萩原重化学工業連続殺人事件 萩原重化学工業シリーズ/改題『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』 |
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作家 | 浦賀和宏 |
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出版日 | 2009年06月 |
平均点 | 7.75点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 8点 | じきる | |
(2021/04/15 02:26登録) 浦賀作品の中でも、当サイトでの評価が高いので拝読。凄まじい怪作です。 たしかにぶっ飛んだ作品ですが、この作者独特な世界観の中という意味でなら、ミステリとしてインパクトを与えながらの解決をこれでもかと見せつけてくれます。浦賀和宏氏渾身の力作でしょう。 |
No.3 | 7点 | 人並由真 | |
(2020/06/26 06:17登録) (ネタバレなし) それでは浦賀先生追悼の意も込めて、メルカトルさんお勧めの本作を読了。 なお評者は幻冬舎文庫の『HEAVEN』版で読みました。 悪夢としか思えない<被害者が(中略)の謎>は、とてもマトモな解決でおわるはずがない。こりゃさぞやぶっとんだ真相になるだろうと思っていたので、はたしてそっちの方向の大ネタの登場で、驚くというよりは納得した。 ちなみに本気で驚きたいのなら、文庫版の解説は読み終わるまで見ない方がいい。さらに誠にもって申し訳ないですが、メルカトルさんのレビューも途中のところがちょっとネタバレ(汗)。 どうせフィクションだから<こういう方向で>何やってもいい……とは思う。そう了解するのなら、イカれた世界観そのもので、劇中で起きた事件のロジックを説得にかかるような作りは、結構好みではあった。 ただしサブメイン的なもうひとつの大ネタの方は、さすがに途中で気がついちゃうよね。まあこれにしても、大枠は読者に気づかれちゃうだろうことを作者も予見し、真相がくっきりしたあとで、前もって伏線を張っておいた小技の方で得点を稼いでいる感じ。 ただなんにしろ、やはりコレ単発で読むよりも、もうちょっと浦賀作品に慣れ親しんだ方が楽しめそうです。特に終盤に明らかになる、2つの固有名詞のあたり。これって他の浦賀作品サーガとのリンクなんですよね? (その上で、メルカトルさんが本サイトの掲示板でおっしゃった、それでも読む順番には留意して、というアドバイスが意味を持つ訳ですが。) 総体的には面白かった、というよりは、読んで良かった、楽しめたという感じの一冊。 しかしこれが2009年の作品(講談社ノベルズの元版)か。この5年後にあの白井智之のデビューというのが、何気に新本格円熟期における時の推移という印象ですね。 評点は0.5点くらいオマケ。 |
No.2 | 9点 | メルカトル | |
(2018/05/19 23:29登録) 「脳」を失った死体が語る、密室の不可能犯罪!双子の兄弟、零と一の前に現れた、不死身の少女・祥子と、何もかもを見通す謎の家政婦。彼らが信じていた世界は、事件に巻き込まれる内に音を立てて崩壊していき…。脳のない死体の意味とは!?世界を俯瞰する謎の男女と、すべての事件の鍵を握る“萩原重化学工業”の正体とは!?浦賀和宏の最高傑作ミステリが世界の常識を打ち破る。 以上、私の下手な説明より簡潔にまとめられた「BOOK」データベースのほうがすっきり分かりやすいので引用しました。尚これは講談社ノベルズ版のものであり、今回私が読んだのは幻冬舎文庫より刊行された『HEAVEN』で、かなり縮尺されていますので、若干内容的に変化があるのかもしれません。 最高傑作かどうか全作読んでいるわけではないので何とも言えませんが、とにかく謎だらけで、頭の中が?でいっぱいになります。そして読んでいる途中から、これは超本格ミステリ(多分)なので、一般で言うところの解決はとても望めないと不安になりました。しかしながら、SF的趣向を交えながらも何とかギリギリ納得のいく真相が得られます。ただし、いくつかの謎を残していて、それは続編の『女王暗殺』に委ねられているようです。 「世界の常識を打ち破る」というより、常識など通用しない作品が正解じゃないでしょうかね。良く言えば破格の超絶ミステリ、悪く言えば何でもアリの複雑系、いずれにしても浦賀氏自身が「この小説を書くために生まれてきました」と言っているように、稀有な怪作、力作なのは間違いないと思います。 途中、警察の捜査の杜撰さ(○○に隠れていたのを発見できず)や、あまりにも発想が突飛すぎるなど、気になる点もありましたが、凝りに凝った規格外の本格ミステリだと個人的には感じました。 余談ですが、ノベルズ版の装丁が物々しくいかがわしい雰囲気で好きだったのですが、読後あまり作品の意にそぐわないように思いました。その意味では残念ながら期待を裏切られた気分です。 |
No.1 | 7点 | 虫暮部 | |
(2014/06/30 10:43登録) 本作の中核をなす大ネタのひとつ(祥子の運用法)には、実は複数の先行例がある。私は少なくとも4つ知っている。パクりだということではないよ。ただ、本作を最初に読んだなら、その衝撃はいかほどのものだったか、と思うと残念。まあ、そこ以外にもポイントならいくつもあって、分厚いのは決して虚仮威しではない。しかしやはり張り込み中にキスはいかんね。 |