| 『石球城』殺人事件 |
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| 作家 | 北山猛邦 |
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| 出版日 | 2026年06月 |
| 平均点 | 8.00点 |
| 書評数 | 11人 |
| No.11 | 8点 | パメル | |
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(2026/10/28 08:10登録) 少年ルーサは「最果ての地に楽園がある」という話を信じ、仲間たちと旅をしていたが、仲間割れに巻き込まれて氷河の裂け目に落下し意識を失う。しばらくして目覚めると、そばにはロメリアと名乗る少年がおり、ここは夜が明けることがなく、九人の王と円状に街を囲む高い壁の上に並んだ十三の灯台を守る巫女たちによって保たれている城塞都市「石球城」であることを教えられる。ルーサは自身を救ってくれたロメリアと共に巫女の灯台を訪れる。しかしそこで待っていたのは首を切断された巫女の遺体だった。しかしそれは悪夢の始まりに過ぎなかった。大きな混乱に巻き込まれながら、彼らが支え合って真実へ近づいていく友情譚が楽しめる。 「物理の北山」の異名通り、ガウス加速器、超電導体、レンツの法則、サイフォンの原理、テコの原理といった物理法則を惜しみなく注ぎ込んだ物理トリックが連続する。1冊の中に13もの密室と図解入りの解説が詰め込まれており、科学実験教室のようで楽しめる。聞いたこともない法則がいくつもあるが、分かりやすく解説されているので物理が苦手の人でも問題ない。13個もの密室でありながら使いまわしがなく、それぞれ異なるアプローチで構成されている点も素晴らしい。さらにトリックの解明の順番も必然性があるところも評価したい。 連続密室殺人の謎と石球城という世界の仕組みや、ルーサの正体といった壮大な謎がクライマックスで一気に連続して解き明かされる展開には鳥肌が立った。終末感漂う切なくも美しいファンタジーな世界観と、本格ミステリが見事に融合している。 |
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| No.10 | 9点 | まさむね | |
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(2026/09/26 21:09登録) 13の密室。まずはその数自体が凄い。レベルはそれぞれだけれど、それらの解明シーンは圧巻でした。成長する密室というコンセプトも興味深い。「物理の北山」の本領が遺憾なく発揮されています。 そして、謎が密室だけにはとどまらないこともポイント。設定舞台そのものに対する謎、これも印象深い。 今年の各種ミステリランキングでの評価が楽しみです。 |
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| No.9 | 8点 | レッドキング | |
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(2026/09/23 15:32登録) 『~城』殺人事件シリーズ第五弾。密室が謎となり、謎が神秘を呼ぶ・・密室である事が「世界」の存在に関わる、本格ミステリとSFファンタジーの融合。なんと、*13! の首無し密室が飛び出す。 「嵐の灯台」密室:2点 「始めの灯台」「空気の灯台」「蛇の灯台」「知性の灯台」をメドレーで纏めて4点 「道の灯台」密室:2点 「死の灯台」密室:1点 「世界の灯台」密室:0.5点 「雨の灯台」密室:1点 「大地の灯台」密室:0.5点 「梟の灯台」密室:1点 「闇の灯台」密室:0.5点 「王の灯台」密室:2点・・・計:14.5点 14.5点! 評価ポイントが三つ程の加点評価ルールの競技で、13もの技を繰り出し、各ポイントは決して高くなくとも、合計点が天井破りとなってしまった状態と同じ(*^^)・・・なので、加点でなく"全体"として、6点に変更。 そこに、密室の質の変容を、Whoダニットの鍵としたアイデアに、1点追加。 加えて、SFファンタジー世界構造のミステリ風解明に、1点・・・計:8点。 *にしても、このトリックをメインに、13長編を拵えていたら、評価点 3~5点の密室長編群となり、日本の「ディクスン・カー」になれてただろうに・・惜しげもなく、見事! |
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| No.8 | 8点 | 文生 | |
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(2026/09/19 10:07登録) 『人狼城の恐怖』ぐらいから増えてきた感のある密室殺人や不可能犯罪を枯れ木も山の賑わいとばかりに大量にばら撒くタイプの作品はあまり好きではないのですが、本作に関しては13の密室殺人が世界観や犯人像と密接に結びついていたために非常に引き込まれました。それになんといっても、100ページを超える図説入りの推理パートが圧巻。リアリティには欠けるものの、それを上回る魅力を有した傑作です。 |
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| No.7 | 7点 | メルカトル | |
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(2026/09/15 22:17登録) 凍てつく世界を旅する少年・ルーサは壁で囲まれた城塞都市・石球城に迷い込む。無数の石球が散らばり、永遠に夜が明けない閉ざされた街(クローズド・サークル)は、九人の王が支配し、十三の灯台とそこに住む巫女によって保たれていた。自身の正体を知るため、ルーサは“世界の果て”を目指す少年・ロメリアと、巫女・カヮクの灯台を訪れるが、待っていたのは密室首切り死体。巫女殺しの疑いをかけられたルーサは犯人を捜索するが、今度はべつの巫女が密室首切り死体として発見されーー。 Amazon内容紹介より。 密室での首なし死体と来れば読むしかないでしょう、と意気込んで読みました。長いしややこしいと嫌だなと思いましたが、比較的解り易くて良かったー。あれこれ言いたいことはありますが、まあそれは野暮というものでしょう。しかしそれ程面白いかと問われると疑問が残ります。十三もの密室が出て来るので、次第に感覚が麻痺します。そこまでバリエーションに富んだものでもないし、どうしても又かってな感じになります。似たようなパターンが多いので。 でも力作であることには違いないです。これだけのトリックを考えるだけでも一苦労でしょう。あまり深く考えないで、様々な密室トリックを楽しめればそれで十分ですね。個人的にはシンプルですが、最初の密室に意表を突かれました。又意外な犯人という点では成程なと思いました。しかし物語がストレート過ぎるのでもう一捻りあるともっと良かったですね。 |
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| No.6 | 7点 | kanamori | |
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(2026/09/06 15:36登録) 終末感が漂うファンタジー系の異世界本格の大作です。作者のデビュー作から始まる『城』シリーズの最新作と位置づけられる作品かもしれませんが、プロローグで少年が”最果ての海”を目指して氷原を彷徨するシーンは少年検閲官シリーズの「オルゴーリェンヌ」に近い雰囲気があります。 物語は、高い城壁と闇に囲まれ太陽が見えない、クローズド・サークルな街”石球城”の中で終始進行し、城壁に沿って立つ13基の灯台が現場となって、13人の灯台守リの巫女が連続して密室状況で首なし死体で発見されていく派手な展開です。何処からか迷い込んできたその少年を助けた、城内に住む青年ロメリアが探偵役になって、この謎解きをするのですが、殺害動機や頭の持ち去りと密室にする理由が、石球城のルールに起因するものと明らかにされており、この辺は異世界モノの便利なところです。WHYはなしで、一応は密室殺人のハウダニット一本に絞った謎解きになります。 ただ、密室と言っても堅牢なものとは言えず、窓が開いていても高所だからとか、石球が塞ぎ脱出不能とか、周りに足跡がないとかで、云わば”緩い密室状況”なのですが、城の由来である大きさの異なる真球の石が密室を構成する要素であり、同時にトリックのアイテムにもなっている点はなかなか上手いと思います。昔から、密室トリックのタイプの優劣で、”心理的トリック”が”物理的トリック”に優るみたいな出典不明な謎の言説が染み付いているのですが、後半に明らかになる”高度に成長する密室”の、最後の13番目の密室が意外なことに前者でした。 これだけ続けて密室トリックを読まされるとダレるところもありましたが、たしかに最後は文字どおりの驚天動地な真相が待っていました。 |
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| No.5 | 6点 | 虫暮部 | |
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(2026/08/18 14:02登録) 鴨崎暖炉に負けてたまるか! 食らえ液体窒素! と作者が言ったとか言わなかったとか。密室に未だこんなに可能性があったかと驚愕しつつ、まぁここまで可笑しな建築物を並べるのが可能ならねぇ、と苦笑も漏れてしまうわ。 しかし、これだけの紙幅を費やしても尚あまりに急ぎ足な書きっぷりを鑑みると、作者の構想はバランスが狂っている。密室は七つくらいあれば充分この物語を書けたのではないか。メガ盛りギガ盛りは大盛り自体が目的化した歪なメニューなのである。じっくり味わうのには向かない。 その結果、それなりに豊かな物語性を内に秘めていそうな『石球城』と言う絵が、早食い競争の背景として消費されてしまった。受け取り方に困惑する私である。 |
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| No.4 | 8点 | HORNET | |
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(2026/08/04 21:11登録) 大規模な気候変動により、地球は冬の時代となった。太陽の見えない生活の中、ルーサは「最果ての地に楽園がある」という話を信じて仲間と旅に出るが、仲間割れの末、氷河のクレバスに落ちて意識を失う。気が付くとロメリアという少年に助けられていて、見たことのない地にいた。 そこは、13の灯台と壁に囲われ、完全に外界と遮断された世界―「石球城」だった。いったいどうやってここに来たのか…ルーサの戸惑いをよそに、13人の灯台の巫女たちが、次々と殺されていく… <ネタバレ> 作者の作品は「オルゴーリェンヌ」しか読んでおらず、それがあまり肌に合わなかったため手を伸ばさずにいたが、本サイトの評価が非常に高いため手に取った。 13の密室殺人に13のトリック、加えてラストにプラスα。怒涛のような密室トリック解明劇は確かにスゴイ。令和のこの時代に、海外古典のような物理的密室トリックのオンパレードもこれはこれでよい。何よりも、一つ一つがそれ単体で作品にできそうなくらいのものもあるのに、一作で13トリック放出した作者の度量に感嘆する。 ただ一方で、13の密室を一掃する一発がくることも心の中で期待していた。各現場で残されていた要素がすべてひとつながりになっていくような…。一つ一つを「それぞれ」順に解き明かしていく展開は、怒涛ともいえるが、ある意味地味に感じるところもあった。 また、石球に宿された「磁力」を利用したトリックはあまり現実感がなく、「物理トリック」と素直に受け止められないところもあった。「死の灯台」「雨の灯台」「大地の灯台」「「闇の灯台」のトリックなんかは特に。一方、「世界の灯台」の浸水によるトリック、「梟の灯台」のビリヤード的なトリックは非常に面白かった。(ところで、「初めの灯台」のトリックは結局何だったのか?) 一番は、「石球城」そのものの構造を明かしたラスト。文字通りの“驚天動地″。ルーサの謎も論理的に説明され、唸らされた。 年末のランキングに入りそうな一作だぁ・・・ |
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| No.3 | 8点 | mozart | |
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(2026/08/01 18:05登録) 「アリス・ミラー城」とか「ギロチン城」とかがアレでしっかり騙されたため、同じ「城シリーズ」ということで少々警戒しながら読み始めたのですが、ファンタジー要素は(BL要素も?)ありつつも「物理の北山」が本領を発揮するゴリゴリの「密室モノ」でした。 終盤で息つく間もなく(いや、ちょっとだけダレたかも)怒濤のように明かされる13もの密室の物理トリック!さらには石球城の建っている空間自体があのようになっているとは!まったくもって感服しました。謎の提示とトリックの解明にはその都度ちゃんと分かりやすい図解もあってすんなり飲み込めました。しかも○○の「特殊設定」もしっかり謎にからんでいる、と。 昨今のラノベ風ミステリーなら巫女達の扱いは違っていただろうとは思いますが主人公達とのあっさりした関係性はこの作品ではむしろ彼女らに感情移入することなく淡々と読み進められて良かったと思います。最後も平穏なエンディングだったので読後感も良かったです。 |
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| No.2 | 9点 | 肥し | |
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(2026/07/23 20:08登録) 正体不明の「石球城」を舞台に起こる連続密室殺人。想像よりもファンタジーな世界観で、良い意味で期待を裏切られた。13もの密室が明かされる解決編は圧巻で、特に「世界の灯台」~「梟の灯台」のトリックは奇想に感動した。殺人だけでなく、石球城の謎についても明かされる美しいラストや、序盤からのスピーディーな展開など、小説としても面白く読めた。 |
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| No.1 | 10点 | みりん | |
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(2026/07/20 21:29登録) 作者の発想力にただただ興奮。同著者『月灯館殺人事件』や『監獄島』『厳冬之棺』などを遥かに超える密室の物量に『星を継ぐもの』のような夢と奇想をプラスした愛すべき「ドリームミステリー」と呼びたい。1つの長編に13の密室ってもうギネス記録申請できるんじゃない? 主人公はどこから来たのか、父親の死の真相、13の密室殺人の謎、最果ての海、石球の役割、灯の役割、世界の真相。館ものにありがちな種明かしまでつまらないという欠点もこの作品にはなく(流石に13密室は少しダレるが)、謎に包まれた世界観でその謎を推進力に読ませてしまう。序盤は「9人の王様に13の灯台、壁、海、外の世界となにこれ進○の巨人のパクリじゃね?エルヴィンとその親父みたいなこと言い出しやがって」とか思ってしまいましたすみません北山先生。『火刑城』も楽しみにしています。 興奮冷めやらぬうちに10点をつけ、ハードルを上げてしまい申し訳ございませんが、多少の粗と(新)本格というジャンルに備わっているある種の馬鹿馬鹿しさを楽しめてしまう人におすすめです。 他の作品の感想を書いた時に思ったが、この作品こそまさに小説というよりアイデア展覧会だ。被害者は主人公にとって赤の他人で殺人にドラマはなく、密室を構成する必然性をファンタジーで強引に説明することで、密室とそのトリックの解明以外に余分なものが極限まで削ぎ落とされているという歪な作品だ。だが、例えアイデア展覧会であっても、人間が描かれていなくても、その傑出したアイデアそのものを高く評価したいと思う。 <ネタバレ> 恐らくネタバレにはならないから言っちゃうと密室の中で気持ちよかったのはレンツとサイフォンのツートップ。 |
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