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ミステリの祭典

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文生さんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:500件

プロフィール| 書評

No.100 4点 死者を笞打て
鮎川哲也
(2012/04/10 01:30登録)
鮎川作品の中に実在の作家をモデルにした人たちが登場するパロディ作品だが、
作家たちが無駄にカッコイイのでリアリティに欠け、パロディとして面白味のない作品となってしまった。
事件自体も平凡で他の代表作のような切れは皆無。


No.99 8点 危険な童話
土屋隆夫
(2012/04/10 01:23登録)
社会派ミステリのような刑事の地道な捜査とそれとコントラストを成すように挿入される幻想的な童話。
これがやがてひとつに繋がり、謎が解ける瞬間がこの作品の白眉。
犯人の仕掛けたトリックについてはさほど見るべき点はないが、本格ミステリとしての構成の美しさにはため息がでる。


No.98 7点 獄門島
横溝正史
(2012/04/10 01:11登録)
本格ミステリとしての様々な仕掛けが魅力的である一方で指摘のある通り動機や見立て殺人の必然性には甘さを感じ、東西ミステリーベスト100の第1位は過大評価の感が強い。
とは言え、決して駄作というわけではなく、戦後復興期のミステリの中でも上位に位置する傑作であることは確かである。


No.97 6点 爬虫類館の殺人
カーター・ディクスン
(2012/04/09 13:07登録)
扉の内側からテープを貼り付けられた目張りの密室という設定が独創的で伏線の使い方も巧み。
ただ、トリック自体は単純な機械的トリックなので真相が分かった時の驚きには欠ける。
ストーリー自体も奇術師カップルの恋愛を軸に語られ、カーらしいケレンミに乏しく物足りない。


No.96 6点 赤後家の殺人
カーター・ディクスン
(2012/04/09 12:56登録)
得意の怪奇性と不可能犯罪の要素を存分に盛り込み、知名度もそれなりに高い作品だが、やはり毒殺による密室というのが不可能性を薄め、トリックについても見当がつきやすいのが難点。


No.95 6点 人喰い
笹沢左保
(2012/04/08 13:02登録)
笹沢左保の初期の作品は本格要素満載でそれなりに楽しめはするのだが、指摘のある通り、トリックに新味も使い方に工夫もないのが難点。
本作も派手なトリックはいくつかあるが、いずれも前例があるものばかりで、使い方に特にひねりがあるわけでもないので傑作と呼ぶには今ひとつ物足りない出来。


No.94 6点 魔女の隠れ家
ジョン・ディクスン・カー
(2012/04/07 13:10登録)
1930年のデビューからの数年、雰囲気優先でミステリとしての面白味に欠けていた初期と1934年の『プレーグ・コートの殺人』以降、傑作を連発した全盛期とを繋ぐ過渡的作品。
トリック自体は地味だが、おどろおどろしい雰囲気にミステリ的な仕掛けが有効に作用しており、バランスの良い作品に仕上がっている。


No.93 9点 ユダの窓
カーター・ディクスン
(2012/04/06 11:51登録)
ワンアイデアの密室トリックを『ユダの窓』という魅惑的なワードで引っ張っていくプロットがまず見事。
この効力によって本作は密室殺人を扱ったミステリの最高峰という評価を得ることになる。
そしてなんと言っても法廷ミステリーとしての完成度の高さ。
状況証拠がすべてクロの男の無罪をいかに勝ちとるか?
その論戦の面白さは特筆もの。
得意のオカルトを封印したカーの意外な才能を見ることができる名作。


No.92 5点 墓場貸します
カーター・ディクスン
(2012/04/06 11:34登録)
プールからの人間消失を扱った長編ミステリー。
人が消えるトリックはよく考えられてはいるが、単純なトリックを組み合わせた奇術的な手法であり、ミステリーとしての面白味には欠ける。
物語としても特筆できる要素はなく、凡作の域を出ていない。


No.91 6点 夜歩く
ジョン・ディクスン・カー
(2012/04/06 10:08登録)
カーのデビュー作。
往年の作品と比べるとミステリとしては色々と物足りない作品だが、強烈な怪奇性をはじめとしてストリーテラーとしての才は垣間見ることができる。
荒削りではあるが捨てがたい味のある佳品。


No.90 2点 テニスコートの謎
ジョン・ディクスン・カー
(2012/04/05 14:41登録)
カー作品における足跡のない殺人ものといえば、『白い僧院の殺人』と『貴婦人として死す』、それに本作が挙げられるが、この作品は他のふたつと比べて出来は大きく劣る。
肝心のメイントリックが全く面白味がない上に推理小説として他に見るべき点もない。
カーの長編の中でもかなりつまらない部類の作品である。


No.89 8点 貴婦人として死す
カーター・ディクスン
(2012/04/05 14:34登録)
『白い僧院の殺人』と並ぶカー作品における足跡のない殺人の双璧。
メイントリックの素晴らしさでは白い僧院だが、それに対して本作はメイントリック以外にも小技が隅々にまで効いており、ミステリー小説としての総合力ではこちらに軍配を上げたい。


No.88 4点 青銅ランプの呪
カーター・ディクスン
(2012/04/05 12:38登録)
冒頭の謎の提示はなかなか魅力的。
やはり、人ひとりが忽然と姿を消すというシチュエーションにはわくわくするものがある。
しかし、状況の説明を読んだ時からまさかあのネタじゃないよななどと考えていたらまんまそのネタだったのにはガッカリ。
トリックがあまりに古典的な上に説得力がなさすぎるのだ。
物語として存外楽しめたので最低点にはしないけれどトリックだけの評価ならば1点が妥当な作品。


No.87 7点 白い僧院の殺人
カーター・ディクスン
(2012/04/05 12:27登録)
足跡のない殺人と言えばこれというくらい有名な雪密室の決定版。
まさにシンプルイズベストという言葉がふさわしい見事なトリックです。
ただ、物語自体は他のカーの作品と比べると平坦で面白味に欠け、個人的にはいまひとつのめり込むことができなかった。


No.86 6点 招かれざる客
笹沢左保
(2012/04/04 12:37登録)
笹沢左保の初長編であり、第5回江戸川乱歩賞候補次席作品。
トリックやミステリー的ガジェットをふんだんに盛り込むという著者の特徴がすでに現れており、本格好きにとってはたまらない限りだが、トリック自体はどこかで見たようなものが多く、使い方自体もいまひとつ浅い感じがするのが残念な所。


No.85 3点 空白の起点
笹沢左保
(2012/04/04 12:26登録)
目撃者が犯人という本格ファンの気をひくに十分な趣向に対し、トリック自体はベタすぎてひねりに欠けるのがなんとも残念。


No.84 7点 三毛猫ホームズの推理
赤川次郎
(2012/04/04 12:17登録)
赤川次郎といえば読みやすさだけが取り柄の薄味の作風というイメージですが、最初期のこの作品ではその読みやすさに加え、ミステリー的なアイディアがふんだんに盛り込まれ、良質の娯楽作品に仕上がっています。特に、リアリティには欠けるものの、意表を突いた密室トリックには驚かされました。


No.83 6点 硝子のハンマー
貴志祐介
(2012/04/04 12:10登録)
完全な密室状況下の殺人に対し、可能性を徹底的にディスカッションする構成は本格マインド満点でミステリー好きにとってはたまらない作品。
ただ、肝心のトリックは専門知識を必要とするものであり、真相が明らかになった時のインパクト不足は否めない。
その反面、タイトルとハードカバーの表紙絵がヒントになりすぎていて、私自身は途中でトリックについてなんとなく想像がついてしまった。
その辺りが減点要素である。


No.82 8点 『アリス・ミラー城』殺人事件
北山猛邦
(2012/04/03 11:05登録)
孤島に集められた探偵たちがひとり、またひとりと殺されていく、いわゆるクローズドサークルもの。


メイントリックが某作品のパクリといわれたりもしましたが、自分的にはこっちの方が好み。まず、著者ならではの終末感溢れる幻想的な世界観がツボで、最後の騙し絵的などんでん返しも世界観にマッチしていて痺れました。
まあ、これは極めて個人的な嗜好に寄りすぎた評価であり、純粋に本格ミステリとしてみた場合はそこまで高い点数はあげられないのかなとは思う。


No.81 1点 リアル鬼ごっこ
山田悠介
(2012/04/03 10:50登録)
「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」(原文ママ)

世の本好きたちを唖然とさせた世紀の愚作。
そしてこの作家が売れっ子になったという事実は現代における奇跡である。

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