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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:2432件

プロフィール| 書評

No.352 7点 下水道
角田喜久雄
(2010/05/23 16:37登録)
戦前に発表されたミステリ短編集。
怪奇・幻想もの、ユーモアものから本格編まで多彩な作品が揃っていて楽しめました。
特筆すべきは、文章が洗練されていて非常に読みやすいということ。元本が昭和11年の初版とはとても思えない。
編中の私的ベストは、世評的にも傑作と言われている「発狂」。圧倒的迫力でミステリ的趣向も凝らされています。準ベストは表題作の「下水道」でしょうか。


No.351 6点 天城一の密室犯罪学教程
天城一
(2010/05/23 16:18登録)
古い密室ミステリのアンソロジーには必ずと言っていいほど登場する著者の短編選集の第1巻。
クセのある文体と極端に省略の多いプロットで、よほどの本格マニアでないと読むのに苦痛を感じると思います。
収録作のなかでは、シリーズ探偵の一人・摩耶ものが優れているように思いますが、それらはほとんど以前アンソロジーで読んだものばかりでした。
個人的ベストは「高天原の犯罪」で、宗教儀式とチェスタトン的密室トリックが巧く結びついています。


No.350 4点 青の殺人
エラリイ・クイーン
(2010/05/23 15:48登録)
通俗ハードボイルド風の犯人当て長編ミステリ。
失踪した謎の映画監督とそれを追求する映画プロデューサー殺しがメインのプロットですが、伏線があからさまで映画監督の正体がミエミエな所など、あまり上質なフーダニットではありません。
クイーン名義で出版されていますが、そのテイストは全く感じられませんでした。


No.349 4点 コンピューター404の殺人
エドワード・D・ホック
(2010/05/23 15:34登録)
近未来の高度情報社会を背景にしたコンピューター検察局シリーズ第2弾。
大統領選挙集票マシンへの陰謀犯と反コンピューター過激派組織との三つ巴戦に殺人が絡む通俗ミステリですが、SF設定がほとんど活かされていない点とプロットに捻りがないのが不満。


No.348 6点 大鴉殺人事件
エドワード・D・ホック
(2010/05/23 15:21登録)
ホックの長編ミステリ・デビュー作。
アメリカ探偵作家クラブのパーティでの殺人を扱っていて、多くのミステリ作家が実名で出てくるのが楽しい。被害者が陶器の大鴉像を粉砕してダイイングメッセージを提示するが、、探偵役がエラリー・クイーン(F・ダネイ)に解釈のアドバイスを仰ぐ所はニヤリとさせてくれます。
プロットはやや通俗的ですが、犯人当てミステリとしてまずまずの佳作だと思います。


No.347 6点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅵ
エドワード・D・ホック
(2010/05/22 17:58登録)
本格パズラー短編集の最終第6弾。
サム医師の昔語りも最終章を迎える。戦争の影が濃く、プライベートでも大きな出来事がある今作です。
さすがにこの時期の作品は、トリックの趣向として優れたものはありませんが、「自殺者が好む別荘の謎」などは、ある趣向がニヤリとさせてくれる印象に残る作品でした。
シリーズ全作を通して言うと、人物造形や物語性などはともかくとして、これだけ不可能トリックにこだわった短編集は稀有で、その創作姿勢を高く評価したいと思います。


No.346 6点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅴ
エドワード・D・ホック
(2010/05/22 17:43登録)
本格パズラー短編集の第5弾。
看護婦のエイプリルが復帰し、女性獣医アナベルが登場して重要な役割を果たします。
各編トリックは分かりやすいものが多い様に感じましたが、「奇蹟を起こす水瓶の謎」の毒殺トリックがまずまずでしょうか。
ボーナス・トラックは「レオポルド警部の密室」ですが、同シリーズの他の未訳作品にしてほしかった。


No.345 7点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅳ
エドワード・D・ホック
(2010/05/22 17:33登録)
本格パズラー短編集の第4弾。
看護婦のエイプリルに変わって一時的にメリー・ベストが登場します。
収録作では、「革服の男の謎」が抜群の私的ベスト。サム医師が知り合った男が突然消失し、目撃者である町の人々全員がその存在を否定するという不可思議性が非常に魅力的。ほかでは、「要塞と化した農家の謎」が久々の密室トリックものの秀作でした。
今作には、西部探偵ベン・スノウものが2作収録されているのも嬉しい。サム医師との共演「呪われたティビーの謎」と「フロンティア・ストリート」が読めたのは収穫。


No.344 6点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅲ
エドワード・D・ホック
(2010/05/22 17:15登録)
本格パズラー短編集の第3弾。
ガチガチの本格ミステリを12編続けて読むと、さすがに疲れます。独創的トリックがそうそう案出できる訳もありませんので、過去のヴァリエーションになりますが、既読感を覚えるものもありました。
なかでは、「干し草に埋もれた死体の謎」が伏線の巧妙さで編中のベストでしょうか。
ボーナス・トラックは非シリーズもの「ナイルの猫」。これは動機が意表をつくホワイダニットの秀作でした。


No.343 7点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅱ
エドワード・D・ホック
(2010/05/22 17:02登録)
本格パズラー短編集の第2弾。
今作も不可能トリックがてんこもりです。個人的ベストは、レンズ保安官の結婚式会場の密室殺人を扱った「八角形の部屋の謎」です。この作品は全体のプロットにも面白い仕掛けがあり楽しめました。
ボーナス・トラックはレオポルド警部ものの「長方形の部屋」で、これはホワイダニットの傑作です。


No.342 8点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ
エドワード・D・ホック
(2010/05/22 16:48登録)
隠退したホーソーン医師が、過去に携わった事件を訪問客を相手に回想する形態をとっていて、シリーズほとんどが不可能犯罪を扱っている非常にパズラー志向の高い短編集です。
第1話の「有蓋橋の謎」はあちこちのアンソロジーに収録されていて、最初に読んだ当シリーズの短編なので思い入れが強い作品です。ほかでは、「十六号独房の謎」がフットレルの名作に挑戦した脱出トリックもの、「古い樫の木の謎」は空中スタントマン飛行士の不可能殺人で印象に残りました。
ボーナス・トラックの非シリーズもの「長い墜落」も秀作です。


No.341 5点 ミステリー歳時記
評論・エッセイ
(2010/05/22 16:13登録)
海外ミステリガイド風のエッセイ集。著者は小泉喜美子。
1980年代初めの翻訳ミステリを毎月数冊紹介していて、新刊を評論する中で、チャンドラーやウールリッチへの敬愛ぶりが随所に覗えます。
本格ミステリぎらいで知られる著者ですが、S=A・ステーマンなどは評価していて、要するに魅力的な謎、洒落た会話、独創的なプロットなどがあれば、本格であろうが、ハードボイルドであろうが関係ないというスタンスの様です。ダメな本格としてヤリ玉に挙がっているのは、ジャックマール&セネカル「11人目の小さなインデアン」で、なんとなく分かります。
著者が翻訳したP・D・ジェイムスの初期作3冊についても触れられていますが、プロット上の気に食わない所はダメだししている点は好感が持てます。


No.340 6点 読まずに死ねるか!
事典・ガイド
(2010/05/22 15:38登録)
月刊PLAYBOYに連載された冒険小説を中心にしたエッセイ風のオモシロ本ガイド、シリーズ第1弾。
著者は内藤陳氏。

1978年から83年の5年間の読書日記が中心で、当時ブレイク中のデズモンド・バグリイやジャック・ヒギンズの新刊への過剰な敬愛ぶりがスゴイのひと言です。
初読当時は、ナンデモカンデモ褒めちぎりで評価に関して客観性に疑問符がありましたが、今再読してみると、マクリーンの後期作のひどさを嘆いているなど、意外とそうでもなかった。
当時このジャンルの読書ガイドはあまりなかったので重宝しました。たしか、バー=ゾウハーを知ったのもこの本だった。国内では、志水辰夫、船戸与一がデビューした直後でした。


No.339 5点 コンピューター検察局
エドワード・D・ホック
(2010/05/21 21:53登録)
21世紀半ばのカナダ・アメリカ合衆国を舞台にしたSFミステリ長編で、3作あるシリーズの第1弾。
物体高速移転装置の発明者殺しをめぐる端正な本格編で、コンピュータ信仰がはびこる世界ゆえに、装置のある秘密が巧妙なミスディレクションになってますが、物語そのものはあまり面白くありませんでした。


No.338 6点 こちら殺人課!
エドワード・D・ホック
(2010/05/21 21:39登録)
レオポルド警部もの8編を収めたミステリ短編集。
観覧車からの人間消失トリック「ヴェルマが消えた」と、絞殺死体が車を運転するという「不可能犯罪」は、ともに謎の不可解性が魅力的な作品。
「港の死」はクリスティ某作のヴァリエーションですが、シリーズものの特性を生かしたプロットが秀逸で編中の私的ベスト。
当シリーズは時系列があるため、出来ればホーソーン医師シリーズ同様に、第1作から順に出してもらいたいものです。


No.337 7点 密室への招待
エドワード・D・ホック
(2010/05/21 20:51登録)
自身の作品の中から不可能犯罪ものを集めた短編集で、「ホックと13人の仲間たち」ほどではありませんが、いくつかの探偵キャラが出てくるので楽しめました。
「レオポルド警部の密室」は、密室トリックの他に仕掛けがあり、無難にまとめた佳作。
「壁を通り抜けたスパイ」はジェフリー・ランドもの。厳重監視下の書類盗難のトリックがよく考えられている。
「魔法の弾丸」は秘密諜報員ハリー・ボンダーもの。移動中の車内の射殺を扱っていて不可能性が高いのが魅力的。
ほかに、オカルト探偵もの、インターポールものなどが収録されています。


No.336 6点 ホシは誰だ?
アンソロジー(出版社編)
(2010/05/21 20:19登録)
ちょうど30年前の昭和55年に編まれた犯人当てミステリの競作アンソロジーで16編収録。
当時の本格系作家オールキャストといっていい執筆陣ですが、各問題編が15ページほどなので、ものたりない感じもします。
陳舜臣「新・黄色い部屋」は、手掛かりが面白いが犯人当てとしては簡単すぎる。都筑道夫「夢の完全犯罪」はSFの設定自体が仕掛けになっていて巧い。島田一男「執念の島」はアリバイ&殺人トリックが凝っている。飛鳥高「分け前」は犯人絞り込みのロジックが良。鮎川哲也の鯉川先生ものはユーモアミステリとしは合格点。
菊村到「追悼パーティ」は犯人当てミステリとしては掟破りですが、その分一番意外性がある。
その他、三好徹、結城昌治、笹沢左保、戸板康二、海渡英祐、佐野洋など、それぞれの持ち味が出た作風で楽しめました。


No.335 4点 綺想宮殺人事件
芦辺拓
(2010/05/21 18:59登録)
琵琶湖のほとりに建つ「パノラマ島」を彷彿とさせる建築群内での見立て風の連続殺人を扱っています。
登場人物のセリフ「ああ、もーう退屈っ。何なのよ、この蘊蓄合戦は!」が、そのままこの小説の読後感想です。
古今東西の科学、数学、文学、歴史、芸術などあらゆる分野の奇説・珍説の蘊蓄&ペダントリーが、探偵のみならず複数の登場人物から発せられ、この衒学趣向に辟易しました。それが伏線だとしても、真相に繋げられる読者はいないでしょう。
最後のメタ的オマケもなんだかなぁという感じでした。


No.334 5点 密室の奇術師 本格推理展覧会①
アンソロジー(国内編集者)
(2010/05/20 20:55登録)
密室ミステリ・アンソロジー。これも山前譲が編集。
やはり地味なラインナップで、既読作品も多かったですが、一部レアな作品を入れている点は好印象。
有栖川有栖の「死ぬ時はひとり」は山伏地蔵坊もの、天城一、飛鳥高、土屋隆夫、井沢元彦なども作者の短編集で既読。
収穫は藤村正太「残雪」と笠原卓「瀕死の密室」。出来はともかく珍品の部類に入る作品でしょう。


No.333 5点 真夜中の密室 密室殺人傑作選
アンソロジー(国内編集者)
(2010/05/20 20:39登録)
密室ミステリ・アンソロジー。編者は山前譲。
後発の密室ミステリ作品集なのでどうしても地味なラインナップにならざるを得ないですね。
泡坂妻夫「ナチ式健脳法」、山村美紗のミス・キャサリンもの「呪われた密室」、高木彬光の近松検事もの「影の男」、天城一「むだ騒ぎ」、鮎川哲也の星影もの「妖塔記」(改稿前版)などは、各作家の短編集で既読。
中町信「動く密室」は著者唯一の短編集「Sの悲劇」収録ですが、入手難なのでレアかもしれません。

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