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ミステリの祭典

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サム・ホーソーンの事件簿Ⅱ

作家 エドワード・D・ホック
出版日2002年05月
平均点5.43点
書評数7人

No.7 5点 ボナンザ
(2020/01/02 14:20登録)
中々の短編集だと思うが、真相がどれもチープなのがやや残念。

No.6 5点 nukkam
(2019/03/02 23:14登録)
(ネタバレなしです) サム・ホーソーンシリーズの第1短編集(最初の12作を収めてます)は本国アメリカで1996年、日本で創元推理文庫版が2000年(非シリーズ作品1作のおまけ付き)に出版されましたが、その後の日本では2002年の第2短編集の本書から2009年出版の第6短編集まで(それぞれ12作ずつ収めながら)順調に出版されて米国に先駆けてシリーズ全72作がまとめて読めるようになったのは本格派推理小説ファンにとっては大いなる喜びでしょう。ちなみに米国でも15作ずつ収めた短編集が2018年出版の第5短編集まで続いてついにあちらでも全集がめでたく完成しました。本書は第1短編集と比べると無理なトリックや粗い推理の作品が増えてしまった感はありますがその中ではバカトリックぎりぎりの「伝道集会テントの謎」、7つもの推理が繰り広げられる「ピンクの郵便局の謎」、全く異なる不可能事件の謎を2つそろえた「ジプシーキャンプの謎」が印象に残りました。レオポルド警部シリーズの「長方形の部屋」をおまけで付けたのは個人的には微妙。このシリーズでの短編集も作ってほしいので。

No.5 4点 斎藤警部
(2016/09/12 11:52登録)
べつに不可能興味でズドンと来るわけじゃない。むしろ最初の何作かはなかなかの犯人意外性で押してる感じ。でも緊張は長続きしないね。。ちょっとした構成ギミックやちょっとした活劇やらで目を引くバラエティ趣向も有るが、、全体通しゃちょっと退屈。若き日のサム爺さんの人柄に絆(ほだ)されても、まぁこの点数。

最後のレオポルド警部もんのごく短い一篇、サドゥンエンドが意外過ぎて。。「あいつが真犯人」なんてありきたりのショート・ショートにはしたくなかったのだろうか、的な?(てっきり犯人はあいつしか無いと思ったよ)

No.4 5点 名探偵ジャパン
(2015/12/05 13:54登録)
シリーズ第2弾。
最近の日本の探偵物ものと違い、時間軸が進んでいく構成なので、登場人物は歳を取るし、未婚者が結婚したりするし、主人公の車が代わったり(その理由が凄い)、町や人々の移り変わりを眺め、ミステリとはまた違うもうひとつの面白さがある。
前作よりも一点抑えたのは、肝心のミステリ的に一作目より劣るかな、と考えたため。
しかしながら、人間関係のドラマだけなどに逃げず、全編必ず何かしらのトリックを入れ、これだけの作品を書き続けていたというのは凄いことだ。

No.3 6点
(2013/08/09 10:35登録)
事件簿Ⅰにくらべると、ホーソーン医師の謎解き解法にやや難ありか?
飛躍しすぎの感もある。謎そのものに魅力があるから、10ページほど増やせばもっといいものが書けたのにとも思う。でもこの程度の短さは読みやすくてじつに魅力的なのだ。
それに、レンズ保安官、看護婦のエイプリルなどの常連メンバーにも慣れてきた。サムのロマンスや、レンズの結婚などのサイド・ストーリーも種々盛り込んであれば、サム自身が事件に巻き込まれることもある。そのへんを含むストーリー性でいえば、本短編集のほうが出来がいいともいえる。

個別には、「伝道集会テントの謎」と「ハウスボートの謎」はあまり感心しない。その他も抜群の出来とはいえず、ごく平均的なレベルだが、総じて突拍子もない謎が提示されるので、それだけで楽しいという感じがする。

のんびりとした時代、おだやかな土地柄にあって、事件だけは凄惨で強烈(日常の謎もあるが)。この設定は個人的嗜好からみて、ミステリーとしては理想的なスタイルだ。
このシリーズにはまだまだ続きがある。他のシリーズ作品集もある。当分は楽しめそうだ。

No.2 6点 E-BANKER
(2011/12/31 16:08登録)
アメリカ・ニューイングランドの片田舎の村の青年医師、サム・ホーソーンが大活躍の作品集第2弾。
前作同様、不可能犯罪がてんこ盛り! 

①「伝道集会テントの謎」=サム医師以外誰もいないはずの部屋で突然男が刺殺される謎。サム自身が容疑者にされるが、結末はちょっと尻つぼみ気味。
②「ささやく家の謎」=幽霊が住むとされる1軒の家で、幽霊らしき男を見た次の瞬間に、その男が死体として出現する謎。仕掛けとしてはまずまずだが・・・
③「ボストン・コモン公園の謎」=舞台はいつものノースモントを飛び出し、ボストンのど真ん中の公園で起こる連続殺人事件。しかも全員針による毒殺という謎。これは、意外な真犯人を特定するロジックが秀逸な作品。
④「食料雑貨店の謎」=繁盛している雑貨店の店主が銃殺される事件が発生。これは普通のパズラーっぽい。
⑤「醜いガーゴイルの謎」=陪審員に選ばれたサム医師が巻き込まれる。裁判中に判事が青酸で毒殺されるという謎。ダイイング・メッセージが「ガーゴイル・・・」なのだが・・・。
⑥「オランダ風車の謎」=ノースモンドにもついに「病院」が開業されるが、医師として採用された黒人医師をめぐって不可思議な焼死事件が起こってしまう。やっぱり、1920年代という設定らしく「黒人」に対する偏見が一般的だったことが窺える。
⑦「ハウスボートの謎」=小さな湖に浮かべたボートから4人の男女が突如煙のように消え失せてしまう謎。こういう風に書くと、まるで「マリーセレスト号事件」のように摩訶不思議な謎のように見えますが、トリックはかなりチャチなもので偶然に頼り過ぎ。
⑧「ピンクの郵便局の謎」=新規開業した郵便局の開業の日、大きな金額の小切手を入れた書留が忽然と消えてしまった謎。ポーの名作『盗まれた手紙』が引き合いに出されてますが、真相はちょっとリアリティに欠けるような気がする。まぁ、タイトルからして意味深ではあるが・・・
⑨「八角形の部屋の謎」=ドアも窓も完全に密閉された部屋で起こった殺人。そう、まさに「ザ・密室殺人事件」ということ。トリックについては、シンプルで面白いが、細工の跡がかなり残ってしまうのが玉に瑕。
⑩「ジプシー・キャンプの謎」=銃創がないのに、心臓に銃弾が残って殺されている男の謎と、一晩で忽然と消えたジプシーの謎。特に前者は不可能趣味が溢れていて題材として面白い。解法もなかなか。後者はちょっと乱暴。
⑪「ギャングスター車の謎」=ギャング一味に拉致されてしまうサム医師が巻き込まれる消失事件。ちょっと分かりにくい設定だったが・・・
⑫「ブリキの鵞鳥の謎」=曲芸飛行機といういわば「空飛ぶ密室」の中で刺殺された男の謎。確かに人の目があるとはいえ、遠くから見てるわけだから、こういったトリックも考えられなくはないのだろうが・・・
⑬「長方形の部屋の謎」=本作はボーナス・トラックで、サム医師ではなく、レオポルド警部もの。同部屋だった2人の男のうち1人が殺され、もう1人はまる1日死体と同居していた! ラストにその理由が明かされるが・・・

以上13編。
相変わらずの不可能犯罪だらけという感じの作品集ですが、印象としては玉石混交。
謎の提示は興味をそそられるものばかりだが、実際のトリックや仕掛けはちょっと腰くだけになっている作品も割と多い気がした。
そういう意味では、やはり短編集第1弾よりは落ちるかなという印象。
(中では、やっぱり③や⑨かなぁ)

No.1 7点 kanamori
(2010/05/22 17:02登録)
本格パズラー短編集の第2弾。
今作も不可能トリックがてんこもりです。個人的ベストは、レンズ保安官の結婚式会場の密室殺人を扱った「八角形の部屋の謎」です。この作品は全体のプロットにも面白い仕掛けがあり楽しめました。
ボーナス・トラックはレオポルド警部ものの「長方形の部屋」で、これはホワイダニットの傑作です。

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