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ミステリの祭典

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teddhiriさんの登録情報
平均点:6.75点 書評数:57件

プロフィール| 書評

No.37 6点 真夜中の詩人
笹沢左保
(2009/03/16 11:50登録)
 この作者の作品の中でも代表作に挙げられているらしい作品。 
 テンポは非常によかったです。ただ身代金要求のない誘拐を扱っているのですが、真相が何となく読めてしまったため、同じ作者の誘拐もので恐ろしくひねくれた真相の「他殺岬」に比べるとサプライズという点では数段劣る気がしました。
 そのため代表作というほどの代物ではないと感じました。


No.36 7点 トーキョー・プリズン
柳広司
(2009/03/08 10:53登録)
戦争犯罪人を収容するスガモプリズンでの連続殺人を、ニュージーランド人の探偵と囚人で記憶喪失のキジマのコンビが追うというストーリー。
 謎としては密室での毒殺事件とキジマの過去の解明が主である。
 しかしこれらの事件は戦争というものが放つ魔力を共有しており、圧倒的な重さを伴っている。
 そしてその重さをエピローグとヒロインの気丈さを持って何とか相殺しようとしているものの、やはり重さが勝り何とも言えぬものを残す。
 


No.35 9点 本格篇「眼中の悪魔」
山田風太郎
(2009/03/04 18:37登録)
 目玉となるのは連作「誰にでもできる殺人」だろう。連作の仕掛け、操り、手記、女性というものへの問いかけなど作者が好んで扱うテーマが盛りだくさんでまたそのいずれもが巧みに処理されている。そして真相は割とわかりやすいもののラストのシーンはホラーめいた怖さを感じさせる。
 他にも「厨子家の悪霊」、「死者の呼び声」、「眼中の悪魔」など傑作ぞろいの作品集。


No.34 7点 凄愴編「棺の中の悦楽」
山田風太郎
(2009/03/03 11:35登録)
 ミステリーというよりサスペンスや解説者の言うとおり、ノワールなどに分類されるものがメインの作品集。カタストロフィーというしかないオチのものが多くはっきり言って読むことに非常にしんどさを感じた。ただし作品そのものは短編が多く中篇の「誰も私を愛さない」と長編の表題作以外は何とか読み進められる。「誰も私を愛さない」はゴチャゴチャしすぎの感があって流し読みだった。ただし表題作は凄まじいカタストロフを伴っていて面白い。正直、この作品を読むだけでも十分元は取れると思います。


No.33 9点 首断ち六地蔵
霞流一
(2009/02/22 21:39登録)
6体の地蔵の首が盗まれ、発見されたときには常に仏教の六道の見立てられた不可能犯罪が発生する。これが全編に共通するストーリー。
 大量に盛り込まれた壮絶なトリックと推理、(特に第三首の警部のジャイアントスイングの推理は笑った。)事件→ハズレ推理→推理→犯人自殺のリフレイン。そしてラストの第七首に訪れる凄まじいカタストロフ。このカタストロフは前例はあるものの、本格推理の究極的に煮詰めたもののひとつだと思う。


No.32 9点 おんな牢秘抄
山田風太郎
(2009/02/18 11:36登録)
 姫君お竜と名乗る女が小伝馬町の女牢で出会った六人の女たちの無実の罪をはらすために、六つの事件を解明していくというのが基本的なストーリー。その事件に仕組まれた罠やトリックは今見ると古く感じられるものもあるが基本的にバカトリックと言うべき代物で大変楽しませてくれました。
 そして六つの事件をつなぐミッシングリンクが解明されたとき、巨大な陰謀が全容を現すという連鎖式ミステリーの傑作でもあります。


No.31 9点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2009/02/12 22:00登録)
 加賀刑事シリーズに感じられる本格ミステリへの情熱。「ある閉ざされた雪の山荘で」や「仮面山荘殺人事件」などで見られたサプライズのためのテクニック。そして「秘密」以降重視してきた人間描写が一体となった傑作だと思います。
 なぜこれが本格ミステリじゃないなどと言われたのかよくわかりません。またメイントリックである人物に対する眼差しが冷酷という意見も拝見しましたが、本格ミステリで冷酷でない作品は逆に珍しいのではないでしょか。


No.30 7点 ブラウン神父の童心
G・K・チェスタトン
(2009/02/10 15:19登録)
非常に読みづらいものの話自体が基本的に短いので挫折することはない。アイデアももはやテンプレートになっているものが多く、それでも感心させられる。「見えない男」と「折れた剣」はその際たるものだと思う。


No.29 4点 死が二人をわかつまで
ジョン・ディクスン・カー
(2009/02/04 11:46登録)
 途中で読むのがしんどくなりました。自分の想像力の貧困さゆえか海外ものの古典の読みにくさゆえか密室がまったくイメージできませんでした。


No.28 9点 霧に溶ける
笹沢左保
(2009/02/04 11:41登録)
メインアイデアの凄まじさとありえなさは「姑獲鳥の夏」の密室、「翼ある闇」の密室(木更津の推理)とミッシングリンクに匹敵すると思っています。


No.27 7点 吸血の家
二階堂黎人
(2009/02/04 11:33登録)
過去の足跡なき殺人が印象的。犯人はこの作者の作品では屈指の意外さだと思う。殺人のシーンも映像的で美しい。現在の殺人はそこそこ。


No.26 5点 青き犠牲
連城三紀彦
(2009/01/30 15:05登録)
この作者らしいどんでん返しを期待して読んだのだが、明らかにされる構図は期待はずれ。戻り川心中や人間動物園の反転が10点とするならこれは4点ぐらい。


No.25 4点 黒衣の女
折原一
(2009/01/21 12:20登録)
微妙に驚けなかった。叙述トリックに無理があったような気がする。あと登場人物の心理がイマイチ理解に苦しむ。


No.24 6点 招かれた女
赤川次郎
(2008/12/27 12:50登録)
犯人は途中でうっすらと気づいたものの、話がテンポ良く進み、エピローグで驚かされた。黒いなぁと思わされた。


No.23 6点 神様ゲーム
麻耶雄嵩
(2008/11/24 17:15登録)
面白かったことは面白かった。今まで読んだ麻耶作品の中でも黒さでは3本の指に入る傑作。でもこれを子どもに読ませるとのはちょっとなぁという意味でこの点数です。


No.22 8点 名探偵 木更津悠也
麻耶雄嵩
(2008/10/28 18:49登録)
 ひねってはいるものの、基本的にはスタンダードな本格ミステリで「時間外返却」がイチオシ。


No.21 7点 ラットマン
道尾秀介
(2008/10/28 18:46登録)
 幾重にも仕掛けられたどんでん返しと伏線。暗い話ですがラストでかすかな光をもたらしてくれる。犯人は動機があとづけになっているため伏線は張っているが、違和感がある。


No.20 7点 『アリス・ミラー城』殺人事件
北山猛邦
(2008/10/28 18:40登録)
メインのトリックにはまったく気づきませんでした。しかしそうだとすると被害者たちの対応がかなり不自然。そこがしっかりしていてくれれば、傑作になっていたかもしれない。


No.19 4点 聖アウスラ修道院の惨劇
二階堂黎人
(2008/10/26 21:52登録)
犯人の正体やトリックはともかく、文書庫の正体やエピローグが辛い。


No.18 8点 木製の王子
麻耶雄嵩
(2008/10/25 22:45登録)
作品としてのベストは「翼ある闇」だと思っています。しかしこの作者の独特の発想とミステリーとしてのきれいな終わり方は一番好みです。まぁ、「翼ある闇」と「夏と冬の奏鳴曲」が独特すぎるせいだろうけど。

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