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ミステリの祭典

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UFO大通り
御手洗潔シリーズ

作家 島田荘司
出版日2006年09月
平均点5.47点
書評数15人

No.15 5点 斎藤警部
(2024/04/24 23:44登録)
UFO大通り
不可解興味がいまいち薄い。不可能興味など認められない。人間関係の落とし前とか何処へすっ飛んでったん? そこ読みたかったんだけどなー。。 あらすじとか書く気も失せまする。規模感の面白みすら無いバカバカ真相に、大枠も細部もバランス悪いグラグラ感。時にはそういうダメダメ遊びの日もあって良い。まして島荘の文章ならそこそこ許セタ。昔、セタセン(世田谷線)の特性を生かしたアリバイトリック考案したって言ってた友人を思い出しました。 2点強。

傘を折る女
表題作よりこっちがズズンと良い。夜中の公道で謎の行動を見せた謎の美女の目撃談から、やがて●●(?)殺人事件の実に込み入った真相が暴き出される。不可解興味が後に進むにつれ爆増しになる構造は誠にマーヴェラス。純粋理性推理部分のスリルと、犯罪実況パートに於ける直接心理描写爆裂のサスペンス。両者のスパンを取ったカットバックが最高。最後の最後まで、歯磨きチューブを絞り上げるに抗うが如く、魅力ある謎要素がしぶとく残留。 そこに□□が記してあったのか..!! んでやっぱちょっとバカなアレもあったけど、味わいのうち。 女とか男とか。。 仮に本作を普通の本格ミステリ仕様で仕立てたとしても、真相解明部分はさぞかしスリリングだったろうなと思わせるが、この犯人視線パートを挟む事によってこそ生じた或る大きな謎と不可解/不可能興味の牽引力はやはり格別。 序盤「9マイル」のふやけたパラフレーズかと危惧を弄んでいたら、ま~~るで違いました。 「ま、そうなりますな。ここにはイソップ型の教訓がある。」 7点。

◆◆最後に、ぼかして書いても構造的ネタバレ◆◆
二作とも或る○○学的キーワードで共通しているが、片方は「そもそもの発端」事象、片方は何気に付随的事象と、その位置づけを違えているのが実によろしい、上手いと思います。

No.14 4点 ボナンザ
(2021/07/17 12:48登録)
UFO大通りは正体見たりな感じの尻つぼみ型。
傘を折る女の方は御手洗の推理方が珍しく詳細な一編。石岡君との別れに備えて教授しておいたのかな。

No.13 5点 HORNET
(2018/11/12 21:27登録)
 印象に残ったのはタイトル作よりむしろ「傘を折る女」の方だった。
 ラジオに投稿された不思議な女性の話。「ある雨の夜、ベランダから外を見ていたら、白いワンピースの女性が横断歩道に傘を置いて車に踏ませて折り、もと来た方へ帰っていった」。このエピソードを聞いた御手洗潔が、安楽椅子探偵よろしくその事情を推理し、ひいては殺人事件の真相を看破する。
 謎めいた冒頭に魅かれ、謎の女性側で描かれる事件の描写はスリリングで、単純に楽しんで読めた。傘を折ったあとのエピソードとそこからの御手洗の推理はちょっと偶然と一足飛びが過ぎる感はあるが、面白いのでまぁよい。

 表題作「UFO大通り」はもっと現実離れしてる感じだった。

No.12 5点 makomako
(2018/07/22 17:10登録)
二つの中編とも常人にはとても考えられないような出来事と解決なのです。
表題のUFO大通りは常識では考えられない設定を御手洗がいとも簡単に解いてみせます。こんなお話を本格推理として成り立たせようとするとどうしても相当の無理が生じます。これしかないといった合理的な解決方法ではなく、こういったことも否定はできないといったことでもよいという建前の上で成り立っているように感じます。まさに風が吹けば桶屋が儲かるといった感じですね。
 2作目の傘を折る女は御手洗の推理過程がよく分かりそれなりに興味深いものですが、よくもこう屁理屈が思いつきしかもそれが正鵠を得ているという、いわばご都合主義的なお話ですね。
 これが面白く感じるかばかばかしいかは読者の好みの問題でしょうが。

No.11 5点 測量ボ-イ
(2017/10/06 22:02登録)
2つの中篇(短めの長編?)からなります。
御手洗さん、相変わらずの超人ぶり。
後半の話しは事実上の安楽椅子探偵ですもんね。

No.10 6点 公アキ
(2015/01/11 14:03登録)
 二つの中編からなる作品集で、どちらも言葉として聞くと不可解な状況(宇宙人の戦争や走るUFO、雨の夜に傘をわざわざ折る女)の内実を、探偵・御手洗潔が華麗な推理で暴く、という話です。こうした謎の派手さは島田作品らしいと言える、ような。とんでもない謎の提示からトリッキィですこし強引な推理の課程を経て真相に辿り着く……という、書く人によっては良作には成り得なさそうな構想が、著者・島田荘司氏の安心感のある筆致によって「他の人には書けそうもない、堅実でぶっ飛んだ作品」に仕上がっていたような気がします。

(以下、ネタばらし有り)
 二つの事件は、どちらもアナフィラキシー・ショックがキーワードでした。
 「傘を折る女」の御手洗潔による推理場面は、どこか(詳しい箇所は忘れました)のロジックに強引さを感じた、というか、それはロジックとは言えないのでは……と感じたところがあったのは、少し印象に残っています。確か、白いワンピースの女なのに明るい色の傘はささない、従ってその傘はその女の持ち物ではない、みたいなものだったような。
  確かこの「傘を折る女」は漫画化もされており、そちらも楽しめました(確か)。

(もう何年も前に読んだきりの状態でのレヴューです)

No.9 4点 TON2
(2013/01/09 18:20登録)
講談社
 あまり面白いと思わなくてもつい手に取ってしまうのが御手洗潔ものです。
 中編2編とも死因の分からない死体が登場しますが、その原因が同じというのは少々芸がないかと感じます。

No.8 5点 yoneppi
(2012/10/06 00:03登録)
「んなバカな!」「んなこと知るか!」…でも御手洗だから読んでしまう。

No.7 6点 E-BANKER
(2011/07/11 22:37登録)
御手洗潔シリーズ。
御手洗=石岡の名コンビが贈る中篇2作を収録。
①「UFO大通り」=鎌倉の自宅で異様な姿で死んでいる男が発見される。そして、同じ頃、御手洗は死亡した男の近所に住む老婆の家の前でUFOや宇宙人が行き交ったことを聞き及ぶ。この摩訶不思議な事件を御手洗はどう推理するのか。
②「傘を折る女」=ある豪雨の夜、名古屋市郊外の路上で、傘の柄を車に轢かせている若い女性が目撃される。その話を石岡から聞かされた御手洗は、その超人的な推理で瞬く間に背後にあった事件を推察するが、事件は意外な方向に・・・

作品の出来はともかく、御手洗が海外へ旅立つ前の石岡とのコンビは「やっぱりいい!」。御手洗シリーズはこうでないと!
最近は、世界を股にかけ、超人的な活躍を見せる姿ばかり読まされてきましたので、多少なりともホッとさせられる作品でした。
そこで、感想&書評ですが・・・
『マズマズの満足感』というところでしょうか。
①は御手洗シリーズの典型とでもいいたくなるプロットですね。新興宗教に侵されていたとしか思えないような殺害現場、現場の隣では宇宙服を着た異星人が光線銃を撃っている! こんな謎分かるわけないですよ。
まぁ、真相は現実的収束のギリギリラインという感じですよねぇ・・・結局はいつもの「偶然の連続」という大技が繰り出されてしまうわけですから。
②の方は、珍しく完全な「安楽椅子探偵」モノ。
まぁ、「折られた傘」から鬼のように推理を展開する姿はロジック全開と言えなくはないですが、要は「好きなように言ってるだけ」にも思えます。
ここまで突飛な状況を出されたら、ロジックもクソもないという感じがどうしても拭えません。
しかも、まさか「アレ」が両方に出てくるなんて・・・(途中で気付いちゃいましたけど)
というわけで、不満を挙げればキリはないのですが、冷静な評価をすれば、平均点+αかなっと。
(①は舞台がなぜ鎌倉か分かりましたが、②はなぜあそこだったのかな?)

No.6 5点 Tetchy
(2010/11/17 21:54登録)
御手洗潔物の短編には奇想がふんだんに盛り込まれているが、本書もとんでもない設定だ。
そんな魅力的な謎をいかに論理的に解明するか。これが本格ミステリそして巨匠島田荘司作品を読む最たる悦楽だが、しかし昨今の作品では逆に御手洗の登場と共に色褪せてしまうように感じてしまう。最近の御手洗物に顕著に見られる“全知全能の神”としての探偵というテーマを強く準えているため、快刀乱麻を断つがごとき活躍する御手洗の東奔西走振りを読者は手をこまねいてみているだけという印象が強くなってしまった。
謎が奇抜すぎて逆に読者が果たしてこの謎は論理的に解明されるのだろうかという心配が先に立ち、明かされた時のカタルシスよりも腰砕け感、これだけ風呂敷を広げといてこんな真相かという落胆を覚えることが多くなった。

もっと謎に特化した往年の切れ味鋭い作品を期待する。特に昔の奇想溢れる長編が読みたい。

No.5 5点 seiryuu
(2010/07/16 17:17登録)
ミステリーというより 御手洗シリーズの普通の読みものでした。
オチがかぶっちゃダメだよ。

No.4 7点 E
(2010/05/06 00:14登録)
まさに「御手洗シリーズ」な作品。
「UFO大通り」はちょっと強引な気がしましたが・・・「まぁ・・・そう見えなくもないけどさぁ・・・」という目撃証言があったり。
「傘を折る女」は色々考えさせられる話でした。
現実って悲しい、ではなく現実って-----辛い・・・。

No.3 6点 touko
(2009/06/06 00:25登録)
小品ですが、御手洗ものを読んだ、という満足感が。
ありえない状況→強引な推理→合理的解決→石岡の間抜け面
やっぱり御手洗ものはこうでないと!?

No.2 5点 マニア
(2008/12/22 02:10登録)
まず、本作を読んで、やはり御手洗は日本にいて石岡君と絡んでいる時が一番生き生きしていると改めて感じた。

「UFO大通り」・・・面白いっていうより勉強になった(笑)。婆さんが目撃した宇宙人の戦争やら、目張り密室の中で不可解な格好で死んでいた被害者など、奇天烈な謎を奇麗に解決する流れは流石。ただ、同じく婆さんが目撃した道路を走るUFOの謎の真相は拍子抜け・・・。
「傘を折る女」・・・これも、奇天烈な日常風景から、御手洗が不可解な殺人事件を解決する流れは良い。ただ、話が冗長に感じられる。犯人の心理描写がくど過ぎて、途中からついていけなくなった。あと、事件の核心部分に「UFO大通り」の核心部分の真相が使い回されているのも個人的にマイナス。

No.1 9点 おしょわ
(2007/10/30 23:13登録)
こういう作品がもっと読みたいです。
「UFO大通り」「傘を折る女」の両方とも良い出来だと思います。

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