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ミステリの祭典

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夜は千の鈴を鳴らす
吉敷竹史シリーズ

作家 島田荘司
出版日1988年11月
平均点5.71点
書評数14人

No.14 5点 みりん
(2023/08/21 04:57登録)
吉敷竹史シリーズ第8弾
この作品『異邦の騎士』と同時期なのか・・・『斜め屋敷』〜『異邦の騎士』の間に吉敷竹史シリーズが7作品も出てるなんて当時はゴリゴリの本格モノはやはり嫌われていたんでしょうかねぇ…
今作トリックはわかってしまったけど、小説として楽しめましたよ

No.13 4点 ボナンザ
(2020/07/18 22:06登録)
トリックについては残念ながら元ネタを昇華させたとは言い難い。
話の方はまあ、このシリーズらしいかなと。

No.12 4点 nukkam
(2019/03/02 22:37登録)
(ネタバレなしです) 1988年発表の吉敷竹史シリーズ第8作の本格派推理小説です。多くの方のご講評で紹介されていますが某作家の某有名作品のトリックが使われているのが気になります。独創的なトリックを生み出すことが極めて困難なこのご時世ですからトリックの再利用自体をとがめるつもりは全くありませんが、それにしても本書の場合はあまりにも露骨な焼き直しではないでしょうか。詩情あふれるタイトルはとても魅力的ですが、作中での演出をもう少し高められればと思わないでもありません。

No.11 7点 斎藤警部
(2016/02/25 01:40登録)
美人社長とその秘書青年との間に閨房にて取り交わされた会話(私を殺して財産を手に入れてみなさい 云々)なるケレン味上等、疑惑タップリの初期設定がギラギラと付き纏う、こりゃあ魅惑の滑り出しだ、快調に飛ばせよ! と期待しながら読み始めよう。。

早速美人社長は疑惑屍体となり発見、青年秘書が本命容疑者となり。。 声のダイイング・メッセージ「ナチ云々」の正体は あぁ、そうでしたか。。。っておもむろにタバコに点火する程度でしたけど、複眼視点を要求するアリバイトリックは切れ味剛健でなかなかの味わい。過去からの因縁ストーリーも瑕疵少なく重厚にはまっています。

社会派ぶってみたアリバイ崩し本格推理、構成の妙も有り、まずは快作と言えましょう。
鮎哲ファンの方は是非ご一読を。(アッチの作品の方は敢えてノータッチ)

No.10 5点 蟷螂の斧
(2015/02/22 20:24登録)
全体に淡白な感じを受けました。「著者のことば」にある読者を翻弄させるトリックは、あまり効果的とは言えませんでしたね。メインの時刻表トリックはまあこんな感じのものかな・・・という印象です。過去の事件に重点が置かれたため、現在の事件があっさりし過ぎた感じがします。もう少し掘り下げてくれたらなあといったところです。

No.9 6点 まさむね
(2011/09/27 23:42登録)
 2つの事件のうち片方のメイントリックについては,高木彬光氏の某作品を読まれた方にとってあまりにも容易…というか,バレバレですね。もう一方のトリック(まぁトリックとすら言えない気もしますが)も,都合が良すぎて,肩透かし感満点でした。
 しかし,犯人と被害者のそれぞれの人生について,少なからず感じ入る面があったのも事実。これは一種のノワール・ミステリーなのだ,と割り切って読むってのはどうでしょう?
 なお,事件解明の過程で何気に挟み込まれている叙述系ミスリードについては,見事にヤラレましたし,個人的に大好物です。

No.8 5点 E-BANKER
(2011/05/28 21:12登録)
吉敷刑事シリーズ。
タイトルからして、W.アイリッシュの名作「夜は千の目を持つ」を意識している?
~JR博多駅に到着した寝台特急「あさかぜ1号」の2人用個室から女性の死体が発見された。検死の結果、死因は心不全と判明。だが、前夜、被害者が半狂乱になり口走った「列車を止めて、人が死ぬ、ナチが見える」という意味不明の言葉に吉敷は独自の捜査を開始する~

正直、吉敷刑事(警部)シリーズの中では「凡作」だと思います。
事件の最大の謎とも言える「ナチ」の謎は、割と早い段階で判明してしまい、その時点でちょっとトーンダウン。
後は、いわゆる「アリバイ崩し」がメインとなるわけですが、そのアリバイトリックも氏の他作品(例えば「はやぶさ1/60」や「出雲伝説7/8」)に比べても、かなり低レベルでは?
(島田ファンとしての)救いは、この時期、徐々に事件に対してストイックになっていく吉敷の姿や、後に氏のライフワークにもなる冤罪事件への傾倒の萌芽がかいま見えることでしょうか。
また、吉敷シリーズには、毎回魅力的な女性が登場しますが、本作も同様。こういう女性を書かせるとさすがにうまい。
ただ、明らかにワンパンチもツーパンチも足りない作品としか言えないなぁ・・・
(「あさかぜ」も随分前に運転停止になってしまいました。21世紀の現在はトラベル・ミステリーを書くのも一苦労ですねぇー)

No.7 7点 toyotama
(2010/09/29 04:52登録)
『奇想、天を動かす』もそうだが、アリバイの良し悪しよりも発想自体が凄い。
推理小説のトリックは、実際に行えるか?ではなくて、机上の空論であっても出来ると思わせることにあるので、読んでて実行の可能性がうかがえる。

No.6 5点 seiryuu
(2010/08/23 14:01登録)
ストーリー展開は面白かったけど
後半は好きではありません。
高木彬光氏の某作品との関係はあまり気にならなかったです。

No.5 7点 simo10
(2009/11/22 21:49登録)
-ネタばれ含みます-

「出雲伝説~」以来の完全なハウダニットものです。
東野氏の「白夜行」に見られるような、第三者の視点からの人物表現によるものなのか、最初はさほど魅力的でもなかった加害者と被害者が、捜査が進むにつれてミステリアスに感じられて、存在感が増していったところが非常にうまいと思いました。
トリックはT氏の作品のパクリじゃん!と気付き、ちょっと残念でした。やっぱり知ってるとあっさりばれちゃうものですね。
とはいえ、この物語のミステリアスな雰囲気は十分に楽しめました。

No.4 7点 りんちゃみ先輩
(2009/11/15 09:41登録)
プロローグからの謎を秘めた女社長とその秘書の会話・・二人のドロドロした過去が「吉敷」に暴かれ事件が解決する・・大凡のストーリーは分かってしまうが何時もながら楽しく読んだ。これは文庫巻末の解説にもあった「島田病」かもしれません。それにしても昭和29年の事件捜査はこんなものだったのでしょうか?

No.3 5点 測量ボ-イ
(2009/05/23 18:41登録)
島田氏の作品の中では凡作の部類でしょう。
メイントリックが昔の名作に酷似しているという問題点
はそんなに気になりませんでした。

No.2 6点 Tetchy
(2005/08/24 23:23登録)
メインの事件がサブに回ったり、現代の事件が24年前の事件に繋がったりと凝ったプロットになっています。そして作者が今回選んだモチーフは「オリンピック」。この世界の祭りに新幹線開通を絡ませ、高度経済成長の荒波に人生を翻弄される姿を描きたかったのでしょう。そしてやはり本作でも東京という「都市」に憧れ、殺人を犯してしまうという島田 荘司の追い続ける都市の魔力というものが暗示されています。

No.1 7点 あんでっど
(2004/09/04 05:39登録)
タイトルの付け方と、ラストの山場へ至る全体の構成の妙を評価したいです。

「なんだこのタイトルは?」と思って読み始めて、割りに早い段階でその謎は解けるのですが、ために読んでいる間ずっと頭のどこかでその音が鳴っているイメージ。そして最重要なシーンで次第に音量を高めながら鳴り響く千の鈴の音に、本気で恐ろしさを感じました。文章のみで音を感じた個人的には稀有な作品。

全体としては火サス。

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