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ミステリの祭典

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だから殺せなかった

作家 一本木透
出版日2019年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 HORNET
(2019/09/25 21:21登録)
 第27回鮎川哲也賞最優秀賞受賞作。
 首都圏で殺人事件が連続して起こった。一見関連のないそれぞれ関係がないように見えた事件だったが、現場に残されたたばこの吸い殻から同一のDNAが検出され、同一犯による連続殺人事件とみなされる。そんな折、太陽新聞の記者・一本木透のもとに「ワクチン」と名乗る者から犯行声明と挑戦状が届く。「おれの殺人を言葉で止めて見ろ―」。一本木は、新聞紙面上で「ワクチン」とやりとりをしながら、独自で事件について調べ始める―

 主人公・一本木の秘めた過去、メディアを賑わす不倫教授、母親と死に別れた青年と、複数のストーリーが進行していく上で、最後にそれが絡み合って真相に。伏線の張り方が分かりやすいが、候補も多いという点で期待感は持続される。一つ一つのストーリーもそれぞれに読み応えがあり、だれることなくラストまで読み続けられた。
 やや行き過ぎな偶然性はあるものの、物語の楽しさを作るためと目をつむってもよいレベルだと自分は思えた。
 次作以降もとりあえずはチェックしたいと思えた。

No.1 6点 虫暮部
(2019/03/25 11:06登録)
 第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
 “血液型信仰”の強い日本で、大学生になるまでそのことに気付かない、また両親も息子がそれにずっと気付かないことを期待する、というのは違和感アリ。
 解決編は、犯人がいらんことをしてそのせいで正体が露見した、という印象が強い。作者が話をまとめる為にミスをさせた、という感じ。犯人像としても、いまひとつピッタリ嵌った感じはしない(そのギャップが狙いかとも思うが、それでも尚)。
 ひとつの大きな塊としては悪くないが、枝葉にもっと工夫の余地があったと思う。

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