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ミステリの祭典

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殺しへの招待

作家 天藤真
出版日1980年08月
平均点7.08点
書評数13人

No.13 5点 いいちこ
(2017/01/06 11:51登録)
手紙を使った犯行予告のアイデア自体は、インパクトが極めて強いのだが、犯人がこれほどまでに迂遠な手段を取った理由への納得感が十分とは言えず、サスペンスにも乏しい。
捻りの効いた壮大なプロットを一応破綻なく着地させている点を評価

No.12 7点 ボナンザ
(2016/02/20 15:46登録)
天藤作品の中でも上位の出来。
二転三転するプロットと読みやすい文体がいい。

No.11 5点 nukkam
(2015/08/22 08:27登録)
(ネタバレなしです) 1973年発表の長編第5作ですが、私にとっては連作短編集「遠きに目ありて」(1981年)に次ぐ天藤作品です。しかしこれが作風が全く違っていたのには驚きました。とにかくどろどろした人間関係がしつこく描かれており、ベッドシーンも何度かあります。創元推理文庫版では「ユーモラスなタッチ」と「ひねりの利いたプロット」と紹介されていますが前者については一体どこにユーモアが?、と出版社に尋ねたいぐらいです。後者に関しては紹介の通りで、被害者探しの前半はもちろんですが事件発生後の展開もかなりユニークな本格派推理小説です。後味の悪さを残す第三部を蛇足と評価する意見にもなるほどとは思いますが、個人的には消化不良気味の第二部で終わるよりはいいかなと思います。とはいえ全体の雰囲気は最後までなじめませんでした。

No.10 6点 E-BANKER
(2013/05/18 22:36登録)
1973年発表の長編。
氏の作品らしく、凝ったプロットが楽しい作品。

~「わたしはあなたがよくご存知のある男の妻です。ひと月以内にその男の死亡通知が届くでしょう。彼は実は殺されるのです。そして殺すのはわたしです・・・」。そんな殺人予告状が夫と四人の知人宛に送られてきた。受け取った五人の男は、自分が手紙の中の条件に合致しているのに衝撃を受け、疑心暗鬼になりながらも何とか対処の方法を得ようと知恵を絞る。果たして標的とされているのは自分なのだろうか? だが、事態は二転三転。ユーモラスなタッチで描く、捻りの効いたプロット!~

面白いプロットだと思う。
「手紙」がプロットの鍵となるミステリーは数多いが、本作のような“使い方”は今まで余りお目にかかってない(はず)。
五人の男が「真犯人」にいいように操られ、互いに疑心暗鬼に陥りながらも、犯人探しのために協力する。
「手紙」の内容は徐々にエスカレートしていき、ついに殺人事件が発生してしまう。
だが、殺されたのは五人の中のひとりではなく、ある人物だった・・・
ここまでが第一部。謎の導入部としてはほぼ満点で、読者は惹き込まれること請け合い。

警察&知人の捜査過程を描くのが第二部。で、これがちょっと惜しい。
前半でコンガラがっていた事件の糸が、徐々に解きほぐされていくわけなのだが、読んでてどこか腑に落ちないというか、ピンと来ない展開だった。
第二部のラストで、真犯人や事件の構図なども明らかにされるけれど、「これでは・・・」と思っていた矢先に冷や水を浴びせるのが「第三部」。
予定調和っぽいかもしれないけど、やっぱりこの手の「捻り」がないと、こういうプロットの作品は締りが悪いというか、納得できない。
そういう意味では、うまくまとめたという感じ。

とにかく、“真の真犯人(?)”が「手紙」を使った「動機」というのが本作の肝で、それが全てと言っていいかもしれない。
そのために作者が仕掛けた遠大なプロットに読者が付き合わされたというのをどう捉えるかで評価は変わってくるのだろう。
個人的にはその辺がちょっと微妙・・・
(夫→妻の関係に時代を感じるなぁ・・・。今は妻の方が強いのが普通じゃない?)

No.9 8点 蟷螂の斧
(2012/06/19 21:01登録)
五人の夫達へ誰の妻からか不明の手紙が届く・・・ワクワクするような設定がいいですね。古さを感じるということはありませんでした。人間的にいわゆる「良い人」の登場が多く、そのことによってラスト(第3部)での「悪い奴」がよけいに際立ってきています。こういう終わり方は好みですね。

No.8 8点 haruka
(2011/04/30 00:43登録)
まず設定が面白い。次に脅迫状に慌てふためく男たちの描写が楽しい。度重なるどんでん返しがあり、最後まで飽きずに読めた。

No.7 6点 シーマスター
(2010/12/20 23:48登録)
書かれた時代の割りには現代的なミステリーだと思う。(日本語変?)

第一部(ほぼ前半)での次々送られてくる「手紙」が誘うサスペンス感と、それに翻弄される男達と彼らの夫婦実態などはそれなりに面白い。
第二部(ほぼ後半)に入るとミステリーの焦点が一転するが、それまでの勿体ぶりからするとトーンダウンの印象は否めず話の展開も全体に回りくどく感じられ、最後は平凡作の様相を呈してくれる。
しかし第三部まである。

読みやすいとは思うが、中途半端に昔の作品(しょうがねえだろ)で世俗描写が多い小説なので「そんな話し方する奴いねぇよ」とか「そうはならねぇよ」とツッコミ心が頭をもたげる場面が少なからずあったのみならず、本作の特徴である軽いタッチの文体も自分にはどうにもノリにくいものだった。

No.6 7点 toyotama
(2010/10/14 13:19登録)
本命の男の正体の暴露をもうちょっと引き延ばして欲しかったなー。

No.5 6点 kanamori
(2010/08/02 20:37登録)
謎の殺人予告状を扱ったサスペンスですが、作者の持ち味の牧歌的で軽妙なテイストが発揮されていて、発信人はどの妻かというサスペンスはあまり感じられない。むしろ、予告をうけた5人の男たちのそれぞれの対応がシニカルなユーモアを醸し出しています。終盤の展開はある程度見え易くなっていると思いますが、緻密でよく考えられたプロットは今読んでも充分面白い。

No.4 8点 江守森江
(2009/05/22 06:51登録)
ブラックユーモアミステリーの原点と思える作品。
何度読んでもニヤリとできる。
強いて言うなら各夫婦間で探り合う前半部の方が引き込まれる。

No.3 9点 こう
(2008/05/28 22:10登録)
 個人的には天藤作品では一番気に入っています。殺人予告状が5人の夫に届くがどの妻が書いたかが見当もつかない。その内殺人事件が起き最後にどんでん返しが、というお話です。
 手紙を疑うのは現代読者では当然なのでしょうがそれだけで真相がわかるかどうか。またなぜ手紙がわざわざ5人に出されたかという動機も含めて非常にうまくまとまっています。
 初版のあとがきに法律上の瑕が指摘されていますがそのあとがきどおりでそれも作品を壊すことなく成立させており問題ないと思います。(現在の全集のあとがきで触れられているかはわかりません)
 天藤作品はいずれも大掛かりなトリックはありませんが心理トリックを巧みに使う端整な作品が多いです。個人的には駄作は一冊もないと思います。

No.2 8点 VOLKS
(2008/02/24 21:56登録)
かなり昔の作品なので若干古さを感じるものの、十分楽しめる作品だった。真相が何度もひっくり返されたため最後まで飽きずに一気に読めた。
が、第3部は、同じくいらなかったような・・・その分-1点。

No.1 9点 Tetchy
(2008/02/01 13:55登録)
巻措く能わず、とはこのことなのかと実感。
プロット自体は特に斬新ではなく寧ろ地味なのだが、設定や登場人物の動かし方に匠の技が効いていて、350ページ弱を思う存分、愉しませてくれる。
今回の目玉はやはり5人の男に送られた妻からの殺人予告状でこれがどの誰を指すのか判らないという点が面白い。
しかもこのあとの展開は予想外だった。
でも第3部はいらなかったんじゃないかなぁと個人的には思う。

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