オレたちバブル入行組 半沢直樹 |
---|
作家 | 池井戸潤 |
---|---|
出版日 | 2004年12月 |
平均点 | 5.17点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 5点 | ミステリーオタク | |
(2020/07/19 01:56登録) 全く共感できない |
No.5 | 3点 | いいちこ | |
(2017/12/01 14:25登録) ドラマ「半沢直樹」は見ていないが、興味本位で手に取った。 高視聴率ドラマの原作というプロフィールから、期待してはいなかったのだが、その低いハードルをさえ、大幅に下回る内容。 まず、各登場人物の造形と言動が類型的すぎ、犯人による物証の取扱いがあまりにも不用意であるなど、プロットにリアリティが感じられない。 そして、それ以上に、主人公の「力・強さこそ正義」という行動原理にまるで共感することができない。 主人公は「倍返し」というが、自分が憎み、軽蔑する相手に、相手以上に下世話かつ陰湿極まりない手段で報復することの深刻な自己矛盾に気付いているのだろうか。 本物の大人物は、このように小人物と同じ土俵に立つことはない。 また、私も銀行に負けず劣らず官僚的な大組織に属しているが、このような組織では過度に目立つこと自体が大きなリスクであり、いくら優秀な人物でも個人の力で組織に打ち克つことはできない。 したがって、敵対する相手に対しても、常ににこやかに笑顔で接しつつ、その裏で事後にさえも気付かれないように刺すべきであって、部下本人にさえ見抜かれるような露骨な本部工作に奔走する支店長や、衆人環視の状況で他セクションの上席に土下座させる主人公は論外である。 最後に、主人公が支店長の悪事を暴きながら、それを隠蔽することと引き換えにポストを得るなどに至っては、自身も背任・詐欺に荷担することになり、愚劣を極めると言わざるを得ない。 銀行組織の硬直性・閉塞性というプロットの着眼点は買うし、リーダビリティは高いのだが、作品としては非常に稚拙なファンタジーであり、読後感も至って悪い。 3点の下位 |
No.4 | 5点 | simo10 | |
(2013/09/21 23:24登録) --(一応)ネタばれ含みます-- TVドラマ「半沢直樹」の影響で読んでみました。 ドラマの第五話までが本作品に相当するようです。予想はしていましたが、ベースはTVと同じですが、TVの方が面白おかしく着色されていました。 以下、わかる範囲でTVとの主な違いを挙げてみます。 ・半沢と妻の花は仲が良くなさそう(これが一番意外だった) ・半沢の父親は死んでいなかった ・東田の愛人の美樹は全然セリフがなく、ただの裏切役だった ・国税の黒崎検査官は特におネエ言葉というわけでもなかった。(これがちょっと残念だった) ・人事部の小木曽次長は机をバンバン叩いたりはしなかった。(これも残念だった) 原作も非常に痛快な作品でした。TVはこれをさらに増幅するような演出になっていました。 |
No.3 | 4点 | シーマスター | |
(2013/09/04 18:22登録) 銀行業を舞台にした、桃太郎もまっつぁおな完膚なきまでの勧善懲悪劇。 金融やら財務やらには極めて疎い自分にも十分読みやすく書かれているが読後は少々食傷気味。 主人公・半沢直樹が最後に勝つのがあまりにも明らかなキャラクター設定である上、勝つための「証拠」を奪うプロセスが数々の偶然や、うまくいき過ぎるコソコソ作業や、相手方の信じられない不用心によるところが甚だ大きいのには社会派小説としてプロットが幼稚過ぎる印象を受けた。 半沢が「証拠」を握ってからは、自分を嵌めようとした上司を真綿で首を絞めるが如くジワジワと苦しめ、追い詰め、最後は罵詈雑言を浴びせ土下座をさせた上、自分を昇進させる。 そして損害を被らされた相手に対しては、プライドをズタズタにしてから(社会的に)地獄に落とす。 更に親のカタキにも土下座をさせる。 悪党共の末路は自業自得と言えばそれまでだが、あまり気持ちのいい復讐・挽回劇ではなかった。 まぁ、現実の銀行ではどんなに理不尽な状況に置かれても上司に反抗的な言動をとることなど絶対にあり得ないらしいし、それは銀行でなくても大企業ならどこでも同様だろうから、その辺りのストレスを日々強く感じている人達には本作のような話は痛快極まりないのだろう。 |
No.2 | 8点 | haruka | |
(2012/09/12 21:31登録) 貸し倒れの責任を負わされた大銀行の融資課長が、計画倒産の首謀者を追い詰めていくストーリー。こんな銀行員いないだろうと思いながら、数々のピンチを切り抜けていく主人公に肩入れし、ラストでは大きなカタルシスが。 |
No.1 | 6点 | E-BANKER | |
(2010/03/02 20:41登録) タイトルが秀逸な長編。 特に、日頃何かにつけ上司に苛められているサラリーマンにとっては、胸がスカッとするとともに、サラリーマンの悲哀をしみじみ感じさせる作品です。 ストーリーとしては、計画倒産に巻き込まれ、その責任を一身に背負わされた主人公の銀行員が、自らの力で立ち上がり、計画倒産のカラクリを解き明かして汚名を注ぐ・・・という展開。 私も願わくは、この主人公みたいに、「白は白、黒は黒じゃ・・・」と常々正々堂々と言ってみたいものです。 |