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ミステリの祭典

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ヨギ ガンジーの妖術
ヨギ ガンジーシリーズ

作家 泡坂妻夫
出版日1984年01月
平均点6.31点
書評数13人

No.13 6点 ボナンザ
(2018/09/09 09:51登録)
泡坂らしい仕掛けと軽快な展開がうまくマッチした短編集。

No.12 6点 まさむね
(2018/08/12 23:30登録)
 ヨギ ガンジーシリーズといえば、何といっても「しあわせの書」と「生者と死者」の仕掛けが有名で、読者の記憶にも強く残るのでしょうが、ガンジーの初出はこの短編集。なかなかの名探偵ぶりを発揮しています。
 ベストは1作目の「王たちの恵み」。終盤の転換がお見事で、短編の見本のような佳作。他の作品のレベルはまちまちだったけれども、全体的にコミカルで読みやすいし、好きなタイプの短編集だったかな。マジックネタの勉強にもなったしね。

No.11 6点 E-BANKER
(2018/07/28 08:51登録)
後の「~心霊術」、「~透視術」に続くヨギ ガンジー・シリーズの一作目に当たる本作。
数々の超常現象をに対して現実的な解決を付けていく作品集。
1984年の発表。

①「王たちの恵み」(心霊術)=うん。これが一番ロジカルというか、まともな解法に思えた。『あるはずのものがない』ということは、実は・・・というのが逆説的でいかにもミステリーっぽい。佳作だろう。
②「隼の贄」(遠隔殺人術)=これ以降ガンジーのパートナーとなる参王不動丸が初登場。妖術で遠隔殺人を実演するという、何とも胡散臭い設定なのだが、もちろん最終的には現実的な解決が付けられる。ただし結構ショボイ・・・
③「心魂平の怪光」(念力術)=この辺りからますますオカルティックに、そして胡散臭さが増していく・・・。これも「怪光」自体は何のことはないトリック。
④「ヨギ ガンジーの予言」(予言術)=一家全員に向けられた不吉な予言。その予言を避けるために全員でハワイにやって来た家族に対するガンジーと不動丸、という設定。問題の予言については、よくある「手」で解決が付けられる。でもプロットそのものは面白い。
⑤「帰りた銀杏」(枯木術)=“枯木術”ってなんだ? 本筋は・・・あまり面白くない。
⑥「釈尊と悪魔」(読心術)=ある旅芸人一座に雇われることとなったガンジーと不動丸。その一座に所属する絶世の美男をめぐる事件に巻き込まれることに・・・。
⑦「蘭と幽霊」(分身術)=いわゆるドッペルゲンガー現象をテーマとする一編。ドッペルゲンガーに関するトリックは現実的だし面白いと感じたけど・・・

以上7編。
さすがに達者である。やっぱり短編は名人芸ともいえる出来栄えだ。
本作も一見、超常現象に見えるものをお得意のマジックを流用したトリックで解決してしまう。
マジックと同様、読者の目を本筋とは別の方向に向けさせ、そのうちにトリック仕掛ける。そして、最後には鮮やかなオチを見せられるんだから、これはもう「さすが泡坂」っていう感想しかない。

ただ、手放しで褒めてるけど、作品ごとのレベル差はある。
どちらかというと後にいくほど出来が落ちてる感はあるので、全体としての評価はまぁこんなものかな。
でも、まぁ必読の作品集といっても差し支えはない。
(上記のとおり、①が断トツ)

No.10 7点 虫暮部
(2016/08/09 18:01登録)
 「隼の贄」は、カーター・ディクスン『読者よ欺かるるなかれ』に対するオマージュだよね。

No.9 6点 nukkam
(2015/12/26 16:38登録)
(ネタバレなしです) 1980年から1984年にかけて発表されたヨギ・ガンジーシリーズ短編7作品をまとめて1984年に出版された第一短編集です。シリーズ短編はあと数作あるらしいので再版されるならそれも収めてほしいですね。ヨギ・ガンジーは怪しい雰囲気ぷんぷんではありますが、その一方で自ら演じる妖術(?)をすぐに「これはトリックです」と明かすなどどこか憎めない人物で、取り巻きが増えていくのも納得です。迷探偵と紹介されることも多いようですが本書では結構まともな謎解きをしていて普通に名探偵の資格十分です。事件は単純、トリックも単純ながらひっくり返し方の鮮やかさが印象的な「王の恵み」と真相は古典的ながら謎の演出が巧妙な「ヨギ・ガンジーの予言」が個人的には好みです。

No.8 6点 アイス・コーヒー
(2014/03/05 17:27登録)
近頃話題の「ヨギ ガンジー」シリーズ最初の短編集。謎のヨガ使い、ヨギ ガンジーが妖術と奇術を使ってインチキ超能力を見破っていく。ネタとしては地味だが中々笑える。
トリックがよく出来ているのは「帰りた銀杏」や「蘭と幽霊」。奇術のネタが元となっているため、真相は肩すかしだったりするがそれにしても完成度は高い。ちょっとした伏線、怪奇性の提示、そしてガンジーの解決。ヨガ探偵の個性が光る。
また、心理トリックを使った「釈尊と悪魔」などは「亜愛一郎」的な部分があって、本作の趣旨から外れている気もするが名作には違いない。
他にも、ガンジーらしさが堪能できる「ヨギ ガンジーの予言」などミステリとしてはそれほどではないにしろ、構成やストーリーの上手さ、さらには泡坂的ユーモアが目立つ連作短編集だ。早速、未読の「しあわせの書」を読まねば。

No.7 6点 kanamori
(2010/08/16 17:30登録)
超常現象のトリックを暴く連作ミステリ。
ヨギ・ガンジーら三人組の特異なキャラが、とぼけた感じで面白いのですが、過度にドタバタ的なユーモアに寄りかかることなく、真っ当なハウダニットを追及している点が好印象。
なかでは、「ヨギ ガンジーの予言」が奇術テクニックを使った作者らしい作品で個人的ベストです。

No.6 6点 江守森江
(2009/09/10 18:11登録)
この後、素晴らしい仕掛け本を2作品世に送り出したヨギ・ガンジーシリーズ第一弾。
妖術(マジック)のネタワリを本格ミステリに仕上げた作品集。
仕掛けがなくオーソドックスな本故に後の2作品より評価は下がるが、本格ミステリとして内容は濃く、6つのマジックネタを楽しめ仕掛け抜きなら此方の方が上だと思う。
どちらにせよ、後の2作品を楽しむ予行演習として読んでおきたい。

No.5 7点 だい様
(2009/08/31 09:26登録)
ヨギガンジーシリーズ第1弾

『ヨギガンジーの予言』では、メンタルマジックの原理の一つワン・アヘッド・システムが上手く使われていて非常に楽しめた。
またエッチな描写(特に一つ凄い発言が…(笑))が面白い(笑)。

No.4 7点
(2009/08/01 20:38登録)
指摘している人は多いと思いますが、不動丸の元ネタはフランボウ(ブラウン神父シリーズの)ですね。では美保子は?
最初の『王の恵み』からして、いかにもチェスタトン風なロジックです。『隼の贄』で不動丸が考えたトリックは秀逸で、実際にこれで予言マジック(遠隔殺人ではなく!)ができそうです。『ヨギ ガンジーの予言』はマジックの有名な原理を利用していますが、本当に信じる人がいるのかな、と思えます。しかし、中でも特に印象に残るのは、犯罪がからんでいるわけではない『釈尊と悪魔』です。この作者らしく逆説的なホワイダニットと人情話を融合して、きれいなオチでした。

No.3 6点 こう
(2008/08/17 03:09登録)
 タイトル通りヨギ ガンジーシリーズ第一作です。不動丸、美保子が仲間(?)になってゆくエピソードも書かれており、しあわせの書の世界が気に入っている方なら読む価値はあるかと思います。作品の雰囲気は一貫しておりとぼけた感じがいいです。
 ただ「超能力を暴く」というテーマの短編集ですが内容は普通です。(しあわせの書も内容は普通ですが)

No.2 7点 VOLKS
(2008/02/25 10:33登録)
かなりフシギーな感じの主人公達だが、そこがまた個人的に好き。子供だましのトリックと目から鱗の推理と、その双方を楽しめた。

No.1 6点 Tetchy
(2007/10/16 10:31登録)
後に超絶技巧の仕掛け本シリーズとして続いていくヨギ ガンジーシリーズ第1作は、本格ミステリ短編集。
作品の中で繰り広げられる妖術が実はトリックに過ぎないと看破していく物で、ちょっと普通すぎかも。

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