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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2149件

プロフィール| 書評

No.549 3点 秘密機関
アガサ・クリスティー
(2019/05/01 12:49登録)
 作品としてのポテンシャルが低いので本気で読むとアラが目立ってしまうような。トミーとタペンスは若気の至り全開で意外に軽佻浮薄なキャラクター。場当たり的に感じられるストーリー展開がメタ的に面白くはあった。


No.548 7点 余物語
西尾維新
(2019/04/23 13:56登録)
 怪異アリの世界観に於けるそれなりにロジカルなミステリ2編。『少女不十分』にも通じる結構ヘヴィなネタを、しかし本格ホラーの文法ではなく軽妙なキャラクター小説にまとめている(勿体無い?)。斧乃木ちゃんの罵倒も3割増。チラチラ見えるだけの食飼命日子というキャラの使い方は、じらしプレイ?


No.547 6点 刑事の墓場
首藤瓜於
(2019/04/19 11:34登録)
 正統的警察小説はあまり肌に合わないが、こういう“落ちこぼれ系”は割とアリだ。
 気になった点。CGによる写実的過ぎる似顔絵は、本来大雑把な人間の映像記憶に対して逆にイメージを限定してしまうので、犯罪捜査には有効ではない――という話も読んだことがあるのだが……?


No.546 8点 魔眼の匣の殺人
今村昌弘
(2019/04/16 11:54登録)
 正直、『屍人荘の殺人』は単発の打ち上げ花火だと思っていた。変な話を思い付いた人が偶然それなりの筆力も有していたという印象で、一作品としては面白かったものの、それが次回作の品質や作家としての存在意義を保証するとまでは評価出来なかったのだ。その点、作者に謝らなくては。超常現象アリの世界観によるロジックは見事。文章が無難、ではあるが、そういう部分で引っ張る読ませ方は意図していないのだろう。
 ヒルコという名をついエビスと読んでしまうのが困ったところ。


No.545 3点 人形はなぜ殺される
高木彬光
(2019/04/09 13:15登録)
 何か変だ。
 ネタバレしつつ書くが、人形を使ったアリバイ工作をする必要なんてあったのか? アリバイ工作とは、その人を殺せば自分が疑われる前提で、でもアリバイがあるから無理ですよ、というものだろう。第一幕に於いて、この犯人はほとんど表舞台に出ていないのだから、そのポジションを維持したほうが得策なのに、わざわざ事件の渦中にしゃしゃり出て関係者リストに名を連ねる心情は如何に。
 しかもその行為、最悪の場合は列車を転覆させるから犯人も命懸けだ。割に合うのか?
 そういう不自然さを補えるほどのドラマ性も無く、上手く肉付けし損ねた骨をそっと出された気分。


No.544 8点 脳男
首藤瓜於
(2019/04/03 11:38登録)
 これは面白いキャラクター小説だ。難しそうなテーマを現代医学の視点でもっともらしく血肉化することに成功していると思う。医師も警部もちょっと鈍いんじゃないのと感じたところはあるが、読者に解説をする方便としてそういう会話は必要なのだろう。
 どうしても宣伝文句では鈴木一郎の特性が売りになってしまうから、ネタバレの上で読む羽目になるのが痛し痒し。それだけならまだしも、ストーリー後半過ぎの事柄まで粗筋で明かすのはあんまりだ。


No.543 4点 RPGスクール
早坂吝
(2019/04/02 11:25登録)
 こういう軽めの作風でも上手下手というのは確かにあって、本書はあまり流れが頭に入って来なかった。それともRPGをやったことがないので反応すべきネタを素通りしちゃったのだろうか。とはいえ結末でいきなりミステリ化して繰り出されるロジックは悪くない。あのひとが殺されるのは結構意外な展開だから粗筋でバラさないほうがいいなぁ。ところで制服のまま空中浮遊させたら下から丸見えですよん。


No.542 7点 ブラジル蝶の謎
有栖川有栖
(2019/04/01 11:07登録)
 「妄想日記」。アレが結局ダミーだなんてがっかり。期待してたのにぃ。
 「人喰いの滝」。随分と手間暇のかかりそうなトリック。何故死体を滝に喰わせなかったのか。行方不明扱いで済みそうな気がするけど。
 国の名を冠した短編がひとつしか収められていないのに本そのものを〈国名シリーズ〉と銘打つのは誇大広告では? そもそも、どんなモノであれどこかの国で生まれてはいるわけで、タイトルの共通性だけでそう呼ぶのは恣意的というか、かなり実体の無いシリーズだと思う。特別に描写が克明だと言うことでもないし。


No.541 5点 千年図書館
北山猛邦
(2019/03/28 12:54登録)
 “全てはラストで覆る”と予告されると意識的にも無意識的にもそういう読み方をしてしまうから、どんでん返しはもはやどんでん返しではなくなってしまうのである。ラストへ読み急がせるその手の謳い文句はそもそも如何なものかと思うのだが、のみならず本書に収録された作品群が必ずしもそのように結末に向けて収斂して行くタイプのものだとは思えない。表題作や「終末硝子」の世界設定、「今夜の月はしましま模様?」のキャラクター等、非常に魅力的で、読み終えたくない、少しでも長くその場に留まりたいと願ってしまった。かねがね各出版社にはそうやって結末を強調するような売り方は控えるよう要請しているのだが……。
 最後の話のラスト、いまひとつ筋が通っていないと私も思います。


No.540 7点 毒よりもなお
森晶麿
(2019/03/26 12:20登録)
 首絞めヒロのキャラクター設定も良いが、何よりも、語り手が周囲の心情を顧みず手前勝手に詮索して何の反省もしない様子について、傍迷惑な奴だな~と思いつつ共感出来ないまま読み進められる痛い書きっぷりが見事。
 で、八合目までは文句無しだったのだが……結末で示される“意外な設定”は要らなかったんじゃないか。期待通りの形でしっかり締めれば充分なのに蛇足を付けちゃった感じ。
 パクりだという意味ではないが、Y氏の某作と設定に共通点があり、雰囲気としても似通った印象を受けた。


No.539 6点 だから殺せなかった
一本木透
(2019/03/25 11:06登録)
 第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
 “血液型信仰”の強い日本で、大学生になるまでそのことに気付かない、また両親も息子がそれにずっと気付かないことを期待する、というのは違和感アリ。
 解決編は、犯人がいらんことをしてそのせいで正体が露見した、という印象が強い。作者が話をまとめる為にミスをさせた、という感じ。犯人像としても、いまひとつピッタリ嵌った感じはしない(そのギャップが狙いかとも思うが、それでも尚)。
 ひとつの大きな塊としては悪くないが、枝葉にもっと工夫の余地があったと思う。


No.538 6点 毒草師 七夕の雨闇
高田崇史
(2019/03/20 11:17登録)
 ①薀蓄アレコレ②特異な価値観で生きる登場人物の描写③事件の経過とその謎解き、の三要素にそれぞれ相応の頁を割く必要があるはずなんだけど、一冊分の長さはそれには足りない。で、①を優先して②は“そういう設定なんです!”で押し切り③はサラッと表層的に話を進める。と言うのがこの人の作品に共通の傾向だと思う。薀蓄が面白いからまぁ良いのだけれど、殺人事件が単なるオマケに感じられてしまう嫌いがある。
 本作について言えば、“解毒斎”のメカニズムが未詳なので“なぜ彼が死んだのか”という謎が全然面白くならなかった、のが勿体無い。


No.537 8点 レーン最後の事件
エラリイ・クイーン
(2019/03/18 10:58登録)
 リアルタイムの読者は、本書が刊行された時、XYZ三部作かと思ったらまだあったんかい!? と突っ込んだのではないだろうか。

 必要以上に謎めいた行動をするキャラクターが目に付いて、心情的には充分納得出来たとは言えない。しかし(トリックやロジックではなく)ストーリーと言う点では、四部作の中で一番面白い。

 ところで何故ドルリー・レーンものの作者名はバーナビー・ロスからエラリー・クイーンに変わってしまったのだろう。複数のペンネームを持つ作家など珍しくないのに。どんな事情にせよ、野暮なことだなあと思う。


No.536 8点 混物語
西尾維新
(2019/03/08 12:07登録)
 西尾維新の諸々のシリーズのヒロインと阿良々木暦が作品世界を越境して出会うと言う、ファンの為のお楽しみ企画だが、存外にミステリ度が高い。概ねはデフォルメされた世界観に準拠したバカミスだが、私の見たところ全15編中4編はちゃんとしたミステリにも転用可能。勿論メインはキャラクターの絡みなんだけどねっ!


No.535 6点 因業探偵 リターンズ 新藤礼都の冒険
小林泰三
(2019/03/04 12:30登録)
 謎解き要素はあまりないけど丁々発止の会話劇が楽しい。この作者の定番ネタが幾つも出て来るが、そういう時に“またか”と感じる作家と“待ってました”と感じる作家がいて、小林泰三は明らかに後者。得だね。


No.534 6点 ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~
三上延
(2019/03/04 12:28登録)
 必然性があって完結させたシリーズだけど結局捨てられなかったか、世知辛いなぁ、と思って読み始めたが、番外編としては上出来。


No.533 7点 Zの悲劇
エラリイ・クイーン
(2019/03/04 12:26登録)
 初めて読んだ時は10代前半。本書のおかげで patience という英単語を覚えた。
 ドルリー・レーン達は、証人の立会いなしに監房で被告に実験を仕掛けて証拠をひとつ駄目にしているが、最終幕直前に某の証言を得る際も同じ失敗をしていないか。作中では誰も問題視していないけど。
 第二の殺人、強請る相手を殺しちゃったら元も子もないだろうに。
 サム元警視は何度も身分詐称している。

 気になるので書いてしまいます。クリスティ再読さんの評の「医者ならば聴診器を使うはずだ」のくだりですが、現場の状況から“聴診器を使わなかった”と判断するのは困難。かといって“医者ならば脈で死亡確認はしないはず”という理屈はちょっと微妙。〝医者ならば聴診器を使わねばならない”と言う必然はなく、裏をかいて“医者があえて聴診器を使わない”という可能性もある。やはり最後の証言は必要だと思います。


No.532 7点 人外サーカス
小林泰三
(2019/02/01 12:02登録)
 版元は“サバイバル・ミステリ”と謳っており、確かに伏線があり種明かしもあるが、そこまで謎解き要素が強いわけではない。殺し合いに関する工夫を楽しむ作品であり、能力が高い&なかなか死なないキャラクターだから色々と無茶な殺し方が出来て小林泰三の本領が遺憾なく発揮されている。しろがねもびっくり、徳さんの仕掛けた罠に拍手!


No.531 8点 幽霊刑事
有栖川有栖
(2019/01/29 12:02登録)
 ミステリの面白さとはちょっと違う気もするが、変化球ゆえに作者のミステリ以外の部分の良さが上手く出ているのでは。
 早川が目隠しして口寄せすれば幽霊的な何者かの存在はほぼ証明出来る? ただ、証明したからそれで良しと言うものでもないしね。


No.530 8点 Yの悲劇
エラリイ・クイーン
(2019/01/24 11:23登録)
 1932年、EQは『ギリシア棺の秘密』『エジプト十字架の秘密』『Xの悲劇』という、パズラーのスタイルを規定するような端正な傑作群を発表し、同時にそのスタイルがまさに“スタイル”であることを逆手に取ったような或る意味セルフパロディの如き本書も上梓。あたかも右手で穴を掘りながら左手で埋めるような自由自在な自己対象化スタンスは驚嘆に値する。実はエラリー・クイーンって二人いたんじゃないの?

 第一幕第二場、“次は百合の花が凶器になるでしょうよ”って何。英語の慣用表現、それとも単なる意味無しジョーク?

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