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ミステリの祭典

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墓場貸します
HM卿シリーズ

作家 カーター・ディクスン
出版日1955年07月
平均点5.67点
書評数9人

No.9 6点 レッドキング
(2021/05/30 21:18登録)
プール水中からの人物消失トリック・・・短編ネタレベルなんだろが、やはり見事。
「野球場の土埃の匂いは、コカインの様に人を酔わせる」か、英国人以前に、米国ヤンキーだったなあ、カーさん。

No.8 6点 青い車
(2018/11/20 18:47登録)
 人間消失ものという作者好みなテーマの一作で、奇術系な犯行が巧妙で完成度は高いです。この手の作品のパターンを抜け出せてない(どうしても○○犯じゃないとこの謎は成立しないのはわかるけど)のだけが不満。

No.7 6点 ボナンザ
(2018/09/09 19:52登録)
カーお得意のバカミスの一つ。物語もしっかりしていてファースも強い良作。

No.6 6点
(2018/06/09 14:14登録)
 実は再読です。初読時の印象は消失トリックのネタがありきたり過ぎるとかあんま良くなかったのですが、数年ぶりに読み返してみて評価が上がりました。
あの時点でひととおり仕込みは終わってますが、肝心の「いつ消失するか」は明言していない為、初動が失敗したならスルー出来るというのが良いです。
 加えてプールからの人物の出し入れに不自然さがほとんどないのが素晴らしい。実行する場合の安全性はかなり高いと思います。冒頭の献辞でクレイトン・ロースンに捧げられてるのも頷けます。
複数共犯者の存在はさほどマイナスに考えなくていいでしょう。プールでの先入観がミスディレクションにもなっている事ですし。
 とは言え7点を付けるには少々厳しいのも事実。お前たちとはもうこれきりだみたいに大見得切って翌日には消えちゃう訳ですし、被害者がトラップを仕掛ける動機となる、子供たちへの思い入れ描写が不十分なんですよね。ちょっとその辺りはフェアじゃないかなと。
 オカルト趣味もなく事件もこれ一つだけで全体に小さく纏まった感じの作品です。
 あ、例のH・M卿がホームランかっとばすシーンは心配してたけどそんなに浮いてなかったです。でも、ボールがあそこに飛ばなかったらどうなってたんだろ。

No.5 6点 nukkam
(2016/08/06 16:57登録)
(ネタバレなしです) 米国の作家ながらカー名義のフェル博士とディクスン名義のH・M卿の2大探偵シリーズは英国を舞台にした作品が多いのですが1949年発表のH・M卿シリーズ第19作である本書は珍しくも米国を舞台にしているだけでなく、米国人気質(かたぎ)を語らせたり野球シーンを織り込んだりと随分米国を意識しています。プールからの人間消失というヴァン・ダインの「ドラゴン殺人事件」(1933年)を連想させる魅力的な謎が提示されており、それでいてお手軽過ぎに感じるぐらいのトリックが使われているのがこの作者らしいです。でもkanamoriさんのご講評にもあるように、一番鮮やかな印象を残したのは地下鉄で大パニックを引き起こしたトリックの方かも。ユーモアも豊かです。なお本書は不可能犯罪のエキスパートであるクレイトン・ロースンに献呈されています。

No.4 5点 了然和尚
(2016/03/22 10:00登録)
人間消失ものですが、騙される人3人、騙す人3人というがっかりなトリックです。ネタのヒントを提示したり(いつものドタバタで)、別解を用意したり、奥行きは出しているのですが、肝心の犯人(被害者?)の行動の必然性がイマイチでした。
次作「魔女が笑う夜」を読み始めましたが、冒頭でテニスの試合に関する細かい描写があるのですが、本作では野球に関してかなりページが割かれています。何か、本編のトリックと関係があるのかと思い、HMの打ったホームランボールが被害者に当たって、はずみでナイフが刺さったという空想をしてしまいました。

No.3 5点 文生
(2012/04/06 11:34登録)
プールからの人間消失を扱った長編ミステリー。
人が消えるトリックはよく考えられてはいるが、単純なトリックを組み合わせた奇術的な手法であり、ミステリーとしての面白味には欠ける。
物語としても特筆できる要素はなく、凡作の域を出ていない。

No.2 5点 kanamori
(2010/06/27 21:30登録)
カー名義の作品ではいくつかありますが、アメリカを舞台にした唯一のH・M卿ものです。
プールからの人間消失というミステリのネタは、H・M卿が現地で引き起こす珍騒動の前にかすんでしまいました(笑)。
トリックの原理は、再三使われた自身の初期作と同じです。

No.1 6点
(2009/09/21 11:24登録)
カーをも思わせるような不気味な雰囲気があったヴァン・ダインの『ドラゴン殺人事件』に対するカーからの回答ではないかと思わせる(年代的には離れていますが、舞台はアメリカですしね)、プールからの人間消失という同じ謎を扱った作品です。さすがにカーらしく、消失方法は拍子抜けだった『ドラゴン~』と違い、奇術的な巧妙なものになっています。
ただし、怪奇趣味を得意とするカーにもかかわらず、逆に『ドラゴン~』のような不気味さは全く見られません。まあ、本作ではより不可能性を強調するため、事件は白昼、完全に見通しのきくプールで起こりますので、無理に怪奇を演出することはあきらめたのかもしれません。それだけ一方の笑いに比重がかかっているということでしょうか、H・M卿が登場早々から派手に悪ノリぶりを発揮してくれます。
やはり消失を扱った似た構造の作品をカーは以前にも書いていますが、個人的には本作の方が気に入っています。

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