ブラディ・ローズ 別題『悪魔がここにいる』 |
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作家 | 今邑彩 |
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出版日 | 1990年05月 |
平均点 | 6.67点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 6点 | ボナンザ | |
(2023/03/21 19:06登録) 隠れた傑作の一つ。主人公の焦燥感あるふれる描写に駆られて一気に読んでしまう。 |
No.5 | 7点 | 虫暮部 | |
(2022/12/28 16:15登録) 真相を知った上で見直すと、本作は麻耶雄嵩のアレの元ネタみたいだ。こちらの方がスケールは小さい反面、辻褄は合っている。 ダミーの推理はJDC? 狙って書いたのかは判別しがたいが、こっちを先に読んだらあっちを読んだ時がっかりしちゃいそう。但し理屈としてはあの可能性に思い至るのも妥当ではある。悩ましいところだ。 生家へ逃げる場面が、ごく短いけれど、妙にツボに嵌まった。 |
No.4 | 7点 | パメル | |
(2018/12/06 01:29登録) 薔薇が咲き乱れる館の主人と再婚した女性が巻き込まれていくサスペンス。 亡き元妻の幻影、怪しげな住人たち、そして薔薇色の便箋に書かれた脅迫状と引き込まれる要素は多い。 全体的にある種病的でありながら、耽美的な雰囲気が漂っており、薔薇の香りにむせ返るような芳香を感じるほど表現力も豊か。他の作品でも感じたが、この作者の世界観は結構好み。 どの人物も疑わしく思え、誰を信用してよいのか分からず不安になっていく心理が丁寧に描かれ緊迫感もたっぷり。 真相の追求も丹念で、ラストにはどんでん返しも用意されており驚かされる。 |
No.3 | 7点 | 蟷螂の斧 | |
(2017/04/17 16:59登録) 裏表紙より~『美しい薔薇園を持つ屋敷の主人のもとに嫁いだ花梨。彼の二番目の妻は謎の墜落死を遂げたばかりだったが、主の妹・晶はじめ屋敷の一同は新しい花嫁を歓迎する。やがて、花梨のもとに悪意をむきだしにした脅迫状が届くようになり―。差出人はいったい何者なのか?傑作サスペンス長篇。』~ 好みのラスト一行的な作品です。脅迫状は梨花の部屋に置かれ、犯人は薔薇園の住人(主人、その妹、お手伝い2人、庭師)しかいない。さて誰か?という謎。この真相は誰も当てることはできないでしょう(笑)。結構凝ったプロットです。サスペンスなので、伏線はそれほどありませんでした。余談ですが、家の庭に植えてある薔薇の名が数種でてきて楽しめました。 |
No.2 | 7点 | makomako | |
(2012/07/08 12:12登録) 少々ネタバレ気味です。 この作品を読んでいるとわたしのような年代のものには、やはりレベッカを想像してしまう。理想の女性と誰もが慕っていたレベッカを主人がI hated!といったのを聞いた衝撃は忘れられないのだ。 登場人物が少なくレベッカを想像すればある程度からくりは見えてきたと思って油断していると?ちょっと違う方向の結論が出てきたりして。 わたしのような単純な読者にはやっぱり完全な真相はそう簡単には見抜けないのだ。 途中深層心理描写などがめまぐるしくつづき、やや読みにくいところもあるが、全体としてはきちんとしたお話となっているのはさすがであると感心しました。 |
No.1 | 6点 | シーマスター | |
(2008/07/07 20:43登録) ブリジット・・の「マーチ博士の四人の息子」やらヒッチコックの「レベッカ」やら・・・・過去モノのアトモスフィアがいろいろ入っていて(この人の得意ワザらしい)面白いし、不可思議性の演出も巧いし、「真相はこうじゃないのか?」という自分のような浅薄な読者の思いつきを一つずつ丁寧に潰してくれるのも好感が持てる。 ただ、雰囲気や心理面に重きを置いた作風になっているので、ミステリ作品としてはインパクトが強い仕上がりにはなっていない。 ラストは安物ホラーサスペンスっぽい気がしないでもないが、読後遠からず忘れ去られてしまいそうな儚げな印象を補強する意味では悪くないだろう。 |