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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.396 5点 本格ミステリ06
アンソロジー(出版社編)
(2009/07/30 03:57登録)
(最新事情を知るため)毎年度読んでいる。
更に、個別に作品集になってから再読する作品が多数ある。
テーマのあるアンソロジーではなく年度のベスト集である。
よって、各作品は個別の本で書評したい思いが強い。
東川篤哉「霧ヶ峰涼の逆襲」は未だに一冊に纏まっていないのが残念(埋もれて未読なシリーズ作品もあり一冊に出来る分量もあるので是非出版を!)
新たな作家を見付けるには良作揃いなので“この本”から読書の輪を広げてみては・・・。


No.395 5点 本格ミステリ09
アンソロジー(出版社編)
(2009/07/28 16:24登録)
本格ミステリ大賞と平行する型で前年発表短編作品のベストを選んでいる為に書き下ろし短編が選考されない欠陥がある事に乾くるみ作品を見て気付いた。
しかも、この本の発売より先に作家毎の個別作品集に掲載されて出版されている作品が多数あり一冊に纏めて出版する意義が薄れている(機関誌ジャーロで選抜した作品名の発表をするだけで良いと思う)
それでも、本格ミステリの今を知る為に手にしてしまうのがミステリ読者の性かもしれない。


No.394 5点 本格ミステリ08 
アンソロジー(出版社編)
(2009/07/28 16:11登録)
敢えて採点してはいるが、この手の年度別ベスト作品集の各作品は作者毎に個別な短編集になってから評価するべきだと思っている。
私的には図書館で借りて眺めながら未読の作家の発見や、読者として本格ミステリ界の流れを掴む事に活用すべき本だと思う。
この本一番の読み所は各作品手前の作者コメントだと思っている(一冊に纏まった本では読めない)


No.393 5点 本格ミステリ07
アンソロジー(出版社編)
(2009/07/28 15:53登録)
本格ミステリ作家クラブは、発足と同時にベストな長編(連作短編集含)に大賞(ノミネート)、短編には"この本"への掲載で評価してきた。
長所は年度の本格ミステリ短編をまとめて読める便利さ(未読の作家に出会える)
短所は連作短編の一部を選択掲載する作品が多々あり、改めて纏められた連作短編集での楽しみが激減する事。
各作品より本格ミステリ大賞の選考過程など巻末をじっくり読んでしまう。
強いて言えば選ばれた短編全てが素晴らしいとは限らない。
※裏技かな?
ノベルス購入せず何年後かの文庫化時に購入(応募券付)して本格ミステリ大賞公開開票式に参加してみては!(競争率低い模様)
贔屓作家とお喋り、記念撮影等のお楽しみ有。


No.392 7点 ジェネラル・ルージュの伝説
海堂尊
(2009/07/28 15:12登録)
図書館予約の関係で読むべき順番がズレ(さして問題なかったが)未読作品の解説に接してしまった。
ミステリー系レーベルからデビューした作者だが、ミステリー度は広範なミステリー分野の端に顔を覗かせるレベルだろう(このサイトで書評対象に値する作品は少ないが・・・そんな事は気にしない)
シリーズ短編+自作解説+相関図その他諸々、な構成の本でファン・ブックになっている。
シリーズ物を書いている人気作家の方々にも同様の本を作成して欲しいと思う位にファンには嬉しい。
ミステリではないが、何故?速水がジェネラル・ルージュなのかが判り短編小説もこの本には必要だと感じた。
速水が主役の映画公開に照準を合わせ"この本"を出版する戦略を賞賛したい。
※文庫版を読んでの補追(’10・6月9日)
たいした作品ではないが短編が2話追加された。
自作解説も補追されている。
しかし文庫版発売に際しての追加戦略は単行本での購入を躊躇させる「両刃の剣」で、私的には感心しない。


No.391 7点 探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」
古野まほろ
(2009/07/25 06:58登録)
適度な厚さで読みにくさをカバーし「天帝」シリーズをスルーしている読者に古野まほろ入門編としてお薦めのシリーズだったが・・・厚さが増してしまった。
新たに、妄想部分(スルー可能)と推理に重要な供述調書を巻末にまとめた親切設計を試した。
まるで読者挑戦推理イベント脚本の様で、パズラー色が濃くなった反面、小説として一体感の無さが生じ残念。
読者挑戦物として絶賛できる正統派フーダニットの論理的な解決に対して、相変わらずチープなハウダニットは御愛嬌。
多くの読者に喰わず嫌いを克服し、そこかしこに散りばめられたパロディにニャリとしてほしいと思っているのだが・・・。


No.390 5点 パラドックス実践
門井慶喜
(2009/07/25 05:55登録)
やや特徴的な教育方針の雄弁学園(初等〜大学)での日常を描いた連作短編集。
凄い事件は全く無く日常のトラブルを屁理屈こねまわして解決したらミステリー風になりました的作品。
普段の生活でも理屈ぽい人が嫌いでない方限定なら面白いと思うはず。


No.389 5点 夢見る黄金地球儀
海堂尊
(2009/07/24 04:39登録)
ミステリ系レーベルから出版されているが、薄味なミステリ色を纏ったドタバタコメディ。
作者初の医療を扱わない作品で、その為か評判が良くない。
しかし、この作者の全作品が同じ世界を描きリンクしている為に素通りしにくい。
「ナイチンゲール〜」でヒロインだった小夜のその後も描かれ、作者のファンには嬉しい。
堅苦しい作品の後で息抜きとして読むなら評判ほど悪くないと思う。


No.388 5点 逆さに咲いた薔薇
氷川透
(2009/07/23 09:21登録)
別シリーズで推理対決に敗れた?探偵を起用して新シリーズに移行しようとした作品。
作者の初期作品からガラリと変わりシリーズ設定も読者を限定する。
ロジカルな本格に行き詰まり別方向を探ったが失敗に終わった。


No.387 6点 裁くのは僕たちだ
水原秀策
(2009/07/22 04:52登録)
今までの作品と違い主人公が一芸に秀でたプロフェッショナルから裁判員に選ばれた一般人になり、作者の持ち味の一つが消えてしまった。
時節柄、裁判員制度を扱い、しかも裁判の外から裁判を操る作品がテレビを含め多数出現した為ありふれてしまった。
その一方で、ストーリー後半(判決後)から転じる真相究明は、作者らしいハードボイルドになりテンポ良く読め楽しめた。


No.386 5点 しらみつぶしの時計
法月綸太郎
(2009/07/21 15:15登録)
ノン・シリーズ作品の寄せ集め短編集。
初出時期に結構開きがあり、アンソロジー等で既読の作品が多数だった。
「表題作」の主人公がもっと効率的に行動出来る事に思い至ったがオチを考えるとギリギリセーフしか正解に至らない為の前振りだった事に気付き納得した(それでも、傑作とは思わない)
一編でも必読級の作品を収録してあれば違った評価も出来るのだが・・・。


No.385 5点 モザイク事件帳
小林泰三
(2009/07/21 14:52登録)
変形の連作短編集。
各編のテーマと登場人物がモザイクをなしている。
バカバカしさと本気度がモザイクして意外に楽しく読める。
日常の謎編は、推理過程よりオチが楽しい。
再読したいと思わないが、暇つぶしにお勧め。


No.384 6点 リバース
北國浩二
(2009/07/18 02:53登録)
うだつのあがらぬ主人公が暴走の果てに真相に到達し、再生する青春ハードボイルド。
第一章から「予知」というオカルトを絡めながら主人公の暴走が始まる。
途中、登場人物達に全く共感できないストーリー展開、そして結末での共鳴は、青春ハードボイルドとして素晴らしい。
散りばめられた(やや露骨な)伏線と二段構えの構図はしっかりしている。
一方で、ミステリ慣れしてると第一章で構図と真相を察せるのが弱みと思える。

※以下重要なネタバレ
脳死と移植、児童虐待等、現在の社会問題を上手く真相に繋げ青春物と侮れない。


No.383 3点 影の告発
土屋隆夫
(2009/07/17 21:57登録)
30年近く前ミステリにドップリとハマり始めた時期に、高木彬光、鮎川哲也、天藤真らと平行する形で読んだ。
本格度では高木、鮎川に劣り、エンタメ度では天藤に全く及ばないと思った。
更に、文学してます的雰囲気に馴染めなかった。


No.382 6点 福家警部補の再訪
大倉崇裕
(2009/07/17 21:12登録)
コロンボ型倒叙ミステリの正統継承連作短編集の第二集。
作者のコロンボ愛故に水戸黄門の印籠と同様な偉大なるマンネリ化は否めない(ブログのミステリドラマレビューを見れば、作者が結末の捻りの多彩なバリエーションを知りながら敢えてワンパターンに徹している事が伺える)
この作品集から福家のキャラがコロンボ、古畑からテレビドラマ「相棒」の杉下右京寄りにシフトして、多彩な趣味と細かい事が気になる性格が顕著になったと思う。
時には、ワンパターンを崩し、犯人をトコトン追い詰めながらも逃げ切られる等の以外な結末でもカマして欲しいとの希望はある。
※殺害動機が恐喝の諸作品で、恐喝者であり殺される被害者の余りの無防備さに疑問を抱く。
殺されなければ物語が成立しないが、現実に強請をするなら自分の命を守る為のバックアップはしていて当然だと思うのだが・・・。
ある意味'お約束'と捉え生暖かく見守って楽しむのがベターなのかも?


No.381 7点 六つの手掛り
乾くるみ
(2009/07/17 06:11登録)
大道芸人プロモーター林茶父を探偵役にした連作短編集。
短編集のタイトルにちなんで各編のタイトルが六から一までカウントダウンされる。
「四枚のカード」(08)と「二枚舌の掛軸」(09)は年度を変えて本格短編ベスト・セレクションに選ばれている様に本格の王道を行き、各編地味ながらロジカルな作品が揃った。
マジック・ネタを題材にした作品は、泡坂妻夫作品的雰囲気も漂う。
そして、最終話「一巻の終わり」では一冊に纏める為の"書き下ろし"ならではの遊び心が最後の1ページまで施され実に楽しめた(+1点)
※追記
遅ればせながら目次に仕込まれた遊び心に気付いた(普通はスルーしちゃうよ)


No.380 4点 屋上ミサイル
山下貴光
(2009/07/14 08:49登録)
「このミス」大賞受賞作。
読者層を限定しそうな青春活劇。
デビュー当時の伊坂幸太郎的作風で、見え見えな伏線をご都合主義的に収束させる結末は二番煎じに思える。
反面、キャラと会話は素晴らしく、テンポ良く楽しい読書は保証できる。


No.379 2点 殺人パラドックス
野崎六助
(2009/07/13 07:45登録)
面白そうなタイトルに釣られて手にした。
期待は裏切られた。
ミステリとして余りに内容が薄く、こうなるとサラッと読めるのも長所にならない。
何となく手にした本で当たりを引く可能性の低さを再認識した。


No.378 6点 名探偵に薔薇を
城平京
(2009/07/10 16:00登録)
二部構成で第一部はあくまでも第二部の導入になっている。
本格ミステリとしても第一部を囮にした第二部の2つ目のダミー推理なんかは良く出来ている。
しかし、この作品の主題は「名探偵に薔薇を」との秀逸なタイトルが示す名探偵の存在意義と真相探求への苦悩だと思う。
そこで、この小説の探偵役って本当に"名探偵"と言えるのか?との根本的疑問が生じた。
更に、名探偵についてあれこれ考え込み疲れた。

名探偵には、ずば抜けた推理力と平行して揺るぎない信念と行動が求められるし、それが描かれれば良い、との結論に至った。
ふぅ~(ため息)名探偵が悩むと読者は疲れる。
※追記(ネタバレ懸念有:‘10・4/13)
名探偵を悩ませる真相の先例作品に出くわした(某美文作家の短編で「八百屋お七」のアレンジだと知った)


No.377 5点 虚無への供物
中井英夫
(2009/07/10 04:56登録)
読まねばなるまいと思いつつ後回しにしていた。
3大奇書との評判と厚さから長期戦覚悟で読んでみた。
読みやすくサラッと読了した(解説等が沢山付され、そっちは読みにくい)
今となってはどこが奇書なのか?と悩む辺りに時代の隔たりを感じる。
結末からアンチ・ミステリと称されるが、それを書く上での本格ミステリ部分にも時代の隔たりを感じる為、元祖アンチとしての歴史的価値以外はさほど評価できない。
現在の作家達にも転用されている推理合戦やダミー推理は大好きな構成なので、その点は非常に楽しく読んだ。

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