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ミステリの祭典

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キングを探せ
法月綸太郎シリーズ

作家 法月綸太郎
出版日2011年12月
平均点6.75点
書評数32人

No.12 7点 名探偵ジャパン
(2015/11/02 10:08登録)
ベテランの面目躍如とでも言うべき、見事なプロット。
それも、大どんでん返し的なビックリ箱でなく、思わず「ううむ」と唸ってしまうような、「渋知」な仕掛け。変な表現ですが、色気があります。

言及しておきたいのは、事件に挑む探偵綸太郎の存在。
警察の捜査に手を貸す素人探偵、という、かつては当たり前だったギミックが通用しなくなってきた昨今。(作家も読者も)作品にリアリティを求め、また、警察の科学力の飛躍的な向上も相まって、今や「素人探偵」という存在は、完全なファンタジー化してしまった。
現在、素人探偵の居場所は、警察の捜査介入を防ぐ絶海の孤島や、警察の捜査能力そのものを落とした過去を舞台とした作品、もしくは、警察が介入するまでもない「日常の謎」くらいしかないだろう。
僅かな毛根や、被害者の爪の間に残留した皮膚片からDNA鑑定により個人が特定されてしまうほどの科学力。網の目のように張り巡らされた携帯電話など個人ネットワーク。およそ、一介の素人が幅を利かせる余地などないかのような、先鋭された現代社会という敵とも戦いながら、今なお綸太郎は素人探偵として活躍し続けている。これはかなり大変なことではないかと思う。
他の方の書評にも書かれていたが、綸太郎や親父さんの法月警視の口から、ネットスラングなどが漏れるのも面白い。遠い過去や、浮世離れしたファンタジーではない、今我々と同じ時間を共有している名探偵。俄然、綸太郎に親近感が沸こうというものだ。

No.11 6点 いいちこ
(2015/02/09 16:39登録)
効果的な倒叙形式の活用、探偵の介入による軌道修正等、プロット全体の完成度は高い。
一見して叙述トリックとはわからないトリック等、随所で読者の誤認を突く巧妙な仕掛けが、非常にテクニカル。
ただ強烈な緊張感やインパクトには欠け、軽量コンパクトにまとまっている印象

No.10 6点 makomako
(2014/02/16 12:03登録)
 良くできた本格推理小説であることは間違いないでしょう。答えが見えているようでも一筋縄ではいかない。謎も複線もそれに対する資料の呈示もまず申し分なく、このサイトでの評価が高いのは当然といえます。
 作者は初期には非常につらい物語を書いていたのですが、最近は乾いた文章で推理の結晶体を求めているように感じます。
 それが好きな方(たいていの本格物の好みの方は好きなのでしょう、わたしもその一人ではあります)にはとても面白くそうでない人には全く興味が湧かないといった内容となっています。
 ただここまでやってしまうとなんだか数学の問題の答えを順々に教えていただいているような味気ない感じが否めませんでした。

No.9 7点 まさむね
(2013/01/11 22:17登録)
 4人による交換殺人。序盤は犯人側視点での倒叙形式です。次第に法月親子の視点の比重が増していって…という流れ。捻りも効いており,さすがと思わせる精緻なプロットです。(おそらく)敢えて重厚感を抱かせず,端正なタッチ&分量にした点も,私はプラスに評価します。
 法月親子の長編は「生首に~」以来だと思うのですが,私はこちらの作品の方が好み。

No.8 7点 HORNET
(2012/12/23 19:03登録)
(ネタバレ気味)
 読者の先入観からの序盤のミスリードは秀逸。ニックネームを使いながら倒叙法と謎解きの両面からうまく構成された作品だと思う。長編の割には会話文を主体としておりテンポよく読め、ものの一日で読めてしまうのも好ましい。
 メインである謎解き・推理も、叙述的なトリックも併せて上手く仕組まれている。物語的に肉付けをすればもっと長い話になっていたかもしれないが、自分にとってはそれは余分で、こうした展開の方がむしろ分かりやすくて好ましかった。

No.7 5点 mozart
(2012/12/16 09:03登録)
ページ数の割にはサクっと読める内容だと思います。ラスト近くの犯罪者側のシナリオ再構築には感心しましたが、途中の展開にそれほど緊迫感がなく、全体的にイマイチかな~、という感想でした。

No.6 6点 蟷螂の斧
(2012/09/05 17:32登録)
物語の展開など、よく練られているのですが、パンチをもうひとつ食らわして欲しかったという感じです。犯人が以外とあっさり落ちてしまったのが原因かもしれません。警察側の仕掛けに、もう少し反抗し、粘ってほしかったですね。

No.5 7点 いけお
(2012/06/01 23:47登録)
雰囲気が軽く、もっと重たい話ならさらに良かったかも。
完成度は高い。

No.4 7点 白い風
(2012/04/08 16:23登録)
だれを、だれが、どこで、いつ、どうやって・・・。
トランプカードと共にHNと本名も入り混じって、最後まで上手く誤魔化されましたね。
4名の交換殺人、最後まで楽しめました。

No.3 7点 こう
(2012/01/23 01:05登録)
 倒叙形式で交換殺人を冒頭からオープンにした手垢のついたスタイルながらよく考えたプロットだなあと感心しました。
 カードの組み合わせのロジック、最後の展開も楽しめました。全体として小ぶりでしたが久々に法月綸太郎作品が読めたので+1点で。

No.2 6点 kanamori
(2011/12/31 16:35登録)
法月綸太郎シリーズ久々の長編。
ライトな筆致で力作感はないけれど、4×2枚のトランプ・カードの組み合わせを巡る”頭の体操”的ロジック展開や、終盤の犯人側と綸太郎の頭脳戦の攻防などが流石と思わせます。
「交換殺人」テーマだと、今更ストレートにそれをトリックとして使用できないでしょうし、どうしてもこういったプロットになりますね。そういえば、綸太郎シリーズの短編にも同じように交換殺人をヒネッたのがあったような。
ところで、本書における、法月警視と綸太郎の事件を巡るディスカッションの雰囲気は、クイーン親子というより都筑道夫の「退職刑事」シリーズを髣髴とさせるものがありますね(親子の立場は逆ですけど)。

No.1 8点 smile66
(2011/12/11 07:46登録)
トランプを引いて相手を決めた四重殺人。
完璧かと思われた殺人計画が些細なミスで徐々にほつれていく。

法月親子にどんどん情報を解析されていき、
「あれ、犯人捕まっちゃうよ?」となってからの展開が素晴らしい。

300ページという長さで、推理あり、倒述あり、サプライズありでとても満足です。

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