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ミステリの祭典

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ぎろちん

作家 コーネル・ウールリッチ
出版日1961年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 蟷螂の斧
(2023/04/25 22:22登録)
①ぎろちん 7点 ギロチン台は20階段。死刑囚は13段目を避けて登った。そして死刑執行吏が到着しないことを祈った・・・朝食のビスケット 死刑執行吏の執念がすごい
②万年筆 6点 万年室に爆弾を仕掛け、自分を貶めた人物を殺害しようとするが・・・転々 岡本喜八監督「ああ爆弾」の原作となった
③天使の顔 7点 弟の冤罪を晴らそうとする姉は、真犯人のもとへ飛び込んだが・・・烙印 お得意のタイムリミットもの
④ワイルド・ビル・ヒカップ 4点 食事の内容によって狂暴になる男。発砲しまくり牢屋へ・・・妻の差し入れ 異色西部劇
⑤穴 7点 冤罪で死刑。真犯人を追う元刑事の執念・・・お前のぬけ穴は逃げるための抜け穴 組織ぐるみの隠蔽は昔も今も
⑥ストリッパー殺し(1941年) 8点 全身の金粉を落とすことができないで死亡したストリッパー。容疑者は夫だが、状況証拠ばかり・・・どんでん返し 「007ゴールドフィンガー」(1964)でも全身金粉を塗られ死亡。この都市伝説は本作が発祥?(笑)著者には珍しいどんでん返しでした。

No.1 6点 クリスティ再読
(2018/05/15 20:57登録)
ウールリッチの短編集って、創元は営業配慮でアイリッシュ名義だし、創元とハヤカワで出てる短編をごっちゃにして白亜書房から生誕100周年記念の高価い短編集はウールリッチだし...と、別名管理がちゃんとできない本サイトだと、ウールリッチとアイリッシュと同じ作品がバラバラに登録されるということも起きてるね。まあ仕方のないことなのだが。
でこの短編集は「ぎろちん」「万年筆」「天使の顔」「ワイルド・ビル・ヒカップ」「穴」「ストリッパー殺し」の6作を収録。こういう短編集があちらである、というものではなくて、訳者の稲葉明雄が自分で選んでいろいろな雑誌掲載用に訳したものを、ポケミスの1巻としてまとめたらしい。どの作品も結構読ませる。
だから、白亜書房版の別巻「非常階段」が、稲葉明雄名訳選として「別巻」扱いで編まれたこともあって「ぎろちん」「天使の顔」は「非常階段」で重複する。個人的な好みでもこの2作がポケミス「ぎろちん」でもツートップの出来のように感じるな。「天使の顔」は弟の死刑を回避するために真犯人のもとに潜入する姉の話。「天使の顔」はその姉の美人設定の形容。
表題作「ぎろちん」はねえ、評者とかだと「赤い花と死刑執行人」だなあ。昔そういうタイトルで子供向け翻訳があったんだよ。死刑確定の愛人を救うために「死刑執行人が執行日に来れなければ釈放」という特例を実現してやろうじゃないの、と策謀する情婦の話。死刑執行人の朝食のクッキーに毒を盛ったので、死刑執行人が体調不良を押して刑場へ向かう姿が息を飲ませる。子供向けだと「情婦」はマズいので、子供になってた記憶がある。けどこれ子供心にも妙なエロチシズムを感じて困ってたな。ギロチンって不思議とエロチックな刑具だと思う...
あとこの本、訳者は「稲葉由紀」になっていて、あとがきも女性として、ウールリッチへの愛を告げちゃっているけど、稲葉明雄訳なんだよね....(ぼそっ)女装訳。

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