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ミステリの祭典

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虹を操る少年

作家 東野圭吾
出版日1994年08月
平均点4.94点
書評数18人

No.18 6点 りゅうぐうのつかい
(2016/03/21 17:32登録)
ミステリーではなく、ファンタジー。
光楽、光のメロディーという概念が何といっても面白い。以前より、音楽が人を感動させることに不思議さを感じており、それと同じことを光でできないかという発想に斬新さを感じた。
カリスマ、教祖としての光瑠のキャラクター設定や、彼がやろうとしたことも魅力的。
夜の闇を失ったことによる人の光への感受性の低下、教祖と呼ばれる人物と光との関連性、ダーウィン進化論と関連付けて権力者との闘争につなげるなど、下地となるアイデアもすばらしい。
素材として、とても良い内容を持っていながら、物語としては消化不良の印象が拭えないのは何とも残念。
光瑠が功一に託した光楽の楽譜によって光瑠の居場所がわかるという設定には、いくらなんでも無理がある。

No.17 7点 斎藤警部
(2015/11/20 17:22登録)
夜を統率・・ マスクド バンダリズム・・ 魅力的キーワード群が夜空に眩しい。そして、その向こう側にいた人物は?
同氏「天空の蜂」を社会派現実科学小説とすれば、こちらは社会派空想/現実科学小説(空想寄りだが空想みたいな現実が混入)の様な味わい。但し空想/現実の線引きは日本プロレスに於けるガチ/やらせの如く微妙で味わい深い。

これだけ派手で具体的なストーリー展開ながら妙に一歩一歩着実な筆運びだね、特に半分過ぎたあたりから。。と思ったがいや違う、これは怖い怖いクライマックスへ続く分厚い階(きざはし)の一枚一枚だ、想定外の生活社会派リフレクションを噛み砕きながら。。そしてスクランブル展開を見せ始める物語の根幹に寄り添う枝葉たちは、見守られるのか、棄てられるのか?
主人公が二人となる構図だが、光瑠君のほう、東野作品の中でもスペシャルに好きな人物だ。底知れずな懐の深さでもってとびっきり頭の冴えた奴、間違い無くいい。 あとチョイ役だけど麻雀の話で盛り上げ上手の高校教師ってのも最高だなあ。


【以下、ネタバレの機微有り】

裏切りと対立の構図はとうとう最終ラウンドへ持ち越し。しかし主人公(光瑠君のほう)の台詞が暗示した様に、通常のミステリ的な割り切り解決は無い。黒幕のトップやら怪しい組織の正体さえ最後まで明かされず。だが、主人公の口が語る通り「具体的に誰が仕切ってるかってのは意味が無い、たまたま今はそいつがやってるってだけ」という洞察の延長で最後は押し切られるという趣向なのでしょう。 でもある人物とある人物が実はイコール、というベタな推理小説的タネ明かしはちょっとあったね。読者サービスってやつかも知れん。

【ネタバレの機微、ここまで】


光楽、嗜む程度に体験してみたいねえ。 そういや、そこに「穴が開いている」様にしか見えないと言う「本当の黒の印刷」ってどこかの会社で開発されたねえ。
ところで文庫巻末解説の井上夢人氏が本人から聞いたという話に拠れば、東野氏はまるでパルプフィクション作家の如く、後先考えず書き飛ばす方式でいつもやってるそうなんだが、本当かしら??

p.s.
いい言葉だ「我が同胞へ」。 これには泣けた。

No.16 4点 ∠渉
(2014/01/02 17:10登録)
自戒の念も込めた、4点。
どちらかといえばファンタジー。青春群像としても、読める。
ただ、本作では若者たちの敢然と大人たちに立ち向かう姿を描いてはいるが、これがなかなか、理解できない。若者が決起する姿は差し詰め70年代の学生運動といったところ。けれど、この作品では武装してなにかしようというのは旧モデルらしく、光を用いて独自のコミュニケーションを用いて世の中にメッセージを発信するそう。ただどっちにしろ理解には苦しみますね。ここでは若者たちを欲や権力にまみれた大人たちに立ち向かう姿をいきいきと、美しく描いていますが、傍からみればカルトにも思えるし、滑稽にも思える。主人公の光瑠も良く言えば達観しているのかもしれんけど、どうしても天才少年のすることとは思えないことばっかりしてて、なんかイマイチ見えてこない。やっぱ達観はしてませんね。前言撤回。
自分も平成生まれでまだギリギリ10代ではあるけれど、この世界の登場人物にはなれないなぁとつくづく感じた。そういう意味では、ラストの方に出てきたじいさんみたいに、スレてない人生には憧れを感じた。だから光ったんですもんね。
壮大なプロローグを引き延ばしたような構成は、好き。それも相まってラストもかなり好き。

No.15 6点 Tetchy
(2011/04/29 22:10登録)
何といっても光楽という光と音楽を絡めた芸術と主人公白河光瑠の造形に尽きる。光楽が人を魅了していく過程とその光楽の真の目的が遺跡などに表現されている事象に結びついていくことは面白い。
そして天才児白河光瑠の全てを達観している姿勢と視座。全てをあるがままに受け入れながらも、将来を見据え、そのためには自分が犠牲になっても踏み台になっても構わないと思うキャラクターは正に天才だ。

本書におけるメッセージは異端児はマジョリティである一般人に淘汰される人間の愚かさに対する警鐘だ。突出した能力を持つ者は時にはもてはやされ、時代の寵児となるが、安定を求める支配層にとっては自らの地位を脅かす膿であり、排除すべき存在にしか過ぎない。しかしそれは人類の進化を停滞する愚行だと光瑠は述べる。それは深読みすれば江戸川乱歩賞作家として作家デビューしながら本格ミステリに留まらず色んなジャンルを描き、「明日のミステリ」を模索する作者自身の秘められたメッセージなのかなと思ったりした。

これだけ読ませる物語を書きながら、最後が唐突終わってしまうのが勿体無い。これ以上書くことは蛇足にしか過ぎないとする作者の潔さともいえるが、やはりいい作品だっただけにもっと余韻がほしかった。

No.14 3点 simo10
(2009/11/22 21:46登録)
題名から予想はしていたけど、ミステリではないんですね。
それはいいとして、光楽から展開される話は面白かったと思うけど、久々に登場人物に全く感情移入できない作品でした。
つまんねえなあと思いながら読みつつ、ラストも「何だこりゃ」って感じ。
波長が合わなかったです。

No.13 5点 ミステリー三昧
(2009/10/11 14:49登録)
<講談社文庫>特殊な力を持つ少年のお話です。
ラストは消化不良でしたね。私的には300ぺージ手前でクライマックスは迎えていたので、その後の展開は蛇足でした。なので主人公が「ダーウィンの進化論」を交えて生き様を語る場面が瞬間最高視聴率(?)となりました。
東野作品の中では幾分リアルから遠ざかり、幻想的な世界観に足を向けたという意味では、新鮮味があります。若い世代から支持が得られそうなジュブナイル的作品なので、大人が読むと反感を買いそうな展開ではありました。
まぁ、これで「SF(ファンタジー)」という新しいジャンルを築き上げたわけで、東野ワールドに厚みをもたらすと思うとこの先が期待できます。この作品は傑作を生み出すための一つの過程(試作品)に過ぎない。よって軽く受け流すべき作品なのでオススメできない。

No.12 3点 りんちゃみ先輩
(2009/02/24 19:52登録)
冒頭すごく引き込まれ期待したのに・・・「あれ」これで終わりなの・・・て感じでした。結局これからどうなるんでしょう。SFとしてみてもこれからだと思うのですが、どうでしょう。久しぶりに読んだ「東野」作品ガッカリでした。

No.11 4点 こう
(2008/09/21 22:56登録)
 この作品はミステリではないと思います。ストーリーにひきつけられる力はあると思いますしユニークな発想だと思いますが、ミステリ的盛り上がりがなく不満です。また読者としての読解力が不足しているだけなのかもしれませんが作者が訴えたいことがよくわかりませんでした。

No.10 2点 sasami
(2008/07/05 08:50登録)
前の人も書いていますが
打ち切りの漫画みたいな終わり方で
結局なにが書きたかったのかさっぱり・・・・

No.9 5点 COBRA
(2008/06/13 14:33登録)
設定があかん。

No.8 3点 いけお
(2007/10/10 12:59登録)
ラストが不満。
光楽とかいうのもよくわからん。

No.7 8点 akkta2007
(2007/07/21 21:02登録)
今まで読んだ東野作品とはまた一味違ったミステリーのような気がした。
新次元のコミュニケーションをめぐり若者達の集団が出来上がるのだが、
それを阻止しようと大人たちの魔の手が伸びる・・・
主人公の「光瑠」を中心にその能力をフルに使って「ある計画」を実行に移す。
なんとも美しく魅力的なプロジェクトだが、最後にはまたドンデン返しがある。
夢中になって読める一冊である。
これから何を読もうかと思っている人がいればおすすめの一冊である。

No.6 4点 dei
(2007/07/16 17:50登録)
ラストが打ち切られた少年漫画のようだった。。

No.5 4点 如月雪也
(2005/06/05 09:17登録)
ミステリといわれると不満。作品としては普通だと思う。

No.4 7点 綾香
(2004/09/14 22:04登録)
ミステリというかファンタジーというか、他の東野作品と異質で、楽しく読めました。ただ、ちょっと非現実すぎてついていけない部分も…。

No.3 7点 ばやし
(2004/01/12 09:55登録)
この作品は他の東野作品と違う雰囲気かもし出してた気がします^^ファンタジーってあんまり読んだ事ないけどこの小説は普通におもしろかった♪

No.2 4点 一千花
(2002/11/02 21:24登録)
ファンタスティック・ミステリー 
たしかにファンタスティックなんですが この作品を
ミステリとするなら上遠野作品もミステリということ
になるような...
ラストの中途半端さが気に入りませんでした

No.1 7点 由良小三郎
(2002/09/21 10:30登録)
講談社文庫版の解説は「オルファクトグラム」を書いた井上夢人さんです。ジャンルというか、物語の処理はちがうんですが、幻視的なイメージがモチーフになっているあたり「オルファクトグラム」と比較したくなるところがあります。それで、結論は僕は井上さんのほうがよかった。
これは、作品としては、東野さんのSFという感じです。SF全盛期って1950〜60年代のような気がしているんですが、そのへんのオーソドックスな作品の感じです。

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