佐説です。魏志倭人伝の問題の「水行十日、陸行一月」を、出発点の帯方郡からの距離として新たな放射説を提示しています。 成吉思汗の秘密と比べると、問題が魏志倭人伝の記述だけなので、ロマンの入り込む余地がないため、小説としての面白さは今一つでした。 |
No.251 | 2点 | 白骨の語り部 鯨統一郎 |
(2013/01/03 21:25登録) 中央公論新社 この作者としてはまともなミステリーですが、トリックもプロットもイマイチです。2時間ドラマ並。 |