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ミステリの祭典

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simo10さんの登録情報
平均点:5.69点 書評数:193件

プロフィール| 書評

No.73 4点 世界の終わり、あるいは始まり
歌野晶午
(2010/02/03 21:35登録)
う~ん、評価が難しい。
このペースでどうやって500ページ持たすのだろうの思ったけれど、そうきたか。
ページ数が分かっているのが不利な作品という感じ。
終わらない悪夢という感じで、ダークな部分は楽しめました。
ただ、これはミステリではなかったなぁ。
何か巧妙に隠された伏線がありそうなんだけど、そうでもなさそうだし。
なんだか本格していない歌野作品は残念だ。


No.72 7点 安達ヶ原の鬼密室
歌野晶午
(2010/02/01 21:15登録)
まず本の構成にびっくり。
情報シャットアウトのために背表紙を見ないようにしていることと、目次が存在していないことが合わさった状態で「ナノレンジャー」と「Ripper」を読まされ(結構長い)、ひょっとしてこの内容を400ページ以上読まなければいけないのかとひやひや(イライラ?)させられた。
150ページ過ぎてようやく本題に入ってほっとため息。
「黒塚七人殺し」のみに関して言えば、かなり大胆なトリックを、(自分的には)ギリギリのヒントで切り抜けており、うまいと思わされた。
しかし、その後の「直観探偵~」以降はヒント与え過ぎでなんだか緩くなってしまった。
もったいない作品という印象。
「Ripper」に関しては、主人公の不可解な行動にイラついてしまったが、「鬼密室」とは独立した話なのでこれはあえて採点に含まないようにします。
「ナノレンジャー」に出てくるヒゲの切れ者で生意気な清掃員のお兄さんてひょっとして…。
あとラストの井戸から水を取り去るマジックってのが解らない…作中にヒントがあるんだろうか?


No.71 4点 ブードゥー・チャイルド
歌野晶午
(2010/01/26 21:40登録)
-ネタばれ含みます-

まず「悪魔の紋章」。せめて先に文章で何の絵であるか解説して先入観を植え付けて欲しかったところ。1ページ目にいきなり説明なしで載ってるから「これは何だろう?」とじっくり眺めてしまっていきなり解ってしまう。
次に「堀井キン」。予想したファミリーネーム「キーン(Keane)」とは違っていたけど、これもいきなりバレバレ。
どっちも重要な部分なんだからもっとうまく騙して欲しい。
第一の事件発生までは面白く読めたけど、その後は長々とバロン・サムデイやらココン・グリやらを真面目に語る主人公にうんざり。
殺人の動機にしても、犯人の凶暴性のみを強く感じてしまい、この描写はちょっとまずいのではと思ってしまった。
ジュリアンは良かったけれどそれまでが長いし、そこまでがストレスを感じて続けていたのも事実。


No.70 9点 放浪探偵と七つの殺人
歌野晶午
(2010/01/25 23:06登録)
「長い家」以前の信濃譲二の七変化および探偵ぶりを堪能できる7つの短編集。どれもよくできており、信濃譲二ファンとなってしまった私にとってはこれ以上の短編集は望むべくもないかも。

①「ドア⇔ドア」:倒叙モノ。下手な小細工を弄する犯人VS信濃の構図にハラハラ。
②「幽霊病棟」:クイズレベルの謎が仕掛けられた倒叙モノ。この作品だけイマイチかな。
③「烏勧請」:なるほどと思ったが、子供にはばれんのだろうか?あと会社で臭ってばれるのではないだろうか?
④「有罪としての不在」:超難解だけれども、このマニアックさがたまらない。よくできている。
⑤「水難の夜」:騙された。あとピザ屋が可哀相。
⑥「W=mgh」:島田荘司氏ばりの怪奇現象に対してきちんと説明がなされている。
⑦「阿闍梨天空死譚」:解決編で冒頭の謎がすっきり。しかしこのトリックは後の島田荘司氏の作品でも用いられているが、解り辛い。


No.69 7点 死体を買う男
歌野晶午
(2010/01/17 13:27登録)
作中作「白骨鬼」は作家江戸川乱歩の語りと詩人萩原朔太郎の探偵役で進んでいきますが、乱歩調の語りはこれまでの歌野氏のイメージから全くかけ離れたもので、かなり意外でした。
島田氏の「漱石と~」にかなり似た感じの作品です。
「白骨鬼」自体は萩原朔太郎が面白キャラに仕立て上げられて飽きさせない作りでしたが、謎と真相は超オーソドックスなものでした。
しかし「死体を買う男」のラスト部分で、「白骨鬼」も含め、一気に全体が引き締まった感じを受けました。
懺悔録「死体を買う男」、うまい!と思わされました。


No.68 5点 さらわれたい女
歌野晶午
(2010/01/17 13:02登録)
冒頭の一文で引き込まれた。
誘拐後の事件も意外だし(背表紙に記載されているけれど、ここまで載せないで欲しい)、よくできている作品だと思います。
意外な探偵役は歌野作品ならでは。
ちょっとうざ目なあの賢い感じの彼がその後の事件に絡んでこなかったのも意外だったかな。
内容的には軽いんだけれども、この軽さ、読み易さが良い。


No.67 6点 正月十一日、鏡殺し
歌野晶午
(2010/01/12 21:00登録)
7つの短編で構成されており、読み進むに従って、深い闇へ落ちて行きます。
ダークなお話、悲惨な結末が好き!っていう人にオススメです。

①「盗聴」:その後の暗さを感じさせない、まあまあ健全(?)なお話。
②「逃亡者 大河内清秀」:上に同じ。
③「猫部屋の亡霊」:ダークだけど、コミカルな表現で笑えた。悪気はない分、彼女が可哀相だった。
④「記憶の囚人」:内容も怖いけど、語りが怖い。
⑤「美神崩壊」:タイトルのインパクト通りの内容。怖い。
⑥「プラットホームのカオス」:個人的には4番目のダーク度かなと思える。
⑦「正月十一日、鏡殺し」:タイトルからは予想もつかないホラーなお話。電車で読んで思わず頭を抱えてしまった。

オチこそあるけれどミステリとはちょっと違うかな。


No.66 8点 Rommy
歌野晶午
(2010/01/09 00:29登録)
-ネタばれ含みます-

登場人物のほとんどが最大の真相に気付いていないこともあり、叙述による仕掛けも少なく、「してやられた」感が足りなかったのが悔やまれます。
もう少し家出以前に関する記述等、騙しの要素が欲しかったなと思いました。
その分叙述とは別に、バラバラ殺人の動機解明がヒントとなっているのはうまいと思いました。
真相はかなり強烈で、これまでのこの作品に関する価値観をひっくり返されるぐらい受け入れがたいものはあります。
しかしこういった重苦しい話は嫌いではないですし、非常に切なくなりましたし、なんとか減点はせずに済みました。
個人的には「ROMMY」VS「CUBIC BALL」や、そのヴォーカルのその後の苦労話なんかも気に入っています。


No.65 5点 ガラス張りの誘拐
歌野晶午
(2010/01/04 21:01登録)
どんな作品だったか全く覚えていなかったので、さぞかしつまらない作品だったんだろうなと思いつつ読み返してみると、結構面白く、さくっと読めました。
二度目にも関わらず真相にびっくりしたし。
「葉桜~」に通ずるものを若干感じた。


No.64 6点 動く家の殺人
歌野晶午
(2010/01/01 10:53登録)
-ネタばれ含みます-

久々に読んだ家シリーズ第三作目。
物語は以外にも信濃譲二の語りで進んで行く。
あの変人にも結構人間臭いところがあるんだなあと思わされていたら、やはり本物は一味も二味も違いました。
このキャラクターは惜しいなあ。
ダミーのトリックにも見事ひっかかりました。
悲しいラストだけれども非常に読みやすい作品でした。


No.63 3点 ら抜き言葉殺人事件
島田荘司
(2009/12/28 00:23登録)
なんだか火曜サスペンスを見たような印象を受けました。
社会問題は色々と盛り込まれてはいるけれど、別に何かトリックがあったわけでもないし。
ただ、笹森恭子と因幡沼耕作との「ら抜き」を巡るやり取りは面白く、
さすが作家は凄いなと思わされました。


No.62 3点 羽衣伝説の記憶
島田荘司
(2009/12/28 00:13登録)
吉敷刑事の元妻加納通子が登場します。
「北の夕鶴~」以来、気になるその後の展開が描かれています。
吉敷シリーズを読んできた人以外は読んでもしょうがない作品でしょう。
とりあえずよりが戻りそうでほっとした。


No.61 7点 奇想、天を動かす
島田荘司
(2009/12/28 00:08登録)
社会派と本格が融合したせいなのか、これはかなり異色の作品という印象を受けました。
犯人は序盤から確定しておりフーダニットの楽しみこそないものの、真の動機に到るまでのプロセスが奥深かったです。
また、過去に起きた事件に関連して語られる幻想的な謎の提示はさすが島田氏と唸らされます。
惜しむらくはシリアス過ぎる内容とあの大トリックにミスマッチを感じてしまったことかな。
てことは社会派と本格の融合に対する違和感の正体はここにあるのかな?と思ってしまう。


No.60 4点 白馬山荘殺人事件
東野圭吾
(2009/12/15 22:10登録)
-ネタばれ含みます-

まず叙述宣言ともとれる登場人物表、序盤からためらいもなく相方の叙述を明かしてしまう挑戦的な作者の姿勢にうれしくなりました。
この先どれだけすごい叙述トリックが控えているのだろうと思わされました。
「ナオコ」と「菜穂子」は別人ではなかろうか?とか「シェフ」は外人ではなかろうか?とか。
結局何もなかったけどどういった効果を狙ったんだろう。
マザーグースの謎解きは「卒業」に引き続き、面倒くさいのでスルーしてしまった。
こういう読書態度が天下一シリーズを生み出してしまったのだろうかと少し反省してしまう。
しかし、共犯者を使ったトリックはやっぱりしらけるなあ。


No.59 4点 変身
東野圭吾
(2009/12/15 22:07登録)
これまたミステリーではないんですね。
このような医療技術が可能だったら、人格はどうなるんだろうとか、生きていることの判断はどうなるんだろうとか少し真面目に考えさせられる作品でした。
まあ読みやすかったけど、ちょっと暗い気分にもさせられたし、あんまり好きではないかな。


No.58 5点 幽体離脱殺人事件
島田荘司
(2009/11/28 22:07登録)
-ネタばれ含みます-

森岡輝子と小瀬川陽子の電話のやりとりがなかなかリアルに腹黒い感じで面白かったです。島田氏の描く主婦視点の語りはこういった表現が多く、多くの女性の反感を買いそうですが個人的には好きです。
二見の旅行からは、「眩暈」を思わせる狂気じみた展開になりかなりハラハラさせられました。
しかしせっかく途中まで面白かったのに、解決編は犯人達のわざとらしい解説口調の対話を吉敷達が盗聴するいう乱暴な暴き方であり、犯人と刑事の駆け引きを完全に省略する形となり、物足りなさを感じてしまいました。
なぜ森岡輝子が狂気に駆られたのかの納得いく説明もなく、また蛙の呪いについても何も触れられていないし。
残り約50ページ、締切りにでも追われてたのかなという出来でした。


No.57 4点 白い家の殺人
歌野晶午
(2009/11/22 22:14登録)
-ネタばれ含みます-

久しぶりに読んだのだが、やはりどうにも印象の薄い作品。
やはり「長い家」と違って、家の特徴を全く活かしてない点が痛いかな。
トリックも大胆なようでいて小粒な印象。
犯人も今にも忘れてしまいそうだし。
冒頭の残酷な表記が、第一章でも再び記されているが、それが何の複線にも叙述トリックにもなっていない点も気になったし。
第一の犠牲者もかわいそう過ぎるし。
とにかく本格はしてるけど不満いっぱいの作品です。


No.56 7点 夜は千の鈴を鳴らす
島田荘司
(2009/11/22 21:49登録)
-ネタばれ含みます-

「出雲伝説~」以来の完全なハウダニットものです。
東野氏の「白夜行」に見られるような、第三者の視点からの人物表現によるものなのか、最初はさほど魅力的でもなかった加害者と被害者が、捜査が進むにつれてミステリアスに感じられて、存在感が増していったところが非常にうまいと思いました。
トリックはT氏の作品のパクリじゃん!と気付き、ちょっと残念でした。やっぱり知ってるとあっさりばれちゃうものですね。
とはいえ、この物語のミステリアスな雰囲気は十分に楽しめました。


No.55 3点 虹を操る少年
東野圭吾
(2009/11/22 21:46登録)
題名から予想はしていたけど、ミステリではないんですね。
それはいいとして、光楽から展開される話は面白かったと思うけど、久々に登場人物に全く感情移入できない作品でした。
つまんねえなあと思いながら読みつつ、ラストも「何だこりゃ」って感じ。
波長が合わなかったです。


No.54 5点 同級生
東野圭吾
(2009/11/22 21:38登録)
東野氏の学園モノ作品を初めて読みました。
物語的にはさくさく読みやすく、主人公の体面を気にした行動もよく理解できたし、刑事もなんか格好良く、感情移入し易かったです。
しかし、事件そのものに関してはなんだかおまけみたいな感じで、そのうち忘れそうな程印象が薄かったです。
あと、どの登場人物も教師に対して反感持ち過ぎです。確かに嫌な教師も存在しますが、これはただの中傷としか思えません。他の学園モノもこんな感じなのかと疑ってしまいます。

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