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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.09点 書評数:1660件

プロフィール| 書評

No.1500 8点 招かれざる客たちのビュッフェ
クリスチアナ・ブランド
(2022/05/15 09:03登録)
1500冊目となりました。
①事件のあとに 8点 一座の女優が殺害された。女優の夫が犯人に間違いないのだが・・・著者の文章は読みずらいとのイメージ。案の定、何言ってるのかわからない文章が出てきた。実はこれが大伏線であった(爆)
②血兄弟 10点 双子の弟が兄の女を奪う。その弟が交通事故で子供を撥ねてしまった。兄は弟のために双子を利用しアリバイ工作をするが・・・短篇らしい展開と反転。文句なし
③婚姻飛翔 8点 披露宴で夫が毒死。三人の男が妻となる美人看護師を自分のものするために殺害?・・・クリスティ女史のような展開
④カップの中の毒 8点 夫の愛人という女が家にやった来た。妻は毒入りの砂糖たっぷりのコーヒーを女に飲ませる・・・最後の一行
⑤ジェミニー・クリケット事件 8点 老人が密室で、その後警官が殺された。二人とも死ぬ前に「窓」「消えていく」「長い腕」と謎の言葉・・・トリック、真相は申し分ないが、謎の言葉は大幅減点
⑥スケープゴート 7点 脅迫されていたマジシャンの身代わりに付き人が狙撃された。向かいの建物の3Fにピストルが三脚に備え付けられていた・・・消去法
⑦もう山査子摘みもおしまい 6点 洞窟にいた子供たちは殺人容疑者の無実を証明できるのだが・・・幼さ
⑧スコットランドの姪 7点 叔母に財産を取られた姪は真珠のネックレスを盗みに入るが・・・逆転
⑨ジャケット 8点 口うるさい妻を殺そうとする夫はアリバイの証人として家政婦を雇ったが・・・皮肉
⑩メリーゴーラウンド 6点 夫がポルノ写真を持っていたと強請られた妻は・・・子供の目
⑪目撃 5点 ロールスロイスに乗った富豪が殺された。運転手が疑われた。横に走っていたタクシーの乗客がもう一人男が乗っていたと証言…幻想?
⑫バルコニーからの眺め 6点 夫婦は隣の老婆から監視されている。夫を殺害し事故に見せかけるが隣人がお見通しと諦める・・・妄想?
⑬この家に祝福あれ 9点 妻が妊娠した夫婦を納屋に泊めた老婦。そこで生まれた子供を神と信じる・・・ブラック
⑭ごくふつうの男 5点 昔、この家に住んでいたと言って男が現れた・・・恐怖
⑮囁き 7点 ドラッグ酒場でレイプされた女高生は同行の従兄のせいにしてしまう・・・父親としては
⑯神の御業 8点 目の前で妻と子供が車に轢かれてしまった警察官。その警察官は車はスピードは出ていなかったと証言する・・・神は存在する?

(余談)ジェミニ―・クリケット事件のサッカーW杯は1966年7月30日(土)決勝戦(ロンドン・ウェンブルースタジアム)イングランドVS西ドイツ 延長の末、4:2でイングランド優勝した。高校時代、自分が生きている間に日本がW杯出場するなんて100%あり得ないと思っていた。当時、日本サッカーの父であるクラマーコーチ(西ドイツ)は日本代表に初歩のインサイドキックを教えていたのだ。それほどレベルは低かった。それに引き換え、今の小学生は巧いこと!。
1993年5月15日(29年前の本日)Jリーグ開幕。その5年後の1998年、サッカー関係者には夢の夢であったフランスW杯出場が決定。監督更迭があり岡田監督が指揮を執る。エースであった三浦カズが落選。世間は大騒ぎ。でも当然と思った。中田英寿のキラーパスを受けることができなかった(ごめん)。大手旅行会社ではチケットが確保できない問題が発生。結局2、3社のみがツアーを敢行。私たち夫婦はお一人様70万円(平均は35万)のツアーを申し込んでいた。チケットが出発の三日前に取れたとの連絡。いざフランスへ。パリの街ではチケットなしでやって来た若者達がチケット求むのプラカードを掲げていた。高値は40万円だった。初戦のジャマイカ戦。中山ゴンのW杯初ゴールを観る。だが敗戦。ユニホーム姿の私たちの帰国姿がNHKニュースに流れた。その後、3連敗での帰国選手に水がかけられた。
4年後の2002年、日韓W杯。トルシエ監督が中村俊輔を外す。これがなければベスト8にはなったはず。大バカ監督である(苦笑)。横浜国際競技場のロシア戦。倍率400倍のチケットが当たる。稲本のゴールでW杯初勝利。TV視聴率は66.1%(歴代3位)。W杯初ゴールと初勝利を生で見た数少ない一人と思う。
さらに4年後のドイツW杯。チケット一枚16万で購入。それでも飛行機、宿泊を自分で手配したのでツアー並みの一人40万程度で収まる。その他、サッカー観戦ツアーはシドニーオリンピックとドイツ・コンフェデレーションズカップ。観るだけでなく、シニアッカーリーグに参加し、今でも体を動かしている。いわゆるサッカーバカである。


No.1499 8点 羊は安らかに草を食み
宇佐美まこと
(2022/05/09 19:01登録)
~アイ(80)と富士子(77)は、認知症となった俳句仲間の益恵(87)を 「最後の旅」 に連れ出すことにした。益恵がかつて暮らした松山、五島列島を巡る旅である。満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延びてきたのか、そして彼女が隠しつづけてきた秘密とは?~

満州での二人の少女の悲惨な体験(ソ連軍や満人に襲われる)は酸鼻を極めます。カテゴリーは「一般」に分類されており、ミステリー度は弱いのかもしれない。でも「戦争悲劇ミステリー」といってもいいかな?・・・。「ロシアに栄光あれ、万歳」とTVから流れる愚かなプーチンの言葉が虚しい。


No.1498 7点 跫音
山田風太郎
(2022/04/17 11:51登録)
著者の自選恐怖小説集
①三十人の三時間 6点 飛行機の無線が故障。燃料はあと3時間分。機内にパニックが・・・艶っぽいパニックも
②さようなら 8点 恋人を正気に戻すために・・・西村京太郎氏の某作品を思い出した
③女死刑囚 7点 死刑執行日まで○○時間 壮絶
④跫音 5点 人を殺めてしまい、アリバイを頼むのだが・・・甘くはない
⑤双頭の人 7点 5人から求婚された女医。その男たちは皆自殺したという。私も彼女に惹かれ・・・怪異
⑥黒檜姉妹 8点 絶世の美人姉妹のいるという村を訪れた医学生の見たものは・・・官能と怪異
⑦雪女 5点 封印された雪女の絵。それを見ると目がつぶれるという・・・絵師の狂気
⑧笑う道化師 5点 道化師の妻は笑い茸を夫に食べさせて殺そうとしたが・・・愛人と共謀
⑨最後の晩餐 7点 美食の会で最後にだされた料理は・・・例のもの?
⑩呪恋の女 8点 美貌の青年は7時までに必ず家に帰ってしまう。彼に恋した乙女が知る真相は・・・異形の極致かも


No.1497 6点 ボッコちゃん
星新一
(2022/04/16 12:11登録)
大昔、読んだときはSFのイメージが強かったが、今ではSF色は薄いと感じられる。その間、科学が進歩したということか。自薦の50作品 8点~3作品 7点~7作品 6点~15作品 5点~14作品 4点~9作品 3点~2作品 
①悪魔 7点 悪魔に金を無尽すると、次から次へと金貨を出してくれる・・・
②殺し屋ですのよ 7点 完璧な殺しを引き受けるという殺し屋の正体は・・・
③猫と鼠 7点 殺人を目撃され強請られていた男は相手を殺そうと・・・
④生活維持者 7点 平和な世界。しかし人口抑制のため無作為に選ばれた人物は死ななければならない。殺人執行者の二人組は抽選先に向かう・・・
⑤悲しむべきこと 8点 借金までしてプレゼントをしているサンタ。金欠のため強盗に入ると、そこの主人がアドバイスをしてくれた。サンタの肖像権を利用して儲けているデパートがあると・・・
⑥ねらわれた星 8点 金属製のウロコがある宇宙人は人間の皮膚を溶かすビールスをまき散らし殺害しようとしたが・・・
⑦親善キッス 8点 美人の異星人とキッスをしたい。異星人は嫌がるが地球の挨拶だといって・・・強烈なので、これは覚えていました(笑)
⑧人類愛 7点 救助隊員が遭難者に話しかけると同郷であり、アパートまで一緒と判明するが・・・
⑨闇の眼 7点 テレパシーのある子供を持った親は、優れた能力があっても不幸という・・・
⑩冬きたりなば 7点 地球に似た星での冬物の訪問販売。今は金がないといわれたので支払いは春でといったが・・・


No.1496 6点 007号の冒険
イアン・フレミング
(2022/03/26 19:48登録)
映画は初代ボンド以降観ていませんので、よくわかりませんが本作品からの題名やアクションシーンがあるようですね。
①薔薇と拳銃 6点 バイクでのチェイス。 ボンドは16歳のとき、パリの売春宿で・・・のエピソード
②読後焼却すべし 6点 上司Mの個人的な復讐ともいえる任務で葛藤するボンド
③危険 6点 コロンボという人物が麻薬のボス?彼のキャラが魅力的
④珍魚ヒルデブランド 6点 鼻持ちならない富豪のヨットで珍魚の捕獲に向かうボンド。事件が・・・。ボンドの活躍のない異色作
⑤ナッソーの夜 6点 ディナー・パーティーで植民地総督が、一組のカップルの数奇な運命について語りはじめた。これも異色作でボンドものでなくてもいいような・・・短篇らしいオチはある


No.1495 6点 007/ダイヤモンドは永遠に
イアン・フレミング
(2022/03/10 16:36登録)
大ファンであるショーン・コネリー氏主演の6作をこれで読み終えました。本作(シリーズ4作目)は映画(シリーズ7作目)の内容と一番かけ離れたものでした。小説はボンドの原点であり、やはり映画とは違う味わいがあります。この後の「ロシアから愛をこめて」や「ゴールド・フィンガー」に通じるアクション・シーンが多々ありました。ボンドを助けるティファニーのキャラクターが秀逸です。小説ではNO.1、映画では「ロシアより愛をこめて」のタチアナがNO.1(笑)


No.1494 6点 007/007は二度死ぬ
イアン・フレミング
(2022/03/03 20:21登録)
映画での日本の描き方はずいぶんおかしいところがあったと記憶(脚本はロアルド・ダール氏)。小説の方は、裏表紙にある「ボンドの眼を借りた日本観が横溢する注目作」の通り、エピソードがふんだんに挿入されています。著者による訪日のおかげですね。まず、笑ったのが「じゃんけん」と「あぐらをすると、がに股になりそう」でした。なお、びっくりしたのが「帝銀事件」が取り上げられていたことです。ただ、ボンドが日本人に変装するのはどうしても受け入れがたい(笑)。地味ですけれど、悩むボンドもいい。


No.1493 6点 オーブランの少女
深緑野分
(2022/03/01 09:06登録)
①オーブランの少女 7点 美しい庭園での老女の殺人事件。老女の若し頃の日記には・・・殺人の動機。乙女チックな雰囲気なのに残酷
②仮面 5点 少女のために医師は殺人を犯すが・・・ロリコンっぽい。ある謎がそのままでモヤモヤ感が残る
③大雨とトマト 7点 大雨の日、料理店に少女が現れ、父親を捜しているという・・・短篇らしいオチ
④片思い 4点 女子寮の女高生にはある秘密が・・・女高生の雰囲気はよく描かれていますが、ミステリーとしては?
⑤氷の皇国 8点 幼い皇太子を毒殺したと二人の娘が捕らえられた。それぞれの父親は・・・究極の選択


No.1492 6点 あやし~怪~
宮部みゆき
(2022/02/21 15:13登録)
ホラー、短編のオチを期待すると裏切られるかも。幽霊や鬼を絡めた人情噺が多い。
①居眼り心中 5点 女中は若旦那の子を孕んだため店を追い出される・・・凶事の前兆
②影牢 6点 息子夫婦に座敷牢に閉じ込められた母親は・・・呪い
③布団部屋 5点 酒屋は代々の主が短命であった。布団部屋に魔物が・・・怨念
④梅の雨降る 7点 大凶のおみくじを引いた娘・おえんはある願い事を・・・精神衰弱
⑤安達家の鬼 5点 嫁には鬼が見えないが、姑には見えるらしい。その鬼の秘密とは・・・鬼は鬼でも
⑥女の首 7点 口をきかない太郎は奉公先で女の首を見た・・・口を聞かない原因
⑦時雨鬼 5点 女将は娘と付き合っている男はごろつきというが・・・恋は盲目
⑧灰神楽 4点 女中が死ぬとき、口から灰のようなものを吐き出した・・・憑き物
⑨蜆塚 5点 10年おきに同じ人間が現れる。名前も出身も違うのだが・・・不死?


No.1491 7点 毒を売る女
島田荘司
(2022/02/12 13:32登録)
①毒を売る女 8点 ママ友が梅毒になり、私たちに感染させようとしている・・・疑心暗鬼と狂気の凄まじさ
②渇いた都市 7点 道にロープが張られている。いったい何のため?・・・無関係な物語が一つに
③糸ノコとジグザグ 8点 リスナーの投稿に自殺志願のメッセージ。暗号めいた現代詩。DJはリスナーの力を借りて・・・タイムリミット型パズル
④ガラスケース 6点 大きな水槽でオタマジャクシを育てるが・・・著者の「天に昇った男」を連想
⑤バイクの舞姫 8点 15年前に死んだ恋人がバイクに乗って現れた。幻か?・・・島荘流ラブストーリー。本編が一番好きかも。長八美術館(伊豆)の静御前を見に行かねば(笑)
⑥ダイエット・コーラ 6点 体内時計25時間に合わせるべく1日15度づつ西へ移動するが・・・ユーモア系ショートショート
⑦土の殺意 6点 飲み屋で地上げ屋と口論していた老人が殺された・・・土地神話(社会派)
⑧数字のある風景 5点 ある数字の羅列に意味を見つけた男は、大地震が起きることを知るが・・・SFショート


No.1490 5点 リボルバー
原田マハ
(2022/02/06 17:10登録)
ある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれた。それはゴッホの自殺に使われたものだという。「ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」 「殺されたんじゃないのか?」・・・
物語としては楽しめましたが、ミステリーとしてはどうでしょうか?。実在の人物なので、驚くような真相はかなり難しいと思います。まあ、 当たり障りのない所でという事でしょう。
(余談)TVトークにて。著者のお勧め本4冊のうちの一冊が「ダ・ヴィンチ・コード」で、「楽園のカンヴァス」を書く勇気をもらった一冊とのこと。ルーブル美術館の館長が全裸でモナ・リザの前で殺されている。こういうのを書いちゃっていいんだと思ったそうです(笑)。「楽園・・」のアンリ・ルソーに関し、基礎の10%が真実(史実)、90%が嘘とおっしゃる。このようなことを敢えておっしゃるのは、読者の中にはフィクションなのに「事実ではない」などといちゃもん?をつける人が、まだいるからなんでしょうね。


No.1489 6点 聖アンセルム923号室
コーネル・ウールリッチ
(2022/01/27 15:38登録)
ホテル開業の日から廃業の日まで、最上階の923号室に泊まった客の7つの物語。非ミステリー系ですが、著者らしさは堪能できます。
①1896.6.20の夜 ホテルオープンの日、若い新婚夫婦が泊った。新婦が着替えるので新郎はドアの外で待つが・・・
②1917.4.6の夜 青年は軍服を着て意中の女の子を誘う。宣戦布告がされ・・・
③1918.11.11の夜 終戦の日、再会した二人は、どちらともぎこちない・・・
④1924.2.17の夜 ギャングのボスが仲間を連れ、敵から逃げてきた・・・
⑤1929.10.24 NY株価が大暴落。大損害を被った男は飛び降り自殺を考え・・・
⑥・・・・・・・・の夜 駆け落ちしてきた若い二人。彼女は彼のことを「ケン」と呼んだ・・・・「・・・の夜」と名前の意味がラストで
⑦1957.9.30 ホテル閉館の夜、老女がやってきた。彼女は第一話の登場の女性であった・・・切ない物語ですが、ある意味怖い


No.1488 6点 厭な物語
アンソロジー(出版社編)
(2022/01/24 17:07登録)
「厭な物語」というより「不快な物語」が2作品あった。選者のセンスに疑問符
①「崖っぷち」アガサ・クリスティー 8点 「マン島の黄金」で書評済
②「すっぽん」パトリシア・ハイスミス 6点 母が料理用として買ってきたすっぽんを飼いたいという息子は・・・既読感あり
③「フェリシテ」モーリス・ルヴェル 6点 娼婦はある男と毎週土曜日の2時間だけデートするようになり・・・女性に人気のある作品らしい
④「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」ジョー・R・ランズデール 1点 エログロ・バイオレンスに人種差別
⑤「くじ」シャーリイ・ジャクスン 7点 「くじ」で書評済
⑥「シーズンの始まり」ウラジーミル・ソローキン 7点 狩猟シーズンが到来し二人の男が森へ・・・自然の風景とラストのギャップがいい
⑦「判決」フランツ・カフカ 5点 遠く離れた友人に結婚を知らせようと、父親に話したところ・・・1912年の作品。現代ではあり得ない?
⑧「赤」リチャード・クリスチャン・マシスン 7点 彼は身をかがめて拾えるものを拾い、先を注視しながら歩き出した・・・衝撃的ではある
⑨「言えないわけ」ローレンス・ブロック 6点 強姦魔の死刑囚は被害者の兄を懐柔して死刑回避を狙うが・・・
⑩「善人はそういない」フラナリー・オコナー 2点 旅行に出かけた家族が脱走犯に・・・
⑪「うしろをみるな」フレドリック・ブラウン 7点 「真っ白な嘘」で書評済


No.1487 6点 シメール
服部まゆみ
(2022/01/21 17:19登録)
「BOOK」データベースより~『画壇の若き俊才にして気鋭の美術評論家・片桐は、妻を亡くした春、満開の桜の下で精霊と見紛う少年と出会った―。その絶対の美を手に入れたいと願う彼の心は、少年と少年の家族の運命を破滅へと導く。逃れ得ぬ陶酔の迷宮に囚われた男の悲痛な狂気が織りなす、至極のゴシック・サスペンス。』~
現実的に描いたら気色の悪い物語であろうと思いますが、著者の筆力で耽美かつ幻想的な雰囲気の作品に仕上がっています。これこそ服部マジックなのでしょう。もう著者の作品が読めないのはとても残念です。ミステリの採点なので、この点数で・・・


No.1486 8点 自由研究には向かない殺人
ホリー・ジャクソン
(2022/01/12 09:01登録)
久しぶりにワクワクするような楽しい読書を味わえることができました。事件の背景は、当然辛いものがありますが、主人公と相棒のキャラクターが明るく、めげない性格で抜群にいい(笑)。青春ミステリーと言ってもいいのかも。各ミステリーランキングで上位を獲得しているのも頷けました。


No.1485 6点 マン島の黄金
アガサ・クリスティー
(2022/01/07 17:15登録)
①夢の家 4点 若干ホラーテイストの恋愛物語。結末が良くない
②名演技 7点 女優が昔のことで強請られるが・・・芝居はお手の物
③崖っぷち 8点 想いを寄せる男が結婚。その妻は不貞を働いている・・・アンソロジー「厭な物語」(文春文庫)のトップバッター
④クリスマスの冒険 5点 プディングからルビーが出てきた・・・「クリスマス・プディングの冒険」の短めヴァージョン
⑤孤独な神さま 6点 ラブロマンスもの。「夢の家」より断然好み。絵に描かれた想い人の表情がいい
⑥マン島の黄金 4点 観光客誘致のために書かれた宝探し懸賞小説
⑦壁の中 8点 画家の絵を決して褒めない女性・・・こんなプロットをよく思いつくものだなと感心
⑧バグダッドの大櫃の謎 8点 パーティの翌日、大櫃の中から死体が・・・「スペイン櫃の秘密」の短めヴァージョン
⑨光が消えぬかぎり 5点 再婚したところ、戦死したはずの前夫が現れて・・・
⑩クィン氏のティー・セット 4点 毒殺を阻止できるか・・・動機、方法、真相がイマイチ
⑪白木蓮の花 4点 駆け落ちをしようとしたら、夫の会社が倒産・・・心理がよく分からん(笑)
⑫愛犬の死 5点 愛犬と暮らすために結婚?・・・愛犬家の気持ちは分らん


No.1484 7点 死人の鏡
アガサ・クリスティー
(2022/01/03 18:06登録)
4編とも、よくあるプロットですが、初出は誰なのだろう?著者なのか?気になるところ
①厩舎街の殺人 7点 密室での自殺と思われたが、ピストルを持っていた手の逆側のこめかみに銃痕があった・・・
②謎の盗難事件 6点 居間に置いたばかりの重要な設計図が紛失した。窓から出る人の気配がしたというが、窓の外には足跡はなかった・・・
③死人の鏡 8点 密室でのピストル自殺?。頭蓋骨を通過した銃弾で鏡が割れていた。そうなると体の角度がおかしくないか?・・・長篇ならば、ある人物がレッド・へリングになるのは明らかですね。ラストはちょっぴりホロッとする
④砂にかかれた三角形 8点  二組の夫婦の間に三角関係が、そして殺人事件へ・・・ 著者らしい騙しのテクニック。してやられた(笑)


No.1483 6点 アメリカの友人
パトリシア・ハイスミス
(2021/12/25 09:19登録)
本作はシリーズ3作目ということである。やはりシリーズものは順番に読まないといけないと痛感。特に主人公・リプリーの殺人に関する考え方がどのように変化し、現在に至ったか不明のため、その行動にかなりの違和感があった。まあ、リプリーの謎の性格が魅力的であるともいえるのだが・・・


No.1482 7点 最後の楽園
服部まゆみ
(2021/12/16 18:47登録)
短編集「時のかたち」の収録作を含めた全十七篇を一冊にまとめたもの。
①時のかたち 7点 ②葡萄酒の色 6点 ③「怪奇クラブの殺人」 6点 ④桜 6点 
以上の4編は短編集「時のかたち」で書評済。
以下、ショートショートをのぞいた書評。
⑤骨 7点 画商は「女郎花」という絵に惚れた。画家が死亡し、その弔問時に部屋にあった「女郎花」を盗んでしまう。背を向けた女性が描かれているのだが、こちらを向いたような・・・
⑥雛 7点 画商は老女から女雛を買い取った。だが人形の顔が鬼女のように変わったのだ・・・
⑦髑髏指南 6点 金田一耕助登場。 耕助は京助教授と間違われ髑髏を預かる羽目に。なんとその中にダイヤが・・・
⑧松竹梅 8点 老いた金田一耕助登場。歌舞伎観劇中の殺人事件。アリバイは崩せるのか・・・
⑨最後の楽園 8点 題名とは裏腹にゾンビ登場・・・


No.1481 6点 ファンレター
折原一
(2021/12/07 16:40登録)
覆面作家の西村香を主人公としたユーモア系の連作短編
①覆面作家 7点 ファンの「みなみ」はついに西村に会うことに成功。西村は覆面をしたまま彼女をホテルに誘う。やがて結婚を申し込まれた彼女は・・・
②講演会の秘密 6点 図書館の司書・井上茂から西村に設立二十周年記念の講演依頼があった。断ったが覆面の女性が現れ西村香と名乗り講演を始めた・・・
③ファンレター 6点 西村香と同じマンションに住む西林薫。誤配されたファンレターを読んだ。送り主はミステリ作家を目指している女性で、その後も作品を送ってきた。西林は西村の名前で返事を出し酷評した。原稿は燃やしてしまったが彼女はそれを知り殺してやると・・・ 
④傾いた密室 5点 崖の上の傾いた屋敷で密室殺人。部屋全体が湿気っていた・・・
⑤二重誘拐 6点 西村を監禁し女は小説を書けという。女は誘拐犯のようだ・・・
⑥その男、凶暴につき 6点 女性ライターと現地集合での温泉ルポ。覆面の男が彼女の部屋に現れた。逃亡中の銀行強盗が温泉地に入り込んで・・・
⑦消失 7点 編集者が原稿を紛失。美女を付けるということでホテルで缶詰状態で書き直し。密室から西村が消えた・・・
⑧授賞式の夜 6点 日本ミステリ大賞の受賞式で余興で覆面をかぶった審査員4人に暴行を受ける西村・・・
⑨時の記憶 5点 記憶喪失の男は所持品から西村と思われるが・・・
⑩エピローグ 5点 西村の部屋で発見された男は75歳の老人だった・・・

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