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ミステリの祭典

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ミステリーオタクさんの登録情報
平均点:6.97点 書評数:155件

プロフィール| 書評

No.75 7点 夜よ鼠たちのために
連城三紀彦
(2020/05/26 21:54登録)
かなり以前に『戻り川心中』を始めとした代表的な連城作品を連続して5、6冊読んだが総じて「どーも自分には合わんな」というのが率直な感想だった。が、本短編集が未読だったことがずっと引っ掛かっていたのでこの御時節に読んでみることにした。


[二つの顔] よくできていると思うが、やはりストーリーテリングが自分に合わず、イマイチ乗れなかった。

[過去からの声] これもよくできているし、前作と違ってリーダビリティも非常に高かったが、最近読んだある短編の元ネタであるという偶然に驚いた。

[化石の鍵] ちょっと読みづらいけど・・・よかった・・

[奇妙な依頼] これはダラダラ感が否めず。それに作者の癖でもある「クドさ」も少し鼻につく。

[夜よ鼠たちのために] これはムチャクチャだ。そもそも白血病と脳腫瘍を同じ医者が診療するわけない。

[二重生活] この辺までくると、もう騙すために騙す感じで・・

[代役] 現実味が乏しいことこの上ないし、(毎度のことだが)ややこしいが、よくできていると思う。

[ベイ・シティに死す] 首を捻りたくなる凡作。

[ひらかれた闇] 40年前の暴走族ってこんなんだったのか?ショボすぎ。
暗闇のダンスは一体何だったのか?
「マッポは信用できねえ」って何?


デパートの屋上に遊園地があったり、キャバレーでレコードがかかってたり、和子と葡萄酒を飲んだり・・・・


作者の別の短編集『美女』では「スゴい」と感じた作品が2、3作あった記憶があるので、より評価の高い本書には相応の期待値で臨んだが・・・・・あるいは自分が擦れてしまったということだろうか。


No.74 8点 光と影の誘惑
貫井徳郎
(2020/05/04 19:19登録)
作者の『崩れる』に続く第2非長編作品集。

・長く孤独な誘拐
 序盤を読みながら「普通ゼッテー警察に連絡するだろう」とソリャネー感満載になるが、もし当事者になったら常識的な思考などブっ飛んでしまうのかもしれない。
デビュー間もない頃の作品だと思うが読後感も『慟哭』に酷似・・・辛すぎる。

・二十四羽の目撃者
 なかなか魅力的な設定だがトリックは割りと、いやガチガチの正統派。だが実際にやったら成功率は極めて低いと思う。
事件の終わらせ方は(批判派も多そうだが)個人的には好き。

・光と影の誘惑
 最初の一行、いや一句で「これは性別誤認トリックに違いない」と確信したが、もちろん全くの的はずれ。
タイトルからはオシャレなミステリも期待したが貫井さんにそんなものを求めるバカさ加減を痛感させられる。
メイントリック自体は、後半に入ってから作者がバラまくクルー(及び作者がヌックであるということ)によって大体分かったが、なんか矛盾してるところがなくない?(読み返すのはメンドい)

・我が母の教えたまいし歌
 「陰鬱で読み止まらないストーリー」の中に仕掛けられたチェスタトン張りの企み・・・正にヌックの真骨頂。


四編とも貫井色がよく出ているハイレベルな中編集だと思う。
つーか、本音は「ヌックも飽きずによーやるよ」


No.73 7点 あの女
真梨幸子
(2020/04/15 17:23登録)
エログロはさほど強くないが、現実と夢と妄想をモヤモヤグルグル行ったり来たりする展開は真梨ワールドの真骨頂の一つと言えるだろう。しかし主役級の一人のコメント「でも私はパス。ああいうの、・・・・・・・・頭がおかしくなりそう。現実と幻想がごっちゃになっていくあの感じ。薬漬けの人のたわ言を聞いているみたい。わけわかんない」には笑った。

ネットとかで本書の感想を見ると「辻褄が合ってない」とか「無理矢理」とか「尻切れ」とか酷評が多いけれど、そんなんどうでもいいんだよ、読みやすくて入れ込めれば。犯人が誰だろうと知ったこっちゃない。
まあ、全うな本格ファンは手を出さない方が無難でしょうね、マリちゃんには。

ところで主役の二人の女性作家は、もしかしてマリちゃん自身とカナエちゃんがモデルの思いっきり歪曲したデフォルメ?
カナエちゃんと珠美の人物像は全く違うけれど、二人の位置関係が何となくそう連想させるんだよね。


No.72 8点 女が死んでいる
貫井徳郎
(2020/04/01 19:10登録)
かなり前に『崩れる』を読んで「もうヌックの短編を読むのはやめよう」と思っていたが、ふとしたキッカケで本書を読むことになり、「食わず嫌いしなくてよかった」と感じさせてくれた一冊。

『女が死んでいる』 無理があるが設定が香ばしいし、とにかくグイグイ読ませてくれる。
身に摘まされる話でもある・・・「酒」の方だよ。(暴力沙汰は起こさないけどね)

『殺意のかたち』 いかにもヌッキーなツイストが小気味よく効いている。

『二重露出』 これもちょっとムリがあり、また既視感もあるが30ページ強に纏められていて貫井ミステリのエッセンスの一面をサラっと味わえる。

『憎悪』 貫井作品の特徴の一つに「主要人物のそれまでの人生を叙情的に生々しく描き出す」というのがあるが、本編ではそれが少々食傷気味・・・と思っていたら・・

『殺人は難しい』 これはチョットねぇ~、まぁお遊びということで。
タイトルはクリスティ作品の捩りだろうね。

『病んだ水』 トリックだけ切り取って言及すれば「え~~~」って感じだが、一応それを納得させるところまで掘り下げて書かれているのは流石。身代金の安さの理由にも舌を巻いた。(だが当たった刑事が鋭敏だったら、「それでも」違和感を抱くのではないだろうか)

『母性という名の狂気』 今度はその手か。その手はあまり好きではないが、それ以外のヒネリもあるから許せる。
平成9年の作品だが、前半の描写はいやが応でも野田の事件を彷彿させる。

『レッツゴー』 貫井のライトタッチも好きではないし、終盤まで「これはホントにミステリーになるのか」という気分で読まされるが、そこはヌック、しっかり騙してくれる。しかし平成15年頃の女子高生ってこんな感じだったっけ? それに最後のページは今では絶対書けないよね。


先述したとおり、少しムリ目な話が多い(いつものことか)が、全編貫井らしい企みが仕掛けられているハズレのない好短編集。





No.71 7点 カンタベリー・テイルズ
真梨幸子
(2020/03/18 23:50登録)
「聖地巡礼」というタイトルで講談社ノベルスから刊行された作品を、改題して文庫化された短編集。

マリちゃんの短編集といえば連作がお約束で、本作も連作短編集といえなくもないが各々のストーリーの関連性は申し訳程度なのでバラで読んでも全く問題なし。
その各々のストーリーも決して悪くはないが、マリちゃんミステリとしてはさほど悪臭度が高くない。でも文章はとても読みやすいので余剰時間の消費には最適。
少しビクっとしたのは、ノベルスは2011年発行なのに最終話で「新型糖尿病」や「テセウスの船」というワードがキーになるところ。


No.70 8点 Dの殺人事件、まことに恐ろしきは
歌野晶午
(2020/03/10 00:03登録)
江戸川乱歩の有名短編の数々を、現代を舞台に翻案した短編集。
全7編のうち6編は歌野流イヤミスで、人間の狂気的執念の恐ろしさや絶対的悪意、日常に潜む異常な行動原理などをミステリに絡めて味わわせてくれる。

自分は第4話「お勢・・」からはノンストップだった。


No.69 7点 人生相談。
真梨幸子
(2020/02/17 22:43登録)
連作短編集の体をとっているが実質長編。

理屈ぬきで読みやすくて面白い。

ただ全9話のうち7話目ぐらいまでのリーダビリティは絶大だが、終盤はそれまでに出てきた人物や後出し人物やエピソードが時系列のボードにおいてモグラ叩きのように出てくる。作者としては多くの事象の混乱の糸をほぐしている「解答編」のつもりなのだろうが、こちらとしては記憶を掘り起こす作業を強いられるため結構エネルギーを要することになる。
読後も「ん?、これで全部解決したんだっけ?」とイマイチすっきり感に欠ける。
でも相変わらず多かれ少なかれどこかバカっぽい登場人物たちの言動は笑えるところが多いし、俗物心をくすぐりながら進むストーリーはマリちゃんならでは。


No.68 8点 ずっとあなたが好きでした
歌野晶午
(2020/01/30 20:53登録)
本書を今後読むかもしれない人は、以下読まない方が宜しいかと。

13のストーリーが収録された短編集だが、10作目までは読みながら「とにかく長い」「そんなネタでこんなにダラダラ引っ張るなよ」「こんなんでポケットにも入りにくい分厚い文庫にすんじゃねえ」・・・・・
全て恋愛絡みだが、訓話っぽい御託も入ってたりするし、『正月十一日、鏡殺し』のような血も涙もない残酷さは微塵もなく、「晶ちゃんも歳をとったのかな~」と少し淋しさすら感じてくる。
例外的に第5話「ドレスと留袖」は秀作ミステリーと感じたが、表題作などは最後の一行まで騙された読者がどれほどいるのだろう。
全く意味不明あるいは意図不明の作品もある。

し・か・し、第11話「女!」のラストで「ん!?☆」と来る。
そして最後の2話。本書のタイトルの意味が分かった気にさせられた上で、更に裏切られる。

やはり歌野は晶午であった。(何のこっちゃ)


No.67 9点 往復書簡
湊かなえ
(2019/09/18 06:39登録)

湊作品マイベスト3
①十五年後の補習(本短編集に収録)
①ムーンストーン(短編集「サファイア」に収録)
        以上順不同
③少女

しかし湊さんは娘さんが高校生になった今でも、都心の高級住宅街に出てくることもなく兵庫県の都会とは言えない地に在住しているのが凄いと思う。


No.66 6点 ポイズンドーター・ホーリーマザー
湊かなえ
(2019/09/17 22:50登録)
今後本短編集を読むかもしれない人は以下読まない方がいいと思われる。


・マイディアレスト:作者らしいイヤミス
・ベストフレンド:ミステリ的にはこれがベストかな
・罪深き女:読ませてくれるが、結末というか真相はあまり「らしく」ない
・優しい人:これも面白いが、女性主人公の人間性は入念に書き込まれているのに対し男の人格描写は飛躍気味の気がする。作者が女性だからか。
・表題作2話:もっとミステリチックな話を期待していたがシビアでシリアスな母娘の物語。しかしリアリティは乏しい。

全て女性の心理描写が中心のストーリーだから、女性読者の方が作者の真意に近づけるのではないかな。


No.65 7点 鸚鵡楼の惨劇
真梨幸子
(2019/08/30 12:46登録)
さすがマリちゃん、読ませてくれる。
ただミステリーとしての完成度は初期の作品に比べて高くなっていると思うが、個人的には「フジコ」や「孤虫症」のような比類なき生臭さと絶大なリーダビリティをもう少し期待したかった。


No.64 8点 赤い博物館
大山誠一郎
(2019/08/30 12:39登録)
自分もベストは「死に至る問い」。
『アルファベット・パズラーズ』の「Yの誘拐」に並ぶ驚愕作。


No.63 7点 イヤミス短篇集
真梨幸子
(2019/08/06 21:58登録)
この作者でこのタイトル・・・当然期待値が跳ね上がり、小汚ない雑多料理屋の裏の特大生ゴミポリバケツの蓋を開けた時のような生臭さが味わえるかと思ったが、せいぜい腐りかけた青カビチーズ程度だった。
マリちゃんにはもうデビュー作やドロドロ三部作の頃のパワーはないのだろうか。


No.62 8点 ミステリー・アリーナ
深水黎一郎
(2018/08/31 17:58登録)
発刊当初から読みたかったが、基本文庫派なので・・・と思っていたら今年の6月に文庫化された様子。

うん、面白かったですよ。私が好きな〇〇をメインにいろいろなトリックが語られていて。
ミステリーを知り尽くしすぎた作家が書いた作品という感じかな。
ミステリー読書歴が浅い人にはあまり向かないかも。


No.61 7点 母性
湊かなえ
(2018/08/17 13:25登録)
率直に感想を述べるとどうしても結末に触れてしまうのであまり語れないが、とにかく深い作品。
作者の作品群の中ではメジャーな方ではないかもしれないが、湊かなえの魂が最も込められた作品ではないだろうか。

「娘」がウチの小学生の娘と少しダブる感があったところも個人的には印象深かった。


No.60 4点 高校入試
湊かなえ
(2018/08/17 13:19登録)
あまりの退屈さに60ページほどで放り出す。


No.59 7点 サファイア
湊かなえ
(2018/06/01 15:56登録)
作者の味がよく出ている短編集。
「ムーンストーン」:驚いて泣いた。


No.58 6点 境遇
湊かなえ
(2018/05/16 16:43登録)
ミステリーとしてのデキはともかく、さすが湊さん、時間を潰せる読み物としてはハズレがないなー、という感想。


No.57 4点 証拠は語る
マイケル・イネス
(2018/05/12 15:37登録)
何か冗長で退屈


No.56 6点 我が家の問題
奥田英朗
(2018/04/11 10:24登録)
ずば抜けた読みやすさは相変わらずだが、ミステリーファン、奥田サスペンスファンとしては、ほのぼのファミリー系は一冊でよかったかな。

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