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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:887件

プロフィール| 書評

No.407 5点 天使はモップを持って
近藤史恵
(2014/09/23 08:20登録)
 話が軽いのですらすら読めるが、特別に面白かったり感動したりというものではないようです。
 ビル掃除はほとんどおばさんがやっているものと思っていたので、こんな設定はびっくりするとともに何となく違和感があります(私が古いのかもしれませんが)。
 でもこのお話を読むうえでは許せてしまう範囲でしたが、主人公の大介の優柔不断さと、女性目線からのストーリー展開がどうもなじめませんでした。


No.406 4点 人形の部屋
門井慶喜
(2014/09/21 08:31登録)
 専業主夫と中学生の娘が中心のお話で、心温まる家庭推理小説ということのようだが、どうも私には合わなかった。別に嫌いというわけではないのですが(そういった類の話ではない)、登場人物に心が動かないのです。
 連作集なので一つの作品はそれほど長くはないのですが、薀蓄が長くてくどい。最後の「お子様ランチで晩酌を」にいたっては大体話が結論づいてからくどくどと凡長な会話が続きいやになってしまう。

以下ネタバレが多少あります。

タイトルの「人形の部屋」はなかなかの推理なのだが、証明がむちゃくちゃでしょう。このお父さんの性格でこんな思い切ったことはきっとしないでしょ。だいたいもし間違っていたらどうするの?すごく違和感がありました。知り合いのレントゲン技師か医者に頼んでレントゲン撮影でもしてからなら話は分かるんだけど。


No.405 6点 検事の本懐
柚月裕子
(2014/09/13 20:09登録)
 法曹物はどちらかというとあまり好きではないのだが、この連作集は面白く読みました。どの話もかなり興味深い。
 ことに第4話の拳を握るでは特捜班に派遣された佐方が尋問する相手にあらかじめ上から作った書類にハンコを押すように強制することを押し付けられるシチュエーションにはびっくしました。
 検察の特捜班は花形と思いますが、この小説のように取り調べる人の都合など全く無視で自分の作ったシナリオに合わせることのみを考えているとしたら、誤認逮捕なんていくらでも出るのでしょう。本書の最後に元検事から監修をいただいたとあるから、本当にこんな組織なのでしょうか。かなり考えさせられるお話でした。


No.404 6点 エデン
近藤史恵
(2014/09/13 19:58登録)
 サクリファイスの続編。サクリファイスを読んでから読まないとだいぶん興味が薄れると思います。ミステリーとしての要素は少ないのが、稀有な自転車ロードレースのお話とすれば相当によかった。謎解きといわずに読んでいればあと2点ぐらいあげてもよいと感じています。


No.403 7点 サクリファイス
近藤史恵
(2014/08/27 07:30登録)
 はじめ自転車ロードレースのお話ということでどうかなと思ったのですが、全く問題なく十分に楽しめました。
 本サイトの書評では高評価とそうでないものの差が大きいようですが、私には十分によかったと感じています。
 本格推理としてみれば確かに肝となる性格がほとんど描かれていないことが問題といえるかもしれませんが、あの人、実はこんなこと考えていたんだなんてことは現実にもありうることだと思います。私にはあまり違和感なく受け取れました。


No.402 2点 開かせていただき光栄です
皆川博子
(2014/08/23 07:40登録)
 皆さんの評価が高いのですが、私にはこれはちょっと--。
 冒頭から死体解剖のシーンが出てくる。こんなの読んでて楽しいのでしょうか?
 文章が良いのか読んでいると屍体のにおいが感じられてとても嫌な雰囲気となり、これ以上読み続ける気がしなかった。実際にこんな匂いを嗅いだことがない方はまあ良いのでしょうかねえ。


No.401 6点 片思いレシピ
樋口有介
(2014/08/17 14:09登録)
 柚木草平シリーズの番外編。このシリーズを読んでなくても十分楽しめるとは思いますが、やはり一つでもこのシリーズを読んでからのほうが楽しみは大きいと思います。途中で「木野塚探偵事務所だ」の話なんかも出てきて笑わせます。
 推理部分は大分隅に追いやられ、パパがちょっと動いたらたちまち解決。少し物足りない。
 まあこのシリーズのファンが読めば楽しいことは間違いないです。


No.400 6点 薫大将と匂の宮
岡田鯱彦
(2014/08/10 08:57登録)
 源氏物語は何度もチャレンジしましたが、どうしても最後まで読み切れない。宇治十帖までたどり着けずに降参してしまう。このお話はそのまた後の出来事としての設定なので、当然ながら「源氏」を最後まできちんと読んでいない者にとっては分かりにくいところがあります。勿論そのためにあらすじを書いてくれているのですが、これが源氏物語の文章をそっくり写しているような感じなのでまあ読みにくい。人物の呼び方も何通りもあり、うっかりすると誰のことかわからなくなってしまう。
 それでも何とか読み通しましたが、途中からは本格推理小説といってよい内容となりなかなか面白かった。紫式部が清少納言の推理の挑戦を受け、苦戦の末に--。
 高校時代に習った紫式部日記の「清少納言こそ」や、自分が男だとよかったと両親に言われたといった自慢話などから式部はかなりいやな女の印象があったのですが、本作品ではもっと優しい感じに書かれており式部に対する私の感じ方を変えてくれたように思いました。
 もう一回源氏物語を読んでみようかな。
 なお私の読んだ昭和ミステリー秘宝には雨月物語や竹取物語なども収載されておりむしろこちらのほうが面白かった。ことに新釈雨月物語の妖奇の鯉魚は良かった。


No.399 4点 倒立する塔の殺人
皆川博子
(2014/08/03 07:32登録)
 ずい分古めかしいお話で女学校の経験がある方には懐かしいかもしれないが、私にはただ退屈な話でした。執筆者が変わる書物というのも読みにくく、はっきりいって読み通すのに努力がいりました。
 小説の題名はなかなかよさそうだったのにがっかり。


No.398 6点 ともだち
樋口有介
(2014/07/27 08:50登録)
 登場人物それぞれのキャラクターは立っているのだが、もうひとつインパクトが少ない。助平な剣豪爺さん、恐ろしく強い女子高生、絵の天才男子高生、ちゃらちゃらだが実は財閥のお嬢様などなどサービス満点、しかも意外な展開で終了と読んでいて面白いはずなのだが、どうもいまいちピンと来ない。
 作者は人物をそれとなくしかも巧みに描く名手と思っているが、本作品の登場人物はどうもうまく絡んでいない。剣豪女子高生のさやかだけが際立って目立ったいるように感じます。しかも強すぎ。ここまで強いと漫画チックに思えてしまいます。
 樋口氏は「どうせ」という言葉をよく使います。ことにこの作品にはこの「どうせ」が多い。主人公が中年のシリーズでは極めて良い効果があるのですが、高校生が主体の作品にこれ程「どうせ」がでてくるとえらく虚無的になってしまい、若者たちのキャラとマッチしなくなってしまう。
 文句を色々つけましたが読んで不快な作品ではなくまずまずの出来なのです。ただファンとしては作者にはもっと素敵な作品が書けるに違いない。期待しているのです。


No.397 6点 天才たちの値段
門井慶喜
(2014/07/21 17:16登録)
 まず出だしで本物だと甘みを贋作だと苦みを感じるというとんでもない設定の神永美有が登場し度肝を抜かれるが、案外まとも?で美術講師の佐々木とともに美術品がらみの事件を解決していく。最初は佐々木がワトソンの役割かと思っていたが、意外とそうでもなく神永と二人で解決していくようなお話となっていた。
 まあこのほうがよいね。
 登場人物の中にはエキセントリックな学生や主人公のおばさんなども出てくるが、なんとか許せる範囲でしょう。
 美術に興味がなくても十分読んで楽しめる設定ですが、逆に相当の美術趣味でないと美術に関する推理を先取りして楽しむことは難しいかも。


No.396 7点 探偵は今夜も憂鬱
樋口有介
(2014/07/13 07:37登録)
 柚木草平シリーズの第3弾。3つの中編連作となっておりいずれも美女が出てきて、柚木はそれに翻弄されつつ事件を解決?するお話。
 こういってしまうと身もふたもないのだが、中身は濃い。この手の話としてはちょっと濃過ぎるようにも思えたが、作者のあとがきに「自分は短編は苦手でこの話も長く書きすぎて編集者から短く削れといわれた。」とあり納得。
 樋口氏の小説は何気ない風景描写と粋な会話が大きな魅力なのだが、それがぐんと濃縮されているので濃すぎるコーヒーを飲んだ感じでした。
 なかなかおいしいのだが、ちょっと胸につかえるといったところでしょうか。好きなシリーズなので評価は少し甘いけど。


No.395 6点 八月の降霊会
若竹七海
(2014/07/12 14:04登録)
 出だしは良い。なんだか怪しげで絶対に何かありそうで。
 実際にいろいろとおきるのだが、かなり複雑に絡み合った話なので若干わかりにくい。でもまあなかなか良いのです。
 実はこの作品は再読であって以前に読んだときにかなりがっかりしてしばらく若竹氏の小説は読まなくなっていたのです。そのことは覚えていたのですが、内容はすっかり忘れた(おめでたいことです)ためもう一回読んでみることとしたのです。解説にも再読に耐えると書いてあったし。
 最後までつきあうことだと帯にも書かれているので最後までつきあったのですが、なるほど当時の私が以後作者の小説はあまり読みたくなくなった理由がわかりました。
 本格推理として最後にどんでん返しがあるのは良いのですが、こんな方向に投げられると反則と訴えたくなってしまいますねえ。
 でも途中まで面白かったので採点は甘めとしました。最後が認められないという方は当然評価が下がると思います。


No.394 7点 タルト・タタンの夢
近藤史恵
(2014/07/05 07:50登録)
フランス料理店長の推理と料理の薀蓄を合わせたような連作で、なかなか面白かった。
 こういった傾向の話は好みなので割に読んでいるのですが、北森鴻の「カナリヤ」シリーズにちょっと似た雰囲気です。
 推理としてはだいぶん強引でこんなことを繰り返していたら大間違いに必ずはまるような話ですが、もちろん全て的中しますので読者は安心して読んでいられます。
 軽いお話ですのでフランス料理の名前など全く覚えなくてもすらすらと読めした。


No.393 6点 赤朽葉家の伝説
桜庭一樹
(2014/07/05 07:42登録)
 これが推理小説の賞を受けたとは信じられないほど推理小説としての味は薄い。未来予知能力のある女の話やべらぼうに強い女の話や、自信が全くない女の話がしんなりねっちりと語られる。
 作者は男の名前だが内容はまさに女性の視点で、女性しか書けないようなお話でした。
 美人の姉さんの彼氏をパッとしない妹が寝取る、しかも寝取られた男は妹に骨抜きにされてしまうというのは男として全く解せないし、多分作者も分かっていないのでしょう。男から見れば女として素敵な女性というのは女性からは理解できないのかも。そうでなければ美人の彼女から乗り換えて骨抜きにはされないよね。この小説ではこういった女性の魅力などがすっぽりと抜け落ちています。
 まあ不覚にも男の作家だと思って読んだのが間違いだったのだけれどね。女性の名前で発表してくれれば印象は変わったかもしれない。


No.392 8点 木野塚探偵事務所だ
樋口有介
(2014/06/27 17:56登録)
警視庁を定年退職した木野塚氏が唯一の趣味であったバードボイルド探偵を目指して探偵事務所を開く。警視総監賞まで受けているのでが、実は経理一筋で警察行為は全くないが、人生残り少ないのだから思い切りやりたい仕事をやるつもりだが、なかなか現実はそうはいかない。といったお話。
面白い。徹底的にハードボイルド探偵を茶化しているのだが作者特有の表現が効いていて楽しく読めた。
次作を期待しています。


No.391 4点 夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤穂信
(2014/06/27 17:47登録)
作者は素敵な高校生だけを描くのは嫌いなのだろうな。どうせなら初めからそれなりの主人公というならまだよいのだが、小学生に見えてかわいい女の子がこんな性格というのはやってられませんね。
私にとっては読後感が悪いいやな小説でした。


No.390 5点 夢の終わりとそのつづき
樋口有介
(2014/06/22 07:52登録)
作者によるとこの作品は20歳代に書いた「ろくでなし」を柚木シリーズとして改稿したものとのこと。
かなりとんでもないストーリーが展開する。いい女も出てくる。いつも以上に柚木は洒落た会話を連発する。でもここまでやるとちょっとやりすぎ。作者もきっと承知で書いているに違いないが、若いころのなつかしさをどうしても残したかったのでしょう。


No.389 4点 春期限定いちごタルト事件
米澤穂信
(2014/06/12 22:27登録)
 きんとん事件を先に読んだので、その前の話はどうなっているか知りたくなって読んだのだが、「きんとん」よりさらにつまらない内容でちょっとがっくり。一緒に「トロピカルパフェ」も買ったのだがあまり読みたくなくなってしまった。
 謎もつまらないが登場人物もちっとも可愛くなくて残念。女子高生がかわいいなんて幻想だよと作者に言われそうだが、せめて小説の中ではもう少し素敵な気分になりたいのだが。
 やっぱりおじさんの幻想なのでしょうかね。


No.388 6点 秋期限定栗きんとん事件
米澤穂信
(2014/06/08 10:52登録)
 この本から読み始めたのでそれまでの経過がわからずはじめはちょっと戸惑ったが、読んでいけばまあ何とかなりました。でもやっぱりこれは春、夏と呼んでいくものなのでしょう。
 この子小さくてかわいいと思っていたら、本当はとんでもないやつででしたねえ。
 好みとしてはかわいいままで終わるほうがよいのですが、作者はそんなのは甘っちょろくて好きでないのでしょう。
 

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