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ミステリの祭典

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容疑者Xの献身
探偵ガリレオシリーズ

作家 東野圭吾
出版日2005年08月
平均点7.90点
書評数105人

No.65 5点 スパイラルライフ
(2012/02/06 17:58登録)
この作品については我孫子先生の本ミスの書評と同感。本格ミステリではないように思われる。

リーダビリティは流石で一気に読めるのは流石ですが。

No.64 10点 いいちこ
(2012/01/15 15:06登録)
(以下ネタバレを含みます)
メイントリック自体は古典的でありふれたものだ。
しかも、●●の記載の不在、犯行直後のXの発言、死体の状況、Xの勤怠表と弁当購入の事実、技師の存在、娘の友人の証言等、決定的な伏線がごまんとある。
とりわけ「幾何の問題に見せかけて実は関数の問題」は極めて秀逸な含蓄のある伏線である。
にも関わらず見事に騙されてしまったのはひとえに倒叙形式によるところが大きい。
何と言っても我々読者にとって犯行経緯はすべて明らかになっているはずだから。
その先入観と、崩れそうで崩れない映画館のアリバイ、平々凡々とした下町の描写、そしてタイトル自体が強烈なミスディレクションとなり真実を隠蔽してしまった。
これほど倒叙形式が遺憾なく効果を発揮しているケースは寡聞にして知らない。
ただこれだけでは古典的なトリックに新たな光を当てたテクニックは賞賛できるとしても、スケール感はそれほど感じない。
衝撃を受けたのは本作の主題である。
どう考えてもXは通常の倫理観から逸脱した精神異常者であり、歪み肥大化したエゴの持ち主である。
彼の行為は自己中心的な卑劣極まるおぞましい犯罪行為であり、献身や自己犠牲などでは断じてない。
最大の犠牲者は無論技師である。
それを探偵には「とてつもない犠牲」と呼ばせ、ヒロインには「底知れぬほどの愛情」と呼ばせ、作中のどの人物もXの異常性を弾劾しない。
そしてタイトルには「献身」の2文字。
これは一体どういうことだろうか?
断っておくが私は倫理観をもってXの行為を断罪しているのではない。
そんなことを問題にしていたらミステリは読めない。
問題はXではなく筆者だ。
Xの行為を賛美していると理解されかねない作品を描いた筆者の真意に思いを馳せるのである。
本作のラストは様々な解釈と感慨を許容する柔軟構造になっている。
Xの行為への感動、Xの行為自体への非難、Xの行為が結果としてヒロインをより苦しめたことに対する非難、Xの人間・女性理解の乏しさへの指摘・・・
どれもが正解になり得る。
この問題作を様々な批判を覚悟のうえで敢えて描ききった著者の凄みを感じざるを得ない。
本作の素晴らしいストーリーテリング、巧緻極まるテクニック以上の衝撃がそこにある。

No.63 10点 concon
(2012/01/04 23:19登録)
感動しました。
迂闊にも途中、石神のストーカー的な行動に、この程度の男だったのか、どこが天才じゃ、と思ったのですが、それも緻密に計算されたものだったとは・・・。(すみませんぼんやり読んでいたもので)
最後のシーンは思わず涙しました。

No.62 10点 mozart
(2011/06/10 16:16登録)
率直に感動しました。何度読み返しても泣けるストーリーです。湯川が最後にしたことが、石神にとっても結果的に良いことであったと信じたいですね。

No.61 10点 ぷにぷに
(2011/06/07 16:51登録)
トリックとしては目新しさはないが、要は使いよう。背景、状況設定、動機などで感動的なストーリーが作れるのだなと思った。トリック自体をいくら沢山知っていても、上手に使えなければ意味がない。文才とはこういうことを言うのだろう。
ある程度、年を取ってくれば、誰しも石神に共感できる部分が出てくるのではないかと思う。タイトルの「献身」がよく内容を反映していて、こういうことだったのかと唸らせる。
天才対決としながらも、石神のインパクトが強すぎて、湯川博士の影が薄いことが少し残念。

No.60 10点 ナナ
(2011/05/18 12:20登録)
私にとって生涯の一冊です。東野圭吾さんに感謝。

No.59 10点 haruka
(2011/05/05 14:28登録)
作品のテーマとトリックが一体となった衝撃の結末。ミステリとしてだけでなく、小説として素晴らしい作品。

No.58 8点 つよ
(2011/05/01 23:26登録)
映画の方が有名ですね。

No.57 9点 あびびび
(2011/04/25 02:35登録)
友人に勧められて始めて知った東野圭吾。長らく読書を忘れていたが、日本にもこんな作家がいるんだ…と感心し、東野さんの作品ははもちろんのこと、その他の作家の作品にも手を出すようになった、記念すべき物語。

ある意味世捨て人になっていた犯人のせつない生き方にほろりとさせられたが、その心情は、ある程度年を取ると沁み入るように分かってくるのではないか?

No.56 4点 好兵衛
(2011/04/23 20:39登録)
本格ミステリ大賞?
これは、本格でしょうか?

トリックだけなら使い古された手だと思います。
もっとトリックにこっている作品は沢山あるのになぁ。
謎もそんなに多くはないし。
犯人が最初からわかっているので、
どうやったかが問題だと思うのですが。

物語が評価されているのでしょうか。
本格ミステリとしてはどうも・・・

そして、ミステリサイトなので
ミステリとして採点させていただきます。

No.55 10点 HORNET
(2011/01/08 21:27登録)
 倒叙法で展開される作品を読み進めるうちに,ハウダニットであることに気付かされる。犯人石神の人間性も,把握したようでまた裏をかかれる。真相を究明し,追い詰めるガリレオ湯川。しかし知らず知らずのうちにそれを望まなくなっている私たちがいます。人間ドラマとしても,ミステリとしても一級品と言えます。

No.54 7点 Q-1
(2010/12/19 05:26登録)
叙述トリックも犯罪のトリックもストーリも完璧だったのですが、
唯一石神の手助けに至った動機が府に落ちませんでした。
純粋を通り越して馬鹿というかなんというか・・・
そこにもう少し現実味が欲しかったです。

No.53 10点 ムラ
(2010/12/15 18:55登録)
トリックから先生の行動まで全部騙されちゃいましたわ。
自分をどん底にまで落としいれて他人を掬うってのは、まさに狂人じゃないと無理なんじゃないでしょうか。究極の純愛で生まれたトリックですね。なによりミスリードが上手すぎる。
テンポもいいし、読みやすいのでオススメできる一冊です。

No.52 8点 ZAto
(2010/10/17 20:36登録)
この人は表現者として情動の発露の中で物語を紡いでいるのではなく、冷徹に厳選されたピースを用いて「情動」そのものを構築しているのではないだろうかとも思った。
情動などとまったく抽象的な言葉で誤魔化すことを許してほしいのだが、パズルを構築し、物語そのものを支配してた“X”が、最後の2ページに情動を昂ぶらせて一気に破綻することで読者が得るであろう解放感までも計算していたとすれば、トリックや仕掛けとと同列に情動をも組み込んでしまった作者には恐れ入るしかない。

No.51 5点 toyotama
(2010/09/28 17:20登録)
5点の評価が「まあ楽しめた」なので5点。
直木賞はともかくとして、なんでこれが「本格ミステリ大賞」なんだろう。この人の作品だったら、もっと別の作品もあるのに。
「レコード大賞」といっしょで、いままでよく頑張りました、っていうご褒美なんだろうか?

No.50 10点 ROU
(2010/08/27 17:42登録)
男は好きなんだなぁ、この手の純愛が。
現実逃避した世界で、憧れますね。ここまで人を愛せるということが。
メイントリックがこの愛無くしては生まれない発想なだけに、
騙されて幸せでした。
ラストは切なすぎますが・・・これがあるから10点です!

No.49 8点 kanamori
(2010/08/25 21:08登録)
純愛ネタの文芸的テイストと、本格ミステリ的趣向を兼ね備えた小説で、読みやすく素直に楽しめた作品。
石神が採った究極の手段が文芸もののテイストと相容れないという意見はもっともですが、本格ミステリとして読んだので気にならなかった。探偵役の「幾何の問題と見せかけて、じつは関数の問題..」なんていう台詞はゾクゾクとさせるものがありました。
強いて注文をつけるとすれば、天才対天才という構図をもっと前面に出した方がよかったと思う。

No.48 10点 くりからもんもん
(2010/03/04 09:05登録)
いろいろと細かいツッコミどころもあるでしょうが、物語のすばらしさの前では、些細な問題ですね。ガリレオの長編が読みたかったので、しかもこんなすばらしい作品で、大満足です。

映画も良質小説の映像化の割にはなかなか良かったです

No.47 10点 りゅう
(2009/12/19 21:16登録)
 評判どおり、素晴らしい作品です。無駄と思える箇所がなく、一気に読めました。文章の読みやすさ、構成力、ストーリー展開、登場人物の心理描写、最後に用意されたどんでん返し、どれを取っても文句のつけようがありません。ミステリーとしてだけではなく、文学作品としても優れていると思います。

No.46 8点 星屑の仔
(2009/11/03 21:54登録)
面白かった。
読んでいてハラハラした。
ストーリは、離婚した元夫を殺してしまった女性と娘、その女性に命を救われ罪を隠そうと手伝う元天才数学者、そしてその数学者の旧友の天才物理学者、その三者の物語。

不可能アリバイトリックを仕掛けた天才数学者「石神」、
そのトリックに挑む「湯川」。

それは犯人vs探偵と云う簡単な対立構造ではない。

天才でしか知り得ない世界を共有し合った友人同士であり、
何が正義で何が悪かを問われる構造でもある。

そして最後には「さすが東野圭吾!」と言わしめるどんでん返しも待っている。

期待されていた作品であるが、それ以上の内容があったと思われる。

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