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ミステリの祭典

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犬坊里美の冒険

作家 島田荘司
出版日2006年10月
平均点5.25点
書評数12人

No.12 6点 羊太郎次郎吉
(2017/01/11 06:38登録)
犬吠里美が女子大生時代とは比べ物にならないくらい芯のしっかりした女性として書かれている。あくまで女子大生時代と比べて、だけど。

里美が法学部に入ったのも弁護士になりたがっていたのも、上京の口実だと思っていたのでスカートの中にしか価値の無い女になりたくないと思ったからというのは意外だった。もしかするとバカっぽい喋り方の割にかなり神経質で真面目な女性なのかもしれない。まっすぐでない足を綺麗に見せる為にミニスカートを履いたり、金属ワイヤー入りのブラをつけたりするのも、考え過ぎな性格の表れとも取れるし。
あの90年代の女子中高生みたいな喋り方も吃音みたいなものなのかもしれないなあ。語尾を伸ばさないと上手く喋れないというかチャラい女を演出してないと人と話せないというか。
自分の肌の弾力を嬉しく感じながらもこのハリ何年持つんだろう?と考える場面にも共感。

死体消失のトリックに関しては最初のアレってコレの伏線だったの?としか思わなかったし無理があるような気がしてならない。
でも男の暴力に悩まされる女たちの頼みを断りきれない里美が良かった。田舎や田舎の人間関係や女性同士の付き合いに苦手意識を持ってる節があるものの、結局は田舎の女性の味方なんだなと。

No.11 7点 ia
(2015/08/19 00:56登録)
漢字苦手で言葉遣いが幼稚でスイーツ脳という
法廷侮辱してるような女が法定で弁護団の末席で奮闘する。
裁判官や上司がイラついてる描写を見ると作者もわかってやってるんだろう。
それに反して読後感がとてもいい。
嫌味のある検事、妙に腹が立つおばさん達、短気な上司が、それぞれただの悪者の記号ではなく、善の部分も持っていると伝わってきた。
それと人生ままならないということも。
里美自体も、よく考えれば20代女性の平均的性格だと思う。

トリックについては「え、そんなグロい真相が?イヤミス?」と思わせてまた別の真相を用意してくれているところが好感。

恋愛要素が入ってるのは女性誌連載だったからなのかもしれない。

No.10 4点 ろーてくろいつ
(2012/08/23 07:05登録)
龍臥亭事件で登場したサブキャラが主人公。

御手洗の活躍はないw

犬坊里美、このキャラが好きになれるかどうかが評価の分かれ目だろう・・・自分はイマイチだった。

ただ、弁護士の卵として事件に関わり、謎を解いて無実の男を救う、ミステリーとしてはそこそこ楽しめる。

まぁ事件より、石岡と里美の今後の関係が気になる話。

No.9 3点 E-BANKER
(2011/12/17 15:26登録)
「龍臥亭事件」で初登場した美少女・犬坊里美が弁護士のタマゴとして活躍する長編作品。
まさか、あの里美までもメインキャラクターに昇格するとは・・・ある意味作者の懐の深さに驚かされる。

~衆人環視の岡山・総社神道宮の境内に、忽然と現れて消えた一体の腐乱死体。容疑者として逮捕・起訴されたホームレスの冤罪を晴らすために、司法修習生・犬坊里美が活躍する。里美の恋と涙を描く青春小説として、津山・倉敷・総社を舞台にした旅情ミステリーとして、そして、仰天の大トリックが炸裂する島田「本格」の真髄として、面白さ満載のミステリー~

感心しませんねぇ・・・
一言でいうなら、ボリュームの割に「薄っぺらい」作品っていう感じでしょうか。
「ホームレスの老人が起こした冤罪を晴らすために立ち上がる・・・」っていうと、何だか作者往年の名作「奇想、天を動かす!」を思い出しますが、全く似て非なるもの。
本筋の殺人事件の謎については、「死体消失の謎」のほぼ一点張り。
トリックもねぇ・・・紹介文では「仰天の大トリック」なんて書いてますが、ミステリー好きでない人なら「何これ!」って怒り出しそうな気がしてなりません。

本作は、現代日本の司法制度全体が如何にいいかげんなものなのか、それが結局「冤罪」を生み出す大きな理由になっているのだ、という作者の思いが反映されたものになってますが、それが里美のキャラと全く合ってない。
ラスト、法廷の場で真相が明かされ、里美の苦労(!?)が報われるわけですが、その場面がますます「薄っぺら感」を増長させてる。

何で作者がこんな作品書いたんだろう? って思って、文庫版あとがきを読むと、本作って雑誌「女性自身」に連載された作品だったんですねぇ・・・
まぁ、この手の女性雑誌に連載するから、ここまで噛み砕いて、軽めのノリにしなければならなかったわけか・・・
でもなぁ・・・これでは、本当のファンを失いかねないよ!
(里美みたいなキャラ、人気あるんだろうなぁ・・・。どうでもいいけど、女性雑誌に岡山弁って馴染まないような気はするが・・・)

No.8 6点 測量ボ-イ
(2011/07/29 19:17登録)
謎のメインは死体消失を扱った作品。
種明かしは意外なものですが、海外の古典作品で類似の
トリックがあったので、僕は途中で気づきました。
犬坊里美のキャラ立ちには賛否両論ありますが・・・
まあ松崎レオナよりかは好感持てるのでは?

No.7 5点 makomako
(2011/06/15 07:27登録)
 主人公の犬吠泣きすぎ。だらしないったらありゃしないのに妙なところでがんばる。ミニスカートで化粧バッチリ、緊張してしゃべるとミーハーのようなへんちくりんな言葉。私は高学歴高地位の女性と一緒に働いたり接したり機会が比較的多いがいずれの女性もきわめて優秀で、男なんかによりはるかに丈夫。彼女たちにこれを読ませたらきっと作者は女を馬鹿にしているんじゃないと怒り出しそう。こんな女性がいたらかわいいとは思うが弁護士では頼りないでしょうね。
 日本の裁判制度に対する批判のようなものは読み取れるが、作者のミステリーとしてはちょっと薄味。

No.6 6点 E
(2010/10/16 21:44登録)
初の犬坊里美語り手作品。まさかこんな日がくるとは(苦笑)
今回もまた「冤罪」がテーマでしたね。
それにしても警察や検察は本当にこんな事で犯人をでっちあげてしまうのか・・・酷いものですね。これじゃぁいくら「真実を話す」と言っても無駄じゃないか・・暗雲たるものです。

死体消失トリックはまたも驚愕!!
ある意味誰も考えつかないんじゃないかなぁ・・生理的に(爆)

犬坊里美は・・弱かったですね。もっと逞しく育って欲しかった。

No.5 4点 kanamori
(2010/08/23 20:00登録)
女性の司法修習生を探偵役に据えた長編ミステリ。
冤罪とか裁判制度に対する問題提起をひとつの主題としながら、神社の離れからの死体消失という不可能トリックを扱っていますが、いつもながら、氏の描く若い女性キャラがどうも受け入れがたい。また、人を喰ったような死体消失トリックには脱力しました。
裁判制度という主題とバカミス系トリックがちょっとマッチしていないという印象です。

No.4 7点 Tetchy
(2009/12/16 00:05登録)
本書の狙いは裁判員制度について、一般の人に馴染みの薄い裁判という仕組みを解り易く噛み砕いて紹介する事だろう。そのために犬坊里美というキャラクターを弁護士の卵とし、その他司法に関わる法律家の卵たちを配して、裁判官、検察官、そして弁護士それぞれの立場と役割を述べていく。

そして裁判に関わる事の意味が色々包含されてもいる。
歪んだ社会の構造、そして日本の弁護士が形を軽減したいがためにこの手の司法取引に応じる事が逆に真犯人を世にのさばらされているのだと島田は登場人物の口を借りて糾弾する。これこそが本書で最も語りたかったテーマだろう。

ただ法曹関係者が本書を読んだ時にどう思うだろうか?
メッセージは立派だが、修習生である里美が法廷で弁論を行ったり、最後のシーンの大団円など、夢物語のように思え、失笑を買うのではないだろうか。逆に云えば里美というキャラクター性からこのようなテイストを持ち込んだのかもしれないが、個人的にはいっぱしの法廷ミステリを期待していただけに何か物足りなさを感じる。

しかし本作における犬坊里美の年齢は27歳であるが、これがとても年相応とは思えないほど落ち着きがなく、涙脆い。
これでは二十歳前後の女性だし、せめて24までというのが正直な思いだ。
色々注文をつけたい作品だが、それでも最後のトリックには驚かされたし、何より伏線のさり気なさにビックリした。

No.3 5点
(2009/07/18 19:36登録)
忽然と消失した腐乱死体。ストーリーは、まあまあでした。
ただ、里美のセリフは、どうにかならないものでしょうか?
「はいー」「・・・ですぅ」など、どうも受け付けません。

No.2 4点 itokin
(2008/07/15 16:37登録)
司法研修生の活躍とあるがいかにも意気地がなさ過ぎる、頭もいいとも思えない。トリックも軽い。島田さんのやっつけ作品だな読んだ時間がもったいない。

No.1 6点 no.3
(2008/06/05 18:47登録)
龍臥亭2作や御手洗もの短編での里美には好感を持っていましたが、この作品ではいつもの明るく溌剌とした魅力が薄れ、中高年男性の保護欲を掻き立てそうな、泣き虫な女の子になってしまっていて残念でした。
これが20歳前後なのだったらまだわかりますが、27歳の司法研修生にしてはあまりにも言動が幼稚です。性犯罪歴のある被告人への面会に、膝上のミニスカートを履いて行くのは非常識もはなはだしく、腹立たしくさえ感じました。
この被告人がもう少し同情を誘う人物だったなら、もっと読後感がよかったのでは・・・と思います。里美へのセクハラも下品で許しがたいですが、エアコンプレッサーの前科が悪質すぎです。(本筋ではないですが、気持ち悪すぎて頭にこびりついてしまいました)

予想以上に軽めのミステリでした。それでも死体消失トリックは楽しめます。
里美が弁護士(検事?)として成長していくシリーズの1作目になるのでしょうか。それならば今後に期待です。早く頼りになる弁護士になってもらいたいです。

石岡さんと電話でしゃべるシーンは、とてもよかったです。

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