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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:887件

プロフィール| 書評

No.287 7点 赤いべべ着せよ…
今邑彩
(2012/09/01 13:11登録)
 本格もとしてきちんとまとまっており、犯人もまあ以外だしそう悪いところはないのだが、いまひとつインパクトにかける気がする。トリックというほどのものは出てこないし、何となく小粒な印象です。
 もちろん作者独特のホラー趣味はあるが、それほど前に出てこないので、わたしとしては読みやすかった。
 本格物が好きなら読んで楽しめると思います。


No.286 6点 時鐘館の殺人
今邑彩
(2012/08/26 09:11登録)
 作者の本格物の作品はわたしの好むところなのだが、ホラーのほうへ傾いたものは苦手。
 本作品は一作目の生ける屍の殺人はホラーに傾いている。
 短編集って一作目から読むと思うのだけど、(そうでない方もいるのかな)最初の作品でつまづくとあとはどうも気が進まなくなる。
 最後の時鐘館の殺人なんかは結構よかったのだが、たどり着くまでの作品はもう一つのように感じてしまった。
 順番が変わったら評価がもう少しあがったかも(そんな評価って当てにならないですね)。


No.285 3点 少年たちのおだやかな日々
多島斗志之
(2012/08/26 08:59登録)
 多島氏は好きな作家。作品があまり多くないので未読作品が少なくなっていくのは寂しく思っていたところへたまたまこの本が見つかった。表紙がなんだか気に入らないけどとにかく購入。
 読んでがっかり。これって本当に多島氏の作品なの?
 意表をつくストーリーと丁寧な文章はよいのだが、内容がぜんぜん好きでないのだ。妙に気持ちが悪かったり、残酷だったりして。後味も悪い。
 好みの作家でも時に合わない作品があるのだが、これはまさにわたしにはとってハズレでした。


No.284 4点 連続殺人鬼 カエル男
中山七里
(2012/08/12 10:28登録)
この作者が同時に「さよならドビュッシー」を書いていたことにまず驚きました。「さよなら」の爽やかさだけではどうしても物足りずに毒をこの作品につぎ込んだのでしょうか。
 残酷シーンやグロいシーンはどうも苦手で、こういったもので楽しむことはできそうにありません。
 まあそれなりによくできた作品とは思いますが。


No.283 6点 誰か Somebody
宮部みゆき
(2012/07/29 10:02登録)
 悪くはないが、ちょっと盛り上がりに欠ける面もある。それでもすらすら読めてしまうのは作者の力量なのでしょう。
 謎や探偵さんの個性に関してはまあ普通。登場人物はみんなそれほど悪くない思っていると、さすがに女性の作家らしく男には書けないような女性の嫌なところを最後に見せてくれる。
 女は意地悪で嫌なところがあるなどと男性が書いたらセクハラだと騒がれるが、女性が書く分にはそういった心配もないせいのでしょう。
 逆に女性の作家さんらしく男性に対する描き方は甘いね。
 異性はすべてが分かったら幻滅。永遠に分からないから好きにもなれるのでしょうね。


No.282 3点 田舎の刑事の趣味とお仕事
滝田務雄
(2012/07/22 16:57登録)
 これは好みではありません。作者は人が死なない推理小説を書こうと思ったとのことで、そういった姿勢は悪くないのですがなんといっても文章が悪いし、登場人物があまり感じ良くない。
 こういった話では一見仲の悪い同士でもどこか心がつながっていないとしっくりしない。
 わたしには暇つぶしにもなりませんでした。


No.281 6点 赤い指
東野圭吾
(2012/07/21 07:52登録)
 読んでいて楽しい小説ではないですね。特に前半は嫌になってしまう。まあそれだけ作者が上手に小説を書いているのですが。
 だいたい殺人事件を現実的でシリアスの書けば書くほど嫌な感じがするのはある面で当然で、それを好んで読むかどうかは読者の選択ということとなるのでしょう。
 東野氏の小説は時々こういった嫌な感じが表へ出てくるものがあり、そういった作品群は個人的には好みではありません。どこか冷たい感じがするのです。
 登場の少年は商売柄ときどき似たようなヤツ(あえてヤツと呼ぶ)と遭遇します。自分がうまくいかないとみんなが困ると思っているのです。加賀と同じような感じを抱いてはいます。
 いろいろあるけど本当は素直でいいやつなんですよ、といったところがないので読んでいるとつらいだけになってしまいます。そんなふうなところが少しあったらぐっと点数は上がったのに。
 甘いかな。


No.280 4点 ふたりの距離の概算
米澤穂信
(2012/07/20 06:26登録)
米澤氏の作品でも古典部シリーズは好きなものなのだが、これはいただけなかった。「インシテミル」のように生理的に受け付けない感じがするのではないのだが、はっきりいってあまり興味のない話でした。
 まずマラソン大会で走りながら推理するというところから気に入らない。わたしはずっと運動部に所属していたが、何を隠そうマラソンが大嫌い。走りながら考えることはいつも後どれだけ走ればオシマイだからがんばろうだけでしたので、こんな設定は考えられない。
 謎となっていることも小粒なことは古典部なのだから当然だが、大して興味がないし文章もさえない。
 暇つぶしに読むのもちょっと苦痛ぐらいでした。


No.279 8点 ビブリア古書堂の事件手帖3
三上延
(2012/07/20 06:14登録)
 このシリーズは奇抜なトリックや殺人などは皆無なのだが、愛すべき登場人物と暖かい雰囲気が満ちていて読んでいて楽しい。
 栞子さんは精神科医や心理からみればアスペルガーだというかもしれないが(本格ミステリーの登場人物はしばしば精神的に異常な人間が活躍するのであるが)、大変好きな探偵さんです。
 たまたま海外旅行する飛行機の中で読んだのだが、時間が余って何度も読み返すこととなったが、やっぱり楽しく読むことができた。ストーリーやトリックを読んでいるのではなく雰囲気を楽しんでいたからなのでしょう。
 シリーズ物はだんだん飽きてくることが多いのだが、このシリーズはだんだんすきになってきたようです。次が楽しみ。


No.278 7点 ブラディ・ローズ
今邑彩
(2012/07/08 12:12登録)
 少々ネタバレ気味です。
 この作品を読んでいるとわたしのような年代のものには、やはりレベッカを想像してしまう。理想の女性と誰もが慕っていたレベッカを主人がI hated!といったのを聞いた衝撃は忘れられないのだ。
 登場人物が少なくレベッカを想像すればある程度からくりは見えてきたと思って油断していると?ちょっと違う方向の結論が出てきたりして。
 わたしのような単純な読者にはやっぱり完全な真相はそう簡単には見抜けないのだ。
 途中深層心理描写などがめまぐるしくつづき、やや読みにくいところもあるが、全体としてはきちんとしたお話となっているのはさすがであると感心しました。


No.277 5点 ベイ・ドリーム
樋口有介
(2012/07/08 11:54登録)
 作者の小説は独特のユーモアと巧みな文章表現が楽しめるのだが、内容が政治的なものや環境問題を取り上げるようなものにはあまり向かないのかもしれない(わたしが好きでない?)。
 この作品も環境問題をテーマとしているのだが、読んでいてどうもあまり楽しくないのだ。「楽園」が作者のひそかな代表作と本人の言葉にあったが、わたしにとっては「楽園」の次ぐらいにダメでした。
 悪くはないのだけどね。良くもないのだなあ。


No.276 8点 おやすみラフマニノフ
中山七里
(2012/06/30 18:00登録)
 この作品を読んでいると自然に音楽が頭の中に流れてくる。ことに城戸が水害で避難した学校でバイオリンを演奏するところは感動的でした。曲はおなじみのチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。わたしがクラシックファンになった中学時代にもっとも好きで何度も何度も聴いた曲。どんな音だろう。完璧なハイフェッツ?、芳醇な美音のフランチェスカッティー?、ふくよかなオイストラッフ?。私には繊細で強さを秘めたミルシテインのバイオリンの音がふさわしいように思えたのですが、読みおえたあと巻末を見るとなんと参考CDはミルシテインのものではないか!。
 さっそくミルシテインのCDを引っ張り出して聞きながらこの部分を再読して一人で悦に入っていた。
 従って当然のことですがこの採点は甘いと思います。
 


No.275 5点 サマー・アポカリプス
笠井潔
(2012/06/24 08:50登録)
 とても読みにくい小説でした。重厚で複雑なないような上に、登場人物はカケル以外は外国人ばかり。全く興味のない宗教的薀蓄を航も長々とやられては読むほうが苦痛になる。もうすこしさらっと書けないものか。二転三転とする犯行の結論はある意味で非常によく考えられたように見えるが、その間に長々と哲学的(に見せかけた?)お話を読まされては興味半減となる。
 カケルの態度もはらだたしいばかりかほとんど共犯ではないか。まあ大体の探偵は似たような行動をとるのだが、初めから真相が分かっていたのに自分にとってはたいした問題ではないといって次の殺人を見逃すのはいくらなんでもひどすぎるでしょう。もうちょっと違う設定はなかったものかねえ。
 まあ内容は充実しており話もよく考えられているので、これをもっとコンパクトに分かりやすくしたら素晴らしい傑作が出来上がったの思うのですが。
 わたしの感想としては、評論家はあくまでも評論家であり、その人に実践させるとうまくいかず弁明だけが上手といったところでしょうか。


No.274 5点 紅楼夢の殺人
芦辺拓
(2012/06/17 10:06登録)
 中国のお話なので名前に普段使わない漢字が多いのは仕方がないが、複雑な家系に似た様な名前が連なり読みにくかった。
 原作を読んでいる方は多分これでよかったのだろうが、登場人物が平坦に書かれているため、ことにきれいなお嬢様各人のインパクトが少なく、なんかお人形さんがたくさん出てきた印象を受ける。
 お話の結論も意外と言えば意外なのだが、どうも共感がもてない。
 皆さんの評価が高いようですが、そして作者の新しい分野への切込みには敬服しているが、この作品はわたしにはあまりあわなかった。


No.273 6点 傍聞き(かたえぎき)
長岡弘樹
(2012/06/04 20:36登録)
どの作品も必要十分の内容でありきちんと出来上がっているのだが、だからとても面白いというものでもない。
 短編なのだから当然不要な内容はできるだけそぎ落としたほうがしまった話となるし、そしてここに収められた作品はいずれもスリムでピシッとした作品でちゃんと落ちもついているのだが。うーんどうもそれほど面白くないのだ。
 なんだか機械的で情緒に乏しい。そうすると内容が込み入ってくるほど楽しいというよりうっとおしくなる。短編だから読み通したが、長編だったら嫌になってしまいそう。
 


No.272 8点 グラン・ギニョール城
芦辺拓
(2012/06/04 20:25登録)
 作中作をうまく盛り込んであり、なかなか楽しめました。作者があとがきで書いているようにわたしもある程度のおあぞびは楽しむのですが、現実をあまり離れてしまったり、登場人物が非人間的であったりするようなものはどうもなじめません。その点この作品は適度の遊び心と推理と幻想がうまくミックスされて、私にとってちょうどよい。ただ二番目の事件ははなかなか大掛かりなトリックなのに、最初のはしょぼいなあ。こんなのあり?。
 でもまあ全体としてはとても楽しめましたよ。


No.271 6点 張り込み姫
垣根涼介
(2012/05/03 09:00登録)
久しぶりの君たちにシリーズの第3弾。
 第1作はとても面白かったが、第2弾3段とだんだん新鮮味がなくなってきた。主人公の村上のキャラクターもだんだん揺れてきているように感じる。
 やはりこういったお話は作者に若さとパワーが必要なのかもしれない。
 4つのお話のうち「みんなの力」がよかった。これだけだったら私の評価は8点か9点ぐらいのなのだが、他の作品が平凡なので全体の評価はこのぐらいかな。
 以前の垣根氏の圧倒的なパワーに期待したいのですが、本作はどうも力が感じられない。このシリーズはもうおしまいとしたほうがよいかもしれませんね。


No.270 5点 完全なる首長竜の日
乾緑郎
(2012/05/03 08:45登録)
 どちらかというとあまり好まない作品だが、読みやすい文体で最後まで読むのに苦痛は感じさせなかったのは立派というべきでしょう。
 本格者で作者に混乱させられることは好むが、こういった幻想的な要素で読者を巻き込んで混乱させられるのはどうも好みではない。こんな作風が好みの人にとっては相当面白いのかもしれないが、私にはずっとまじめな話をしていて今のは全部夢でしたなんていわれているような感じ。
 こんな話ならそりゃあどんな風にでもできるでしょう。安易だなあ。結末もすっきりしない。不完全燃焼のような感じでした。


No.269 5点 風少女
樋口有介
(2012/04/21 18:45登録)
 樋口氏のデビュー2作目の作品。最近発表された加筆修正版を読みました。
 作者は文章がうまく魅力的な会話が楽しめるのであるが、この作品はそういったところがやや乏しい。それほど長い話ではないが比較的登場人物が多く、人物の描きわけがもう一つうまくいっていないのが残念です。


No.268 7点 鳴風荘事件
綾辻行人
(2012/04/21 18:30登録)
 発表されてすぐ読んだときは綾辻氏の作品としてはだんだんつまらなくなってきたといった印象でしたが、今回再読してみると結構面白かった。私の常ではあるがトリックや犯人は記憶しておらず、そういった意味でも面白く読めた。
 作者からの挑戦があるが、カンで犯人を指摘することはできても論理的に証明することは私にとっては全く無理でした。もちろん最初に読んだときもぜんぜんダメだったことのみは覚えているのです。これが論理的に指摘して方法も分かったなんて方は本当にすごいですねえ。
 初読より面白く読めたのは多分ミステリーの中毒症状が悪化したからなのでしょう。

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