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ミステリの祭典

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サム・ホーソーンの事件簿Ⅴ

作家 エドワード・D・ホック
出版日2007年06月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 ボナンザ
(2020/07/26 16:13登録)
洗練されてきたからか、これまでのシリーズ以上に楽しめた。

No.2 7点 E-BANKER
(2014/05/05 20:59登録)
不可能犯罪テーマの作品集といえばコレというべきシリーズの第五弾。
シリーズ開始当時は青年医師だったサムも気付けばすでに40代半ばのいい中年に(しかも独身)・・・。
今回は、ドイツが英仏との戦争に突入し、アメリカの片田舎ノースモントにも戦争の影が近づきつつある・・・という設定が各作品に微妙な影響を与えています。

①「消えたロードハウスの謎」=ある建物が忽然と消失してしまう謎、というとクイーンの「神の灯」あたりが有名だが、本作はそこまで凝った(?)仕掛けではない。要はどういうふうに誤認させるかという問題。
②「田舎道に立つ郵便受けの謎」=配達人が入れたにもかかわらず、その郵便物が消えてしまうといういわく付きのポスト。そして、あろうことか今度は郵便物を取ろうとした家主が爆死してしまうという不可思議な事件が! からくり自体は大したことはないのだが・・・
③「混み合った墓地の謎」=作中にクイーンの名作「ギリシア棺の謎」が引き合いに出されるなど、死者が入れるはずのない古い棺の中から発見されたという謎が本編のテーマ。謎は相当魅力的だが、果たしてこのトリックは成功するのかという疑問は生じる。
④「巨大ミミズクの謎」=胸を押し潰され圧死させられた死体と、そのそばに落ちていたミミズクの羽根。果たして、被害者は巨大なミミズクの犠牲になったのか? というのが今回の謎。当然ながら現実的な解が用意されている。
⑤「奇蹟を起こす水瓶の謎」=中東を旅していたサム医師の知人が現地で買い求めた「奇蹟の水瓶」。この水瓶は水をワインに変えることができるという・・・。しかし現実に起こったのはワインによる毒殺事件。ラストに判明するトリックは短編らしい切れ味鋭いもの。
⑥「幽霊が出るテラスの謎」=タイトルどおり幽霊に関する謎、ということで本シリーズに相応しい内容。
⑦「知られざる扉の謎」=密室ものも本シリーズでよく登場するが、本編もそのひとつ。しかも、目の前で人間が消失するというとびっきりなヤツ。ただし、トリックは肩透かし気味なのだが。
⑧「有蓋橋の第二の謎」=本シリーズの初作品「有蓋橋の謎」解決を記念した行事がとり行われることになったノースモント(なんじゃそりゃ?)。その華やかな行事の最中、またもや有蓋橋で町長が銃殺される事件が起こる。衆人環視の銃殺事件をうまく処理した良作。
⑨「案山子会議の謎」=何じゃそりゃ的なタイトルだが、第二次世界大戦の勃発で徐々に戦時の暗いムードに包まれるのを危惧した町長が発案したのがなぜか「案山子祭り」(?)・・・。プロットは本シリーズでよく出てくるものと同ベクトル。
⑩「動物病院の謎」=動物病院で起こった猫の絞殺事件(!)。同じ時期、その動物病院内にはオランウータンがいた!となると、当然「モ○○街の怪事件」がどうしても思い浮かんでしまうのだが・・・果たして真相は如何に?
⑪「園芸道具置場の謎」=本編のテーマも密室殺人。描写がやや不親切なところが玉に瑕だが、このトリックはさすがと唸らせるだけのことはある。でもまぁ短編向きだな。(ちょっと反則のような気もするけど)
⑫「黄色い壁紙の謎」=祝・エイプリル看護婦復活という本編。トリックはよくある○れ○○りの応用技だが、さすがに使い方がうまい。
⑬「レオポルド警部の密室」=ボーナストラックの一編はレオポルド警部ものの密室事件。出席した知人の結婚式で別れた妻に会う警部が密室殺人の濡れ衣を負うことに・・・。密室トリックとしての出来はまずまず水準以上。

以上13編。
さすがの安定感というしかない。
シリーズも五作目となれば、同ベクトルのプロットが目立つのは致し方ないが、それでも読者を飽きさせない工夫がそこかしこに仕掛けてあり、やはり「短編の名手」という冠名に相応しい仕上がり。
Ⅰ~Ⅳ以上という評価は難しいが、低い評点には決してならない。

No.1 6点 kanamori
(2010/05/22 17:43登録)
本格パズラー短編集の第5弾。
看護婦のエイプリルが復帰し、女性獣医アナベルが登場して重要な役割を果たします。
各編トリックは分かりやすいものが多い様に感じましたが、「奇蹟を起こす水瓶の謎」の毒殺トリックがまずまずでしょうか。
ボーナス・トラックは「レオポルド警部の密室」ですが、同シリーズの他の未訳作品にしてほしかった。

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