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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2154件

プロフィール| 書評

No.194 7点 ベッドサイド・マーダーケース
佐藤友哉
(2014/09/10 16:42登録)
 これはミステリというよりはかなりSF寄りの話だが、叙述トリックによるメタ・ミステリとしても読める。第1部で随分な大ネタをかましてきたので、ここでこんなにやっちゃって残り半分大丈夫かと思ったら、第2部のラストで更に荒唐無稽なところまで転がったので感心した。 


No.193 7点 水底の棘
川瀬七緒
(2014/09/03 20:17登録)
 種々雑多なネタを惜しまずぶっこんでいる感じが小気味良い。ウミケムシ、画像検索してみた。うわぁ~……。


No.192 6点 乾いた屍体は蛆も湧かない
詠坂雄二
(2014/08/20 13:54登録)
強引な話ではある。しかし各キャラクターの心理的な整合性はそれなりに取れていると思うし、その強引さも含めてひとつのもやもやっとした世界を形作れている。読了後に改めて見ると、カヴァー・イラストとか作者コメントとか、メタな伏線が大盤振る舞いだ。懲りないひとだ。 


No.191 8点 半導体探偵マキナの未定義な冒険
森川智喜
(2014/08/15 15:37登録)
 法月綸太郎や麻耶雄嵩のように、きっとこの作者もミステリの成立条件について自覚的に考えながら作品を書いているのではないだろうか。その結果、ああいった大技ではなくて可愛らしいスキマを見つけ出した。
 所謂常識的な論理からの逸脱を“探偵ロボット”という小道具で見事に具現化している。謎を解くのではなく真相の見つけ方を問うという「coffee break」のアイデアも秀逸。一見軽い読み物だが、というか軽い読み物であることは間違いないのだが、論理展開はかなりのオリジナリティを誇ると思う。


No.190 8点 リップステイン
長沢樹
(2014/08/13 20:12登録)
 新本格マナーの青春ミステリとラノベ的伝奇アクション(というか滝本竜彦『ネガティヴハッピーチェーンソーエッジ』?)を混ぜて更に心の歪な大人達も絡ませて、ごちゃごちゃしつつも手綱は放さず捌き切った快作。適度な破綻を孕んだ幕引きも効果的。計算外の危険も承知でリミッター解除したのは美晴だけでなく作者もだ。拍手を送りたい。


No.189 7点 電氣人閒の虞
詠坂雄二
(2014/08/11 20:27登録)
出たがり作者……。

ところで、他の方の書評を読んで、あ~成程そういうことだったかと合点。


No.188 5点 渦巻く回廊の鎮魂曲(レクイエム)
風森章羽
(2014/08/11 20:27登録)
 色気に欠ける文章だなあと思いながら読んでいたが、ラストの“アンフェアな”展開を踏まえると変に情緒的でない書き方がそれはそれで効果的なのかなあと少し見直さないこともなかった。しかし、そういった探偵サイドの世界観の特異性と比して、発生する事件そのものはさほどでもなく、バランスが取れていない気がする。


No.187 5点 災厄
周木律
(2014/08/11 20:25登録)
 安生正『生存者ゼロ』のオルタナティヴといった感。真似だとは言わないし、思い切ったネタも面白いけど。西尾維新作品でも壊滅するし、四国は受難の地である。政治家や役人のキャラクターは典型的だし、主人公のプライヴェートな確執もあまり物語を深くする役目は果たせていない気がする。


No.186 6点 七色の毒
中山七里
(2014/08/06 14:26登録)
 時事ネタをすかさず採り上げた笑っちゃうほどフットワークが軽い短編集。いわゆるパズラーではなく、ひとつのポイントを軸にして情景がガラッとひっくり返る類のものだが、なにぶん短編で登場人物が限られているせいもあり、比較的展開が読み易かったのは否めない。
 唯一一人称で書かれた「黄色いリボン」には驚かされた。 
「紫の献花」の、血族・姻戚ではないひとを相手が知らぬ間に受取人にするというのは、いまどき流石に保険会社が認めないと思う。


No.185 8点 桃ノ木坂互助会
川瀬七緒
(2014/08/05 20:23登録)
 三人称で、作者側からの自分ツッコミを排して読者に突っ込ませる構成が、自覚無しにエスカレートしてゆく登場人物を巧みに浮き彫りにしていると思う。沙月にあっさりほだされた自分は甘いだろうか。


No.184 8点 追憶の夜想曲
中山七里
(2014/08/05 20:21登録)
 被告人が自分の人生を懸けてまで秘密を隠し通そうとするのは納得出来るし、そこまでのものを裁判では冷たく暴かねばならないのかと思う。しかし秘密のままでは他者にその重さは判らないしねえ。犯人の精神的なケアも出来ない。自殺しないか心配だ。

 ネタバレするが、ひとつ気になった点。死体をブルーシートに載せて浴室を掃除していたとき、亜季子は裸だったのか服を着ていたのか。明確に書かれていない気がするんだけど、私の見落とし? でもこれ重要でしょう?
 “真相”として説明されたように、殺人現場を発見して慌てて片付けを図ったなら、着衣のままでも心情的におかしくはない。
 しかし“検察側の主張?”のように、返り血対策に裸になってから被害者を刺したのに、掃除の時にはわざわざ服を着た(150ページ)というのは、ありえないとは言い切れないが、行動としてやや矛盾している。
 つまり、読み終えた後で思い返すと、“裸か着衣か”は事件前後の亜季子の心の動きを読み解く上で重要なように感じるのだが(勿論決定的な証拠になるようなものではないが)、その点を登場人物の誰も指摘しなかったのは作者の恣意的な省略のように感じるのだ。


No.183 4点 三人目の幽霊
大倉崇裕
(2014/07/30 11:11登録)
「不機嫌なソムリエ」は変だね。すり替えが成功すればコトは露見しないのだからアリバイは必要無い。アリバイ工作のせいですり替え作業に時間制限が生じたのでは本末転倒である。


No.182 7点 冬空トランス
長沢樹
(2014/07/28 20:12登録)
 要するに学園ハーレム小説を書きたいだけかっ? と一喝したくもなるが、それはそれでアリだな。脱ぎ魔の小和ちゃんをもっと乞う。
 この作者はどうも必要以上に描写が判りづらく、読者としてはどっち方向を向いて読めばよいか迷うところがある。叙述トリック的な要素もあるだろうが、“問題編”というか、具体的にどういう謎が提示されて、どの部分がポイントになっているか、をもう少し判り易く整理してくれると良いのだけど。
 例えば“水をどうにか処理しないと機材全滅”ということをもっと早く明言しておいたほうが、読者はより長い間、その謎を踏まえて読み進められるのだ。私の読解力の問題?


No.181 5点 偽恋愛小説家
森晶麿
(2014/07/24 18:22登録)
 これは自分にはちょっと合わなかったかな。皮肉が効いてて面白い部分もあったけど。

 第一話のハイヒールは再現VTRの中のものなので、手掛かりとしての信憑性が保証されてはいない。

 第二話。“異母兄妹”のところをさらっと流し過ぎ。妹が実父の身許を知っているということは、彼女は承知の上で兄と結婚しようとしたってことになる? 財産目当てなら、実父の娘だと名乗り出れば済むことでは。

 私は、“ひとは個人差があるだけで男女に本質的な差は無い”という意見なので、“女は誰も××××なものだ”といった類の文言には共感出来ない。恋愛絡みの文章に良く出て来るけど、本書にもちらほらと。


No.180 9点 満願
米澤穂信
(2014/07/22 11:02登録)
非常に粒揃いの短編集。そしてどの作品も後味が悪い、というところが素晴らしい。
 “漢字表記の名詞ひとつ”という形で統一されたタイトルが、ネタを真ん中にドンと出してこれでどうだ! という感じで効果的。収録にあたって改題したものがあるから、この漢字だけの目次は意図されたものだろう。 

 敢て突っ込むなら、「関守」のラストで発生する人違いに根拠というか伏線が欠けているのでは。あそこだけ唐突に感じた。


No.179 6点 ドラゴンフライ
河合莞爾
(2014/07/17 14:21登録)
色々工夫しているのは判るが、どうも不自然な感じが拭えない。事件の全体像も、その露見の仕方も。警察の捜査体制にしてもえらく自由にそして偏って動いているなと。
 ただし、自分が幾つものレッド・へリングにひっかかって振り回されたことは申告しておきます。

 それはともかく、時の流れを実感したな~。自分の場合、“時効が成立した殺人”といえば、戦後の混乱期とか高度成長期とかに発生した事件、という印象だが、本作では(というか現実では)'90年代初頭、携帯電話も普及し始めた頃の事件がもう時効。ポケベルについてもいちいち説明が必要なんだね……。


No.178 6点 屍の園
篠田真由美
(2014/07/16 20:17登録)
面白かったことは確かだが、桜井京介シリーズである必然性が希薄、と感じた。あの大きなシリーズを背景に持つことで幾らかの厚みが加わるプラスは確かにあるが、愛読者としては一度きちんときれいに完結したシリーズを引っぱり出すことに対する心情的なマイナスというのもあり、合わせるとマイナスのほうが若干強いかなと。
 せっかくの新作に古いラベルを貼るのはもういいよ、というのが正直な気持。


No.177 6点 上石神井さよならレボリューション
長沢樹
(2014/07/07 12:08登録)
あまりにあざといキャラクター群、ではあるが、これが楽しめないようなつまらない大人にはなりたくない。


No.176 8点 そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
(2014/07/02 20:13登録)
 20年ぶりくらいに再読。おおまかな流れは覚えていたけれど、しっかり楽しめた。
 気になったのは、彼等の“罪状”である。私見を述べると、少なくともミス・ブレント(使用人を解雇しただけでしょう?)、マッカーサー将軍(私情を挿んだのは褒められたことではないが、戦争中であり誰かが死を覚悟で危険な任務に就かねばならなかったのでは)、マーストン(彼の事例はあくまで事故。道徳心に乏しいという理由で罰を上乗せするのが公正だとは言いがたい)を死刑に値すると見做すのは厳し過ぎる、と思う。他の者もそんな極悪人揃いというわけではないし。


No.175 7点 萩原重化学工業連続殺人事件
浦賀和宏
(2014/06/30 10:43登録)
本作の中核をなす大ネタのひとつ(祥子の運用法)には、実は複数の先行例がある。私は少なくとも4つ知っている。パクりだということではないよ。ただ、本作を最初に読んだなら、その衝撃はいかほどのものだったか、と思うと残念。まあ、そこ以外にもポイントならいくつもあって、分厚いのは決して虚仮威しではない。しかしやはり張り込み中にキスはいかんね。

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